2012年 04月 23日
ウィーンを象徴する建築様式といえばバロック様式だ。 最近はもう一つの有力な候補としてユーゲント・シュティール=世紀末建築に対する関心が 高まってはいるけど、そうは言ったってウィーンに来た観光客がまず見るのは ホーフブルクとかシェーンブルンとか、絢爛豪華バロック建築の数々。 これは教会とて例外ではない。 ウィーンに教会はいっぱいあるけど、おおむねどれもバロック教会。 ザンクト・シュテファンは一応ゴシック様式ではあるけど、意味不明の極彩色照明で 内部が照らされているのを見たイ課長としては、あのザンクト・シュテファンを ゴシック教会の仲間に加えるのにはいささか抵抗感がある(笑)。 …と、ここまでの書きっぷりでもわかるように、極めてマイルドな教会建築オタクである イ課長は、バロック教会というのが正直言ってあまり好きではない。 これはある意味当然の成り行きで、バロック教会の最大のウリ?は内部の豪華絢爛すぎる 装飾にある(と思う)わけで、建築という側面ではコレと言って見るべきものはないんだよ。 (まぁ内部装飾だって建築のうち、と言われればそうなんだけどさ…) 世界で最も美しい図書館Part1、およびPart2、さらにメルク修道院の礼拝堂なんかを見て すでに満腹すぎるくらいバロックを詰め込んだイ課長なんだけど、そうは言っても ウィーンの街をブラついてれば、そこかしこに立派そうな教会があるわけだし、そういう教会に 入れば当然のごとく、さらなるバロック装飾攻撃にさらされるわけだ。 本日はそんなコテコテのバロック教会を二つご紹介しよう。 「すげぇ過剰装飾の渦だった」ってこと以外ほとんど覚えてないのだが…(笑) まずはペーター教会からいってみよう。 ここは旧市街の中心部、ザンクト・シュテファンにも近くて、以前に 外見だけは写真でご紹介したことがある。で、中はどうかというと… うっひゃ〜・・・ゴテゴテキンキラキンで早くも目がくらみそうざます。 しかしこの教会、それでも巨大ドーム構造はなかなか見事で、上を見上げると はるか天上に天井画が描かれてる。真ん中にハト?みたいな鳥がいるのがわかる? しかし祭壇はと見れば・・・うう・・5秒以上みたらゲップがでそうな過剰装飾。 ほの暗いゴシック教会の中で祈りを捧げる人影がロウソクに照らされる…なんて姿は 信仰のないイ課長が見てもそれなりに襟を正したくなる光景といえるけど、 こういうのはちょっとねぇ…まぁそれでも欧州で教会に入った時のお約束。 帰路の無事を祈って1ユーロ払ってロウソクだけは立てておこう(左下がイ課長ロウソク)。 次はフランツィスカーナ教会だ。 ここはクライネス・カフェっていう有名なカフェ(何で有名なのかは不明)の近くの 教会で、外見はドウってことない普通の建物みたいなんだけど、中に入ると… うーん…ここもかなりイッちゃってる。 さっきのペーター教会よりマシと思うかもしれないけど、細部をみるとむしろ逆。 ほら見てよこの柱。「普通のまっすぐな柱じゃつまんない」ってんでこうしたのかも しれないけど、ヘビが巻き付いたようなこんな柱の何が有難いのだ? これを見た時にはもうはっきりと「うわ悪趣味…」と思っちまったよイ課長は。 この祭壇の(たぶん)マリア様だって、ナンと言ったらいいのか…。 これを見たときは反射的に、日本橋の三越本店にあるアレを思い出しちまったぜ。 ご参考までに、三越本店のアレってコレね。天女像とかいうらしい。 いやもうホント、この過剰装飾にはホトホト食傷した。もういいざます。 「1回の旅行での適性バロック摂取量」を大幅に超過したのは間違いない。 こういうのは好みの問題だから、バロック教会が好きな人も当然いるだろう。 しかしイ課長の中では、バロック教会は「結婚式場としては最適だが祈りの場ではない」 という思いが強くなったのは確かだ。申し訳ないけど。 過剰バロック摂取に胃もたれしながらウィーンの路地を歩くとこんなものがある。 左は以前に書いた馬車よけだと思うけど、右の金属製のヤツもそうかな? こんな凝ったデザインの金属製の馬車よけもあるの?興味深いねぇ… …てな調子でさ、少なくともバロック教会の中よりはウィーンの路地の方が はるかにイ課長の興味をひくものが存在しているわけですよ、ええ。
by tohoiwanya
| 2012-04-23 00:39
| 2011.06 ウィーン旅行
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Comments(8)
あはははは!ほんとだ、マリア像がほとんど観音様ですねこれは!
腰のひねり方なんか、弥勒菩薩像みたいだ~~~。 三越のは確か吉祥天でしたっけ? 昔、西原理恵子というマンガ家が柱の上とかに顔と羽根だけの天使像がついてたり 色々ゴテゴテしてるこういった建築・装飾様式を後輩に「なんて言うんですか」ときかれて 「ガイジン。」と答えたのを思い出しました(笑)
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あくの
at 2012-04-23 09:24
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バロック教会ってブラザーサン・シスタームーンの
聖フランチェスコの時代の教会だっけか?
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tohoiwanya at 2012-04-23 13:01
>腰のひねり方なんか、弥勒菩薩像みたいだ~~~
Mimiさん: アレ、さすがにちょっとアレでしょう?(笑) 後ろに射してる後光と雲も、キリスト教会というより、どちらかというと 大仏様の後ろにある方がマッチしそうな感じで、ひょっとするとこのマリア像の作者は 東洋仏教美術の影響を受けてたんだろうか?(…まさかねぇ) 三越本店のアレも個人的には悪趣味の極みとしか思えないけど、まさか ウィーンでアレを思い出すことになるとは思わなかった(笑)。
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tohoiwanya at 2012-04-23 13:05
>聖フランチェスコの時代の教会だっけか?
あくのさん: またずいぶんとお古い映画を…(笑)。イ課長は観てないんだけど、音楽は 当時はやったよなーー。 いま確認したら、聖フランチェスコは12世紀から13世紀にかけてのヒトだから バロックには早すぎるな。アッシジには行ったことないけど、おそらくは ロマネスク様式か、ゴシック様式の初めの頃の教会でご活躍になった方ではないかと推測される。
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あくの
at 2012-04-25 02:06
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ほほう。あの映画はDVDを購入する程度に好きなんですが
ローマ法王か教皇かなんかと対峙したときに 華美な装飾に埋もれるえらいさんと質素清貧のフランチェスコ 信ずる神は一緒なのに…というようなシーンがあったと記憶しております。
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tohoiwanya at 2012-04-25 10:48
>信ずる神は一緒なのに…というようなシーン
あくのさん: まったくその通りで、バロック教会に行くと「ホントに同じ神なの?」と思ってしまう(笑)。 あの映画見てないけど、ここぞという時にハデ好きなゼフィレッリだから、 清貧イメージのフランチェスコとの対比を際立たせる演出効果を狙って 多少時代考証を無視しても、おエラいさん登場場面ではキンキラキンの バロック教会を使ってロケしたという可能性がないとは言えん。
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ちわわん
at 2012-04-30 06:09
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結局、コレは馬車よけだったのでしょーか!?そしてあのギザギザの謎は?気になってしょうがないんですけどーーー!、
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tohoiwanya at 2012-04-30 21:16
>そしてあのギザギザの謎は?
ちわわんさん: 壁から路地に出っ張ってるコレはおそらく馬車よけだと思うんだけど、 完全な確証を得るには至っていないのである。 しかしだね、あのギザギザ。あれはね、イ課長の見るところ十中八九は 「立ち小便よけ」だと思うんだよ。なぜかというと、去年の欧州出張で フランスのリールでも同じようなものを見たからだ。いずれそのことは書くけど 一体いつになることやら…。 |
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