人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2010年 12月 11日

ウォータールー橋のナゾ

休日出勤の誰もいないオフィスからブログを更新するイ課長ですこんにちは。

国内出張ネタ→台湾旅行ネタと続いたから、今日はヨーロッパのネタでいくか。
イッカン性のないブログで読む方は大変だろうけど、書く方だって大変なのだ(笑)。

本日は久しぶりに映画ヲタク系の話でまいりましょう。
フランス旅行記では映画ヲタクぶりを炸裂させたイ課長だったけど、さすがに
好きで行くわけでもない出張先では映画ヲタクの血が騒ぐような機会は少ない。
出張先で「あの映画のアソコが今目の前にッ!」的な興奮を味わったような経験は
2008年ワシントンDC出張で見たエクソシストの階段くらいじゃないかなぁ?

ただ、今回の欧州出張は最期の訪問地にロンドンがあった。
パリほどじゃないけど、ロンドンを舞台にした映画というのはけっこうある。

お若い映画ファンはトンとご存知ないであろうオールド名画に「哀愁」という映画がある。
1940年製作の白黒映画。イ課長ですらずっと後年にテレビで観たことしかない。

この映画、邦題こそ「哀愁」なんてメロメロドラマな題名になってるけど、
原題はズバリ、Waterloo Bridge。橋の名称がそのまま題名になってる。
ロンドンの「あの映画ゆかりの場所」、オールド映画ヲタクにはまずココが思い浮かぶのだ。
ウォータールー橋のナゾ_f0189467_15391273.jpg

ロバート・テーラーとビビアン・リーという、当代随一、極めつきの美男美女が
悲しき恋の運命に翻弄されるってな感じの映画で、まぁ映画史に不朽の名を残すほどの
ご立派な映画じゃないが(笑)、古き良きメロドラマの王道をいく名作なのである。

この映画ではウォータールー橋は二人の最初の出会いの場所、ヒロインが死ぬ場所、
そして中年となった主人公が回想にふける場所として何度も出てくる。
建築的価値はともかくとして、映画ファンにとってはロンドンで一番有名な橋だろうな。

ウォータールー橋には仕事が終わった後、土曜の半日観光の時に行く機会があった。
ハンプトン・コート見学から列車で昼過ぎにウォータールー駅に戻ってきたのだ。
ここまで来たら、足を伸ばしてウォータールー橋を見ることなく日本に帰れようか。
ウォータールー駅から橋は歩いて5~6分程度の近さなんだから。
ウォータールー橋のナゾ_f0189467_15414413.jpg

あれ?映画に出てきたのはこんなガランとした橋だったっけ?確か鉄橋じゃなかったかなぁ?
検索して確認してみたら、ほら、やっぱし。こりゃどう見ても鉄橋だろ。
ウォータールー橋のナゾ_f0189467_1542756.jpg

映画は第一次大戦の頃を舞台にしているから、製作者サイドは当然「第一次大戦当時の
ウォータールー橋」を模して撮影セットを作ったはずだ。
(橋の場面はロケではなく、明らかにセット撮影だと思われる)。
そうか、今はそうじゃないけど、第一次大戦当時のウォータールー橋は
実は鉄橋だったんだと考えればツジツマは…

…合わないんだよ、これが。
確かにこの橋は1942年に一度架け替えられてるらしい。最初は9径間石造りアーチ橋として
建設され、架け替え後は5径間コンクリート橋になったと…ふーむ。
モネがこの橋を描いてるんだけど、彼が描いた頃は「9径間石造りアーチ橋」だったのは明らかで、
イ課長が渡ったのが「5径間コンクリート橋」ってことになる。
ウォータールー橋のナゾ_f0189467_15433647.jpg

ウォータールー橋のナゾ_f0189467_16192423.jpg

つまり、かつてこの橋が鉄橋であったことなんて、一度もないみたいなんだよな。
じゃ、何で映画の中では鉄橋ということになってるんだろうか?
映画製作者たちが手間を惜しんでロクに時代考証せずに、適当にセット作ったのか?

まぁいい。とりあえず橋を渡ろうではないか。
ウォータールー駅ガワからこの橋を渡ると、右側の遠~くにセントポール聖堂の
巨大ドームが見える。あの辺が金融街・シティってわけだな。
ウォータールー橋のナゾ_f0189467_15453615.jpg

左側を見ると国会議事堂やビッグ・ベンなんかが遠望できる。おおー。
ウォータールー橋のナゾ_f0189467_15455869.jpg

なかなか眺めのいい橋ではあるけど、「哀愁」に出てきたクラシックな鉄橋を
期待していた身としてはいささかガッカリだ。

だが、ここまで書いてイ課長の仮説がひらめいた。もしかして…ひょっとするとだよ?

橋の架け替え工事ってそう簡単なものじゃない。少なくとも数年は要するはずだ。
「哀愁」の製作年が1940年、ウォータールー橋が現在の姿に変わったのが1942年。
映画が作られた1940年頃って、橋の架け替え工事真っ最中だった可能性が高い。

つまり、ウォータール橋がどんな橋かを映画製作者たちが確認しようとした時、
昔の橋はもうすでに消滅しちゃって確認しようがなかった…とも考えられる。
もちろんロケなんてできっこない。そこで、しょうがなくテキトウにそれらしい
橋のセットを作って撮影しちゃったと…そういうことじゃないかなぁ?
ウォータールー橋のナゾ_f0189467_15534892.jpg


まぁいい。あまり追求するのはやめよう。
現在のウォータールー橋はロバート・テーラーが回想にふける場所としては
いささかロマンティシズムに欠けるけど、とりあえず眺めがいい橋であることは
イ課長がうけあうよ(笑)。
  



by tohoiwanya | 2010-12-11 15:56 | 2010.11欧州出張 | Comments(0)


<< 十分に行く-その1- 「台北...      極ウマ雉肉飯を食らう >>