2011年 04月 11日

ハンプトン・コートに行く-その3-

さて、中休みをはさんだところで、ハンプトン・コートに話を戻そう。

ホーンテッド・ギャラリーを堪能したら、すっかり気が楽になって(というのもヘンだが)
のんびり城内をまわってみた。11月下旬、寒〜い土曜の午前中。観光客が少ないのが嬉しい。

入口の近くには「チューダー・キッチン」っていうのがある。
要するに、チューダー王朝時代の台所を復元した、ヘンリー8世の時代の厨房だな。
壁にくっついた肉の血のりが、不気味な演出効果を狙っているようにもみえる。
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ここが面白いのは、展示だけじゃなく「音」でも当時の台所を再現してるってことだ。
だから上の写真の部屋に入ると、どこかにあるスピーカーから「ドン!」「バン!」って
肉をブッた切る音が聞こえるし、下の写真の汁モノづくりの場所に行くと「グツグツグツ…」って
モノを煮る音が流れてくる。子供っぽいっちゃ、子供っぽい演出だけど、こういうの好きだ。
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ここは大きな時計があることからクロック・コートという名前がついた中庭。
ってことは、お妃3号であるジェーン・シーモアのゴーストが徘徊する場所のはずだが…
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で、出たッ!!!
 
 
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…いや、もちろん人形だが(笑)。
何でこんなトコにこんな人形を置いたのか、その理由は英国人でなければわからない。

建物の一番奥の方にいくとこんな感じの広ーーーーい庭園が広がっている。
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この庭園を見たとき、イ課長はハタと気付いた。
これって、ベルサイユ宮殿の有名なグラン・カナルと同じ設計コンセプトじゃないか?

イ課長はパリ旅行のとき、ベルサイユ宮殿には行かなかった。
でも、あそこのグラン・カナルは写真で見たことがある。こんな感じ。
(写真はもちろん、ネットからの拾い物)
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広大な水路と芝生と木々、これら全てが一つの消失点に向かう遠近法で構成されてる。
これって、あたかも「世界はアソコまでしかない」的な視覚効果を生み出す。
ベルサイユのは知ってたけど、まさかハンプトン・コートに同じようなものがあろうとは。
しかし、この両者が同じ造園コンセプトで作られているのは明らかだ。

時代的にはルイ14世よりヘンリー8世の方がずっと前のはず。
単純に考えれば「ベルサイユがハンプトン・コートを真似た」と言いたくなるけど、
この庭園がヘンリー8世の治世当時に作られたかどうかはわからないし、ハンプトン・コートが
ベルサイユ宮殿を真似て、後にこの庭園を整備したという可能性も十分ある。
ドッチがドッチを真似たのかわからないけど、少なくとも「偶然似た」とは考えられん。
この辺の事情をご存知の方がいたらぜひ教えていただきたいのである。

この庭園には実際に降りてみた。
妙チキリンな円錐状に刈り込まれた巨大な木々がずーーーーっと並んでる。
ベンチと比べるとこの木のデカさがわかるだろうけど、こんな大きな木の上の方まで
こんな妙チキリンに刈り込むのはドえらい手間だと思うよ。
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まぁ王様なんだから、お金と職人の手間はかけ放題ってことだったんだろうけど、
日本庭園のワビサビ美学に慣れた目にはこういう西洋造園術って何だかなーーー。
植木職人の苦労ばかり考えてしまうイ課長なのであった(笑)。

さて室内に戻ろう。
中にはこんな風に、シカのツノばっかりをずらーーーっと飾った部屋なんかもある。
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こうなると、今度は王侯貴族に弓か鉄砲で殺された鹿の無念ばかり考えてしまう。
「ボク、こんなにシカ殺したんだよ」って言いたげな、幼稚な誇示の仕方もまた何だかなーー。
いっそ鹿のゴーストでも出ないかと思っちゃったぜ(笑)。

ホーンテッド・ギャラリーだけじゃなく、ハンプトン・コートは全体的に室内は暗い。
昔の建物だと開口部(つまり採光のための窓)をそんなに大きくとれなかったから、
結局全体として「昼間でも照明がないと暗い」建物になっちゃうんだろうな。


で、出たッ!!!

…わけはない。2階のベランダにいる二人の人影は実際の人間だよ。
いや、キチンと覚えてるわけじゃないけど、実際の人間のはずだよ…たぶん(笑)。
 
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by tohoiwanya | 2011-04-11 00:04 | 2010.11 欧州出張 | Comments(2)
Commented by Mimi at 2011-04-13 03:17 x
台所の血が・・・・・な、生々しいというかなんというか・・・・さすが肉食人種。
あーでも、私たちが尾頭つきの魚さばいてるの見たりしたらあちらはイヤがるんでしょうかね。同じか。

庭の写真には驚きました。
イギリス庭園っていうとフランス式の対極にある、というイメージだったので
同じタイプのシンメトリー庭園がそんな古い時代にあったとは・・・。
この面白い形の木って、山並みかなんかを表してるんでしょうか?
フランス庭園の幾何学的(っていうのかな。円錐とか)に刈り込まれた木とは
また違った趣で面白いですね。
フランスが発祥なのかイギリスから渡って行ったのか、偶然なのか
私も興味あります。どなたか詳しい方いらっしゃいませんかねー?
Commented by tohoiwanya at 2011-04-13 15:43
>台所の血が・・・・・な、生々しいというかなんというか

Mimiさん:
何となく、凄惨な殺人事件の後で現場検証してる刑事のような気分になった(笑)。

庭園は…どうなんでしょうねー?
直感的なカンでは「フランスを真似て、後にハンプトンコートに作った」ような
気がするんだけどなぁ。
ヘンリー8世の時代に、すでにこの姿の庭園があったとは思えない。根拠はないけど(笑)。
 


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