2011年 10月 16日

カールスプラッツ駅舎

フンデルトヴァッサーの清掃工場の話をして、久しぶりにウィーンの建築に話題を転じたら
何と、まだカールス・プラッツ駅舎の紹介をしていなかったことに気がついた。
というわけで、本日はウィーン建築ネタを続けることにする。

カールスプラッツ駅舎というのはウィーン世紀末美術を代表する建築物であり、
ユーゲント・シュティール(端的に言えばウィーンにおけるアール・ヌーボー)の
建物といえば分離派館なんかと共に、たいてい真っ先に例に挙げられる。

分離派館とカールスプラッツ駅って実はすごく近い。
直線距離にすれば200mくらいしか離れてないんじゃないかな。
イ課長たちの宿泊ホテルから分離派館は徒歩約2分、従ってカールスプラッツ駅も
5分くらいの距離だったわけで、とにかく近くて、旅行中何度も目にしたよ。
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これがカールスプラッツ駅舎。建築家オットー・ワーグナーの代表作。
全く同じデザインの駅舎が向かい合って二つ建てられてて、これはその片方というわけだ。
現在は駅舎としては使われてなくて、片方はオットー・ワーグナーに関連した展示室、
片方はカフェとして使われてるみたいだ。

細部を見てみよう。
ここはとにかく「こんなとこまで…」と感心するくらい、建物の細部まで
キッチリと凝った装飾がなされている。ヒサシの裏までこんな感じなんだからねぇ。
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現代の感覚だと、鉄道駅の入口用建物にここまで凝った装飾は必要ないんじゃ?と思うけど、
こういうのが19世紀末から20世紀初め、アール・ヌーボー全盛期の流行だったんじゃないか?
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ギマールがデザインしたパリのメトロの出入り口が今でもアール・ヌーボーの傑作と言われるけど、
この時代の鉄道駅舎のデザインとしてウィーンとパリが図抜けて芸術的だ。
下はパリに旅行した時に撮ったメトロの入口。このアール・ヌーボー的ロゴは有名だよね。
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何かで読んだ話だと、オーットー・ワーグナーが設計したウィーン地下鉄駅舎シリーズの中で
このカールスプラッツ駅は言わば「豪華スペシャルバージョン」で、ここだけにしかない。
で、上にも書いたように今では駅としては使われてないわけだ。

しかしこのスペシャルバージョン以外に、言うなれば「汎用タイプ」というか、
あるいは「量産型」とでもいうべきタイプの駅舎も彼は設計してて、量産型の方は
今でもウィーン市内のあちこちでチャンと駅として使われてる。

旅行中に量産型の駅を何度か見たけど、たとえばこれ。泊まったホテルからもほど近くて、
ここは駅舎を見るだけじゃなく、実際にここを通って地下鉄に乗る機会があった。
しかしこうして改めてみると、入口の濃緑の柱の装飾とか、凝ってるよねぇ〜。
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中もこんな感じで、カールスプラッツ駅みたいに金を使った派手な装飾はないけど
それでも壁面の立体装飾は非常に凝ってる。ちょっと色がハゲてるが(笑)。
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ホームに降りる階段もほのかにユーゲント・シュティールの香りがただよう。
目立たないけど、白一色の壁に作り込まれた立体装飾が上品で美しい。
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「芸術は必要性にのみ従う」っていうのがオットー・ワーグナーの考え方だったそうで、
今でも使われてるこういう地下鉄駅を見ると、彼が建物の実用性というものを優先した上で、
そこに「美」をいかに盛り込むかに腐心したことが伺える。

今回の旅行ではオットー・ワーグナーの重要な作品をいくつか見ることが出来た。
これからもおいおい、ご紹介していきます。

しかし、月曜からは2泊3日で北陸出張。ホテルでブログ書けるかなぁ…??




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by tohoiwanya | 2011-10-16 00:32 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
Commented by マダムKenwan at 2011-10-17 06:03 x
私どこかに写ってないかしら?と思う程、近所です。
ウィーンへは、学生時代にも来ているのですが、
その頃「なんて可愛い駅舎だろう」って思いました。
細かく見ると、本当凝ってますよね。
Commented by tohoiwanya at 2011-10-18 00:45
>私どこかに写ってないかしら?と思う程、近所です。

マダムKenwanさん:
Kenwan家はナッシュマルクト近く、マジョリカハウスなんかがある
あたりのようですから、特に下に載せた「量産型」の駅からは
ホントに近いはずですよね~。

あの辺は旅行中、毎日のようにうろついてましたから
どこかですれ違ってた可能性は十分ある(笑)。
 


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