2009年 09月 16日
シェルブール雨傘店。 この店名自体には大した意味はない。シェルブールって街にある傘屋サンってだけのこと。 「府中書店」とか「栄町精肉店」っていうのと同じことだ。 だが、この店の名前は世界中の映画ファンにとっては特別な意味を持つ。 …ま、正確には世界中の映画ファンのごく一部のモノズキにとっては、と言うべきだろうが(笑)。 あの映画の舞台になったあの店。 マダム・エムリーとジュヌヴィエーヴの親子でやってる小さな傘屋。 カトリーヌ・ドヌーヴがショーウィンドウごしにギイに手を振ったあの店。 40年以上前に作られた映画に出てきたあの店。あの店が、今でも残ってる?? にわかには信じられない話だ。ホントに今でもあるの? しかし、少なくとも2004年3月号の「Title」には写真入りでそう紹介されていた。 当時残っていたことは間違いない。だが、2009年にどうなのかは全く手がかりなし。 とにかく「そのあたり」に行ってみて、ひたすら探すしかない。 何せお古い建物なんだから、その後取り壊されてる可能性だって当然ある。 今でもあるか、ないか。こうなるともう賭けに近い。 トリニテ教会を出たイ課長は大まかな地図を頼りに「おそらくこの辺」と思われる路地に 入ってみた。古い、小さな建物が軒を連ねている。ああ…ダメだ、すでにドキドキしてきた。 この辺かな?こっちかな?…もっと奥かな?その辺の路地をウロウロ探すんだけど、 それらしき店が見つからない。おかしいな…あるとすればこの辺のはずなんだが…。 ドキドキしつつ、一方ではだんだん不安になってきた。ホントにあるのか? 「この辺のはず」っていう路地を行ったりきたり…。 突然、発見した。 なぜ見つけるのに時間がかかったか、わかったよ。 イ課長はこの場面、傘屋は海を背にして左側にあるんだと思い込んでたのだ。 街の奥から海の方に向かってギイが自転車に乗ってくる…何となくそう思ってた。 だから探す時もソッチ側を中心に探してたんだけど、実際には逆だったんだね。 この画面の奥が海なんだ。ギイは海ガワから自転車に乗ってきたんだよ。 当然、店があるのは海に向かって左になるわけだ。 右側の歩道を歩きながら道の左側を探してたら、トツゼン、今自分がいる右側の歩道の 目の前にこの店があるのに気づいた。 ちょっと大げさに言えば「突然、周囲の物音が何も聞こえなくなった」という感じ。 衝撃的な感激。ああ残ってたんだ。あったんだ。それを見つけられたんだ。 今はパッチワーク・ブティックになってるというのはその通り。 しかし店の上の看板は映画の記念に「シェルブール雨傘店」のままだ。 店の入口脇にもこんな記念のプレートが貼ってある。 映画でギイがいた場所と店の位置関係はこうなる。映画の通りだ。当たり前だ(笑)。 実際に傘屋をこの目で見るとイ課長はその場で失神するか失禁するか、 はたまた感極まって泣き出すかと恐れていたけど、意外に冷静だった。 とにかく人通りがほとんどなくて静かでさぁ、あたりがしーん…と静まり返ってて 非現実的な幻想を見ているような気分になっちゃったんだよね。 ぼーーーーー… 感激というよりは、そういう状態だった(笑)。 ぼーーー… でも これで 今回のフランス旅行における最重要「いきたかった場所」の そのまた最重要「みたかったたてもの」をみられた ことに なるんだよ。 うわーーーー… しんじられない すごーーーい よかったなーーーー。 さて いかちょう つぎわ…どこに…いこうかなぁ… (↑いや、あの時はホントにこういう感じだったんだよ(笑))
by tohoiwanya
| 2009-09-16 00:39
| 2009.05パリ旅行
|
Comments(4)
Commented
by
sca
at 2009-09-18 13:16
x
ぼーーーーー… で感動が伝わってくるから不思議。
いいですねぇ。 うらやましぃ。 私もどっか行きたいなぁ。 やっぱりアトランタか。。。
0
Commented
by
tohoiwanya at 2009-09-19 12:22
いやもうねー… いやぁもう… いやぁ〜…(←言葉にならない)
13歳の時にこの映画を初めて見たとすると、それから37年。 積年のオモイがこもってたから、つくづく、しみじみと感動したっすよ。 アトランタもいいけど、 全然知り合いのいない場所に、ツアー単独参加で行ってみんさい。 ヒトリで行く海外って、それがツアーでも独特の感慨があるはず。…たぶん(←ツアーでは行ったことがない)
Commented
by
アントワネット
at 2014-06-10 19:10
x
私は15歳のとき新宿武蔵野館で観ました。リバイバル上映ですね。わたしもそれ以来、永遠の映画となりました。いまやインターネットで色々な情報を得ることが出来て現地の写真まで見せていただけて幸せな時代となりました。ありがとうございます!
Commented
by
tohoiwanya at 2014-06-11 01:04
>私は15歳のとき新宿武蔵野館で観ました
アントワネットさん: 初めまして。コメントありがとうございます。 私は最初に見たのが実はNHKの教育テレビなんですよね。 映画館で見たのはその後1年くらいしてテアトル銀座のリバイバル上映でした。 もうテアトル銀座もとっくの昔になくなっちゃいましたが。 シェルブールの街に行けたのは本当に生涯の思い出で、 ブログ書くのも楽しかったです(笑)。同じ映画のファンにコメントいただいて 私も嬉しいです。 |
アバウト
カレンダー
メモ帳
カテゴリ
2007.10 ドイツ・チェコ出張 2008.09 ドイツ出張 2008.10 欧州出張 2008.11 ワシントン出張 2009.05 パリ旅行 2009.10 シンガポール出張 2009.11 欧州出張 2010.08 台湾旅行 2010.11 欧州出張 2011.11 欧州出張 2011.06 ウィーン旅行 2012.03 欧州出張 2012.06 東欧・北欧旅行 2012.10 インド出張 2013.02 欧州出張 2013.06 ベトナム・タイ旅行 2013.12 バンコク旅行 2014.09 ベト・カン・タイ旅行 2015.09 ラオス・タイ旅行 2016.06 英国銀婚旅行 2017.08 ミャンマー・タイ旅行 2018.08 タイ旅行 2019.02 欧州出張 2019.08 ラオス・タイ旅行 国内出張・旅行 出張・旅行あれこれ 日本でのオシゴト 日本での私生活 最新のコメント
以前の記事
2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 more... タグ
食い物
鉄道
都市
風景
人々
世界遺産
日本を歩く
歴史
仕事
ホテル
建築
寺社
遺跡・廃墟
旅の準備
店舗・市場
空港
道路交通
駅
旅先から更新
地方都市
大聖堂
カルチャーショック
不思議
エアライン
バス
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||