2015年 10月 03日

東南アジア4か国比較論

なんとなくまだ去年の旅行ネタに戻る気分じゃないので(←気分屋)、もう少し別の話を書く。

イ課長は最近3年間でベトナム、タイ、カンボジア、ラオスという東南アジア4か国を旅行した。
この4か国、地理的にも近いし歴史的・文化的にもいろんなシガラミやら類似点やらがある。

歴史的にはおおむね「強国タイとベトナムの間にはさまれた弱小国ラオスとカンボジア」という
位置づけになると言っていい。緩衝国家なんていう言い方もあるくらいで、ラオスとカンボジアは
多少の例外はあっても、基本的には大体東西の大国のどっちかに首根っこを押さえつけられてきた。

しかし別の見方もできる。ベトナム、カンボジア、ラオスの3カ国はそろって旧フランス植民地だ。
一方タイは一応独立を保った。一見、タイだけが列強の圧力に屈さなかったようにも見えるけど、
実際のところ、フランス(ベトナムやラオスやカンボジア)と英国(インドやミャンマー)両勢力の
“緩衝地帯”として真ん中にあったタイが使われたという部分があるのも否定できないんだよね。

この4カ国は陸でつながってるから領土的な遺恨や争いも多い。
アジアでも屈指の肥沃な土地と言っていいメコンデルタ地帯、今はベトナムの領土だけど
昔はクメール帝国(カンボジア)の領土だった。カンボジア人はけっこうこれを根にもってる。
世界遺産の遺跡・プレアヴィヒア寺院はタイ・カンボジア国境にあって、今世紀になっても領有権争いで
武力衝突が何度も起きた。結局、国際司法裁判所が「カンボジア領」という裁定を下したんだけど、
タイ側には未だに遺恨が残る。こういうのがけっこう多いんだよねぇ。
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その一方で言語的類似性はけっこう強い。特にタイ北部とラオスの言語は似てるらしい。
ラオスの有名なビール銘柄のTシャツを着てチェンマイに着いたら、タクシーの運転手が
「ラオスから来たのか?ラオスとチェンマイの言葉は近いんだぜ」なんて話しかけてきた。

タイ語のあいさつが「サワディー」 ラオス語のあいさつが「サバイディー」
タイ語のありがとうが「コー(プ)クン」 ラオス語のありがとうが「コープチャイ」 


まぁ確かに似てる。
タクシーを降りる時、ドライバー氏の期待?にこたえてわざとラオス語で「コープチャイ」って
言ったら「よしよし」って感じでうなづいてた。チェンマイあたりの人にとってのラオス語って
イタリア人にとってのスペイン語ほどの違いもないのかもしれない。

てな具合に、親密なような仲が悪いような4か国なんだけど、その経済格差はかなり大きい。
豊かさの指標としてよく使われる国民一人当たりGDPだとこんな感じだ。


一人当たりGDP(2014年名目GDP 出典:IMF)

  タ  イ    5,444.56$ (96位)
  ベトナム    2,052.85$ (135位)
  ラ オ ス   1,692.65$ (142位)
  カンボジア    1,080.82$ (160位)

 (参考)日本    36,331.74$ (27位)


カンボジアやラオスから来ると、まるで「別の星に来た」くらいの格差をもってバンコクは大都会なわけで、
バンコクに比べたらプノンペンやヴィエンチャンなんてせいぜい「タイの田舎町」レベルってくらい差がある。
上の数字を見てもタイの豊かさは4か国ン中じゃ断トツで、ラオスが「バーツ経済圏に飲み込まれる」なんて
言われてるくらいだ。ラオスやカンボジアからタイに行く出稼ぎ労働者も多い。

ただ、一人当たりGDPっていう以上、その数字はGDPそのものの規模と人口の大小で大きく変わる。
こんどは4か国の人口を比べてみよう。これを見るとけっこう驚く。


人口(2014年時点 出典:IMF)

  ベトナム   9,063万人(14位)
  タ   イ  6,866万人(20位)
  カンボジア   1,531万人(67位)
  ラ オ ス      690万人(101位)

 (参考)日本  12,706万人(10位)


何に驚くって、ラオスの人口の少なさだよ。ベトナムの1割にも満たないのかよ!
あの歪んだ人口ピラミッドのカンボジアに比べても半分以下っていうんだからタマゲる。
ラオスの一人当たりGDPの数字がカンボジアより高いのは、ひとえにその「少ない人口」ゆえだろう。
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ラオスの「人の少なさ」は現地に行くと確かに感じる。
サイゴンの活気あふれるバイクの洪水に比べりゃ、ヴィエンチャンはそりゃーのどかなもんだった。
ルアンパバーンなんてさらに輪をかけて田舎で、物販店であれ飲食店であれ、ちらほらいる客は
ぜんぶ外国人観光客。地元の人でにぎわう店なんて皆無だった。あれで商売が成り立つんだろうか?

ラオスって、大規模製造業なんてビアラオ(現地ビール会社)以外にないってくらい産業構造は脆弱で
少ない人口の大部分は農業。貧しい国なんだよ。

ところがこういうラオスに「貧しい国の豊かさ」っていうキャッチフレーズがつくことがある。
なぜかというと、ラオスは貧しいはずなのに一方で飢えたコジキとかが皆無だからだ。実際、
現地でも物乞いなんて見なかった(大都会バンコクではよく見るのに)。

要するに「みんなが農業やってる」+「人口が少ない」せいらしいんだな。
仮に本人がそうじゃなくても家族・親戚の誰かは必ず農業やってるわけだから、ナンだカンだ言って
食い物だけはある。誰かからコメを分けてもらうことはできる。リーマンショックだ世界同時不況だって
世界が騒いでた時も、貧しい国ラオスはのんびりムードだったらしい。この辺が面白いところだ。
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4カ国の「気質の違い」ということになると、これはもう短期滞在しただけでも歴然と感じるね。
ベトナム人やカンボジア人はけっこうガツガツして貪欲。ベトナムじゃボッタクリも日常茶飯事だし。
要するに金銭欲や生活向上欲があり、その欲を満たすために頑張ってる(という言い方もできる)。
タイは相対的に豊かな分、その「ガツガツさ」が少し希薄になってるって感じで、この辺は中進国の
余裕なのかもしれない。

他3カ国と顕著に違うのはラオス人だ。ラオス人ってみんなびっくりするくらいノンビリしてるというか、
人がイイというか、控えめというか・・・・ラオスに長く暮らしてると性善説を信じたくなるかもしれない。
ボッタクリなんてたぶん一度もなかったはずで、どんなみすぼらしい店で買っても缶ビールの値段は
いつも同じ。ベトナムじゃ考えられんよ(笑)。

これ、現地で会った日本人もみんな同様の感想を持ったようで「ラオスの人って商売っ気ないですよねぇ」
なんて言ってた。不思議なくらいガツガツしたところがない。こういうノンビリした人の良さみたいなものも、
もしかすると上で書いた「飢える恐怖がない」っていうことによるのかなぁ?それとも敬虔な仏教徒が多いせい
なのだろうか。あるいは、みんな一様に貧しくて貧富の差が少ないから欲が発生しないのかな?
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とにかくこの4か国、いろいろ錯綜したカンケイがあって深堀りするとなかなか面白い。
これにミャンマーが絡んでくるとますます錯綜するわけだけど、イ課長はミャンマーに行ったことがない。
まぁミャンマー訪問は将来のお楽しみってことで、とっておこうではないか。

ちなみに、本日掲載した写真は4か国で撮った写真を1枚ずつピックアップしてる。
ドレがどの国で撮った写真かわかる?・・・・バレバレか(笑)。

 
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by tohoiwanya | 2015-10-03 00:03 | 2015.09 ラオス・タイ旅行 | Comments(0)


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