2014年 01月 17日

ヘルシンキ市電の光と影 「影」編

いま明かされる、ヘルシンキ市電のダークサイド(やや大げさ)。
コトの発端はイ課長がヘルシンキでトラムを乗り間違えたことから始まる。

地図を見て「街のコッチの方に行ってみよう」と思って市電に乗った。
しばらく乗れば左側に池が見えるはずで、池が見えたら次の停車場で降りようと思っていた。
下の路線図でいうと真ん中やや右寄り、メトロのMマークのあるSörnäinenっていう所から
茶色い路線で西に行こうとしたわけ。途中、左側に池みたいなものがあるでしょ?
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ところがどこまで、どこまで、どこまで乗ってもいっこうに池が見えてこない。
おかしい。こんなに遠いはずはない。どうも乗り間違えたっぽいぞ?
・・と思ってたら、やがて市電はループ状の線路を走ったと思ったら停車したまま動かなくなった。

車内にはイ課長と運転手しかいなくて、異様な静寂に包まれてる。動き出す気配はまったくない。
どうしたんだろう?と思ったけど、しばらくして事態が飲み込めてきた。
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どうやらイ課長は乗り間違えてオタオタしてるうちに、その路線の終点まで来ちまったようだ。
さっきのループ状線路は折り返し用のもので、運転手は次の発車時間まで待ってるに違いない。
じゃ、この時間を利用して運転手にここはドコなのか確認しようそうしよう。

運転席のところまで行き、「ココはどこですか?」と言って運転手のオッサンに路線図を見せた。
言葉はわからないから、今いるのはここだって路線図で示してもらいたかったんだよね。

運転手はちょっと戸惑った様子だったけど、路線図を見て「ここだ」と指さしてくれた。
確かにソコは路線の終点で、折り返し用らしいワッカ状の線路もある。なるほど、イ課長はいつの間にか
市の南の方、海っぺりの方まで来てしまったらしい(下図、紫の路線の終点が運転手が指さした場所)。
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ほどなく市電は動き出した。よしよし。
今度は北の方に向かって中心部に戻るはずだから、どこかテキトウなところで降りりゃ何とかなるだろう。

・・・と思っていたら、だ。
動き始めた市電の窓からARABIAという文字が書かれた大きな建物が目についた。
あ!あれってガイドブックで見た有名な陶器ブランド・アラビアの工場だろ?ここにあったんだ!
こんな偶然で遭遇したのも何かの縁。発作的に行ってみようって気になって、次の停車場で市電を降りた。
アラビアの工場ってこんな市の南の方にあったんだねぇ。

さてだ。
ここまでの話を読むと、「トラムを乗り間違えた」以外には、特に大きな問題はなさそうに思える。
だが実はココに重大な問題が潜んでいるのだ。お気楽旅行者のイ課長だからよかったけど、これが
出張だったら破滅的事態になっていたかもしれない。なぜかというと・・・


さっき運転手が教えてくれた場所は全然違っていたからだ(笑)。


アラビアの工場は確かに市電の終点近くにある。
だがその終点というのは市の南じゃない。正反対。北の終点なんだよ。そんなバカなと思うでしょ?
さっき運転手は「いまここだ」って南の終点を指さして教えてくれたんだから。

しかし、実際にイ課長がいたのはココなんだよ。6と8の路線の終点。ここにも小さいけど折り返し用の
ループ線路があるんだよ。拡大してみるとArabiaっていう小さな文字も書かれている。
さっきの場所と、こことがどれだけかけ離れてるかというとだね・・・
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このくらい離れてるのだ(笑)。市のウンと南の方にいるつもりで、実はウンと北の方にいたことになる。
この両終点の間には相当の距離があるのは地図を見れば明らかだ。
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考えてみてほしい。
イ課長が「ここはドコですか?」と聞いたのは、かりにも市電の運転手だぜ?路線図で自分がいる場所を
示すことは造作ないはずだし、実際彼はそうした。だがそれは完全に間違っていた。
これを東京の地下鉄に当てはめれば、銀座線の終点・渋谷駅で「ここはどこ?」って路線図を見せたら
運転手は反対側の終点、つまり浅草駅を指さしたことになる。あり得ねぇハナシだろソレ!

外国の鉄道で誰かにモノを尋ねたくなった時、誰に聞くかっつうたら、周囲の乗客か、駅員・乗務員かだ。
その場合、乗客より乗務員の方が「より信用できる」と思うのがフツーだろう。ところがその乗務員の認識が
頼りないとなると、どうすりゃいいんだ?

ただ、こういう驚きはイ課長が日本人だからなのかもしれないって気もするんだよね。
あの運転手にしてみれば「オレの仕事は市電を運転することで、ガイジンの対応なんて仕事じゃないよ」
ということなのかもしれない。海外じゃそういう考え方って、けっこう強いんじゃないかなぁ?

まったくもう、ヘルシンキのトラムもやってくれるぜ。
結局、イ課長は市電を乗り間違え、さらに運転手から正反対の位置情報を教えられたにもかかわらず、
ノンキにアラビアのショップで買い物なんぞしたんだけど、その時点ではよもや自分が反対の終点にいるとは
気づいてなかった。さっきの例で言えば「へぇ〜東急百貨店の本店って、浅草にあったんだぁ~」と
思いながら渋谷で買い物してたことになる(笑)。誤った情報も無知に対しては無力ということか。

アナタがヘルシンキの市電に乗って、乗り間違えたかな?と思ったとき、運転手に質問してもその答えが
正しいとは限らない。念のため誰かにセカンドオピニオンを求めるべきかもしれない(笑)。
恐ろしい市電だ。よく無事に戻ってこられたもんだ。

そんな無知と偶然に流されて、思いもかけず行くことになったアラビアのショップ。
せっかくだから次回、ご紹介しよう。


 

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by tohoiwanya | 2014-01-17 00:04 | 2012.06 東欧・北欧旅行 | Comments(10)
Commented by シトリン at 2014-01-17 00:58 x
アラビアの食器
それは楽しみです!
しかし正反対とは
まあ・・・バンコクで逆の路線に乗っちゃって終点行きましたけど
我々も(笑)
Commented by hanatomo31 at 2014-01-17 02:27
それは災難でしたね。
なんとうか、そんなヒドイことするなんて運転手さんはよほどその日は
嫌なことでもあったんではないでしょ-か。
でもちゃんと違うところにいると気づけてよかったです。
私はARABIAの工場にわざわざ何度か足を運びました。
北欧の食器好き&コレクターなもので。
Commented by Bきゅう at 2014-01-17 08:10 x
米国でもセカンドオピニオンは必須で〜っす。
相手が悪いだけでなく、意思疎通がうまくいってない場合もあるので。たとえば、その運転手さん、行き先を行ったということないですか?わしの場合は、そんな感じの間違えが多いのですが。

それにしても、ヘルシンキの市電。冬は寒そうですね。
Commented by カプメイ at 2014-01-17 09:42 x
こんにちは。今年も楽しく読ませていただいています。

私も「行き先説」に一票。(笑)
言葉が分からない、システムが違う外国の乗り物は毎度苦労します。
最近はやらかさなくなりましたが、昔マドリッドの地下鉄で車庫まで行っちゃって、車両に駅まで戻ってもらったことがあります。いやぁ、アバウトな国スペインで良かった。。。
「ここはどこ~?」って言葉は必要かとも思うのですが、返事が分らなけりゃ同じか。。。

私もARABIAリポート、楽しみにしています。
Commented by RIKACO at 2014-01-17 09:52 x
今年もよろしくお願いいたします。
年末年始はドイツで過ごしました。初ドイツでしたのでイ課長さんのブログ大活用させていただきました。ありがとうございます。
さて、私も「行き先説」に一票です。
運転手さんは話しかけてきた人が外国人だったので、(イ課長さんの言葉を理解せずに)親切心で教えてあげたのかも。で、行き先がループ状になってるので示すのに迷ったのかもしれませんね。
Commented by tohoiwanya at 2014-01-17 14:29
>バンコクで逆の路線に乗っちゃって終点行きましたけど

シトリンさん:
それ、ひょっとしてBTSのサイアムっていう乗り換え駅で乗り間違えたせいでは?
私はあの駅で一度間違えて、ひと駅先の終点まで行きました(キッパリ)。
でも終点がひと駅先でよかった。もっと先だったとしても、絶対途中では気づかなかったはず。
Commented by tohoiwanya at 2014-01-17 14:35
>運転手さんはよほどその日は嫌なことでもあったんではないでしょ-か

ハナトモさん:
わざと逆を言ったとは思えないんですよ。
世間では「行き先説」が支持を集めてるけど(笑)、私としては「ついうっかり説」を
主張したいんですよねぇ。
ワンマンバスと違って、市電の運転手ってそもそも乗客から質問されることに
慣れてないというか、乗客と運転手間のコミュニケーション自体がない。
そもそも案内業務が不慣れだったところに、いきなりガイジンが質問してきて、
ついうっかり逆を・・・という感じじゃないかなぁ?

アラビアはLじゃなくてRでしたね。本文修正しときました(←大バカ(笑))
Commented by tohoiwanya at 2014-01-17 14:42
>その運転手さん、行き先を行ったということないですか?

Bきゅうさん:
それねぇ、私もまず考えたんだけど、実際にその場で体験した印象だと
「ついうっかり説」に思えるんですよねぇ~。本文にも書いたけど、その運転手さん、
私に質問されて一瞬戸惑った様子だったし、路線図を見せたときも一瞬迷った。
考えてみたら、乗客は路線図ってしょっちゅう目にするけど、運転手さんって
意外に路線図なんてふだん見ること少ないんじゃないですかねぇ?
しかも相手はガイジン。いきなり英語で質問。つい慌てて、反対側終点の
ループ線路を指さしちゃった・・・っていう風に思えるんだけどなぁ~。
Commented by tohoiwanya at 2014-01-17 15:06
>私も「行き先説」に一票。(笑)

カプメイさん:
うーーーん・・。確かに私の質問を「この市電はドコ行きですか?」と勘違いしたとすると
「行き先説」が最もあり得るんだけど、どうもそう思えないんですよねぇ・・。

しかしマドリッドの地下鉄車庫はひどい(笑)。
マドリッドの地下鉄は私もトホ妻と何度も乗ったけど、今でも覚えてるのは車内アナウンス。
「次の駅は・・」が男性アナウンスなのに、「●●」って駅名だけは女性の声になるのが
なんだか面白かった。
「次の駅」っていうのをスペイン語で「プロキシマ エスタシオン」って言うんだっていうのも
あの車内アナウンスで覚えた(笑)。
Commented by tohoiwanya at 2014-01-17 15:06
>私も「行き先説」に一票です

RIKACOさん:
う、う・・・行き先説に圧倒的な支持集まる。
だが、実際の体験者として私はあくまで「ついうっかり説」を有権者のみなさまに
訴え続けたいと思います(笑)。

年末年始の初ドイツ、いかがでした?たぶんクリスマスの飾りつけがまだ
そこらじゅうに残ってて、どこもキレイだったでしょうねぇ~。
私は年末にバンコクでしたけど、さすがのバンコクも6月に行ったときに比べると
ぐっと涼しいんでびっくり。冷房の効いた地下鉄の中なんて寒いくらいで、
なんのために南国に行ったんだか・・(笑)。


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