2012年 11月 23日
ついに「その5」に突入したルーブル美術館とのタタカイ。 大まかに言って、イ課長の美術的教養の半分はNHKの「ルーブル美術館」シリーズで、 残り半分は朝日新聞社の「名画の旅」シリーズで形成されている。 大手マスコミに毒された男なのだ(笑)。 ルーブル3時間一本勝負に際しても、この二つの影響がイ課長の鑑賞行動に 色濃く反映されてるわけで、特にNHKの方の影響が強いのは致し方ないところ。 あの番組を見てなきゃ、今回の勝負はもう少し違った展開になったんじゃないかなぁ? あの番組のバロック美術の回は、案内役がやっぱりシャーロット・ランプリングと ダーク・ボガードのコンビで、冒頭まず「マリー・ド・メディシスの間」から始まる。 そもそも「マリー・ド・メディシスの生涯」っていうスゴい連作が存在することを イ課長が初めて知ったのもあの番組だったのだ。 しかしこれがねぇ~…。 確かにバロック絵画を代表する連作ではあるんだろう。あるんだろうが、 描いたのがルーベンスだからねぇ~(笑)。 ド派手テンコ盛り絵画の巨匠・ルーベンスが描いた、ド派手テンコ盛り絵画の連作。 それだけで一部屋全部が埋まってるとなると、もう“そこだけド派手な異空間”というか、 ほとんど「ルーベンスランド」というテーマパークに近いんじゃなかろうか?(笑) まぁそれはそれで、ルーブル美術館の重要な見どころの一つだ。ぜひ見ておきたかった。 おお、こんな感じなのか。絵はともかく展示室は意外にシンプルじゃん。 ゴテゴテした派手な絵を生かすために、逆に展示室の方はシンプルにしたんだろうな、きっと。 マリー・ド・メディシスって、その名の通り、実はイタリアのメディチ家の娘で、フランスの ナントカ王が持参金目当てで結婚した相手。フランス語もしゃべれずにフランス王家に 嫁入りし、やがて権力を握るようになるけど、最後は息子に失脚させられる。 要するに激動の一生を送った人なわけだけど、その激動の一生をド派手なルーベンスが描くと… これはマリーの幼少時だな。お勉強してるよ。しかしそこはルーベンス。 ギリシャの神様たちがマリーに本を読ませたり音楽聞かせたりして家庭教師やってるぜ。 その後ろにはなんだか知らんが三美神がウッフン…いやぁ~シュールだ(笑)。 これはマリーの見合い写真(絵画)をフランス王が見て「おお、いい女」ってことで 一目惚れしてるトコってことだろう。上にも描いたように、実際には持参金目当ての 政略結婚だったらしいけど、真実なんてどうでもいいのだ(笑)。お見合い写真を 見るときも周囲には神様やら天使やらがウヨウヨで、ルーベンス・タッチ全開。 連作の中で一番有名なのはマリーが船でフランスに到着したところ。 船の下でバシャバシャと歓喜の水しぶきあげてる女神たち…うーん…スゴすぎる。 NHKの「ルーブル美術館」でこの絵を前にした案内役のダーク・ボガードがこう言う。 「どうだい?この女神たちのたくましい肉体・・まさにはちきれんばかりじゃないか。 ・・・でも、マリーは僕の好みじゃないな」 イ課長としてはマリーはもちろんだが、この女神たちもちょっとご遠慮したい…。 下の絵ともなると、もうマリーの生涯のどの場面なのか、知りたくもなくなってくる(笑)。 とにかくルーベンス一流の、過剰なほど派手な人物が、過剰なほどたくさん複雑に絡まった ド派手な構図とド派手な色彩に圧倒されるばかりだよ…げっぷ。 しかし、さすがはルーブルの「名物展示室」というべきか。見学客はけっこう多い。 こうやって床に座って模写?に励む人が多かったね。彼らにすれば、昼間は混んでるから 落ち着いた夜に来て、このド派手絵画の模写やら勉強やらするんだろう、きっと。 しかしキミたち、勉強するなら他の絵にした方がよくはないか?(笑) 夜のルーブル3時間一本勝負。 この「マリー・ド・メディシスの間」を見終わった頃はすでに残り1時間を切ってたはずで、 あとはもうテキトウにふらふらと館内を見てまわることにした。 長かったこのシリーズも次回で完結させます。必ずさせます。はぁはぁ…。
by tohoiwanya
| 2012-11-23 00:00
| 2011.11欧州出張
|
Comments(10)
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Bきゅう
at 2012-11-23 10:13
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模写している人、わしのときも多かったす。それを邪魔しちゃいかんと思って、気をつかって、よけたり、そそくさと通り抜けたり、、、今から思うと損した気がしないこともない。
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tohoiwanya at 2012-11-24 01:01
>それを邪魔しちゃいかんと思って、気をつかって
Bきゅうさん: そう言われて思い返すと、私、まったく気を使ってなかった(笑)。 なぜかこの部屋だけ、やけに「模写マン」たちが多かったんですよねぇ〜。何でだろう? しかし、みんなああやって反対側の壁の下に座って描いてるってことは けっこう絵から離れてることになる。視力がいいんだなぁ〜と改めて感心。
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スカ
at 2012-11-24 01:10
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シャーロット・ランブリングと ダーク・ボガードと言えば
昔のナチスとその被害者?の映画を想像するのですが こんな教養番組で案内をしてるのですね。 見たかったです。 私も 急ぎ足のルーブル見学、「マリー・ド・メディシスの間」、 全然記憶にないです(笑)
ルーベンス(と、その弟子たち)の絵は、ウィーンの美術史美術館で
げっぷが出るほど見たような記憶が・・・・。 ルーブルでは・・・・見たかしら?覚えがありませんが。 しかしほんと、ゴージャス!これでもか!って感じの絵ですよねえ。 当時の流行なわけですから文句つけるわけにもいきませんが、 やっぱり好みじゃないなあ(^^; でも模写のお手本としては色々な技巧が入ってて勉強になるんでしょうかね。 確かに、現代美術と称するもんだったら、模写してもなんの勉強にもならないような気もしますが。
ルーベンス、昔この方の名前の通りに住んでいました。
その頃、幼い娘を連れて時々美術史美術館へ行ったのだけど 確かにげっぷが出るほどありますよね〜 大きな絵は、大体工房が制作しているもので その下絵になったルーベンス本人が描いた小さい絵は やっぱり違いました。 アルベルティーナで素描を見たことがありますが うまい! と唸っちゃうような絵でした。 何というか、サッと引いた線で その辺りの空気を感じさせる 匂いまでするような リアルさがありました。 しかし、お写真つくづく眺めると 侘び寂びの日本人には 辟易の画面ですよね。
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tohoiwanya at 2012-11-25 12:38
>3時間一本勝負なんて拷問過ぎる
スカさん: 普通に観光でパリに行って、ルーブル観ようと思えば、まぁ最低でも半日くらいは欲しい。 欲しいけど、前日に十分な睡眠をとり、たっぷり朝食をとって体調万全であっても ルーブルで半日歩き回ると疲れるよ〜? ましてやこの時は昼間仕事した後だったから、もう3時間でも最後の方はヨロヨロ…。
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tohoiwanya at 2012-11-25 12:57
>昔のナチスとその被害者?の映画を想像するのですが
加代子さん: 「愛の嵐」ですよね?私、高校生のときにそれ、観てるんです。 ルーブル美術館の番組で案内役をやったのはたぶん、あの映画から5〜6年は たってたはずですが、依然として「あの映画のコンビ」っていうイメージは強かったですね(笑)。 もっとも、番組の中ではあの映画の退廃的な世界とはウラハラに 上品に絵の感想を述べあってましたが。ま、当たり前ですが(笑)。
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tohoiwanya at 2012-11-25 13:08
>模写のお手本としては色々な技巧が入ってて勉強になるんでしょうかね
Mimiさん: たぶん、なるんでしょう。あの展示室だけ、やけに多かったですから。 ただ、色を使った本格的模写という感じでもなく、スケッチブックで描いてるから、 おそらく構図の勉強なんじゃないかなぁ?確かに、これだけハデに、大人数を 入り組ませた構図なんて、他の画家で例を探すのはむずかしい(笑)。 しかし逆に考えると、こんなルーベンス的なド派手構図の勉強したとして、 その成果を生かすチャンスなんてあるんだろうか?とも思っちゃいますが。
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tohoiwanya at 2012-11-25 13:14
>確かにげっぷが出るほどありますよね〜
マダムKewanさん: おそらく、ヨーロッパの主要な美術館で「ルーベンスを1枚も持ってない」なんてところ、 ないんじゃないですかね?おっしゃるようにルーベンス工房で大量生産してたわけだから(笑)。 例の神奈川県立美術館で「ジェリコー展」を見に行ったとき、油絵もたくさんあったんだけど、 いくつか素描・下絵みたいなやつも展示されてたんですよ。 その中で「エルサレムの怒れるキリスト」の素描があったんだけど、あれには驚いた。 画面奥の方に腕をあげて怒ってるキリスト、手前に民衆たちがほんとにササッと 描かれてるんだけど、すごい空間感(へんな言葉ですが)がある。 大画家の力量って、こういうところに出るんだなぁ〜と感心したものです。 |
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