2012年 10月 23日

インド結婚事情

インド出張では「ドコソコに行った」とか「アレを見た」っていうネタが少ない反面、
現地で見聞き、体験した異文化ショックネタは多い。

その中から本日はインドの結婚について。
インドの結婚事情ってのがまた「ほんま?」と言いたくなるような驚きに満ちているんだよ。
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結婚は親が決めるもので、結婚相手の顔は式の直前に知るなんてことも珍しくない
離婚は法律的には可能でもヒンズー教社会では極めて困難(不名誉)。離婚率は低い

まぁこの辺は「昔の日本みたい」と言えなくもない。インドでも都市部では恋愛結婚が
増えつつあるっていうけど、まだまだ結婚に関しては本人たちの自由度は低く、
親の権限が大きいようだ。

結婚相手は同じカーストからが大前提

この辺から日本じゃ想像し難い部分になってくる。仮にどんなに愛し合った男女でも
かけ離れたカースト同士の結婚はトンデモない話。「多少差がある」程度でも大きな問題らしい。

イ課長がデリーで聞いた話。
あるインド人男女が結婚を約束した。だが男の方が若干「上位」カーストだったらしいんだな。
女性の親は「ヨメにやったら、娘が嫁ぎ先でいじめられる」っていうんで結婚に猛反対だ。
娘や彼氏の説得にも耳を貸さず、最後は「彼氏の父親」が「彼女の父親」と直接会って、
どうにか納得してもらい、何とかハッピーエンドに至ったんだって。

これもデリーという都市部だからハッピーエンドになったけど、地方だったら同じ結果を
迎えたかどうかはわからない。依然として結婚は同じカースト内っていう思想は根強いみたいで、
そういう意味じゃ、インドじゃ結婚相手探しの範囲は最初から狭いことになる。
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ヨメ側がムコ側にすさまじい結納(ダヘーズ)を贈る

ぶったまげたのはこの話だ。ヒンズー社会では結婚に際して、嫁ガワが婿ガワに対して
大変な量の贈り物をする。「娘が何人もいたら破産」っていう話が冗談になってない。

このダヘーズという習慣。とにかくその内容がスゴい。
まずヨメの父は、ムコの父・母はもちろん兄弟、親戚に至るまで服をプレゼントする。
もちろん普段着じゃなくて、立派なスーツとか、サリー用の高級布地とかを、だ。

この話を通訳さんから聞き、イ課長は通訳さんに素朴な質問をした。
「おムコさんの両親・兄弟・親戚までとなると、服も相当な枚数になりますよね?」
「おおいよー。さいてい11ちゃくあげる」
「ええッ?!」
「あと21ちゃく、31ちゃくとか。ひとつあまるのがエンギいいの、インドでは」
「ひーーーッ」

服だけじゃない。家具や家電、バイク、車、貴金属、現金等々も贈ったりするって・・
いやたまげた。これじゃホント、娘が何人もいたら父親は破産だよね。

名古屋あたりでは娘のヨメ入りに際してすごいトラックを仕立てて派手に嫁入り道具を運ぶって
聞いたことがあるけど、あれ、もし離婚したらヨメのものとして持ち帰れるんでしょ?
しかし離婚が難しいヒンズー社会じゃ、ダヘーズは事実上完全に「夫のモノ」だ。

ムコ側の一族郎党もダヘーズをあてにするっていう風潮があるそうだし、嫁が持参した
ダヘーズの内容に不満だからって妻が夫に殺される「ダヘーズ殺人」なんてモノまで
あるっていうんだから驚く。それじゃ誰も娘を持ちたがらんよなぁ。

デリーでイ課長と一緒に行動した現地のインド人社員。
彼はまだ20代半ば。興味があったからイ課長はヘタな英語で彼に聞いてみた。

イ「あー、アナタは結婚してますか?独身ですか?」
彼「独身です。でも2年後に結婚する予定です」
イ「おお、2年後に。すると2年後に、彼女の父親は、えー…アナタの父親や母親や兄弟などなどに
  多くの服を贈るのですか?」

サラリと答えた彼の返答はある意味で衝撃的、ある意味で当然のものだった。

彼「Of Course(もちろん)」
 
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「百人の娘も息子一人にはかなわない」なんて言葉もあるらしいインド。
こんな状況だから、女児中絶っていうケースが増えちゃって、男女の人口比もいまや
10:9に近いくらい男が多くなってるんだとさ。インド政府もこれはヤバいってんで
だいぶ前に「ダヘーズ禁止令」を出しりしたんだけど、長年の風習はなくならないようだ。

しかし女が少なくなりゃ「男余り社会」なわけで、女の売り手市場ってことじゃん?
そうなっても、なお女のガワが膨大なダヘーズをムコ側に贈るという習慣が残り続けるなら
それこそクレージーな話だ。むしろ男の方が贈り物でもナンでもして、数少ない女性を
何とか獲得しようと競争するのが市場原理ってもんだろ。

女の売り手市場になってもなお、ダヘーズは残るのか、それともなくなるのか?
やや大げさにいえば、インドの未来はそこにかかってるって気がするよ、イ課長は。

 

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by tohoiwanya | 2012-10-23 23:29 | 2012.10 インド出張 | Comments(4)
Commented by marco at 2012-10-25 02:19 x
友人に「arrenged marriage」をされた人がいます。イギリスに住むインド人ですが、ダヘーズによる多くの殺人(相手が嫌で実家に戻った娘を親が殺す、とか・・)も『名誉の殺人』とされ罪に問われない例なんかの話をその人から聞きました。

この話・・・奥様がキッチンに立った時にそぉっとしてくれました。・・・なんで???

ずいぶん昔に、「世界で一番人口が多いのは中国とされているけれど、本当はインド」と聞いた事もあります。
以前インドに行った時にちょっとお話しをした子が、「日本はいいね、行ってみたい」と言うので「来たらいいじゃない!」と軽く言ってしまった。。。次に言ったのは「ダメだよ、僕にはパスポートがない」でした。

単にパスポートがない、のではなく、生まれたという証がない、IDがまるでない、自分の誕生日も知らない、「だいたい〇歳」(おいおい!)、つまりはこうした人が多いので人口の把握は出来ていないのですね。

結婚事情もさることながら・・・不思議な国・インドです。
でも魅力がある。
イ課長さん、その魅力に・・・メロメロですかぁぁぁ!?
Commented by tohoiwanya at 2012-10-25 14:16
>その魅力に・・・メロメロですかぁぁぁ!?

marcoさん:
いや、そこまではいってない(笑)。

ダヘーズ殺人にも驚くけど、1990年代になってもまだサティー(夫の火葬に際して
残された妻がそこに自ら飛び込んで焼身自殺する)の例があったってんだから
スゴすぎる。しかも、そのサティーが実は周囲に棒で突かれた挙げ句の、
半リンチ殺人だったらしいと聞くともう開いた口がふさがらん。

インド、深いっす。イ課長なんてその上っ面の、そのまた端っこをチラリと
見てきた程度っす。
 
Commented by マダムKenwan at 2012-10-25 22:45 x
そうです、そうです、私も21年前にドイツ語のクラスで
インド人のシスターから
サティーっていうのですか、その話を聞いて
ぶったまげました。

かなり原始的な社会なのでしょうか?



Commented by tohoiwanya at 2012-10-26 01:09
>かなり原始的な社会なのでしょうか?

マダムKenwanさん:
インドって、世界でほぼ唯一のヒンズー社会だから、ヒンズー教のオシエは
外国人には理解し難いものも多い。
そのくせ、新興国で経済発展してて先進IT技術大国でもあるっていうから
よくわからない。まぁそのわからなさが面白いんでしょうけど。

しかしサティーはいくら何でもねぇ。もっとも、インドでは寡婦の地位ってのが
また猛烈にミジメらしくて、生きてるくらいだったら焼身自殺した方がマシっていう
ところもあるんだとか…いやー、ナゾの多い国です。
 


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