2014年 10月 27日
さて、昨年の東南アジア旅行におけるバンコク「大ネタ」のひとつに着手しよう。 大ネタといっても観光系の話ではない。でも1回じゃ絶対終わらない。だから「その1」。 仕事でバンコク出張したサラリーマンのかなりの割合、推定7割くらいの方は今日の標題を見て 「ああ、オレもバンコク出張ン時に連れて行かれたよ」と思うんじゃなかろうか。 仕事でバンコクに駐在したサラリーマンの、推定9割くらいの方は今日の標題を見て 「ああ、出張者が来るたびに連れてって、何度行ったか数えきれないよ」と思うんじゃなかろうか。 バンコクにはタニヤ通りという場所があり、そこには局所的に日本人向けカラオケバーが密集してる。 タニヤって事実上「日本人専用カラオケ通り」と化してるんだよ。現地駐在サラリーマンにとって 「日本から客(特に男性)が来たらタニヤに連れて行く」というのはバンコク接待シーンにおける 鉄板パターンだと思われるのである。 タニヤのカラオケとイ課長の間には長い物語があって、話は1996年にさかのぼる。 イ課長が生まれて初めて、出張でバンコクを訪れたときのことだ。 当時、関係会社のオジサンがバンコクに駐在していた。よく知ってる人だ。 イ課長はバンコクの素人、駐在オジサンは当然ながらバンコクのクロウト。最初の夜の晩メシは このオジサンに連れられてタイスキを食った。そして翌日の夜、何の情報も与えられぬまま、 トゥクトゥクで連れて行かれたのがタニヤ通りのカラオケだったのである。 駐在オジサンはそのカラオケ店ではすっかり馴染みのようだった。 タイ人のお姉さまたちから「アラ、イラシャーイ」「●●サーーン」と声がかかる。 駐在オジサンも「よぉよぉ~○○ちゃ~ん」てな感じで慣れたもんだ。 店内は奥にスクリーン(歌詞を映すアレね)があり、L字型の大きなソファー席が並ぶ。 そこに駐在オジサンとイ課長が座ると、やがてタイ人のお姉さまが3人来た。そう、タニヤのカラオケは 単に「飲んで唄う」だけではない。お姉さまによる接客が必ず付くのである。 まぁ今だから「付くのである」なんて言えるけど、あの時は何も知らなかったから、お姉さま方が 「コンバンワ~」とか言いながら三人来た時には内心「わわわッ・・」と思ったよイ課長は。 タニヤ通りが事実上「日本人専用カラオケ通り」である以上、ここで働くお姉さまがたは全員 「日本語が少しできる」というスキルを有している。これはタニヤで働く上での、いわば業務上必要条件で、 日本人はここにくればソコソコ日本語のできるタイのご婦人に接客してもらえるわけだ。 3人のお姉さまのうち二人は駐在オジサンの両側に、一人がイ課長の横に座った。 その人の名前を仮にブンさんとしよう。アジアンビューティーらしく黒いストレートロングヘアの美人。 片やイ課長はといえば、今でもそうだけど当時はさらに「ご婦人接客つきバー」なんてモノに慣れてなかった。 すぐワキじゃ早くも駐在オジサンがお姉さま二人を両腕に抱えて「だーっはっははは!」と、まるで 漫画のようにわかりやすく盛り上がってる(笑)。イ課長としても隣のご婦人を退屈させてはいかん。 「だーっははは!」はムリでも、なんとか楽しい歓談につとめようではないか。 (以下、青文字=イ課長、赤文字=ブンさん、黒太文字=駐在オジサン) 「あなた、タイは、はじめてですか?」 「ええ、初めてです」 「バンコク、どうですか?」 「(よし、まずバンコクをホメて親近感を高める作戦でいくか)バンコクすごく楽しいです。暑いですけど」 「タイのごはん、なにたべましたか?」 「えーとぉー・・・タイスキ・・」 「オウ、タイスキ、おいしかったですか?」 「ええ、とても美味しかったです」 「(両隣のお姉さまがたとますます盛り上がって)がーっはっはっは!わははは!」 「・・えと・・(よし、彼女の日本語をホメよう作戦に転換だ)しかしブンさん日本語お上手ですねー」 「いえ、うまくないです、ちょっとだけ」 「いやいやとんでもない、すっごくお上手ですよ」 「(相変わらず盛り上がって)うわははは!そうかそうか!だはははは!」 「・・・えと・・ブンさんは日本に行ったことはあるんですか?」 「オウ、わたし、にほん、いったこと、ないです」 「え?行ったことないのにそんなに日本語上手なんですか?すごい」 「でもわたし、にほん、いきたいです。いきたいです、にほん」 「だっはっはっは!うわっははははは!!」 「・・・えと・・ブンさんは、日本のどこに行きたいですか?」 「オウ、わたし、きょうととならに、いきたいです、きょうととなら」 「ああ京都と奈良。京都と奈良には、古いお寺がたくさんあります」 「うははははは!!ナニするかコラ、どぅわははははは!」 ・・・とまぁ、こんな感じの宴が延々と続いたわけなんだけどさ・・・ その後長く、あのタニヤの夜のことを思い出すたびにイ課長は激しい自己嫌悪にさいなまれた。 初めて行ったバンコクの、タニヤの、カラオケバーでだよ?タイ美人相手の楽しかるべき会話でだよ? こんなクソつまらねぇ、退屈な、日本語会話教室みたいな話しかできねぇのか?ああ? 「古いお寺がたくさんあります」だぁ?ヴァカじゃねぇのか? ブンさんがケラケラ笑い転げるような、何か楽しい方向に話を持っていきたいな、と思うんだけど 当時のイ課長にはそういうテクニックがなかった・・というか、まぁ今でもないのだが(笑)。 自分がブンさんの立場でもイ課長を「話のつまらない客」と思うのは絶対に間違いない。ああああ・・・ タイ女性と日本語で楽しくお話できるチャンスにクソつまらない話しかできないクソつまらな野郎、それは自分。 そのコトをイヤッてほど痛感させられたのが1996年のタニヤのカラオケだったのである。 あの時イ課長の横に座るという貧乏クジをひいたブンさん(仮名)には悪いことをしたと思う。 あの晩、唯一楽しかった思い出といやぁ、イ課長が唄った「そして神戸」(古い曲しかないんだよ)が 異常なほど好評でママさんから1バーツ、チップをもらったことか。96年当時のレートで約4.5円(笑)。 しかしこの際金額は問題ではない。あの1バーツ硬貨はイ課長がこれまでの人生で唯一「歌で金を稼いだ」記念として 今も保存されている(下の写真が当該1バーツ硬貨。おそらくデザインは現在のものと変わってない)。 ・・とまぁ、そんなタニヤ初訪問から幾星霜の年月が流れ2013年。イ課長はふたたびバンコクの地を踏んだ。 で、結論からいうとイ課長は17年ぶりにタニヤのカラオケに、しかも一人でノコノコ行ったわけだが、 お長くなったから続きは次回(今日は思い出話だけでオワリかよヲイ!!)
by tohoiwanya
| 2014-10-27 00:03
| 2013.06 ベトナム・タイ旅行
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