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2011年 01月 27日

ロンドン・夜の名曲選 -その2-

London by Night」を脳内エンドレス再生しながら、ビッグ・ベンまで歩いた翌日。
2010年11月19日金曜日は出張最後の日だった。
リーズって町で仕事して、2時間列車に揺られてロンドンのキングス・クロス駅に戻ってきたのが
6時ちょい前くらい。ロンドンはとっくに夜。とっくに真っ暗。
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1週間の出張全スケジュールを終え、さすがに疲れたから、駅で通訳さんと別れた後は
ホテルに戻って一休み…なんてことはしないのだ。イ課長は「どくとるマンボウの教え」を
信奉するオトコ。仕事も終わったし、ロンドン最後の夜だし、歩き回ろうではないか。

それに、ちょっと行ってみたいと思ってた場所があったんだよ。
しかもソコは昼間じゃなく、暗くなってから行く必要があった。夜じゃないとダメなの。
仕事が終わったロンドン最後の夜。ソコに行くのには絶好の機会ではないか。

というわけで、地下鉄に乗ったイ課長はGreen Parkという駅に向かった。
行きたかったのは、その駅に近いバークレー・スクエアというところだ。

ロンドン・夜の名曲選という標題で、バークレー・スクエアと聞いただけで、
「あそこ行ったの?モノズキだねぇ」と思ったアナタはスタンダード・ソングが好きですね?
そう、名曲「バークレー・スクエアのナイチンゲール」に唄われた、アソコですよ。
わざわざ行くなんて、我ながらモノズキだなぁと思いましたよ、ええ(笑)。

静かな高級住宅街の中の公園といった感じを予想していたんだけど、地下鉄を出ると
お?意外にもけっこう賑やかな街じゃないか。
キレイなショッピング・ビルがあって、通りの向こうにはゴージャスなホテルもある。
へえ〜…バークレー・スクエアって、こんなに繁華街に近かったんだぁ。

例によって「A Nightingale Sang in Berkeley Square」を脳内エンドレス再生しながら歩く。
バークレー・スクエアはすぐに見つかった。楕円形の、そんなに大きくない公園だ。

十分予想されたこととはいえ、真っ暗な公園っつうだけで、別に何もない(笑)。
しかし個人的には「ここがあの名曲に唄われたアソコか…」となかなか感慨深いものがあったよ。
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That certain night,
The night we met,
There was magic abroad in the air.
There were angels dining at the Ritz,
And a nightingale sang in Berkeley Square.

あの夜のこと
私達が出会ったあの夜よ
あたりが魔法にかかったようだったわ
リッツでは天使たちが夕食をとり
そしてバークレー・スクエアではナイチンゲールが鳴いていた


I may be right, I may be wrong,
But I'm perfectly willing to swear
That when you turned and smiled at me,
A nightingale sang in Berkeley Square.

間違ってないはずよ それとも間違ってる?
でもこれだけは誓って言えるわ
あなたが振り返って私に微笑みかけたとき
バークレー・スクエアでナイチンゲールが鳴いていたのよ



脳内でこの曲を思い出しながら、イ課長は卒然と気がついた。
そうか!今まで考えたこともなかったけど、歌詞の中にある「Ritz」って、
地下鉄の駅ンとこで見た、あのゴージャスなホテルのことだよ、ホテル・リッツ。
The Ritzって看板が出てたもん間違いない。そうだったのかぁーーー。

バークレー・スクエアは確かにホテル・リッツに近いよ。歩いて数分だもん。
この辺一帯が魔法にかかれば、イ課長がさっき降りたGreen Park駅のあたりまで
魔法の威力が及び、ホテル・リッツで天使が晩飯を食うことだってあるだろう(ねぇよ)。
日比谷公園の歌に帝国ホテルが出てくるようなもんで、地理的必然性があったんだ。
こういうコトって実際に来てみないとわかんないよねぇ。ちょっと感激してしまった。

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The moon that lingered over Londontown
Poor puzzled moon, he wore a frown.
How could he know that we two were so in love?
The whole darn world seemed upside down.

ロンドンの街を照らしていた月は戸惑って
ちょっと眉をひそめていたわね
私達がこんなに愛し合ってることを知るはずもなくて
何だか世界が逆さまになったようだったわ


The streets of town were paved with stars,
It was such a romantic affair.
And as we kissed and said goodnight,
A nightingale sang in Berkeley Square.

街の通りは星で舗装されていたみたい
なんてロマンティックな出来事だったのかしら
私達がキスして おやすみを言ったとき
バークレー・スクエアではナイチンゲールが鳴いていた



イ課長の個人的見解として、この曲は絶対に「女性の立場」で歌って欲しい。
そこで今回は女性言葉で訳詩を書かせていただいております。
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Our homeward step was just as light
As the dancing of Fr-ed Astaire,
And like an echo far away
A nightingale sang in Berkeley Square.

私達が家路につく足取りは軽い
まるでフレッド・アステアのステップのように
そして 遠くで響くこだまのように
バークレー・スクエアのナイチンゲールが鳴いていたわ


I know 'cos I was there,
That night in Berkeley Square.

ちゃんと知ってるの だって私はあそこにいたんですもの
あの夜の バークレー・スクエアに



うーん…まさに夢見るようにロマンチックな歌詞だねぇ…本当にキレイな曲だ。
名曲だけあって「バークレー・スクエアのナイチンゲール」は多くの人が歌ってて
イ課長のiPodにも7バージョン入ってる。
ナット・キング・コールやフランク・シナトラといった大御所はもちろんイイし、
オルゴールみたいな前奏にのせてアニタ・オデイがしっとり歌う名唱もこれまたイイ。

でもイ課長が大学生の頃、最初にこの曲を知ったのはマンハッタン・トランスファーで、
彼らが最初に録音したアカペラ・コーラス版のこの曲(後にもう1バージョン録音してる)こそ
最高と言わせていただこう。

ちなみに、ナイチンゲールというのは、もちろん看護婦さんのことではなく(笑)、
日本では小夜啼鳥(サヨナキドリ)と言うらしい。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」に
「あれはナイチンゲールよ、まだヒバリは鳴きません」っていう有名なセリフが
あるくらいだから、夜によく鳴くトリなんだろうな。
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バークレー・スクエアからニューボンドストリートに出て、北西に向かって歩くと
そこはロンドンを代表する繁華街・オックスフォード・ストリート。
静かで真っ暗だったバークレー・スクエアに比べると別世界のように明るく華やかだ。
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「今年の海外出張も無事終わったなぁ…」と思いながら、クリスマスイルミネーションに輝く
オックスフォード通りをブラブラ歩いたっけ。
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ロンドンの賑やかな高級ショッピング街にほど近い、静かな公園バークレー・スクエア。

観光価値はゼロと断言していい。
夜に行ってみたって真っ暗なだけだし、ナイチンゲールなんて鳴いてない(笑)。
でも出張最後の夜に、あの名曲にうたわれたバークレー・スクエアに行ったことは、
イ課長の中ではなかなか美しい「ロンドンの思い出」になってるんだよ。


ちゃんと知ってるの だってイ課長はあそこにいたんですもの
あの夜の バークレー・スクエアに






by tohoiwanya | 2011-01-27 00:02 | 2010.11 欧州出張 | Comments(10)
Commented by 私も課長 at 2011-07-02 15:56 x
私も10年程前、出張の際にこの広場に行って来ました。
出張前に泊るホテルがグリーンパーク駅の近所だと判明した時点で、この広場に行く事が出張のオフの目的の一つになりました。
アニタやマントラが唄うこの歌が大好きで、どんな広場か興味が有りました。
私の場合、夜中の街を口笛を吹きながら歩いていました。
20年ほど前に行ったエジンバラ出張の際にオフで行ったミリタリータトゥーではバグパイプの軍楽隊が、この曲を演奏しながら夕闇のお城の広場を行進するのを聴き感激した事を覚えています。
同じ目的でバークレー広場に行ったモノズキきが居た事には驚きました。
冷静に考えてみれば冬ソナを観てチュンチョンに行ってしまうオババを嗤えなくなっている自分を発見してしまったのであった。

Commented by tohoiwanya at 2011-07-03 01:21
>出張の際にこの広場に行って来ました

私も課長さん:
いや私も本当にオドロキました。ロンドンに行って、こんな真っ暗な公園をわざわざ見に行こうなんていう
モノズキな日本人出張サラリーマンが私以外に存在していたとは!!(笑)

スコットランドにも行かれたということは、わりと英国出張が頻繁にあるんですか?
私の場合、何せ20年ぶりのロンドンで、仕事が終わった後行きたい場所も思いつかなかったところ、
フとこの曲のことを思い出したんですが、ドコにあるのか皆目見当がつかない。
しょうがないんで、Google Mapを使ってBerkeley Squareで検索して場所を確認したんです。
「まぁ時間があったら行ってみてもいいな」くらいの気持ちだったんですけど、
やっぱり行って良かった。何もない、真っ暗な公園ですけどね(笑)。

いやぁホントに驚きました。モノズキ仲間にコメントをいただき、光栄です。
ありがとうござました。
 
 
Commented by 斉夫 泉 at 2012-08-28 00:28 x
イ課長様、はじめまして泉なりおともうします。トロンボーン奏者です。このたび、マンハッタン・トランスファーの“A Nightingale sang in Berkeley Square"を一人で多重録音し、Youtubeにあげました。その際にイ課長様の写真を無断借用してしまいました。すいませんです。なにとぞおゆるしくださいますよう、ご報告した次第でございます。
http://youtu.be/OFiz9hUl86w
にあがっております。
Commented by tohoiwanya at 2012-08-28 12:43
>“A Nightingale sang in Berkeley Square"を一人で多重録音し、Youtubeにあげました

斉夫 泉さん:
初めまして。実はいまYou Tubeをちらっと見たんですが、何せ会社PCからなので、
音を出すわけにいかず(笑)、まだちゃんと聞いてないんです。ウチ帰ったらもう一度聞いてみます。
トロンボーンの多重録音って、楽しみだなぁ。

写真は構わないですよ。あんな半ボケ写真でむしろ申し訳ないくらいです。
 
Commented by 斉夫 泉 at 2012-08-29 22:13 x
イ課長様、ありがとうございます(^.^)なにをおっしゃいますやら、私の編集の屁たれ映像の中で一際存在感を発しております。この曲の詩の美しさなどを説明したくって色んな画像を入れているのですが・・。インストでこんな事言ってるのもヘンな話ですね。
Commented by tohoiwanya at 2012-08-30 14:03
>この曲の詩の美しさなどを説明したくって

斉夫 泉さん:
自宅でウットリで聞かせていただきました。ユーフォニウムなんかも使って
録音されてたんですね。すごい。

途中、The moon that lingered over Londontown って変調する箇所の直前に
m~♪ mm~m~♪ みたいに、歌詞なしでハミングだけでコーラスするところがあって、
あそこなんかすごく好きなんですけど、見事に再現されてるんでうれしくなりました。
Commented by 斉夫 at 2012-08-31 05:53 x
イ課長様、YouTubeご覧いただきありがとうございます。私もあのサビ前のフレーズは大好きな箇所です。

ところでイ課長様、ユーフォニュームなんてよくご存知ですね。
普通の人は知りませんよ(^-^)なにかブラス系楽器をやってらっしゃいました?
Commented by tohoiwanya at 2012-08-31 10:31
>なにかブラス系楽器をやってらっしゃいました?

斉夫さん:
いえいえとんでもない。昔からクラシックが好きだったこともあって
吹奏楽とかオケとかに所属してる友人と話をすることが多くて、その中で
ユーフォニウムっていう楽器がこの世にあることを教えてもらった(笑)。

私はガキの頃、姉と一緒にピアノをちょこっと習ってただけ。だもんで、
壮大な交響曲の演奏に参加できる合奏楽器奏者はうらやましいです。
Commented by Prometheus at 2016-12-05 17:56 x
先日のアフリカ出張の際はロンドンでオーバーナイトしました。同行者は張り切ってミュージカルを観に行ったんですが、私はすぐにダウン。時差ボケを我慢してBerkeley Squareに行ってみるべきでした。残念です。

さて、私がこの曲を初めて聴いたのは1980年代前半で、メニューインとグラッペリがバイオリンで競演した"Strictly for the Birds"というLPレコードに収められていました。これは軽やかなチャットに仕上がってました。

次に聴いたのはマン・トラのアカペラでした。これは1980年代後半のことで"The Best of Manhattan Transfer"というCDの最終トラックに入っていたものです。そのマン・トラの歌を聴き直してみると、イ課長さんが引用・和訳されている歌詞(恐らくこれがオリジナル)と若干違っているのが判ります。

まずフレッド・アステア云々以降の部分は出て来ません。またgood nightのところがgood byeとなっています。これはたった一語なんですが大きな違いに感じます。

まず、オリジナル(と思われる)のgood nightだと、二人は近いうち、例えば次の日に再会する約束をして分かれたように思えます。一方、マン・トラ版のgood byeだと、再び会えたのか気になります(遠距離恋愛になってしまったのかも…)。足取り軽く家路についたくだりがゴッソリ抜け落ちていることも、その印象を強めているのかもしれません。

アカペラが持つ浮遊感とも相俟って、今は何処に居るのかさえも判らなくなってしまった元恋人の面影は時とともに薄れていく一方、ナイチンゲールの鳴き声だけが鮮やかに想い出される…といったような儚さを感じます。
Commented by tohoiwanya at 2016-12-06 13:31
>引用・和訳されている歌詞(恐らくこれがオリジナル)と若干違っている

Prometheusさん:
こんな古い記事(震災前だったんだ!)にコメントありがとうございます。
この歌、私時々iPodで7バージョン通して聴き比べするんですけど、歌詞は
微妙に違ってるっていう人がけっこういますね。
私は最初に聞いたのがマントラのアカペラ版で、「これはこういう歌なんだ」と
思っていただけに、他の人が歌うのを聞くと確かに面白いです。

私が好きなのは引用した歌詞の最後の I know 'cos I was there・・の一節。ここ、マントラは省略してますよね。
これをアニタ・オデイで聞くと「あれは夢なんかじゃないの。私ホントにあそこにいたんだから」っていう
恋する女性の自己主張?が感じられて、これはこれですごく説得力がある。
逆にマントラ版はここを省略して、最後はWoo~Woo~♪っていうハミングのあとに
まさにコダマのようにワンフレーズ繰り返す。あれ聞いてると、おっしゃる通り、なんとく
「あれは一度だけの夢だったのかしら?」的なニュアンスが強まって、いいですねぇ~。


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