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2013年 04月 26日

アントワープ決めゼリフ

なんと二日連続更新ときた。素晴らしいではないか。
続きものだとね、続編プレッシャーかけてくるヤカラもいてね、なかなか大変なのヨ(笑)。

さて、とにかく前回の続きだ。アントワープに来て「絶対にすべきこと」をする。するったらする。
アントワープを訪れた日本人なら必ず成し遂げなければならない、神聖なるミッション。
「あの教会」の「あの絵」の前で、「あのセリフ」を言わねば(・・・あ、もうバレバレ(笑))。

まず「あの教会」。それはアントワープにあるノートルダム大聖堂(聖母大聖堂)に他ならない。
市の中心部にあって、高い塔があるから、これは初めての旅行者でも見つけやすい。
ブラボー像のある市庁舎前広場からだとすぐ近くだよ。
アントワープ決めゼリフ_f0189467_003427.jpg

次に「あの絵」。「あの絵」とは、ノートルダム大聖堂が所蔵する、ルーベンス作「十字架降架」だ。
さっそく大聖堂の中に入って探す。どこだ?おそらく祭壇に近い奥の方だと思うんだが・・・

ぎく!おお、あれは「十字架昇架」だ。
この大聖堂にはルーベンスの「十字架昇架」と「十字架降架」がセットで置かれているのである。
ドキッとするじゃねぇか。
アントワープ決めゼリフ_f0189467_011225.jpg

うーむ、しかしこの「十字架昇架」もなかなか見事な絵だよなぁ。
ルーブルじゃ相当ひどいこと言ったけど、この「昇架」「降架」の2枚セットはルーベンスらしい
ドラマティックな構図がうまくハマッてて、彼の作品の中では傑作の部類だと思うんだよ。
アントワープ決めゼリフ_f0189467_03391.jpg

だがとりあえず、いまは「昇架」じゃなく、「降架」の方を探さねば。どこだ?
見学者の少ない大聖堂の中をうろうろ歩きまわるイ課長。

うおおおおお。あったありました十字架降架。ついにこの目で見られたか。
アントワープ決めゼリフ_f0189467_041519.jpg

よし。では「あのセリフ」を言う態勢を整えよう。
絵を前にして・・・この辺りに座って・・・位置的にこんなもんかな。少し見上げる感じで・・
それではみなさん、「イ課長」のところをご自分の名前にして、一緒に「あの決めゼリフ」をご唱和ください。









アントワープ決めゼリフ_f0189467_043687.jpg


今さらご説明するまでもないが、「フランダースの犬」のラスト、ネロ少年が息をひきとるのは
ここ、ノートルダム大聖堂に飾られた、ルーベンスの「十字架降架」の絵の前なのである。
ひとえに「フランダースの犬」のせいで、ここに来る日本人観光客はものすごく多い。

え?そんなバカなことするのはイ課長くらいだって?ふふふ、そんなこと言っちゃっていいのかな?
少なくとも、このノートルダム大聖堂に来る観光客の中で日本人比率が異常に高いことをイ課長は
容易に証明できるのだ。ほら、この主要国語別パンフレットの量を見てみ?
アントワープ決めゼリフ_f0189467_051827.jpg

アントワープ決めゼリフ_f0189467_054143.jpg

地元のオランダ語版ですら3列だよ?フランス語版なんてたった2列しかない。ところがドウよ、
日本語版だけ4列も置かれてる!これにはイ課長もブッたまげた。日本人、よ~っぽど多いとみえる。

「フランダースの犬」の原作は地元じゃほとんど知られてないらしいけど、日本では局所的に人気が高い。
特に「カルピスまんが劇場」で放映されたアニメ版が、その悲しいエンディングによって当時の少年少女に
深刻な悲劇体験の記憶を植えつけたのは有名な話だ。
ちなみに、上のセリフ。アニメ版最終回のセリフとしてあまりにも有名だけど、正確には
「もう疲れたよ」っていうのとはちょっと違うらしい。ま、どうでもいい話だが(笑)。

あの最終回に涙した当時の小学生くらいの少年少女が、今や40・50のオジサン・オバサンになり、
遠い日本から続々とこのアントワープの大聖堂に押し寄せ、この絵の前で、あのアニメを思い出して、
目をウルウルさせてるのは間違いないんだよ。あのパンフレットの量が雄弁にそれを物語っておる。

アニメ放映当時、イ課長はもう中学か高校生くらいだったはずで、カルピスまんが劇場を見るトシではなかった。
そのイ課長でもアントワープに行ったら、ぜひルーベンスの絵の前で「パトラッシュ・・・」と言わなくちゃ、って気に
なるくらいだから、日本のアニメ史上最も有名なセリフの一つといってもいいんだろうな。

しかし、ここに来てアニメの話ばかりするのもまた日本人だけに違いない(笑)。
一応、絵のことにも触れよう。さっきも言ったように、この絵はルーベンスの作品では傑作の部類だと思う。
祭壇をはさんで左側に「昇架」、右側に「降架」が置かれてるんだけど、昇架では光の当たったキリストの体が
右下→左上に、降架では右上→左下というナナメ構図に置かれてて、祭壇をはさむと「逆ハの字」を構成する。
さすが巨匠ルーベンス。この辺の視覚効果をしっかり計算しているのだ。
アントワープ決めゼリフ_f0189467_063069.jpg

アントワープ決めゼリフ_f0189467_06588.jpg

もし、この絵が修復中か何かで、「ネロとパトラッシュごっこ」が出来なければ大変な失望を味わっただろうが、
ちゃんと見られてよかったよかった。お礼がわりに、毎度おなじみ、寄付ロウソクをともすことにしよう。
(一番奥の、高くなってる列の右端がイ課長ロウソク)。
アントワープ決めゼリフ_f0189467_081249.jpg

「アントワープで絶対にすべき」ミッションは無事終了した。
いやぁ〜、心が洗われたようにすがすがしい気分だ(笑)。
さて、まだ時間はあるし、もうちょっとアントワープという街をのんびり探検してみっか。
(アントワープネタ、まだ続くようだ)

 


by tohoiwanya | 2013-04-26 00:08 | 2012.03 欧州出張 | Comments(12)
Commented by Bきゅう at 2013-04-26 06:52 x
そうか、そういうお話もありましたね。Bきゅうは、小学校の図書館で、何度も借りました。借りた理由は、姉も勧めるし、題名がそそられた(101匹わんちゃんみたいな感じー)からです。でも、何度も借りた理由は、いつも読み切らなかったから。先ほど、ぐーぐるして、101匹わんちゃんとはかなり違う系統であることを知りました。なんか、ほたるの墓みたいなお話だなと思いました。
Commented by 加代子 at 2013-04-26 15:34 x
   今日は~!

アニメは全然知りませんが 子供の頃本は読んだ事があります。
可哀想な話しなので 童話の人魚姫同様 あまり好きではなかったです。
やはり 日本人観光客が多いのですね。
日本人と言えば フランスのド田舎のブルー修道院にも
日本語のパンフレットがあってびっくりしました。
Commented by tohoiwanya at 2013-04-27 12:12
>なんか、ほたるの墓みたいなお話だなと思いました

Bきゅうさん:
コドモ向けの本って、途中はどんなに悲惨でも最後は何だカンだ言って
「幸せに暮らしましたとさ」で終わることが多いだけに、「悲惨なまま悲惨に死ぬ」っていう
あの話はコドモにはかなり重いはず。
実は、私がフランダースの犬の原作読んだのはもう30過ぎてからでした(笑)。
 
Commented by tohoiwanya at 2013-04-27 12:22
>やはり 日本人観光客が多いのですね

日本人、どこに行っても多いですけど、最近は日本語案内板がない代わりに
中国語の案内板がある、なんて施設もあったりして、「東洋人観光客っていうと
最近は中国人が中心になりつつあるのかなぁ」なんて思ってたけど、しかし
この大聖堂だけは日本人ばかりが異常な比率で多いのは間違いない(笑)。
コドモの頃の記憶というのは消えないんですねぇ。
 
Commented by koko at 2013-04-27 14:27 x
もぉダメです・・・お、お腹がイタいです・・・
ご馳走さまでした(笑)

アタシは絶対にやらないぞ、と心に誓いました
あーめん。
Commented by tohoiwanya at 2013-04-27 22:52
>アタシは絶対にやらないぞ、と心に誓いました

kokoさん:
せっかく6月にアントワープ行くんだから、ダメですよ〜やらなきゃ(笑)。

上に載せた写真の2枚目、十字架昇架を遠くから発見する写真に後ろ姿の女性が写ってるでしょ?
あの女性も東洋人で、おそらく日本人だったと思います。かくのごとく、日本人が多い。

私は映画のロケ地とか訪ねるヲタク旅が大好きなんですが、実際に自分が
見て、泣いたわけでもないアニメの舞台を訪ねたっていうのは今回が初めてで、
もう二度とないでしょうね、さすがに(笑)。
 
Commented by みゅげ at 2013-04-29 16:59 x
あのアニメを観たのは、もちろん私はもうオトナだったわけですが、誰も助けないというあたり、どうして納得できず、悲しいより悔しい思いが残ったものです。
何かに書いてありましたが、ここの人間はそんなに冷たくない・・・・と地元の方には不評だというこの物語。
物語とは言え、やっぱりなぁ・・・です。
Commented by tohoiwanya at 2013-04-29 23:32
>地元の方には不評だというこの物語

みゅげさん:
ところがね、日本人観光パワーは地元のそんな思いも吹き飛ばすみたいなんですよ。
本で読んだ話だと、あのノートルダム大聖堂の近くに、とうとうフランダースの犬の
記念モニュメントが比較的最近、建ったらしい。
要するに、あまりにも「それ目当て」の日本人観光客が多いんで、アントワープ市当局としても
何か置かにゃぁなるまい、ってことだったみたいなんですよねー。

大聖堂のあたりをグルッと見た限りでは、そのモニュメントを発見できなかったんだけど、
まぁ正直言って、そんな「日本人観光客向けモニュメント」なんて特に見たくもなかった(笑)。
 
Commented by 酒バカ日誌 at 2013-04-30 10:24 x
私がアントワープに行った時、走って走ってぎりぎりで大聖堂が公開時間外になってしまい、絵が見れませんでした。ほんまに、疲れたよ、、、、でした。でも自分が悲劇の主人公にちょっとなった気がして、それはそれで楽しめました。
Commented by 酒バカ日誌 at 2013-04-30 10:28 x
で、モニュメントがあるなんて知りませんでしたが、すぐ見つかりましたよ。大聖堂入り口の向かって左側、15メートルくらい離れたところでしたねー。アニメそのものの石の像でしたけど、なんだかジャパンがそこにあって、違和感ありまくりでした。
Commented by tohoiwanya at 2013-04-30 11:44
>走って走ってぎりぎりで大聖堂が公開時間外になってしまい

酒バカ日誌さん:
ありゃ、それは惜しかった。
アニメを見てないのでよく知らないけど(原作は一度読んだけど詳細は忘れた)
ネロくんは夜遅く、教会に絵を見ようと思って入ったけど、暗くて見えない。
ガッカリしかかったら、ちょうど月の光だか何かが差し込んで、絵を見られて
しばしの幸福感とともに死んでいく・・てな感じだったんじゃなかったっけ?
ネロまであと一歩というところでしたな(笑)。
Commented by tohoiwanya at 2013-04-30 11:49
>大聖堂入り口の向かって左側、15メートルくらい離れたところ

酒バカ日誌さん:
えええ?そんなに入口近くにあったの?気がつかなかったけどなぁ~~?
しかしアニメそのものの石の像となると、見たいという意欲がますます減退する(笑)。
いくら日本人観光客に人気っていっても、地元じゃ知られてない(or不人気)っていうんだから
無理して置かなくたっていいのに・・・。

しかし、そんなの入口の左にあったかなぁ~?ひょっとすると、地元に不評で
撤去されたんじゃ・・・?


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