2012年 11月 05日
映画ヲタクネタと並んで、イ課長の個人的趣味が炸裂するオペラネタ。 オペラに興味のない方には全くつまらなくて申し訳ないけど、作者が好きなんだから しょうがないのだ。我慢してお付き合い願いたい。ゲーズツの秋なんだし(笑)。 2007年、イ課長が初めて欧州に出張したときプラハで見たオペラは「ルサルカ」だった。 ドボルザークが作曲したオペラ「ルサルカ」。 湖に住む美しき水の精・ルサルカは人間になって、人間の男と恋をしたいと切に願う。 しかし水の精が人間になると、代償として声を奪われる。喋れなくなるわけだ。 それでもいいから、どうしてもと魔法使いにおねだりして、ルサルカは人間になり、 その美しさに一目惚れした王子様と結婚することに。 しかし何しろ喋れないじゃん?王子様はアッという間にルサルカに飽きる(笑)。 で、他の国の王女様と浮気しちゃう。ルサルカはショックを受けて城を出て湖に戻る。 王子様はルサルカを探しに来て自分の犯した罪の大きさを知り、悔恨と反省の中で死に、 水の精・ルサルカの悲恋は幕を閉じる…と、まぁこんな感じの話だ。 まぁ典型的なメルヘンというか、ファンタジー。 お気づきの方もいると思うけど、これは水の精オンディーヌの話と基本的には同じで、 ヨーロッパ各地にある水の精×人間の男の悲恋伝説をオペラにしたわけだ。 チェコ出身の作曲家ドボルザークがチェコ人のためにチェコ語で作ったオペラ「ルサルカ」。 甘美な旋律のアリア「月に寄せる歌」が有名なこのオペラをチェコの、プラハ国立歌劇場で 仕事が終わった金曜の夜に観に行った時の感激は今でも忘れられない。 この時は歌唱や演出に感動するっていうより、とにかく「オレはいまプラハでルサルカを 見てるんだよ!」っていうその状況に感激してたね(笑)。もちろん歌手陣やオケは 手堅い出来だったし、演出は非常にストレートなものだった。 舞台背景には深い森が広がり、ルサルカも水の精らしく白い衣装で、王子様も王子様らしく 王子様ルックで登場。「水の精と王子様の悲恋」っていう言葉から観客が想像するイメージを 忠実に再現したような演出で、見る側も安心して鑑賞させていただいた。 これが2007年欧州出張のときの話。これが一つめの「ルサルカ」(笑)。 さて。 2012年3月の欧州出張。イ課長はルフトハンザに乗ってフランクフルトに向かっていた。 ほぼ12時間乗るから、その間イ課長はビデオサービスで映画を見るのを常としている。 だが、この時のルフトハンザのビデオサービスには映画に加えてオペラがあった。 しかも演目が「ルサルカ」ときた。おやまぁ。5年前に見たルサルカかね。これはいい。 長くて退屈なフライト。のんびり「ルサルカ」でも鑑賞させていただこうじゃねぇか。 ところが、ルフト機内で見たこの「ルサルカ」に引き込まれたんだよ、イ課長は。 第一幕。舞台は深い森の奥の湖…のはずだが、なんだ?コレは。 時代設定を現代風にしてるのはわかるとしても、ルサルカもニンフたちも地下に幽閉?されて 下着姿だし、湖のヌシであるバスの役もダラシなくガウンを羽織ってタバコ吸ってじゃん。 おいおい…ドウいう設定なんだよ? 欧州のオペラでは時としてすごく斬新な演出がある。 イ課長が2008年欧州出張で観たバイエルン歌劇場の「マクベス」はその最たるものだが(笑) この「ルサルカ」もかなり斬新な演出のようだぞ。これじゃまるで… ・・・まるで? え? あ、ひょっとして、これって、マジで売春窟って設定か?? きっとソウだよ。あーーーそう思って見るとこりゃ間違いないワ。 こいつぁ驚いた。「ルサルカ」をまさかこういう演出で処理するとは。 ルサルカとニンフたちは地下に監禁された売春婦なんだよ。タマゲたね。 「水の精が人間に恋する」んじゃなく、「監禁された売春婦がカタギの男に恋する」わけだ まぁそれでも一応コレはコレで話が成り立つからスゴい。 (下はバイエルン歌劇場HPで見つけた舞台写真) 第一幕の最後、本来なら「人間になったルサルカの美しさに王子様が一目惚れ」するシーンが 「お嬢様ルックになった売春婦・ルサルカの美しさにカタギの男が一目惚れ」してる。 第二幕もけっこうヤバい演出が目立って、第三幕に至っては、ルサルカは森の湖に戻るはずが、 この演出だと何と精神病院らしき施設に収容されてる!ひーーーー。 (下の写真も同上。金魚のいる水槽にジャブンと入らされるんだから歌手も大変だ) 後で調べたら、これはミュンヘンのバイエルン国立歌劇場の公演を録画したものらしい。ほぉ。 思い返せば、あの「とんでもマクベス」で目が点になったのもバイエルン国立歌劇場だったよなぁ・・・。 ・・・・待てよ? ここまで書いたところで、イ課長は「ひょっとして…」と思ってネットで調べまくってみたら、 何と!やっぱりあの「とんでもマクベス」と、この「売春ルサルカ」は同じ演出家だ! マルティン・クシェイっていう人で、いつも作品は賛否両論巻き起こす鬼才らしい。 確かに2008年にミュンヘンで観た「とんでもマクベス」にはイ課長も呆れ果てたよ。 立ち見席で疲れてたってこともあって、途中で出てきちゃったくらいだからね。 しかし、アレに比べればこの「売春ルサルカ」はまだしも着想の妙が感じられたかな。 というわけで、2007年にプラハ国立歌劇場で見た「まともなルサルカ」。これが一つめ。 2012年、ルフトハンザ機内で見た「売春ルサルカ」。これが二つめ。 そしてブリュッセルで観た三つめの「ルサルカ」の話に続くわけだが、長くなったから続きは次回。 まさかこのネタが続き物になるとは思わなかったが、これもイ課長ブログ特有の 「意表をつく演出」だと思って勘弁してほしいのである(笑)。
by tohoiwanya
| 2012-11-05 00:36
| 2012.03 欧州出張
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