2011年 09月 14日
さて、メルク修道院見学の最後に現れた驚異の豪華絢爛デコラティヴ空間。 これ、ナニかっていうと、この修道院の礼拝堂らしい。要するに教会だ。 確かに、奥には祭壇らしきものがあるし、真ん中の通路をはさんで左右には長椅子が並んどる。 おっしゃる通り、教会なんだろうココは。 しかしこの教会、あまりといえばあまりに装飾がド派手でキンキラすぎないかい? 思い出されるのは、やはりトホ妻と16~7年くらい前に行った南ドイツのヴィース教会だ。 ヴィース教会って、外から見ると田舎の原っぱの中に建ってる質素な教会なんだけど、 中に入るとこれでもかっていうくらい美麗なロココ装飾があふれ返ってる。 (下の写真はWikipediaから拝借したヴィース教会の内部の写真) 人里離れた不便な田舎の教会、疲れてヒイヒイいいながらやっとたどり着いた巡礼者。 だが、一歩教会内に足を踏み入れると、そこに広がる「まるで天国そのもの」のような絢爛たる 輝きの世界に巡礼者は宗教的恍惚を味わうと… ヴィース教会はそういう効果を狙って設計されてる、みたいな話を読んだことがある。 メルク修道院の礼拝堂はロココじゃなく、バロック装飾なんだろうけど、同じように 「天国錯覚効果」はあるんじゃないか?つうか、こうなるとロココとバロックの間には 過剰装飾という共通点がある以外に、何か違いがあるのかい?といいたいよ(笑)。 礼拝堂内、どこを見てもその豪華絢爛すぎる装飾に圧倒され…つうか、あきれ果て、 「ひぃーーー」と小声で悲鳴をあげながら、眺めるしかない。 しかしさ、やはりイ課長としては思うわけだよ。 ココは修道院の礼拝堂だろ?ってことは修道僧たちがここで祈るわけだろ? 修道僧っていやぁ、我々のイメージに浮かぶのは、薄汚れた茶色い毛布みたいな僧衣を着て、 薄汚れた茶色い毛布みたいなフードを頭からかぶった、それこそ映画「薔薇の名前」に出てきた ショーン・コネリーみたいな感じの、世俗とは隔絶したオジサンたちなわけじゃん、やっぱ。 このメルク修道院は「薔薇の名前」のモデルになったとされるトコでもあるわけだし。 こういう、薄汚れた毛布を着たオッサン軍団がこの豪華絢爛礼拝堂で祈ってたわけかい? 質素な服を着た修道僧なら、薄暗い石造りの質素な礼拝堂こそマッチするってもんだろー。 施設内部の豪華さと、想定ユーザー層の質素さのバランスの悪さに目がクラクラするぜ。 それとも、この超豪華礼拝堂は修道僧たちが使う空間じゃなかったのかね? しかしまぁ、この礼拝堂で祈ったのが誰であったにせよ、だ。 率直に言おう。断言しよう。イ課長はバロック教会よりゴシック教会の方がいいワ。 フランスでいくつも見てきた巨大ゴシック教会の、あのステンドグラスに照らされた 薄暗い空間には宗教的神秘があった。たとえばこんな風にさ。 しかしこの洪水のごとき過剰装飾の礼拝堂に神秘が感じられるかい?? 悪いけど、イ課長には感じられないんだよなー。 つい数分前に豪華絢爛なメルク修道院図書館を見たばかり。 つい昨日は豪華絢爛なプルンク・ザールを見たばかり。 こう連続して「超高カロリー・バロック定食」ばっか食ってるとさすがに腹がもたれる。 それでも、これがシェーンブルン宮殿みたいな、王侯貴族の住まいならまだいい。 修道院の教会でこれはなぁ…まぁ好みの問題ではあるのだが。 そういう意味ではメルク修道院礼拝堂でイ課長は自分の好みを再認識したよ。 西洋教会建築についていえば、こういう装飾トゥーマッチなバロックやロココより 神秘的なゴシック、ぐっと質素なロマネスク教会の方が明らかに好みなんだな。 時代的にいえば「お古い方」が好き、ということになる。 観光2日目にして、すでにゲップがでそうな気分になり始めたバロック「これでもか装飾」。 ウィーン滞在中、さらに見ることになるわけだが…(笑)。
by tohoiwanya
| 2011-09-14 00:01
| 2011.06 ウィーン旅行
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