2016年 02月 17日

海外の友人たちのジンセイ【その3】

イ課長は水商売とか風俗業界とかで働く女性の消息を尋ねるなんてこと(あんた、あのコのなんなのさ?
やったことがない。それを、こんないいトシこいて、しかも外国で初めてやることになるとはなぁ・・。
その上、その消息がどう考えても悪い知らせっぽいっていうんだから気持ちも暗くなる。

いつ行ってもネオン華やかなソイ・カウボーイ。しかし、その夜のイ課長の足取りは重かった。

1年前と同じ場所に同じ店はあった。
入ると、店内の様子も一年前と特に変わってない。ステージ上でフラフラと何人かのダンサーが
踊ってる。しかし、当然のことながらビーさんの姿はない。
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去年来たときと同じように、まだ早い時間で客は少ない。
ビーさんの消息を聞くのに、混んで騒々しい時間は避けたかったから少し早めに来たのだ。
ビールをちびちび飲んでると、やがてダンサー交代タイム。別チームがステージに上がってきた。


  ・・・え?

     ・・・えええッ?!・・・
 
             あれ
・・・ビーさん?!



ちょっと面変わりしてるけど、あれビーさんだ・・生きてる。
事故か自殺か殺人か、何かの理由で2015年6月に死んでしまったのでは・・とマジで心配(覚悟)した
そのコが生きてる・・・・ああ・・あのコ死んでない・・生きてる・・・よかったぁぁ・・。
精神的緊張がイッキにゆるみ、イ課長の全身からシュルシュルと力が抜けていく。

ホッとしてヘナヘナになったイ課長のとなりにママさんらしきご婦人が来て、ドスンと座った。
まだ客が少なかったから狙いをつけられたんだろ。本来ならビーさんの消息を聞く絶好のタイミングだけど、
もうその必要はなくなったよ・・・あああ・・・彼女、生きてるじゃん。

「みんなカワイイでしょ?」ステージを見ながらママさんが言う。誰かご指名しろってことか。
イ課長はステージを見たまま半分ウワの空で「私、あのコ・・知ってます・・・ミス・ビー・・」と答える。
「あのコ、呼ぶ?」
「あ・・はい・・イエス」
ママさんがステージに向かってタイ語で何か言うと、ビーさんが降りてきた。

ビーさん、隣りに座っても最初はイ課長のことがわからなかったようだ。
「私を覚えてないですか?」
「・・・??・・」
「私、あなたのFacebookの友達です」
「・・・アーーーー!!!

感激の再会・・と言いたいところだが、早くもこの段階でイ課長は近くから見たビーさんの変わりっぷりに
メマイがしそうだった。

まず顔つきが変わってる。目尻のリフトでもしたんだろうか?こんなツリ目じゃなかったはずだが。
しかも一年前はノーメイクの地味なコだったのに、今やちゃんとお化粧してるではないか。
「おお、去年あなたはノーメイクアップでした。でも今は・・」
「今はしっかり化粧してるって?あっははははは!」
うわぁ、大声で笑ってるよ。一年前はあんなに暗くて口数の少ない、沈んだコだったのに・・。

フと胸元を見ると、うわぁ!タトゥーだぁ!(この業界、刺青したダンサーは少なくないようだ)
「たっ、タトゥー!一年前タトゥーはありませんでした」
「あっははは、こっち見てごらん?」と言って背中を向ける・・うわぁ!もっと大きなタトゥーがぁ!

いやぁ~・・16歳の女のコって1年でここまで変わるもんなんだねぇ。
今のビーさんは見た目も話っぷりもたくましいゴーゴーバーダンサーって感じになってるよ。
仕事がイヤそうだった、ジミな少女の面影が失われたのはイ課長としてはちょっと残念だけど、
ついさっきまで彼女が死んだという知らせを聞くかも・・と覚悟をしてたことを思えば、夢のようさ。
ビーさんは生きてて、今こうして話してる。イ課長の心は羽が生えたように軽くなった。

そうそう肝心なことを聞かなきゃ。一体全体なぜ急にFacebookで消息が途絶えたの?
彼女の答えによると、別の人のアカウントを(スマホを?)使わせてもらうことにしたとか何とか・・
だからお金がかからずに済むようになったとか何とか・・うーんよくわからぬ。友達のスマホを
使えば確かに通信費はタダになるけど、アカウントを作り直す(っていうか、前のも残してるし)理由には
ならないよぁ。彼女がトツゼン音信不通になった理由は主に通信上の何かの変更に伴うものらしけど、
詳細は何だか未だによくわからない(笑)。

「ペイバーしてよ」って言われるかと思ったけど、その勧誘はなかった。
彼女としては「(おそらく入店して間もなかった)去年のアタシを知ってる人だと、照れ臭い」的な
ちょっとした気まずさみたいなのがあったんじゃないかと思う。イ課長だって複雑な気分だったよ。
ビーさんは今や見事にイッパシのゴーゴーバーダンサーだ。でも、もし去年初めてこの店に来た時に
ステージにいたのが今のビーさんだったら、イ課長は別に話をしたいとは思わなかっただろう。

お互い嬉しいような、懐かしいような、ちょっと気まずいような気分でしばし再会を喜び合い、
最後にハグして別れた。もちろん、彼女の新しいFacebookアカウントは教えてもらったから、
今でも彼女はイ課長の友人で、相変わらず日に二つも三つも投稿し、セルフ撮りで
自分のプロフィール写真を取っかえひっかえしてる(笑)。
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実を言うと、去年の9月にビーさんと再会できたのはある意味幸いだったんだよ。
一昨年9月から昨年9月までの彼女の変わりっぷりを100とすれば、昨年9月に再会してから
現在までにさらに110くらい変わってる(笑)。彼女のセルフ撮り写真の変化を見るとホントに驚く。

その後ビーさんは髪も茶色に染め、髪型も変え、お化粧はさらにバッチリになり、男の子みたいだった
太い眉もきれぇ~に整えてる。2014年に初めて会った時のイメージのままで、もしいま会ったら、
とてもビーさんだとは識別できないんじゃないだろうか。

しかし地味で無口だった15歳の(日本流にカウントすれば、だが)女の子が都会に出てきて、
いつまでもそのままでいるわけがない。人はどんどん変わっていく。それが人生ってもんだ。
たまたまイ課長は“変わる前”のジミ~なビーさんを見て、そのジミさゆえに話をしたいと思ったわけで、
これはもうタイミングというか、縁だよね。そういう縁もまたジンセイにはつきものなのだ。

仮にビーさんが今後どんなにケバい厚化粧のアバズレ女になっても(笑)、彼女はイ課長の友人だよ。
「あのコ死んじゃったのかな・・」と半ば覚悟した彼女が実は元気に生きてて、今でも依然として
Facebookの友人であるというだけでイ課長は十分嬉しい。どんなアバズレになってもいいから
これからも元気でいてほしい。しかし、出来ることなら元気なだけじゃなく、ビーさんには
幸福になって欲しいと切に願うイ課長なのである。

 
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by tohoiwanya | 2016-02-17 00:07 | 2015.09 ラオス・タイ旅行 | Comments(4)
Commented by Bきゅう at 2016-02-17 07:58 x
ビーさん、業界色になっちゃったのね。イ課長さん、今度は、せっかくなら、ペイバー(?)して、空港まで送ってもらったらどうでしょうか。
Commented by tohoiwanya at 2016-02-18 11:24
>ビーさん、業界色になっちゃったのね

Bきゅうさん:
なっちゃいましたねぇ。でもまぁ、最初会った時のままでは、あの業界で
働き続けるのは難しかったんじゃないかなぁという気もします。

でも空港見送りはいいですよ~(笑)。タクシーでけっこう時間かかりますからねぇ。
私はいいけど、見送りに来た人に空港から市内に一人で帰らせるのは気の毒。
ビーさん、とにかく元気に生きてたから、それだけで私は十分ハッピー。
Commented by kenwan56 at 2016-02-21 20:44
うちには、ビーさんと似たり寄ったりの年齢の娘がいるので、こういう話を読むと
片や親元でぬくぬく暮らしていて(私だってそうだったけど)、片や体張って生活しているんだな、と
思わずにはいられません。。

体壊さないで、元気にしていてくれるといいですね。
Commented by tohoiwanya at 2016-02-21 23:30
>体壊さないで、元気にしていてくれるといいですね

マダムKenwanさん:
そう思います。というか、日本からそう願うことくらいしかできない。
タイの田舎じゃ農業以外に大した就職口ないし(ビーさんの実家も農業って言ってた)
若者は都会に出稼ぎ、それが女の子なら風俗業界に・・っていうのは珍しい話じゃ
ないんでしょうけど・・。とにかく身体だけには気をつけてほしい。
Facebook見ると、いろいろオシャレな服を買ってセルフ撮りしまくってるから、とりあえず
今は都会生活をエンジョイしてるみたいで、少し救われますが・・・。


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