2017年 07月 28日

グリニッジ天文台【計時技術編】

グリニッジ連載シリーズ、今日で終わらせますからね(笑)。

子午線と標準時は切り離せないテーマだから、グリニッジには時計の展示もワンサとある。
たとえば入口にはこんな由緒ありげな24時間時計が。イ課長がこの写真を撮ったのは
グリニッジ標準時10時29分頃だったわけだ。
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前回記事で書いたハリソン氏が作ったクロノメーターがここに展示されてるってことは知ってた。
しかしどこにあるのかわかんないし、形も知らないし、いちいち英語の説明読んで探すのは
オックウなので(笑)いいかげんに見て回ってた。

実際にはハリソンは最初の時計(1735年作成のH1。Hはハリソンの頭文字だな)から始まって
改良版のH2、さらに改良版のH3と作っていったんだけど、たまたま偶然というべきか、
イ課長が「うわーすげぇメカだなこれ」と思って撮った下の写真がその一つだった。
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写真で確認するとこれはH2だと思われる。1739年に作られた。
写真じゃ見づらいけど、プレートにGeorge The Ⅱって文字があって、その奥、さらに見づらいが
Harrisonという文字が見える。ってことは、この時計を作った頃は後にハリソンを助けてくれた
好人物王ジョージ3世のさらにお父ちゃんが王様だったんだな。

このH2もすでに十分高い精度だったけど、揺れる船に置くにはまだちょっとデカくてかさばる。
しかしハリソンはH3、H4と改良版を作りつづけ、最後のH5にはどのくらいになったかっていうと
ここまで小さく使いやすくなった。これなら文句ナッシングでしょう(写真はWikipediaから)。
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おお、ハリソンさんの肖像画もあるよ。
生前は英国議会のイジワルで時計に難癖つけられたり賞金なかなかもらえなかったりしたけど
後世クリニッジ天文台で、こうして巨大な肖像画つきで栄誉を称えられるのは喜ばしい。
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下も何気なく撮った写真なんだけど、後ろの説明に lunar-distance method ってあるから、
クロノメーターの対抗技術だった月距法のことに違いない。詳しくは知らないけど、月距法って
測定した後にこの写真にあるような分厚いデータ集と照合しながら計算を必要としたようで、
使い勝手は時計より圧倒的に悪かったらしい。ま、これらも帰国後に知った知識だが(笑)。
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いやーグリニッジ天文台の展示はけっこう面白かったよ。
子午線と標準時という、世界でここだけのウリがあるから、展示内容もそれに集中特化してて、
なかなか見応えがあった。

ちなみに、グリニッジ天文台の外観はこんな感じ。塔の上の赤いタマが目につく。
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これも帰国後に知ったんだけど、この赤い玉、午前11時55分になるとスルスルと引き上げられ、
正午と共にストンと下に落ちるんだと。要するに一種の時報で、正式には「報時球」っていうらしい。
へぇ~・・そうだったんスか。現場にいる時はそんなこと全然存じませんでした。

世界から観光客が集まるグリニッジ天文台だけに、ミュージアム・ショップも充実してる。
本初子午線グラスに本初子午線ビールを注いで、一杯いかが?
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時計もいっぱい売ってる。グリニッジに来た記念にクラシックな懐中時計とか、
ちょっと欲しくなるよねぇ。
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科学史ファン・イ課長としてもグリニッジ訪問記念に何か買って帰りたい。 
で、買ったのがコレ。方位磁石だな。ただ、普通の磁石より立派。フタの部分に細い線があって、
この部分に目をくっつけて測るだかナンだか、とにかくそんな使い方をするらしい。
買ったはイイけど使い方をよくわかってないのである(笑)。
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いやーーグリニッジ良かったス。天文台テラスからの眺望もたいへんよろしい。
大して期待してなかったけど、ロンドンからちょっと足を伸ばした観光スポットとしてはお勧め。
一連のグリニッジ関連記事を書くためにあれこれ調べて、ずいぶん勉強にもなったぜ。
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というわけで集中科学史講座「グリニッジ天文台」、これにてお開きとさせていただきます。
皆さまの科学知識に貢献するイ課長ブログがお送りいたしました(笑)。

  

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by tohoiwanya | 2017-07-28 00:04 | 2016.06 英国銀婚旅行 | Comments(2)
Commented by Bきゅう at 2017-07-28 20:55 x
報時球、パンパかパーンドドド-ンとやるより、うるさくなくてよいかも。でも、見るのを忘れそう。やはり、ごーんと遠くから聞こえる鐘の音が一番趣あるかな。
Commented by tohoiwanya at 2017-07-30 01:05
>パンパかパーンドドド-ンとやるより、うるさくなくてよいかも

Bきゅうさん:
パンパカパーンとか鐘の音なんかだと、何kmも先にいると何秒が遅れて聞るはず。
でも赤いタマだと望遠鏡でジッと見てて、落ちる瞬間がまさに正午と分かる。
つまり「秒単位で性格な報時球」ってのがウリだったんじゃないんですかね?
もっとも、この赤いタマを望遠鏡でジッと見張るのはつらい役目だったはず。


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