2013年 06月 14日

ガネーシャの話

ホテル評価ばっかり続くのもナンだから、インドネタをはさむ。
少し内容に変化をつけなきゃとか、これでも一応は気を使っているのである。

さてインド。インドといえばヒンズー教。そのヒンズー教にはいろんな神様がいる。
ホントは「ヒンズー教の神様」と一口に言っても、教典に登場する神様とか、叙事詩に登場する神様とか、
いろいろあって難しいらしいんだが、ここでは便宜上「ヒンズー教の神様」とひとくくりにさせていただこう。

さて、そのヒンズー教の神様だ。ご存知の神様、いる?
言われてみると「ああ、その名前は聞いたことあるかも」っていう神様がけっこういるんだ、これが。

わりと有名なのはシヴァ神かな。創造と破壊の神で、かなり気の荒い神様だったと思われる。
あと、ヴィシュヌ神とか。イ課長がインドに出張した時、最後までゲーリーにならずに済んだのは、
ヴィシュヌ神のご加護のおかげであるという逸話は日本でも広く知られている。ウソだが。

下の写真は誰だか知らずに撮ったけど、あとで調べたら、これはサラスヴァティという女神さま。
白鳥の上に乗り、手にはヴィーナと呼ばれる楽器を持つのがお約束らしい。
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彼女は創造神ブラフマーの奥さんで、亭主のブラフマーはその後日本に「梵天」として伝わり、
カミさんのサラスヴァティは「弁天」として伝わった。へぇ~~、そうだったんだ。
なお、このヴィーナが後に日本に「琵琶」として伝わったという仮説は説得力があると思う。

いま挙げたシヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマーがヒンズー教の「三大神」ってことらしい。エラいんだよ。
インド行く前のイ課長も、このあたりの神様たちの名前くらいは聞き覚えがあった。

さて、ヒンズー教の有名な神様にもうひとり、ガネーシャっていうのがいる。
人間の体にゾウの頭がくっついているという、そのあり得べからざる御姿はいつ見てもインパクト十分。
名前は知らなくても、この妙チキリンな姿を見たことある人は多いだろう。下に拾い物の画像を載せる。
ご存知のように、インドの宗教画においてこの程度のドハデさは普通なのである(笑)。
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さて、このガネーシャ。一体なんだってまた人間の体にゾウの頭が乗っかってるのか?
神話に出てくる獣頭人身っていうと、ギリシャ神話のミノタウロスなんかが思い出されるわけで、
たぶんあれと同じくらいトンでもない誕生秘話があるんだろうけど、イ課長は知らなかった。

だが今は知っている。前にも書いたガイドのシンさんが教えてくれたのだ。
無宗教バチアタリ男(つまりイ課長)が、シーク教徒から、ヒンズー教の神様について教わったことになる。
せっかくだから、皆様にも教えてしんぜよう。今明かされる、衝撃のガネーシャ誕生秘話。
臨場感を出すために、ここから先はシンさんの口調で書かせていただきます(笑)。


あなたは、ガネーシャの話を知っていますか。聞きたいですか。
ガネーシャは頭がゾウです。体は人間です。それには理由があります。

ガネーシャのお父さんはシヴァです。お母さんはパールヴァティといいます。
ある日パールヴァティがお風呂に入るとき、パールヴァティは息子のガネーシャに言いました。
「私がお風呂に入ってるとき、誰も中に入らないように見張っていてください」
ガネーシャは言われたとおり、お母さんのお風呂に誰も入れないように見張っていました。

そこにシヴァがやってきました。
シヴァはだんなさんですから、奥さんのお風呂に入ってもいいのです。
シヴァはパールヴァティのお風呂に入ろうとしました。でもガネーシャは「誰も入れるな」と言われてるので
「入ってはいけません」といって、とめました。

シヴァは怒りました。怒ってガネーシャの首を切りました。
お風呂から出たパールヴァティは驚いて、言いました。「これは、あなたの息子です。あなたは
自分の息子の首を切ってしまったのです」

そこで、シヴァは、息子を生き返らせるため、外に出て最初に出会ったものの首を切って、
ガネーシャの体につけることにしました。そして、最初に出会ったのが象でした。

シヴァは象の首を切り、ガネーシャの体につけました。だから、ガネーシャの頭は象なのです。
ガネーシャはヒンズー教でとても人気のある神様です。



いかがでしたでしょうか。
予想通り、トンでもない誕生秘話でした(笑)。でも、これをシンさんの訥々とした日本語で聞くと、
感動の一大叙事詩を聞いたように気分に(ちょびっとだけ)なったもんだ。

ただ、いま初めてこの話を読んだ方の中には、ある重要な疑問を持つ方もいるはずだ。
イ課長も、シンさんから話を聞いたときにハテナ、ナゼ??と思った。それは何かっていうと、
「父親のシヴァと、息子のガネーシャは、お互いの顔を知らなかったのか?」という疑問だ。

これについて調べたら、どうもパールヴァティはカッコいい息子が欲しくなって、シヴァの知らないうちに
ガネーシャという息子を勝手に自分のアカ(!)から創造した、ってことらしい。あり得ねぇー。
だから、シヴァとガネーシャは風呂の前で会ったときが初対面だったということになる。
というか、こうなると、この両者の間に生物学的な父子関係があるといえるのか、激しく疑問だ(笑)。

ギリシャ神話にでてくるミノタウロス。例の牛頭人身のアレ。あれの誕生由来もムチャクチャな話で
(ウシに欲情した女がメス牛のぬいぐるみをかぶってオス牛と交尾するという、あれ)いくら神話とはいえ、
そんな獣姦アリか?と思うけど、見方を変えると、あれって一応ちゃんと「異種間交尾」によって「雑種」が
生まれたわけだから、生物学的には比較的スジが通ってるともいえなくもない。

それに対し、ガネーシャの話はエログロ獣姦エピソードもなく、清純?なストーリーではあるけど、
獣頭人身の誕生由来なんて、結局は「あり得ないものを誕生させる」話にならざるを得ないから、
どうやったってメチャクチャな話になっちまうってことやな。

ただ、このガネーシャ、インドで非常に人気がある神様だというのは確からしい。
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「チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ」という珍妙なインド映画があるんだけど、この映画の主人公は
ガネーシャの顔に見える、ヘンな形のジャガイモをお守りにしていた。
イ課長が出張中、ムンバイで乗ったチャーター車のドライバーもガネーシャを車のお守りにしていた。
余談だが、イ課長の住む府中の町にはガネーシャという名前のインド料理屋もある(笑)。
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インドではガネーシャは「商売の神」「学問の神」とされている。日本的に言えば大黒様+天神様か。
お父ちゃんのシヴァ神みたいに「創造と破壊」なんて抽象的な超能力じゃなく、商売や学問っていう
実利的なご利益を担当してるのも人気がある理由なんだろうな。もちろん、人気の最大の理由は
そのあり得べからざるルックスゆえ、だろうが。

というわけで本日の「ヒンズー教講座」、ガネーシャについてみなさんとご一緒に勉強してまいりました。
それではまた次回、ご覧のブログでお会いいたしましょう。さようなら。


 
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by tohoiwanya | 2013-06-14 00:01 | 2012.10 インド出張 | Comments(2)
Commented by げんまいちゃ at 2013-06-14 21:18 x
『夢をかなえるゾウ』が売れたおかげで、ガネーシャの顔と名前は覚えましたが、(副作用として、ガネーシャさんは関西弁で話すものとインプットされましたが)、象顔の由来などは知りませんでした。ぶっ飛んでますね、さすが。

インドの神様って、踊ってて楽しそうですよね。タイのお寺に行ったときも手足の関節がおかしな方向に90度カクカクしている像がいっぱいありましたが、日本のお寺とか神社におわします方々は、あまり踊りたい気分にならないのでしょうかね。
Commented by tohoiwanya at 2013-06-15 14:46
>『夢をかなえるゾウ』が売れたおかげで、ガネーシャの顔と名前は覚えましたが

げんまいちゃさん:
すみません、今初めて知りました(←ヨノナカのトレンドには全く無知)。
調べてみたら2008年にすごく売れた本。2008年つうたら、このブログを書き始めた年だ(笑)。

インドの神様、能力がスゴすぎて、日本人にはついていけないものがある。
シヴァ神だけでも何種類もの別の神様に分身の術で代わることができるし、
奥さんのパールヴァティもまたいろんな神様に変身できる。
日本の七福神なんて、インド的思考だと「一人の神様の変身ヴァリエーション」だけで
まかなえちゃうんじゃないかと思う。
 


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