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2017年 03月 16日

ナショナル・ポートレート・ギャラリー

さて、夜のオペラまではまだ時間があるから、トラファルガー広場でしばらく休んだあと
ナショナル・ポートレート・ギャラリーに行った。

ここはその名の通り、肖像画ばっかりが集まった美術館。
英国史なんて大して詳しくないし、ましてや「顔を見ただけで誰だかわかる人」なんて少ないから
そんなにジックリ鑑賞したわけじゃないけど、それでも本で見覚えのある人が何人かいたから
ご紹介しよう。写真も禁止されてなかったし。

【ヘンリー8世関係者】
英国史の中で、なぜかイ課長が局所的にそこだけ詳しい「ヘンリー8世と6人の妻」。
希代の自分勝手&好色王として有名な王様だから彼にまつわる女性たちの肖像画は多い。
これはお妃1号、キャサリン・オブ・アラゴン。
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自分の兄嫁だった女性と結婚したわけだけど(兄自身は結婚してすぐ若死に)・・うーーん・・
ヘンリーの女の趣味はちょっと変わってたとしか・・・(笑)。

そのキャサリンを強引に離婚した理由がこのアン・ブーリンと交尾したかったからなんだけど、
この絵を見るとますますヘンリーの女の趣味を疑いたくなる(笑)。相当フェロモン系の女性だっと
想像されるんだけど、この絵を見る限りイ課長は全くソソラれない。
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これはヘンリーの女の趣味の問題っつうより、16世紀イギリス肖像画家の技量の問題だと思った。
ハッキリ言ってヘタだ。様式的っていうのとはちょっと違うと思う。やっぱりヘタだよ。
同時期にドイツの大画家ハンス・ホルバインがチューダー朝関係者の肖像画をいくつも描いてるけど、
それらに比べたらガッカリするくらいヘタ。下の絵の右側はたぶんメアリ1世(お妃1号の娘)だろうが
わざと醜く描いてるようにすら思える。そりゃ確かに英国に美人は少な・・いや何でもない。
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「イギリス人は絵を描くのはヘタだが収集するのは上手」ってある本で読んだけど、たしかに
こういう絵を見るとそう思いたくなる。そういえばハンプトン・コートの幽霊回廊にあった王族肖像画も
絵としての魅力は全然なかったなぁ・・。

【ヴィクトリア女王】
背が低い女性だったようで「偉大なる矮人」なんて言われた人だ。
しかしルックスに関しては上のキャサリン・オブ・アラゴンやアン・ブーリンよりはマシ・・というか
まぁ普通の顔だ。16世紀よりは画家の技量も上がってモデルを理想化する技術をマスターしたかな。
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ヴィクトリア女王といえば19世紀、まさにイギリス最盛期に君臨した女王。けっこう長生きした。
ホームズが活躍してた頃の英国の女王様でもあるわけだよ、ワトソン君。

【マイケル・ファラデー】
20£紙幣の肖像にもなったくらいの、英国の大物理学者。
紙幣の肖像より若い頃だろうけどやけに二枚目だ(笑)。この頃になるとイギリスの画家も
マトモな肖像画を描けるようになったと思われる。
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意外なことにファラデーって平民出身で、高等教育受けてないんだよね。若い頃デービーって科学者の
助手に雇われたのがキャリアの始まり。デービーにしてみりゃ学歴もないファラデーを科学者として
育てようなんて考えはこれっぱかしもなかったに違いない。

とーころがファラデー君、才能あるある。
特に物理実験におけるセンスは天性のもので、メキメキ頭角を表し、様々な決定的実験によって
物理学、特に電磁気の研究分野では永久不滅の名を残した。

雇い主のデービー自身も新元素をいくつも発見した、けっこうエラい科学者だったんだけど、
「デービーの科学上最大の発見はファラデーを見つけたことだ」なんて人から言われたらしい。
それが面白くなかったのか、後年は優秀な弟子に嫉妬して足を引っ張ろうとしたこともあったようだ。
しかしファラデーは恩ある師匠には決して逆らわなかった。晩年まで科学者として尊敬され続けた、
人望あるけど謙虚な、立派な人だったらしい。

【アーネスト・シャクルトン】
うわーシャクルトンの肖像画が見られるとは嬉しい。
ちょうど英国に行く前にこの人に関する本を集中的に読んだもんで、シャクルトンはイ課長にとって
ちょっとした「マイブーム」だったのだ。
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ご存知ない方のために彼のしたことを紹介したいけど、短くまとめることはとても不可能だ。
いずれシャクルトンについては別ネタで取り上げる予定だから、その時改めて書くことにする。
シャクルトンというのは英国の極地探検家なのである。

というわけで、ザッと見たナショナル・ポートレート・ギャラリーでした。
もっと性根を据えてじっくり見ればいろいろ発見もあったんだろうけど、こン時はカンタベリー帰りで
疲れた上に腹も減ってたもんで、鑑賞もややテキトウだったのである(笑)。


 

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by tohoiwanya | 2017-03-16 00:11 | 2016.06 英国銀婚旅行 | Comments(2)
2016年 12月 09日

チェンマイの平面仏教美術たち

タイとラオスとじゃ経済力そのものも月とスッポンくらいの格差があるけど、そういう格差は
仏教寺院を見ても感じる。ヴィエンチャンやルアンパバーンで見たお寺も日本人から見りゃ十分
金ピカだったけど、タイに来ると「さらに金ピカ」だと思った。
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補修や手入れの度合いが違うんじゃないかな?仏像だけじゃなく、お寺自体の装飾もタイの方が
ラオスよりキラキラ度は高い。チェンマイのキラキラ寺院を見てると「ラオスのお寺はああ見えて
実はけっこう地味だったんだなぁ」と思ったよ。

本日はそんなタイのお寺に描かれた(あるいは彫られた)平面美術についてまとめてご紹介したい。
お寺の壁とかにレリーフが彫られてたり絵が描かれてるのはラオスでも見たけど、古都チェンマイの
ソレはけっこうインパクトがあった。特に本日ご紹介する後半の絵のインパクトはすごかったね(笑)。

まぁまずは穏当なところからご紹介するか。たとえばこんな絵はいかが?
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こういうヨロイを着た人の絵がけっこうあったねぇ。
これは誰なんだろう?ヨロイを着てるってことは毘沙門天?(まさかぁ)

こっちもやはりヨロイ着用だが・・・これは・・女性か?オトコには見えんが。
マツゲを強調した目の感じはちょっと少女漫画的で、まぁこれはこれで面白い。
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ドイ・ステープにはこんなレリーフ調のヤツもあったな。
手が上下2セット・4本あって、チャクラム(輪ッカ円盤状の武器)らしきものを持ってるってことは
これはヴィシュヌ神かもしれないけど、よくわからん。
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こういうのは大体お堂の扉とか、外側壁面とか、そういうところで見かけた平面美術だ。
まぁ日本のお寺じゃ見かけないモチーフではあるけど、それほど強い違和感は感じない。
東南アジア的な仏教美術として、とりあえずフツーの気持ちで鑑賞できる。

しかしお堂の中に入り、内部壁面に描かれた絵を見ると「なんだこりゃ感」がグッと高まる。
こんな絵が薄暗いお堂の壁に描かれてりゃ、そりゃ驚くって。
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何ですかこれは。何やらすごい。
真ん中でボワーッと後光を放ってるのはお釈迦様だろうなぁ。後ろにいるのはたぶん
弟子集団と想像される。しかし弟子はなぜ全員マユゲがないの?それが気になってしょうがない。

こちらもマユゲなしの(たぶん)弟子軍団。異様だ。
しかしマユゲなしも問題だが、この絵のタッチ・色調だけでも十分衝撃的だったよ。
どうやって描いてるのか知らないけど、この絵の感じを見てイ課長がすぐ連想したのは
お風呂屋さんのペンキ絵。まさかこれもペンキで・・いやさすがにそれはないと思うが。
しかもハッキリ言って絵はあまり上手くない。
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これらの絵、たぶん「ブッダ物語」における何かの有名な場面を描いているんだろう。
しかしさー、もうちょっとこう・・描きようってモンがあったのでは?と思わずにいられない。
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これらの絵が持つ強烈な違和感に比べりゃ、さっきのヨロイの絵やレリーフは格調高いよ(笑)。
ラオスじゃこんなペンキっぽい仏教画、見なかったぜ?これってタイ風なの?下の絵なんてさぁ、
背を向けてるのはたぶんお釈迦サマだろう。つまり仏教。それにひざまづいてる顔の多い方々は
明らかにヒンズー教のカミさまじゃないか?ブラフマーとか(彼はたしか顔が4つくらいある)
もうワケわからん。いずれにしても長時間ジッと見とれるって感じの絵じゃないよねぇ。
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これはお釈迦様入滅の図か。
この絵では手前の弟子たち、マユゲがあるように見受けられる一方で鼻がない人物が散見される(笑)。
そりゃさぁ、これも有り難い仏教画ではあると思うよ?思うけど、イ課長がもしどこかの
お寺の住職だとしたら、こういう絵を自分の寺の壁に描きたくはないなー。
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ちなみに、本日載せたカラーの絵は複数のお寺で見たのだ。あちこちにあるんだよこういう絵が。
このわかりやす過ぎる構図や派手な色彩感覚、インドの宗教画に近い。昔載せたガネーシャの絵
色はド派手だったもんなぁ(でもこのタイの壁画よりはずっと絵が上手だったと思う)。

イ課長の帰国後、これら一連の仏教画?の写真を見たトホ妻は「ぎゃあ」と言って逃げ出した。
まぁ正直言ってイ課長も「う・・・」と思うところはあったけど、目をそむけてはならん。
これを写真に撮ればブログ記事1回分書けると思って頑張って直視してきたのである(笑)。


 

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by tohoiwanya | 2016-12-09 00:20 | 2015.09 東南アジア旅行 | Comments(2)
2016年 10月 18日

ルアンパバーンのホトケ様たち その2

さて、ルアンパバーンで見てきたホトケ様の話の続きだ。
いかにも東南アジア的というか、日本人にはどうも違和感アリアリのラオスのホトケ様たち。
もうちょっと見てみようではないか。


【プーシーの丘の上のお堂】
プーシーの丘は眺望を楽しむところであって、あんまり仏様に参拝って感じの場所じゃないんだけど
それでもてっぺんには小さなお堂があった。

たぶん真ん中にいる一番デカい仏様が一番エラいご本尊なんだろう。
しかし堂内がちょっと暗く、お顔も目が細すぎて人相がよくわからない(笑)。真ん中の
大型ホトケ様を囲んで金銀飛車角って感じで4人の中型仏様が周囲を固めこれもまた人相が
よくわからない方々が多い。右手前の仏様の顔が一番ハッキリしてるか。明るいし。
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ちなみに、プーシーの丘ってどのくらい高いのかというと、望遠で撮るとこんな感じ。
山のてっぺんの、金のトンガリ屋根がお堂で、この中に上の仏様がいるのである。
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【ワット・ビスンナラート】
寺の名前なんていちいち覚えられないよ、という方でもここに関しては心配はいらない。
上の赤字で書いた寺の名前は今すぐ忘れていい(笑)。

この寺の場合、「すいか寺」という別名で知られてる。その理由はこの寺にある仏塔が
ちょっと変わった形で、すいかみたいに見えるからに他ならない。ほらね。
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この時はルアンパバーンでの炎天下死の行軍の途中で、汗ダクダク状態だったんだけど、
ここは観光客も少なくて(中心部からはほんのちょっと離れてる)、静かで、なかなか
居心地のいい寺だった。こっちに小さいお堂があって、また金色仏様がいるみたいだが・・・

うっぐわ・・・これには驚いた。タレ目の仏様はワット・シェントーンあたりでもすでに見たけど、
これはあまりに極端なタレ目。しかも黒目がまた異様なほどロンパリで、人間のカオとしてもはや異常。
ルアンパバーンで見たホトケ様の中では前回載せた「ビョーキのホトケ様」と並んで衝撃度が高かった。
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本堂のご本尊様はどうだ?と思って入ると・・うーむ、こちらも相当のタレ目ではあるが、
さっき見た、タレ目・ロンパリの顔面崩壊に近い仏様に比べればまだしも人間らしいような気が・・・。
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このすいか寺でイ課長が気に入ったのはタレ目大仏ではなく、周囲にワンサとある立像の方だ。
こちらの方は日本人の仏教美術観でも受け入れやすいような気がする。
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外は暑いけど本堂の中は暗くて、ソコハカとなく涼しいような気分になる。
ま、この程度の「気分的な涼しさ」では効果がないくらい、この時は汗ダクダクだったのだが。
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以上、イ課長がルアンパバーンで見てきたホトケ様たちでした。

前にも書いたように、ルアンパバーンの町内を昼間観光しようとすれば、お寺を見るというのは
まずはずせない・・というか、町内で他にそんなに観光メニューはない(笑)。
アナタもルアンパバーンに行けば必ず二つや三つ、お寺を見ることになるだろう。

建物(特に屋根)や外壁装飾にはラオス的特徴が感じられると思う。
もちろん仏様も立派だよ。相貌という点じゃかなり「う・・・」という感じのホトケ様たちだったけど、
東南アジアに行って、日本と全く同じような仏像見てもあんまり面白くないのもまた確かなわけで、
そういう意味じゃラオスのホトケ様たちはけっこう違和感キョーレツで面白かったよ。


 
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by tohoiwanya | 2016-10-18 00:12 | 2015.09 東南アジア旅行 | Comments(2)
2016年 10月 13日

ルアンパバーンのホトケ様たち その1

ルアンパバーンに来た観光客がクアンシーの滝みたいな“遠足”ではなく、ルアンパバーンの“町内”を
観光するとなると、やっぱメインはお寺の参拝、あとは王宮博物館見学、プーシーの丘に登って
絶景を楽しむといったあたりがオーソドックスなところで、イ課長もこれらは一通りやった。
まずはそのうちからお寺をご紹介していこう。ワット・プラケオに続いて東南アジア寺社シリーズ。

まずルアンパバーン到着初日。ホテルにチェックインし、部屋でひと休みし、とりあえずこの日は
ひたすら徒歩で“町内”の主要なところを見て回ろうと思ってた。となれば、まずホテルから最も近い
ワット・マイから観光をスタートするのがスジってもんだよな。

【ワット・マイ】
ワット・マイはイ課長が泊まったホテルから激しく近かった。ホテルの玄関から40秒くらい歩けば
もうそこはワット・マイの塀。何て近いんだ。

ルアンパバーンのお寺の多くは幾層も重なった様式の屋根を持ってて、それぞれ特徴がある。
ワット・マイの場合はあまり反りのない屋根が大小重なってて、わりと直線的なデザイン。
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ワット・マイの最大の見物は黄金のレリーフなのである。
門から庭までは無料で入れるワット・マイだが、このレリーフを近くから見ようと思って寺の中に
入ろうとすると階段のところで入場料徴収がある。1万キープ。約150円。

これがその黄金のレリーフ。カンボジアのアンコール・ワットやタイのワット・プラケオでも
おなじみのラーマーヤナ叙事詩の場面を描いてるらしい。ラオスもまた「ラーマーヤナ文化圏」
だったわけやな。恐るべしラーマーヤナ。
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タイもそうだけど、ラオスの仏様のお顔も日本人が見慣れた「ホトケさまのお顔」とはだいぶ違う。
それでもこのワット・マイの仏様は違和感が少ない方だと、今となっては思う(笑)。
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このお寺の仏様、後ろから見るとさらに面白い。
わかる?仏様の背中に鼻をつけるくらい近くにもう一つ小柄な仏様がくっついてて、その後ろに
さらにまた背中合わせでもう一体の立像が。どういう理由でこういう置き方になったのか?
単に仏様の数に対してお堂の面積が狭いからこういうホトケ密度になったのだろうか?
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かと思うとトツゼンこんなキンキラ仏もいるから戸惑う。顔は完全にインド風だ。
うーむ、ルアンパバーンのホトケ様ってひなびた感じかと思ってたけど、こうやって見てみると
いかにも東南アジア的ハデ路線ブッダなのかも。
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【王宮博物館のワキにあるお寺】
名前を忘れた。しかもここは外から見ただけで、ホトケ様の顔も見てこなかった。
外観で特徴的なのはやはり屋根で、上で見たワット・マイの直線的屋根に比べるとグッと反りがあって、
華やかな印象。
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【ワット・シェントーン】
ルアンパバーンの中心部からワット・マイ⇒王宮博物館と見ながら、さらにずんずん歩き続けると
川の分岐点、つまり町のどん詰まりに近いあたりでワット・シェントーンに行きあたる。
このワット・シェントーン、ラオス国内で最も美しい寺との呼び声も高い。16世紀に建てられたそうで
参拝者にグウとも言わせない歴史と格式を誇る寺でもあるのだ。

ここでもまず見るべきはやはり屋根なのである。ワット・シェントーンと言えばその特徴的な屋根で有名。
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うーむ確かにこの屋根の形は印象深い。建物はそんなに大きくないところに、このグッと反りのある屋根が
深くかぶさってるから、壁は屋根に隠れちゃってるといっていい。

日本の寺社建築と比較すると興味深いね。
日本もラオスも雨が多い。だから雨が降りこまないように屋根を大きく張り出させて建物を隠すように
してるという点で基本的な寺社設計思想は共通してる(んじゃないかなぁ?)。

ただ、そうは言っても冬寒い日本では日差しも多少は欲しい。だから屋根の影がいくぶん小さくなるように
屋根の端にいくほど反りを強くしてるけど、暑い国ラオスじゃそんなことするより、とにかくガバーッと
深く屋根を建物にかぶせて直射日光を防いでる(・・・んじゃないかなぁ?)。
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本堂に入るにはやはり入場料をとられる。20,000キープ。約300円。さっき見たワット・マイの倍。
ま、何せ物価は安くないラオス。そのラオスで最も美しい寺とあっちゃ、しょうがあんめぇ。
とりあえずホトケ様だよ。ここの寺のホトケ様はどんな顔だ?

う・・かなりのタレ目。しかもマブタがやけに腫れぼったくて、どうも日本人にはシックリこない
お顔だよなー。ま、ラオスの人からみれば金箔ハゲハゲの日本の仏様なんて「修復前のものが置いてある」
ようにしか見えないんだろうなきっと。
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隣りのお堂にいたこの仏様なんて、見た瞬間思わず「うわぁ病気のホトケ様だ」と思っちまった。
とにかく表情に生気がなくて全然健康的に見えぬ。養命酒でも飲んだ方がいいんじゃないか?
顔色も悪いよねぇ。金箔貼られた仏像に対して「顔色」の良し悪しを言うのもヘンだけどさ。
やけにゲッソリしたその表情にイ課長も動揺したせいか、写真もややピンぼけ(笑)。
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まぁホトケ様のお顔は置いといてだね、ワット・シェントーンは壁画にも一見の価値があるのだ。
これは「生命の樹」という、有名な壁画モザイク。ま、有名っつうても大したことはないが(笑)。
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こっちのお堂の壁画は変わってるねぇ。切り貼りモザイクとでもいうか。人物描写も単純化されて
ちょっと漫画調。こういうのは素朴派絵画みたいでちょっと面白い。
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同じ仏教でもそこは東南アジア。ルアンパバーンの仏教美術、特にホトケ様のお顔は(日本人には)かなり
変わってて異国情緒タップリだ。写真はいっぱいあるのでこのネタは次回もう一度続けたいと思う。


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by tohoiwanya | 2016-10-13 00:08 | 2015.09 東南アジア旅行 | Comments(0)
2016年 10月 10日

ワット・プラケオのラーマキエン壁画

数年前、イ課長はある本でワット・プラケオにある壁画が紹介されたのを読んだことがある。
「ウワ何というかコレはまた・・」というような壁画なんだけど(笑)、ちょっと見たくなった。
それはインド発祥の壮大なる叙事詩ラーマーヤナを題材にした壁画なのである。

ラーマーヤナといえば、まず思い浮かぶのはアンコール・ワットの第一回廊だ。
ランカー島の戦いを描いたあの第一回廊のレリーフの素晴らしさは未だに強く記憶に残る。

ワット・プラケオにある壁画はラーマーヤナのタイ版・ラーマキエン叙事詩を題材にしてる。
基本的ストーリーはほぼ同じで、主人公ラーマ王子がサル将軍ハヌマーン率いるサル軍団に
加勢してもらいながらシータ王女を奪還するという「魔笛」みたいな、あるいはスターウォーズの
第1作めみたいな話が軸になってる。これを見たかったんだよ。

壁画ってどの辺にあるんだろうなぁ?と思ってたけど、いざワット・プラケオに行ってみれば
そんな心配は無用であることがわかる。寺をグルッと取り囲む回廊全てに壁画があるんだから。
これ、一体全部で何mあるんだろう?すさまじい長さだよ?

どこまでも続く長い壁画、どこが開始地点なのかもわからない(笑)。
適当なところからエイヤと見始めるしかない。どうせラーマーヤナのストーリーなんて
ロクに知らないんだから、どこから見たって内容がよくわからないのは同じこと。

うぉっと、何だかいきなりスゴい場面です。
巨大化した誰かの上をみんながゾロゾロ登ってます。この巨大化した容貌魁偉なイキモノが
サル将軍・ハヌマーンじゃないかと思うんだけど、違うかな?
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うぉっと、こっちじゃシッポを橋がわりにしておサルさんたちを渡らせてます。
やっぱこれがハヌマーン将軍だと思われます。大活躍です。しかし上の写真とはいささか
お顔が違います。おそらく異なる画家が描いたんだと思われます。
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お?これもハヌマーン将軍でしょうか?ここでは美女の人魚に言い寄っているではありませんか。
人魚のオッパイに手を回したりして、実にけしからん振る舞いに及んでいます。
この場面だけ見ると勇敢なサル将軍どころか、単なるエロザルです(笑)。
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おっとーーー!!出ました。これです!この絵が見たかったんです。
数年前に読んだ本でこの場面が写真で紹介されてて、あまりの異様さにイ課長は呆れた(笑)。
サル将軍・ハヌマーンが自分の大口の中に主人公たちを安全に避難させてる場面・・らしい。
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アップで見るとこれがすごい細密描写だ。口の中にかくまわれた人間たちの金のヨロイの
細かい模様まできちーんと描かれてる。いやーすげぇ。
長〜〜〜い壁画のどの辺のこの絵があるのか全然わかんなくて、ずいぶんグルグル歩いたけど
しっかり見られて余は満足ぢゃ。
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このラーマキエン壁画、とにかくサル将軍はそこらじゅうに出てくる。これもそうだよな。
こっちじゃ巨大な敵と勇敢に戦ってて、さっきのエロザルと同一サルとは思えません(笑)。
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とにかく原作のラーマーヤナは波乱万丈&見せ場タップリの一大叙事詩。壁画のどこを見ても
「何だかわからんが何やらスゴい」って感じの場面ばっかりだ。これ、畑を耕してたら
ツボの中から子供が出てきたっていうのは、ひょっとするとシータ姫誕生の場面かなぁ?
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さっきも言ったけど絵の細密描写がとにかくすごくて、下の敵味方入り乱れた戦いの様子も
大変なもんだ。これはアンコール・ワットにもあった「ランカー島の戦い」の場面だと思われる。
ちなみに、ランカー島って現在のスリランカ島であるっていうのがラーマーヤナ解釈においては
定説になってるようだ。
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とにかく見れば見るほど細密な描きぶりには驚く。「写真のようにリアル」っていうのとは
全然違って、極めて様式的ではあるんだけど、ものすごく丁寧に時間をかけて描いてる。
たとえば下の絵、真ん中のお堂の中に黒い顔の人がいて、前に身を乗り出してるよね?
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その身を乗りだした人をアップで見るとこの細かさだからね。金の装飾模様がすごい。
「画家の芸術性」なんてものは最初から意識せず「職人の緻密さ」のみを追求して描いた
壁画って感じだ。ストーリーがわかんなくてもなかなか見応えある。
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しかしラーマーヤナの影響力には改めて驚かされるね。
元々インドで出来た叙事詩だろ?それがこうしてタイでも、カンボジアのアンコール・ワットでも、
ラオスのワット・マイでも描かれ、果ては海を渡ってインドネシアのバリ島にまで伝わって
あのケチャになったんだから。西南~東南アジアはラーマーヤナ共通文化圏と言っていいんだろう。
(ケチャの『チャッチャッチャッ!!』って掛け声はハヌマーン将軍率いるサル軍団を表してるらしい)。

いやいや楽しませていただきました。ラーマキエン壁画。
詳しいストーリーを知らず、ハヌマーンの大口だけ見て喜んでるようなイ課長だから
さらーっと見て済んだけど、ラーマーヤナに詳しい研究者がジックリ観察しながら見たら
一日かけてもとても足りないだろ。そのくらい長大な壁画なんだよ。
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実はだね、イ課長は最近になってラーマーヤナのあらすじくらいは勉強し始めたのである。
終盤のランカー島の戦いはまさに全編のクライマックスで、いろんな見せ場について知ると
「この場面、ワット・プラケオの壁画ではどう描かれてたっけかなぁ?」と思うことも多い。

ちょびっととは言え、せっかく勉強したんだから、次回バンコクに行くことがあればもう一度
ラーマキエン壁画をジックリ見たい気もするが、そのためには500バーツの高額入場料が必要。
壁画見るだけのためにもう一度500バーツ・・・うーむ・・微妙だ。


 
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by tohoiwanya | 2016-10-10 00:14 | 2015.09 東南アジア旅行 | Comments(2)
2015年 12月 16日

乳海撹拌【ビジュアル資料補足】

前回記事で乳海撹拌の神話をご紹介したけど、写真は借り物1枚だけだった(す、スマヌ・・)。
そのお詫びというわけじゃないけど、前回記事での「視覚的欲求不満」を少しでも解消すべく、
ちょっと違う乳海撹拌の写真をたっぷりご覧に入れようではないか。

乳海撹拌ってヒンズー教では有名な天地創造神話で、アンコール・ワット第一回廊のレリーフは
それを表現したビジュアル作品としてたぶん世界一有名だろう。Wikipediaにもその写真があったから
使わせていただいたわけだけど、もっと詳しく見たいという方はこの辺のサイトをご参照いただきたい。
でもいつかはご自分の目で直接ご覧になることを強くお勧めしたい。

アンコール・ワットが「世界で最も有名な乳海撹拌ビジュアル化作品」だとすれば、以下にご紹介するのは
世界で二番目か三番目に有名かもしれない。いやホント、マジでそうかもしれないんだよ。

実はバンコクのスワンナプーム空港搭乗ロビーにはけっこうデカい乳海撹拌の立体モニュメントがある。
スワンナプーム空港にそんなものがあるなんて全然知らなかったけど、今やイ課長も乳海撹拌には
ちょっとうるさい(笑)。9月のビエンチャン乗り継ぎの間にたっぷり見学して写真も撮ってきた。

どぉーーーーーん
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アンコール・ワット第一回廊の乳海撹拌は100m近い長さがあるから、ヘビを引っ張る人数も
ものすごくて、神々やアスラが延々とズラーーッと重なってヘビを引っ張ってるアリサマは
「どこまでも果てしなく・・」的な、一種の幻惑効果がある。
こうやって3次元的につくられるとそういう感じはなくなるけど、まぁこれはこれで面白かったよ。
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大ヘビのシッポをひっぱる神々軍のメンメン。みなさんキリッとしたイケメンぞろいときたもんだ。
さながらジャニーズ事務所軍団といった風情。
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一方、頭の方をひっぱるアスラ軍は典型的な悪役ヅラ。
実はアスラ軍に頭の方を引かせたっていうのもヴィシュヌ神の狡猾な計算で、綱代わりにされた大ヘビは
苦しいもんだから口からボウボウ火を噴いたりして、頭をひっぱるアスラ連中はアッチチチの大やけどだ。
しかしジャニーズ神々軍の方はシッポを引っ張ってるから大丈夫ときた。きったねぇよなぁヴィシュヌ。
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これが今回の乳海撹拌の総合プロデューサーといえるヴィシュヌ神。あらえっさっさーって感じで
あまり荘厳さは感じられない(笑)。
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マンダラ山を乗せた亀さんの顔はこんな。高速回転してるはずなのに特に苦しそうじゃないね。
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しかし超巨大ミキサーでぐわぁーッと超高速撹拌される乳海のかき混ぜられっぷりは迫力満点。
コナゴナにされる魚たちはたまったもんじゃないが。
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様式化された平面レリーフでありながら高い芸術性を感じさせるアンコール・ワットの乳海撹拌に比べて
このスワンナプーム空港の乳海撹拌は神秘性はあまりないけど(笑)、わかりやすくてそれなりに
見てて楽しい作品だと思う。思わず写真を撮ってる人も多くて、空港の人気モニュメントといえる。
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これを見たのは早朝5時に到着して乗り継ぎを待ってる間だったから、まだ朝6時前だったと思う。
そんな時間でも空港利用者はそれなりにいるし、空港で働いてる職員もけっこう多い。

おお何と。空港職員が乳海撹拌の前にペタリと座ってお祈りしてる。
スワンナプーム空港の乳海撹拌モニュメントはいまや信仰の対象でもあるようだ。すげー。
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タイやカンボジアって基本は仏教国なんだろうけど、古くからヒンズー教の影響もうけてるし
アンコール・ワット自体もヒンズー教寺院。だから乳海撹拌っていう神話モチーフもインドだけじゃなく、
カンボジアとかタイとか、広く東南アジア全体に知られてるんだろうな。

というわけで本日は乳海撹拌に関する、いわば「ビジュアル的補足」とでもいうべき記事でした。
次回からまたアンコール・ワットの紹介に戻ります(相変わらず写真はないが・・くそ)。

 
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by tohoiwanya | 2015-12-16 00:08 | 2015.09 東南アジア旅行 | Comments(2)
2015年 11月 09日

ベトナム社会主義アート展

ベトナムの小ネタを続けよう。

ご存知のようにベトナムという国は社会主義国である。

でもサイゴンの街を歩いてて、そういうことを意識する機会ってそんなに多くない。
そこらじゅう赤旗がハタメいてるわけでもないし、市民がそろいの人民服着てるわけでもない。
モノは豊富で商業活動はさかんでボッタクリもさかん(笑)。普通の資本主義国と何も変わらない。

しかし、ああこういうトコはいかにも社会主義的だなぁと思わせるモノもある。
イ課長が強くそれを感じたのはサイゴンの街で目にする一種の広告看板だ。これがいかにも
「社会主義アート」って感じで、いろいろ見て比較するとけっこう面白いんだコレが。

何をもって社会主義アート的だと感じるか?これは人によって違うだろうけどイ課長に言わせりゃ
まず描かれたモデルだよね。社会主義アートにおいては常に絶対的に主役は労働者なのである。
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それと、当然のことながら看板のテーマが商品宣伝等ではなく、ある種の国民的スローガンとか
「ナントカ○○周年」みたいな国をあげての祝賀モノとか、要するに「国の宣伝」だよね、必ず。

そういう社会主義アート感覚にあふれた看板はサイゴンの街でけっこう見かけた。
下の看板に書かれてるけど、ベトナムの独立って、日本が戦争に負けたすぐ後、
1945年の9月2日だったらしい。だから今年は独立70周年ってことで、イ課長が行った
去年9月は独立69周年記念日のちょっと後だったということになる。

下の写真がまさに独立69周年祝賀看板。男性が先頭でタイコ?をたたいて、その後に
楽しそうな女性たちが続く。バックは発展する産業と科学技術。ベトナムよいとこ一度はおいで。
産業さかんで姉ちゃんはキレイなのだよ、同士諸君。
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下の看板では労働者とか兵士とかに加えて医者が描かれているのが興味深い。
要するにインテリの代表ってことだよね。農民、労働者、兵士、そしてインテリも一緒になって
ベトナムを発展させましょうってことだろうな。インテリを殺しまくったポル・ポト体制とベトナムは
同じ社会(共産)主義でもこういうところがコンポン的に異なるのだよ同士諸君。
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どの絵も人物の色の塗り方は(たぶん印刷しやすいように)単色を平面的にベタッと塗ってるけど、
顔のハイライト(光の当たってる面)を部分的に白くして、うまく立体感を出してるあたり、
いかにも「安定した手慣れた画法」って感じだ。

これは・・・なんだろう?たぶん何かのスローガンだよね。
建国の父・ホーチミンを背景に、手前に労働者とか兵士とかが並んでるのは「いかにも」だけど
その中に一人、僧侶らしき人物が交じってるのがこれまた興味深い。社会主義国ではあっても
宗教関係者(ま、主に仏教だろうな)もまた同士の一人なのだってことなんだろう。
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こっちは66周年・・・独立じゃないな。なんのアニバーサリーだろう?
とにかく去年の11月6日で「ナニカの66周年」だったのだ。喜ばしいではないか同士諸君。
この絵の右側にいる三人の人物をよーく見ておいていただきたい。
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おお何と。あの三人は左右反転して別の看板にも登場しておる(笑)。
これ、同じ元絵を使っているのは明らかだ。メガネくんのシャツの色変えたり、手前の女性に
花を描き加えたりしてゴマカしてる・・などと細かいこと言うな!ブルジョア主義のイヌめ。
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下の写真も「○周年記念」のたぐいじゃなく、何かのスローガンを訴えてると思われる。
もちろんそこには偉大なるホーチミンの横顔があるわけだけど、イ課長の興味はやはり
右に描かれたモデルたちの方に向く。
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さっきと同様「インテリ代表」としての医者に加え、おジイさんとかノンラー+アオザイ姿の女性とか、
モデルの幅が広い。そのくせ「稲穂を持った農民」みたいな典型的農民の姿はない。その代わり
ネクタイ姿のホワイトカラー労働者が描かれてるあたり、ベトナムの「労働者イメージ」も徐々に
変わりつつあるんだろうな。ベトナム社会主義アートの新しい潮流といえる(かなぁ?)。

最初は何となく写真撮ってたんだけど、そのうち「あ、この看板だけでブログ記事になるな」と
思い直し、あちこちで社会主義アートの写真を撮ってきた。その写真を使って一年後の今こうして
予定通りブログ記事一つ書いたんだから、イ課長はとても計画性が高いと思わんか?同士諸君(笑)。

  
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by tohoiwanya | 2015-11-09 00:11 | 2014.09 東南アジア旅行 | Comments(4)
2014年 07月 20日

ゲントの祭壇画 -神秘の子羊-

ゲントで行きたいと思ってた屋内観光物件。それはある教会が所蔵する祭壇画なのである。

以前にルーブル美術館の記事にも書いたけど、イ課長の美術的教養の大部分は
NHKの「ルーブル美術館」シリーズと朝日新聞の「世界名画の旅」シリーズで形成されている。

その「世界名画の旅」でゲントの祭壇画、別名「神秘の子羊」という絵を初めて見た。
宗教画だから内容はよくわかんないんだけど、とにかく保存状態が良いせいか異常に色が鮮やかで、
描かれているもののディテールが異常に細密で、要するに「何だかわからんが異常にすげぇ」っていう、
そういう印象の絵だったんだよ。ファン・アイク兄弟が15世紀に描いたとされる。

フランドル絵画の傑作中の傑作と言ってもいいこの祭壇画はゲントの聖バーフ教会に所蔵されている。
せっかくゲントに来たんだから行ってみようじゃないの。下の写真右側が聖バーフ教会。入場は無料だけど
教会には特に見るべきものもなくて、祭壇画は別室に展示されてる。こちらはさすがに無料ではない(笑)。
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ファン・アイク兄弟の話をするために、先に別の絵のことに触れよう。
この兄弟、とにかく絵が上手だったんだけど、特に弟のヤン・ファン・アイクは「神の手を持つ男」と
言われたほどの技術の持ち主で、彼が描いた有名な絵に「アルノルフィニ夫妻の肖像」という絵がある。
「ああ、この絵は見たことがある」という方も多いだろう。
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この絵も絵画史上の傑作中の傑作と言われてて、特にヤンの異常なほどの細密描写技術の例として
よく引き合いに出される。この夫婦の真ん中にギザギザのついた小さな丸い鏡があるじゃない?
この小さな鏡を拡大するとだ・・・
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こんな具合に実際に凸面鏡に映った部屋、モデル、絵を描いてる自分自身まで描き込んでるから驚く。
鏡自体に施された装飾の細密な描写も「そこまで描くか?」ってくらい細密。昔から思ってるんだけど、
こういう人間業とは思えないくらい精密にリアルに描かれた絵って、逆に幻想絵画に近づくよね。

こういう異常な技量を持った画家が、その異常な技量を余すところなくつぎ込んで描いた祭壇画。
さぁそれではご一緒に鑑賞・・と言いたいところだが、中は撮影禁止なので、Wikipediaにあった画像を
拝借させていただこう。
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祭壇画は大きなガラスケースの中に納められてて、表も裏も鑑賞できるようになってる。
(裏側には、ちょうど祭壇画のフタにあたる部分の絵があって、これがまたスゴいんだ)
細部をご覧いただくにはこのサイトがいい。どんどん拡大して見てごらん?ちょっとびっくりするよ。
ハッキリ言ってこの祭壇画、拡大して見ないとそのスゴさはわからないのだ。

上段中央の「父なる神」が胸にかけてる宝石の飾りなんかは得意の光沢描写テクニックが
ふんだんに使われてる。ヤン・ファン・アイクくらい異常に絵が上手になっちゃうと、こういう
「光沢を放つ宝石」みたいな得意中の得意といえるモチーフは居眠りしてても描けたんじゃないかと
思えちゃうよね。細部を精密に絵画として再現することにかけちゃまさに天才だった。
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下段左の騎士たちの甲冑の光沢表現もまたお手のものって感じだけど、油絵の歴史においては
こういうテクニックこそまさに革新的技法だったらしい。
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上段左寄りの聖歌隊がまたすごい。服の刺繍や宝石の細密描写のスゴさはいつものことだけど、さらに歌い手の
歯や舌の位置まで正確に描かれてて、誰がどのパートを唄っているのか推測できそう、とすらいわれてる。
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上にも書いたように、普通の距離から実物を見ただけじゃここまで細部はわからない。
この拡大可能サイトの絵を見て、改めて「うわぁすげぇ絵を見たんだなぁオレは」と思ってるところ(笑)。
細部を観察したい場合、双眼鏡とか持ってって見るっていうのも一つの方法かもね。

バーフ教会の外にこの祭壇画を描いたファン・アイク兄弟の銅像がある。
雪が積もって寒そうだけど、まぁとにかく大した兄弟だったよキミたちは。
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ちなみに、このゲントの祭壇画はいま段階的に修復してるそうで、そのスケジュールは以下の通り。

2012年10月~2014年10月:祭壇画の扉部分、外側のパネル
2014年10月~2016年4月:祭壇画内側、上段部のパネル。中心部「父なる神」を含む。
2016年4月~2017年10月:祭壇画内側、下段部のパネル。中心部「神秘の子羊」を含む。

イ課長が行ったのは2013年2月だったから、主要部分は修復前で実物を見られたわけだ。
内側の上段・下段、「父なる神」や「神秘の子羊」はこの祭壇画のキモだから、これを見たいという方は
今年10月までにゲントに行くか、さもなければ2017年11月まで待った方がいいのかもしれない。


 
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by tohoiwanya | 2014-07-20 00:14 | 2013.02 欧州出張 | Comments(4)
2014年 01月 05日

生神女就寝大聖堂の少女漫画風壁画

さて、ヘルシンキネタ消化に戻ろう。
それにしても今日の標題は漢字が多いなぁ~(笑)。

生神女就寝大聖堂。読み方もよくわからなかったんだけど、さっきWikipediaで確認した。
「しょうしんじょしゅうしんだいせいどう」と読むらしい。

生きた女神が就寝している大聖堂・・・?なんだソレ?と思う人もいるはずで、イ課長もそう思った。
想像したのはタイやビルマの「寝釈迦」みたいに、女神様がゴロリと寝てる巨大像があって、
それが信仰を集めている大聖堂なのだろうということだ。他にどんな解釈が可能だというのだ?

ヘルシンキについては事前の研究もズサンだったんだけど、とりあえずガイドブックだけは持ってった。
その中にこの生神女就寝大聖堂というのがあったんだよ。
例の4ブラザースに挨拶し終わったイ課長、さてどこに行こうかと考えて、ここのことを思い出した。
寝釈迦ならぬ、寝女神の像があるのかなぁ?と思って、トラムに乗って行ってみることにしたのである。
中央駅からの距離はそんなに遠くない。

これが外観。なかなか立派な建物だ。
「寝女神さま」はこの建物の中にあるんだろうから、さっそく中に入ってみようじゃねぇか。
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これが内部。これまたなかなか立派だ。
しかし、「寝女神さま」はいないみたいだねぇ・・・。
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結論から言うと、この聖堂で寝ている女神様はいなかった。
「眠れるヴィーナス」みたいなセクシーな巨大女性大理石像でも見られるかと期待してたんだが(笑)。

ちょっと調べたところでは、ここってロシア正教会とかギリシャ正教とか、とにかく「正教系」の聖堂らしい。
カトリックやプロテスタントとはちょっと流派が違うようで、ここでいう「生神女」はマリア様、「就寝」は「永眠」を
表すらしいんだよね。カトリックなら「聖母被昇天大聖堂」っていう訳語になるらしいんだけど、「正教系」だと
それがどうして「生女神就寝大聖堂」になるのかはわからない(もっと調べろってば)。

この聖堂で「ありがたい」とされているのは、むしろこの祭壇のようで、確かに豪華絢爛なものだった。
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ただ、イ課長がこの大聖堂で一番面白かったのは壁画に出てくる聖人たちのお姿だ。
やけに目がパチッと大きくて、早い話、少女マンガ的なジイさんたちにみえてしょうがない。
たとえば、ほら、これとか。
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これも。やたら「美ジジイ」な聖人だよね(笑)。
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これなんかもそう。同じ画家が描いているのは明らかで、ヒゲや頭髪の形、服装以外はどれも同じ顔じゃん。
要するにこの画家は人間を描くときは、基本的にこういう顔にしか描けないという“画風”のようだ。
「宗教壁画界のキャプテン翼」というべきか。
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これも同じ画家の、同じ画風による聖人。横顔にもかかわらず、目だけは正面から見たような感じで描かれてる。
「横顔でも目は正面」って、古代エジプト壁画なんかと同じ画法だ。すげぇ。
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巨大な「横たわる女神」はいなかった生神女就寝大聖堂。
そこで一番印象に残ったものは、結局この少女漫画風聖人さんたちの壁画だったのである(笑)。

聖堂を出ると、駐車場の観光バスの向こうに船が見える。港が近いんだよな。
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ちなみにこの観光バス、「イ」の字が抜けてるけど、「バイザイ号」という名称らしい。
日本人ツアー客専用のバスなのであろうか?さすが東アジアからの観光客誘致に注力するフィンランド。
日本語の名前がついたバスなんてポーランドじゃ想像もできんかったが、ヘルシンキにはあるんだ。
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さて、少女漫画風壁画も撮ったし、バンザイ号も撮ったし(いいのか、そんなんで?)、天気はいいし、
ぶらぶらと港の方に歩いて行ってみようかね。

イ課長のお気楽なヘルシンキ観光はまだまだ続くのである。
 
 

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by tohoiwanya | 2014-01-05 22:22 | 2012.06 東欧・北欧旅行 | Comments(8)
2013年 04月 26日

アントワープ決めゼリフ

なんと二日連続更新ときた。素晴らしいではないか。
続きものだとね、続編プレッシャーかけてくるヤカラもいてね、なかなか大変なのヨ(笑)。

さて、とにかく前回の続きだ。アントワープに来て「絶対にすべきこと」をする。するったらする。
アントワープを訪れた日本人なら必ず成し遂げなければならない、神聖なるミッション。
「あの教会」の「あの絵」の前で、「あのセリフ」を言わねば(・・・あ、もうバレバレ(笑))。

まず「あの教会」。それはアントワープにあるノートルダム大聖堂(聖母大聖堂)に他ならない。
市の中心部にあって、高い塔があるから、これは初めての旅行者でも見つけやすい。
ブラボー像のある市庁舎前広場からだとすぐ近くだよ。
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次に「あの絵」。「あの絵」とは、ノートルダム大聖堂が所蔵する、ルーベンス作「十字架降架」だ。
さっそく大聖堂の中に入って探す。どこだ?おそらく祭壇に近い奥の方だと思うんだが・・・

ぎく!おお、あれは「十字架昇架」だ。
この大聖堂にはルーベンスの「十字架昇架」と「十字架降架」がセットで置かれているのである。
ドキッとするじゃねぇか。
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うーむ、しかしこの「十字架昇架」もなかなか見事な絵だよなぁ。
ルーブルじゃ相当ひどいこと言ったけど、この「昇架」「降架」の2枚セットはルーベンスらしい
ドラマティックな構図がうまくハマッてて、彼の作品の中では傑作の部類だと思うんだよ。
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だがとりあえず、いまは「昇架」じゃなく、「降架」の方を探さねば。どこだ?
見学者の少ない大聖堂の中をうろうろ歩きまわるイ課長。

うおおおおお。あったありました十字架降架。ついにこの目で見られたか。
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よし。では「あのセリフ」を言う態勢を整えよう。
絵を前にして・・・この辺りに座って・・・位置的にこんなもんかな。少し見上げる感じで・・
それではみなさん、「イ課長」のところをご自分の名前にして、一緒に「あの決めゼリフ」をご唱和ください。









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今さらご説明するまでもないが、「フランダースの犬」のラスト、ネロ少年が息をひきとるのは
ここ、ノートルダム大聖堂に飾られた、ルーベンスの「十字架降架」の絵の前なのである。
ひとえに「フランダースの犬」のせいで、ここに来る日本人観光客はものすごく多い。

え?そんなバカなことするのはイ課長くらいだって?ふふふ、そんなこと言っちゃっていいのかな?
少なくとも、このノートルダム大聖堂に来る観光客の中で日本人比率が異常に高いことをイ課長は
容易に証明できるのだ。ほら、この主要国語別パンフレットの量を見てみ?
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地元のオランダ語版ですら3列だよ?フランス語版なんてたった2列しかない。ところがドウよ、
日本語版だけ4列も置かれてる!これにはイ課長もブッたまげた。日本人、よ~っぽど多いとみえる。

「フランダースの犬」の原作は地元じゃほとんど知られてないらしいけど、日本では局所的に人気が高い。
特に「カルピスまんが劇場」で放映されたアニメ版が、その悲しいエンディングによって当時の少年少女に
深刻な悲劇体験の記憶を植えつけたのは有名な話だ。
ちなみに、上のセリフ。アニメ版最終回のセリフとしてあまりにも有名だけど、正確には
「もう疲れたよ」っていうのとはちょっと違うらしい。ま、どうでもいい話だが(笑)。

あの最終回に涙した当時の小学生くらいの少年少女が、今や40・50のオジサン・オバサンになり、
遠い日本から続々とこのアントワープの大聖堂に押し寄せ、この絵の前で、あのアニメを思い出して、
目をウルウルさせてるのは間違いないんだよ。あのパンフレットの量が雄弁にそれを物語っておる。

アニメ放映当時、イ課長はもう中学か高校生くらいだったはずで、カルピスまんが劇場を見るトシではなかった。
そのイ課長でもアントワープに行ったら、ぜひルーベンスの絵の前で「パトラッシュ・・・」と言わなくちゃ、って気に
なるくらいだから、日本のアニメ史上最も有名なセリフの一つといってもいいんだろうな。

しかし、ここに来てアニメの話ばかりするのもまた日本人だけに違いない(笑)。
一応、絵のことにも触れよう。さっきも言ったように、この絵はルーベンスの作品では傑作の部類だと思う。
祭壇をはさんで左側に「昇架」、右側に「降架」が置かれてるんだけど、昇架では光の当たったキリストの体が
右下→左上に、降架では右上→左下というナナメ構図に置かれてて、祭壇をはさむと「逆ハの字」を構成する。
さすが巨匠ルーベンス。この辺の視覚効果をしっかり計算しているのだ。
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もし、この絵が修復中か何かで、「ネロとパトラッシュごっこ」が出来なければ大変な失望を味わっただろうが、
ちゃんと見られてよかったよかった。お礼がわりに、毎度おなじみ、寄付ロウソクをともすことにしよう。
(一番奥の、高くなってる列の右端がイ課長ロウソク)。
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「アントワープで絶対にすべき」ミッションは無事終了した。
いやぁ〜、心が洗われたようにすがすがしい気分だ(笑)。
さて、まだ時間はあるし、もうちょっとアントワープという街をのんびり探検してみっか。
(アントワープネタ、まだ続くようだ)

 

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by tohoiwanya | 2013-04-26 00:08 | 2012.03 欧州出張 | Comments(12)