2012年 04月 05日
本日もちょっと「緊急企画」なのだ。 いや、ビール・オンザロックの話ではなくて…もうちょっとマジメな話(笑)。 イ課長はこれまで海外出張に行った話をこのブログで散々書き散らしてきたけど、 現地で何という会社に行き、どんな話をしたのか、なんて話はまず書かない。 仕事の話なんてつまらないに決まってるわけだから、書いてもしょうがないわけだ。 だが過去に一度だけ、訪問先企業のことを書いたことがある。 2008年のドイツ出張のとき、ドイツのQ-Cells(キューセルズ)って太陽電池メーカーに 行ったって話だ。 Q-Cellsって会社、設立して10年くらいでアッという間に信じられないくらい急成長し、 イ課長訪問の前年には日本のシャープを抜いて太陽電池生産シェア世界No.1に躍進した。 だからイ課長が行った時はまさに世界中の注目を集めていた企業だったんだよね。 それくらい(業界では)有名な企業に行ったって話を、珍しくこのブログに書いたわけだ。 2008年9月にイ課長が訪問した時は、Q-Cellsはまさに世界一の太陽電池メーカーとして 自信満々だったし、「ドイツに行ってQ-Cellsの担当者に会った」っていうだけで、 モットモらしい出張をしてきたんだぞって顔をしていられたもんだったよ(笑)。 その後、ご存知のように太陽電池マーケットは世界的に拡大し、新興メーカーも続々登場、 Q-Cellsも世界シェアトップの座を中国メーカーに譲って3位くらいになったって話は 知っていた。 知っていたのだが… そのQ-Cellsが、先日経営破綻した。 このニュースにはさすがにショックをうけた。えええ?!まさかあのQ-Cellsが…と思ったさ。 Q-Cellsが立地する場所は旧東ドイツの化学工業地帯だったところ。深刻な公害問題で ほとんど「一度死んだ街」だったんだけど、そこに連邦政府や州政府のキモ入りで Q-Cellsが工場を建て、雇用創出と地域再生を果たすと共に、世界の太陽電池ビジネスを リードする…という予定だったはずなのだが…。 今にして思えば、イ課長がQ-Cellsを訪問した2008年9月は、まさにあの会社にとって 絶頂期だったといえる。あの出張中にリーマン・ショックが発生したわけで、 その後は世界景気の低迷、さらに中国等の新興国メーカーとの価格競争… 栄枯盛衰は世の常とはいえ、イ課長が訪問したQ-Cellsの絶頂期から経営破綻まで、 たった3年半しかかからなかったってことだよなぁ…いやぁ…まさかこんなことに…。 この短期間でこの落差は激しすぎるってもんだ。 何せ行ったことがある会社だけに、いろいろ考えちゃう。 忙しい中、イ課長の面談依頼に親切に対応してくれて、屋上で写真まで撮らせてくれた ディートリッヒさんはどうしてるんだろうか?そしてあのWolfenの街は…? とにかくスゴい街だったよ、あのWolfenって街は。 荒涼たる土地のあちこちにドス黒い廃墟みたいなビルだの倉庫だのが残ってた。 ある意味、非常に思い出深い訪問だったことは確かで、イ課長はあの街のことを、そして あの駅のことをこのブログの初期に一度書き、その後もう一度書いた。 「この街もずっとサビレてたけどねぇ、Q-Cellsのおかげで客が増えたよ」って タクシーの運転手さんは話してくれたもんだったが…。 サビレ果てた「公害の街」から再生の光が見えたはずだったのに、それもかなわぬまま Wolfenの街はさらに荒廃し、文字通り「廃市」になっちゃうんだろうか…。 Q-Cells経営破綻のニュースにさすがに驚いたので、 本日はこんな思い出話を書いてみました。
by tohoiwanya
| 2012-04-05 22:42
| 2008.09ドイツ出張
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Comments(4)
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hanatomo31 at 2012-04-06 01:18
むむむ、確かに世界No.1のポジションを獲得していた会社が
こんなにも早く倒産するとは…驚きですね。 社員の皆さんも困るでしょうが、この復活を遂げた市の今後の変化を 想像すると…あまり明るくない感じで…知らない土地ながら気の毒な想いです。
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tohoiwanya at 2012-04-06 13:07
>知らない土地ながら気の毒な想いです
hanatomoさん: いやホント。東西統一後、この街の環境汚染があまりにヒドいんで、 当時あった化学工場なんかは軒並み閉鎖され、失業した人たちは 公害で汚染された建物を洗浄する仕事で生活してという話。 Q-Cells以外にもこの地域には何社か太陽電池関連企業が進出して 「ソーラー・ヴァレー」なんて言い方もしてたんだけど、報道によると Q-Cells以外にもドイツでは太陽電池メーカーが何社も最近経営破綻 したみたいで、あの街の今後を考えるとホント、暗い気持ちになる…。
にゃるほど。そういう会社があることも知らなかったBきゅうですが、ようは、ドイツでは、これまで政府買い上げなどをしていたのをやめて自由競争になったので多くの太陽電池メーカーが瀕死なのですねえ。ドイツもよーわからん国だ。原発停止するのはいいけど、隣国の原発でできた電気買うし。その癖、自国の代替えエネルギーの厚遇(この場合、太陽電池)はやめちゃうのね。
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tohoiwanya at 2012-04-09 00:17
>自国の代替えエネルギーの厚遇(この場合、太陽電池)はやめちゃうのね
Bきゅうさん: 日本語のネットニュースで得られる範囲の情報なんだけど、要するにこれまでの (太陽光発電による)電力買取り価格をガクンと下げて、投資商品としての 太陽光発電の魅力がイッキになくなるらしい。 ドイツが始めたフィード・イン・タリフ制度は「太陽光発電導入すれば必ず儲かる」っていう 制度で、当時から「麻薬による市場拡大」なんて言われてたんだけど、そのおかげで 急成長してきたメーカーは途中で価格ガクンと下げられちゃ、たまりませんわな…。 |
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