2012年 11月 14日
ルーブルネタに着手したとたん、何と二日連続更新。すばらしい。 さて、アナタが今回のイ課長と同じように、初めてルーブル美術館に行ったとしよう。 中に入ったら、ナニはさておきアナタは一番最初にどの作品を観たい? まぁやっぱりモナリザとか、ミロのビーナスあたりだよね、おそらく。 イ課長にも「ルーブルに行ったらまずアレだろアレ!」っていう作品があった。 もちろん、全然マニアックなものじゃなく、誰でも知ってる超有名ミーハー作品だ。 ルーブルに行ったら、まず最初にご対面するのは「アレ」しかないだろー。 館内案内図を片手に「あの作品」目指してまっしぐらのイ課長。ワクワク… ここだ。この先の方に「あの作品」があるはず。 おお、すでにあの作品の“根元”が見えてないか?アレだよな?アレだろ? まさに雲を踏むような気分で歩を早める。うわーーーーやったーーー。 ギリシャ彫刻の至宝、サモトラケのニケの実物をついに観られたーーー。 いやぁ~…もうコレですよ、ルーブル美術館といやぁまずコレっす。 個人的にはミロのビーナスなんかより数段こっちの方がイイと思うのだ、イ課長は。 誰もが思うことだろうけど、サモトラケのニケがかくも感動的なまでに美しいのは 頭部と両腕を喪失しているという、まさにその点にある。 頭と腕を失って“人格性”が希薄になったことで、逆に「翼を持った崇高なる存在」という 神々しさが強まってると思わんか。 いやぁ~…この前のめりになったポーズ…実に美しい、見事だ。 ニケ像のまわりをグルグル周りながら飽かず眺める。 どっち側から観ても美しいけど、やっぱり(彼女からみて)左ナナメ下から撮る このアングルが一番美しいかな。後ろに伸ばした左足の力感が素晴らしい。 うう…だが何しろ3時間一本勝負だ。イ課長に与えられた時間は少ないのだ。 他の観たい作品も片っ端から制覇せねば。名残惜しいけどニケ様とはそろそろお別れだ。 何度も何度も振り返りながら階段を降りる。 いやぁ~(今日はこの感嘆詞ばっかだな)…しかしだね、このサモトラケのニケ像を、 この長い階段の踊り場に置いたフランス人のセンスには脱帽する。 サモトラケのニケ像は狭い展示室じゃなく、広々としたここにあるからこそ、いっそう輝く。 ルーブル美術館だけが持つ、素晴らしい空間だと思うなぁ。 ついでだから、ミロのビーナス様も一応観た(その言い方は失礼じゃないか?) 開放的な踊り場にあるニケ様と違って、ビーナス様は普通の展示室にあるらしい。 ギリシャ美術展示コーナーをうろうろと探し回る。 おお、あったあった。 うむ、ルーブルに来たんだから、一応キミにもご挨拶しておかねばな。 前にも書いたNHKの「ルーブル美術館」という番組。 この番組のギリシャ美術の回はダーク・ボガードとシャーロット・ランプリングが 案内役だったんだけど、このビーナスを前にした時の二人の会話は印象深いものだった。 ダ「これだけ完璧な美を見せられると、人々はもうこれを超えられないと思うんじゃないか?」 シ「うーん…私の印象はむしろ逆ね。人々を安心させてるんじゃないかしら?」 ダ「ほう、どういう点で?」 シ「…不滅という点で…」 だがイ課長の個人的好みではキミより断然、ニケ様の方が好きなんだよ、悪いな。 キミとは友達関係でいようと思うんだ(笑)。 このビーナスの大理石像、クリーニングされて白いのはいいんだけどさぁ、 サモトラケのニケの、あの「ずっと土に埋まっていた神聖なるもの」的な神々しさと 比べると色が白いぶん、なんとなくウィーンで見た女人柱っぽい雰囲気も…(笑) まぁいい。何度も言うが3時間一本勝負なのだ。ビーナスをケナしてるヒマなどない。 観たい作品はまだ、まだ、まだ、たくさんあるのだ。 迷路のようなルーブル美術館の深奥をさらに征服してやろうじゃねぇか。 あーあ…「その2」が終わっても、紹介した作品はまだニケとビーナスだけかい? この調子じゃ、このルーブル美術館シリーズ、いつまで続くんだか…。
by tohoiwanya
| 2012-11-14 00:10
| 2011.11欧州出張
|
Comments(8)
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ちわわん
at 2012-11-14 09:16
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なんかこお、このビーナスて、どってり感があって、あんまり好きじゃないわ~。確かに比べたらニケの方が躍動感がある分M軽やかな感じ。
だいたい、ダルそうじゃん…。 まだ若いのにオバはん化しててイケてないっつ! ビーナスも「おめえにそこまで言われる筋合いはねぇ」と思っているかもしれんけど… しかし世界の宝物にこんな感想しかもてないアテクシ、どうかと思う…
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tohoiwanya at 2012-11-14 14:00
>まだ若いのにオバはん化しててイケてないっつ!
ちわわんさん: お、オレはそこまでは言うとらんぞ(笑)。 ビーナス像って、上に載せた写真で改めてつくづく眺めるとさぁ ①やけに首が長く、しかもけっこう太い。 ②そのせいか、顔を含めた首から上がちょっと男性的で女らしくない。 って感じがするよなぁ…。 ビーナスも頭部を喪失してたらまた違う印象になるような気がするなぁ。 (イ課長もけっこうヒドいこと言ってる)
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みゅげ
at 2012-11-14 15:19
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私も一番先に観たのは、ニケでした♪
ヴィーナスは、以前何かで観た(か読んだか・・・)けど、顔は30代、体は40代で、どこだかが20代で・・・だか、そのへんのところ定かではありませんが、ひどくアンバランスな像らしく・・・・。 ただ、残念なことに、観てないもので・・・・。
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ちわわん
at 2012-11-14 15:32
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tohoiwanya at 2012-11-15 01:15
>顔は30代、体は40代で、どこだかが20代で・・・
みゅげさん: ほほ〜…造形的にっていうだけじゃなく、肉体年齢的にもアンバランスなんだ。 20代なのはドコだろう?(笑) ただね、またまた上の写真を改めて眺めると、ひょっとするとこのビーナスは 「ある特定の角度から見られる」ことを前提にして作ってるのかな?って気もする。 まぁ「上から見下ろす」ってことはないだろうから、たぶん「下から見上げられる」ことを 念頭に置いて作ったと。だから上の写真みたいに正面から見ると、何となく ヘンに見えるのかも。
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tohoiwanya at 2012-11-15 01:19
>けっこーー居ますよ? 特にアメリカ人に…
ちわわんさん: 日本でも男にけっこういるかもよ。ただし、男の場合は逆かもしれない。 顔はけっこうオッサン顔なのに、体は意外とプニプニの子供体型とか。 まぁそういうのを彫刻にしようってヤツはおらんだろうが…(笑)。
私も、ルーブルで一番見たかったのはサモトラケのニケでした!
どこにあるのか知らず、前夫(苦笑)に連れられて階段を上ったら そこにあのニケが!(はい、前の結婚の新婚旅行だったのですね~~) 感動しましたよ~~~。 おっしゃる通り、あの場所に展示したというのがすごいと思います。 さすがフランス人のセンス。 ビーナスは「両の腕を無くしたことで、無数の腕を手に入れたのだ」という エッセイというかそういうのを前に読んだ事があって、 「なるほどなあ、想像の余地があるところがいいわけね」 とか思った覚えがあります。 ちなみに20代なのは、胸ですよね。 でも腰回りがおばはんなので違和感が(^^;
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tohoiwanya at 2012-11-15 15:58
>ちなみに20代なのは、胸ですよね
Mimiさん: 胸ですか、ビーナスのムネねぇ…うーん…特にソソられませんねぇ(笑)。 やっぱ格段の差をもってニケちゃんですよ、ニケちゃん。 「両の腕を無くしたことで、無数の腕を手に入れた」というロジックでいうと ニケちゃんの場合は無数の腕に加えて無数の顔まで手に入れちゃってる。 しかも翼は残ってるっていうんだから無敵。 一説には、ニケの腕は(部分的に発掘はされたらしい)、両腕を左右に ワッと広げたようなポーズになってるらしいですな。 |
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