2012年 05月 05日
観覧車の話を「続きもの」にしてしまった自戒の意味をこめて 粛々と2日連続更新するイ課長です。 さて、とにかくいよいよ乗ろうではないか観覧車に。 映画ではオーソン・ウェルズとジョセフ・コットンの二人だけがゴンドラに乗るわけだけど、 ゴンドラが一周する間にオーソン・ウェルズが得意げに語って聞かせる「悪の信条」は 映画史上に残る名セリフとして名高い。 映画ではハリー・ライムは質の悪い闇ペニシリン取引で大儲けした悪者という設定。 その闇ペニシリンを使ったために多くの人が死んだ(ということになっている)。 主人公ホリーが「犠牲者のことを考えないのか?」とハリー・ライムを問い詰めると ハリーは観覧車の扉をガラリと開き、地面を見ながら不敵に言う。 見ろよ、地面の上の小さな点々を。あの点々の一つが永久に動かなくなったからって悲しいか? 点一つにつき2万ポンドと聞けば誰もが点々の勘定を始めるさ。しかもこれは無税だからな。 要するに「他人の命なんかよりオレ様が儲けるコトの方が重要だもんね」ってことで、 大して深いことを言ってるわけでもないんだけど、こういうシャレた言い方をすれば、 たちまち映画史に残る名セリフとして語り継がれてしまうのである。 オーソン・ウェルズになった気分で点々を見下ろしてみる。 うーん…第二次大戦直後のロケと比べると、周囲も賑やかになったって感じるけど 基本的には「ほとんど何も変わってない」と言っていい。 ちなみに、この時はイ課長の高所恐怖はまったく発症しなかったから(笑)、 元気にウィーンのパノラマを楽しんだ。こっちが旧市街で、ザンクト・シュテファンがよく見える。 あれはイ課長たちがウィーンに着いた翌日に行ったカーレンベルグじゃないか? とにかくこの観覧車、ゴンドラ1台がすごくデカくて、10人くらいは軽く乗れる。 いろんな方向の写真を撮るにはゴンドラの中を歩き回らないといけないのだ。 こんな風に、ディナーを楽しめるタイプのゴンドラもあるみたいだ。すげー。 一周する時間じゃメシを食いきれないだろうから、たぶん何周もできるんだろうな。 ゴンドラで自信満々に「悪の哲学」を語ってみせたハリー・ライム。観覧車を降りる時、 親友ホリー・マーチンスに「信用できる仲間が欲しい。オレと一緒にやらんか?」と誘う。 ホリーが乗り気じゃないのを見てとったハリーがさらに悪の世界に誘おうとして吐く セリフこそ「映画史上名セリフ・ベスト10」に必ず入るであろう有名なものだ。 こんな話があるぜ。イタリアはボルジア家30年にわたる恐怖と流血による圧制の下で、 ミケランジェロやダヴィンチを生み、ルネサンスが花開いた。かたやスイスはどうだ? 500年の友愛と民主主義と平和の末に産み出したものは何だい?・・・鳩時計だけさ。じゃあな、ホリー。 「The cuckoo clock…So long, Holly!」と言いながらクルリと背を向けて足早に去っていく オーソン・ウェルズの千両役者ぶりも大したもんだが、この「鳩時計」のセリフは実は 元々脚本にはなく、彼自身が考案したとも言われている。いずれにしても大したヤツだぜ。 興味のある人のために、You Tubeにある観覧車の場面を。 観覧車を降りてプラター公園内の遊園地をブラブラ散歩しているとこんな看板が… おお「第三の男通り」ときたか。 あの映画、敗戦後のウィーンの暗い占領時代を描いてるから、実はオーストリアでは不人気で、 逆に米国や日本では異様に高く評価されているって聞いたことがあるけど、それでも こんな看板があるんやのう…。あの映画がウィーンの観光価値をどれだけ高めたかと考えれば まぁ当然っちゃ当然だが。 はい。最初にお約束した通り、映画ヲタクの旅「第三の男」シリーズはこれで最後です。 実はウィーンでは第三の男のクライマックスのロケをした地下下水道見学ツアーなんてのも あるそうで、ホントはそれにもちょっと食指が動いたんだけど、今回はあきらめた。 次回、もう一度ウィーンに行く機会があれば、下水道ツアーもちょっと検討したいところだ。 しかし、またウィーンに行ったとしたら、下水道より何より、イ課長がまたもや嬉々として この観覧車に乗りたがることだけは間違いないのではないかと思われます、はい。
by tohoiwanya
| 2012-05-05 23:48
| 2011.06 ウィーン旅行
|
Comments(4)
高い所から見下ろして言う悪役の名台詞というとつい、
「天空の城ラピュタ」のムスカが言う 「見ろ!人がゴミのようだ!」 を思い出してしまいます・・・・大分雰囲気違いますね(^^; 失礼しました!
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Commented
by
tohoiwanya at 2012-05-06 22:51
>「見ろ!人がゴミのようだ!」
Mimiさん: ムスカって、なぜかやたら人気?あるんですよねー。 ハリー・ライムは知らないアニメファンもムスカのセリフならみんな知ってる。 「よ、読める…読めるぞ!」とかね(笑)。 私は中学〜高校くらいの間、ひたすら映画に没頭し続けた挙げ句、こうなっちゃったけど、 アニメオタク少年たちが中年になると、やっぱり「あのアニメに出てきたあそこ」に 聖地巡りするんだろうか?SFアニメファンは無理でしょうが…。
むずかしい、むー。ドイツ語わかりませんぜ。なんか、想像がつかない単語が多い。すいません、地下道の表記にしても、遊園地にしても、ここのところ、そっちの方に関心がいってます。
第三の男通り?もしかしなくても、イ課長さん、ちゃんと読めているのね。。 わし、映画は、俳優の区別があまりついてないです。
Commented
by
tohoiwanya at 2012-05-08 10:31
>イ課長さん、ちゃんと読めているのね
Bきゅうさん: 読めてないス!第三の男通りは独文科出身のトホ妻が発見したから 写真撮れたけど、一人だったら間違いなくスルーしてた(笑)。 ワタシは何しろ映画ヲタクの青春期を送ったので、こういうネタになると 趣味性が強くなりすぎていけませんな。自分でもわかってるんだけど、 抑制できない。困ったもんです。 |
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