2012年 03月 14日
今回の出張、ざっとこんな感じだったのである。 4日 日曜 成田からフランクフルトへ。午後着。フランクフルト泊。 5日 月曜 フランクフルトで仕事。2件訪問。フランクフルト泊。 6日 火曜 早朝ブリュッセルに移動。アントワープ観光&オペラ鑑賞。ブリュッセル泊。 7日 水曜 ブリュッセルで仕事。2件訪問。夜、空路でミラノに移動。ミラノ泊。 8日 木曜 午前中ミラノで仕事。少しミラノ観光して夜は現地で会食。ミラノ泊。 9日 金曜 朝発ち。ミラノからフランクフルト経由で帰国。機中泊。 10日 土曜 朝、成田着。 6日は「イ課長、仕事してねぇじゃん!」という叱責の声があって当然かな(笑)。 面談相手の都合で、こちらの目論見通りにアポが配置されず、キツい日、ユルい日が 出来ることもあるけど、今回は6日が見事にユルユルになってしまった。 まぁ出張中はいろんなところに行き、いろんな経験をしたわけだけど、 とりあえず、今回の出張で最も感動的だった体験を最初に書こう。 それは帰国する日、3月9日に乗り継ぎで降りたフランクフルト空港での体験だ。 まずその時のイ課長の置かれた状況を整理しておこう。 ①フランクフルト空港では、EU内→外への出国審査を必要とする乗継ぎの場合(今回の イ課長はこれに該当する)、標準乗継ぎ所用時間は1時間とされている。 ②ミラノからの便の到着予定時刻から、成田行きの出発予定時刻までは1時間20分。 けっこうギリギリ。ミラノからの便がちょっとでも遅れたりするとヤバい。 ③今回の欧州出張で、イ課長はあるドイツ土産を買ってきて欲しいという強い要望を 会社の女子社員たちから受けていた(ま、今回に限らず、毎回なのだが)。 それは前にも書いたニーダーエッガーのマジパン(マルツィパン)で、ベルギーやイタリアの空港じゃ 売ってないから、帰りのフランクフルト空港が唯一の購入チャンス。(これね↓) さて、イ課長はこの時こういう状況に置かれていたわけだ。 乗継ぎ自体、けっこう急ぐ必要があるが、さらに売店で土産を買う必要があって、 まぁ要するに非常にあせっていたわけだ。 もちろん、③の条件はいざとなりゃバックレてもいい。 だが、このニーダーエッガー、実はトホ妻も大好物だし(笑)、帰国直後にある ホワイトデーのお返しにもちょうどいいから、最後にゴソッと買いたかったんだよ。 ところがミラノからの到着ターミナルと成田行きの出発ターミナルってのがエラく離れててさぁ…。 散々歩いた上にモノレールみたいな空港内移動システムに乗ってさらに移動。いらいら。 その上、まずEUから出る出国審査がある。ここで並ぶし…。時間はどんどん少なくなる。 さらに身体&手荷物検査がある。あー…ミラノの空港でも同じ検査されてんだからさー カンベンしてくんねぇかなーー。いらいらいら。 ジャケットやコートを脱ぎ、ベルトをはずし、荷物と共にカゴに入れる。 イ課長自身は金属探知機のゲートをくぐる。もちろん問題なんて何もあるわけない。 早く荷物来ないかなぁ…時間ないよゥ…と思いつつ、ベルトコンベアの出口のところで 自分の荷物の載ったカゴが流れてくるのを待っていた。いらいらいら… ここでトツゼン、手荷物検査の若い(たぶん)ドイツ人女性職員がイ課長に声をかけた。 「アーユージャーマン?(オマエはドイツ人であるか?)」 ・・・?・・・ そりゃ確かに身長デカくて濃い顔つき。西洋人の考える典型的日本人とは かけ離れているとはいえ、まさかイ課長のことをドイツ人とは思わんだろー? キョトンとしてると、彼女がさらに質問してきた。 「スピークジャーマン?(ドイツ語を話すか?)」 やっぱりイ課長がドイツ人かどうか確認してるんだよ。 ドイツ語を話すかどうかを英語で聞くというのもヘンな話だが、おそらく彼女は イ課長がドイツ語圏以外のニンゲンである可能性も考えて英語で尋ねたんだろうな。 イ課長としては当然こう答えざるを得ない。 「ノ~~(首ぷるぷる)」 すると彼女はイ課長に「ユア フェイス…(オマヘの顔は…)」と言って、 口をヘの字に曲げてしかめっつらをしてみせた後、こう言った。 「スマイル!スマイル!」 イ課長は瞬間的に激しく反省し、同時に激しく感動していた。いやマジで。 上に書いたようにイ課長はこの時、時間に追われてアセッていた。 手荷物検査で荷物を待ちながら、イライラした醜い表情をしていたことは間違いない。 見ず知らずの醜いオトコに、彼女は「アナタの顔、いまこんなヨ! 笑いなさい!スマイル!」と わざわざ声をかけてくれたわけだ。 そう言われて、イ課長は恥じ入る思いだったよ。 乗継ぎの間にマジパンを買いたいなんてことに心を奪われ、イライラし、 ただでさえロクな出来じゃない顔を自分でますます醜くしていたなんて…。 このことを指摘してくれた、見ず知らずの女性空港職員には深く感謝したかった。 自分の荷物を受けとり、ジャケットやコートを身に付け、カバンを肩にかけると 彼女の指摘通り、目一杯のスマイルを浮かべてドイツ語で別れの挨拶をした。 「Danke schön, Tschüs (ありがとう、じゃね)」 気分的には彼女に投げキスのひとつもしたかったところだけど、まぁやめておいた(笑)。 過去に何度も書いてるように、海外出張中って常に失敗できないプレッシャー下にある。 帰国便に乗っちゃえばもう何も心配する必要はないわけなんだけど、この時は 「短い乗継ぎの間にマジパンを買う」ことが、いわば出張最後のハードルだったんだよね(笑)。 常に心配事やリスクを考え、ミスなく油断なく行動することが求められる単独海外出張。 仕事の面談中に笑うことはあっても、仕事が終われば話相手なんて誰もいないわけだから 笑うことなんてほとんどない。そう考えると、海外出張の間じゅうずーーーっと、イ課長は 貧しく、険しい表情をしてたに違いない。 フランクフルト空港のあの女性職員がイ課長の境遇をそこまで読み取ったかはわからんが、 でもね、彼女の言う通りだよ。出張で顔つきまで貧しくなってどうする?笑いを忘れちゃいかん。 マジパンが何だというのだ。醜い顔になってまで、買うべきものか? つくづく、深々と我が身を反省し、あの女性職員の言ってくれたことに感動しながら、 イ課長は成田行きルフトハンザの出るC14ゲートに向けて急いだのであった。 (ま、このあと結局マジパンも買ったんだけどさ(笑))
by tohoiwanya
| 2012-03-14 00:19
| 2012.03 欧州出張
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Comments(12)
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夏
at 2012-03-14 03:43
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素敵な経験ですねぇ。
そういう話を聞くと憧れちゃうなぁ、欧州。 で、アトランタ発送分のマジパンは?
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みゅげ
at 2012-03-14 08:19
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孫達に買った子供用ナイフ・スプーン、フォークのセットを、フランクフルトの空港でひっかかりました。
何と!小さな爪切りひとつも気にしていた手荷物に入れてしまったのです。 別便で郵送するお手伝いをしてくれた空港の職員さんが、本当に優しくて感激した思い出があります。 ドイツ人って、私の中では“親切で優しい”という位置づけです♪
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tohoiwanya at 2012-03-14 14:23
>素敵な経験ですねぇ
夏さん: いやホント、これは生涯忘れない経験だったよ。 今後イライラするたびに、「ハッ!オレはまた醜い顔をしてないか?」と自問して 笑顔になる…かどうかはわからんが、一応そうなるように努力はしよう。 なに?アトランタ発送用マジパン?そんなものわない。 もうね、イ課長はそういう期待の呪縛から解放されて 心は自由、顔はスマイルなのよ。ほほほ。
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tohoiwanya at 2012-03-14 14:29
>ドイツ人って、私の中では“親切で優しい”という位置づけです
みゅげさん: おお、スプーン・フォークも機内持ち込みはダメなんだ。 それはショックだけど、郵送できて良かったですねぇ。 あの手荷物&身体検査も、面倒なわりに、精度には疑問が残る。 今回、ブリュッセル空港でうっかりコインをどっさり入れた財布を ズボンに入れたまま金属探知機をくぐっちゃったんだけど、探知機はウンともスンとも…(笑)。 ドイツ人、明るく愛想がいいっていう感じはないけど、基本的にみんな マジメで親切ですよね。ガイジンにとっては非常に有難い。
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Bきゅう@フロリダでワインも
at 2012-03-14 20:10
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しかめっ面ねえ。忙しいとそうなりますな。でも、空港セキュリティーでは、しかめっ面よりも、泣きそうな顔の方がいいですよ〜(すんません、そんな話ぢゃないのでせうが)。泣きそうな顔で『前に入れて〜』って言うと入れてくれる場合があるから。非常手段です。それにしても、お土産とは大変ですなあ。
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tohoiwanya at 2012-03-15 01:07
>それにしても、お土産とは大変ですなあ
Bきゅうさん: お土産プレッシャー、けっこうありますよ(笑)。 特にドイツがらみの欧州出張が多いから、テキも「ドイツ行くならまたマジパン」という おねだりパターンがしっかり形成されてる。 ま、お菓子はオフィスでの自分のつまみ食いにもけっこう買うんですけどね。グミとか(笑)。
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ふじっこ
at 2015-04-19 03:39
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こんばんは~。
懐かしい記事にコメント失礼します。 以前にこの記事を読んでからずっと、いつかこのお菓子(もちろんマジパン)を絶対食べたい!!と思い続けて早3年。。。 ついにそのチャンスが訪れそうです☆ GWにフランクフルト乗り継ぎをするので、何としても手に入れたい!!と目論見中なのですが、行きも帰りも乗り継ぎ2時間なので、果たして悲願達成なるか!? 時間が無くて焦っても「スマイル」しながら走りたいと思いマス! (それはそれで怖い気も。。。^^;)
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tohoiwanya at 2015-04-20 09:23
>フランクフルト乗り継ぎをするので、何としても手に入れたい!!
ふじっこさん: おお、GWに欧州旅行ですか? フランクフルト空港、やたら広いですけど、入国審査とか手荷物検査とかがない 純粋乗継ぎだったら、2時間あれば大丈夫じゃないかなぁ? 空港内の店なら必ずニーダーエッガーのマジパンは置いてあります。 人によって好みはあるけど、トホ妻は大好きで、わが社の女性社員の間でも 甘いものダメ女子以外には好評でした(笑)。
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ふじっこ
at 2015-05-09 14:07
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ザグレブからこんにちは〜^_^
ニーダーエッガー、お陰さまで買えました! まだ食べてませんが、帰ってからクロアチアの余韻に浸りつつ、味わいたいと思います☆ p.s.クロアチア、良かったです〜。路地裏好きにはたまらない国でしたー!
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tohoiwanya at 2015-05-10 00:51
>ザグレブからこんにちは〜^_^
ふじっこさん: ざ、ザグレブとはまた。 ザグレブといえば「007ロシアより愛をこめて」で殺し屋ロバート・ショウが イギリス側スパイのふりしてオリエント急行に乗り込む駅だったはず・・。 クロアチアは人の話を聞いたり写真を見たりすると確かにめっちゃ 良さそうなんですよねぇ〜。ドブロブニクとか一度行きたいんですけどねぇ。 いやーーうらやましい。帰国されたらいろいろ話聞かせてください。
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ふじっこ
at 2015-05-12 23:53
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おおぉ。。。ザグレブ中央駅、007の舞台だったんですか。。。
ミネラル分が一般よりやや多め(マイルドな鉄)の夫に付き合って、列車の入線シーンを撮影するために、しばらく待たされてホームでイライラしておりました。。。(笑うのだ!ふじっこ!) 電光掲示板にはブタペストとかフランクフルト行き等国際列車も表示されていて、出発時刻はとうに過ぎているのに、列車は全く来ず、結局、入線シーンも撮れず。。。^^; どうも、クロアチアの鉄道事情は他のヨーロッパ諸国に比べるとあまり良くないようでした。対して、長距離バス網はかなり発達していて、中長距離移動はもっぱらバスが便利なようです。(スプリット⇒ドブロブニクの移動にバスを使いました) ザグレブ中央駅前にはかつてオリエント急行の乗客が利用したという豪華!5☆ホテルがあるのですが、5☆にしては破格の安値で泊めてくれるので、柄にもなく泊まってみました。。。 それはもう、らぐじゅありーな世界で。。。 ダメですね、貧乏性なのでちっとも馴染めないまま帰国の途に就いたのでした。。。 すごく素敵だったけど。。。自分たちが素敵じゃない。。。 でも、とってもクラシカルな内装で、それこそ映画のロケとかで使われていそうな感じでしたよ^^ ホテルの案内にもアガサクリスティがどうの。。。とか書いてあったような気が。 もしかすると小説にも出ているのかもしれません。。。 今回はスプリット、ドブロブニク、ザグレブに滞在したのですが、ドブロブニクも良かったけれど、スプリットが想像以上に良かったです^^ 旧市街は本当に小さいのですが、細い路地が沢山あって、生活感のある裏路地なんか、すごくフォトジェニックです☆ 城壁に囲まれた旧市街の中には古い建物の部屋を宿として貸してくれる”sobe”という宿泊施設が点在しています。価格も安いし、昔の街の息吹を感じるというか、旅情満天です! また行く事があれば、プリドヴィッツェとか、イストラ半島の小さい村とか田舎方面をまわりたいなーとか思ってます^^ クロアチア、真夏は激混みしそうなので、いつかイ課長様も訪問されることがあれば、今の時期はかなりおすすめだと思います☆ 長文、大変失礼致しましたーーーm(_ _)m
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tohoiwanya at 2015-05-13 23:07
>ザグレブ中央駅、007の舞台だったんですか
ふじっこさん: 私、中学生くらいの頃にリバイバルであの映画見たんですが、あれで初めて ザグレブという地名を知りました。実際のザグレブ中央駅でロケしたかどうかは わかりませんが(たぶん別の駅を使ったんじゃないかなぁ?) クロアチアは一度行ってみたいなぁと思ってちょっと調べたこともあるんです。 直行便がないから、確かにフランクフルトあたりでの乗り換えになるんですよね。 いいなー、やっぱ行ってみたいなぁ。スプリットという街は存じませんでしたけど、良さそうですねぇ。 やっぱルフトでフランクフルト経由がいいかなぁ・・ニーダーエッガーも買えるし(笑)。 |
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