2012年 06月 29日
木曜締め切りの提出物を出し終わって、少し気が抜けている金曜日。 ブログでも書こう。今日はちょっと変わった話題で、女人柱の話をしたい。 ヨーロッパの古い建物に、よく女の人がくっついているでしょ? 純粋に飾りとして屋根の上に載ってるような場合もあるけど、多くの場合は 「頭で建物重量を支える」という異様に過酷な労働を、異様に優雅な姿でこなしてる。 こういうの、イ課長は「女人柱:にょにんちゅう」って呼んでたんだけど、Wikipediaによると 「女像柱(にょぞうちゅう、って読むんだろうか?)」とか「女人像柱」とかいうらしくて、 ギリシャ語起源の「カリアティード」っていう専門用語?まであるらしい。 もともとはギリシャ建築で生まれたこの女人柱。なぜかその後もヨーロッパの建築で 使われ続けたみたいだけど、特にバロック建築では目立つ(…んじゃないかと思う)。 「建物のあちこちに美女がくっついてる」という見た目が、バロック建築の過剰装飾路線と マッチしたのかも。しかしイ課長には「建物の重量を支える可哀想な女奴隷」にしか見えん(笑)。 ウィーンの街を歩くと、この過酷な労働に耐えるご婦人たちをたくさん見かけるんだよ。 基本は大体こんな感じだよね。「女を柱にする」という建築装飾である以上、 1人(1本)だけっていうことはあまりなくて、チーム体制で対応することが多くなる。 例のハリー・ライムのアパートの入口も左右二人ずつ、デッカい女人柱がいた。 さぞかし重いだろうに…そんな遠い目をしてる場合じゃないだろうに…(笑) こっちにも、涼しげな表情で入口のヒサシを支える哀れなご婦人が二人。 建物と頭の間にザブトンみたいなものをカマしているというところに、彼女たちの 苦痛を和らげようというわずかな配慮が感じられる…ともいえるけど、考えてみりゃ 頭は丸いんだから、何かカマさないと建物を載せられないよな。 あーあー…こっちにもズラリと…。 こっちにもズラリ。 ただでさえ、建物重量を頭で支えるという過酷な労働に耐えてるのに、その上こうやって 上半身ヌードにさせられて、性的な奉仕?まで強要される哀れな婦人たち。 まさに奴隷並みの境遇ではないか。 …てな具合に、ウィーンで女人柱を見かけるとよく写真を撮った。 何度も言うように、彼女たちが担当している業務内容は大変な肉体労働なんだけど、 姿や表情からはそれがマッタク伝わってこない。優雅に立ってるだけに見える。 しょせんは飾りなんだから、リアルに重そうな顔させたってしょうがないじゃん… …と、たぶんそういう理由だろう。重くて苦しそうな顔のご婦人たちがあちこちに立ってたら いくら建築装飾だって、見る方の気も滅入るってもんだ。 ところがだよ…。 さよう。ここで話は終わらないのだ。 数は多くないけど、建物によっては「男人柱」を採用してるものもあった。 何に驚くって、「男人柱」になるとトタンに、めっちゃ重そうなツラになるんだよコレが。 建物重量を支えるという過酷な担当業務のツラさがリアルに伝わってくる。 たとえばこれ。 頭なんて使わない。リアルに肩で建物をかついでるわけだ。重そうだよねー。 しかしこちらの男性はまだマシな方。 その反対側にいるヒゲの男性は一段と苦しそうだ。 「ううーーーーーー…」っていうウメキ声が聞こえてきそうな表情で建物を背中に載せてる。 これはキツい。少しは彼の負担を軽減してやれよ。 同じ「ニンゲン柱」であっても女だと「重量感ゼロ」なのに対して、男になったとたんに、 ものすごくリアルに、重そうな表現になる。この差はなんとしたことか。 こういうのも、一種の「男女差別」というのだろうか?(笑)。 そういや、いつも地球儀を支えてるアトラス氏も、重そうだったなぁ。 ウィーンで建物を支えるご婦人のみなさま、お疲れ様です。しかしそれ以上に、 建物を支える数少ない紳士たちのご苦労をねぎらいたいと思うイ課長なのである。
by tohoiwanya
| 2012-06-29 14:01
| 2011.06 ウィーン旅行
|
Comments(6)
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hanatomo31 at 2012-06-30 01:06
そうそう、コレ私も以前から気になっていました。
男性が支えている時には殆どの場合が重力があるんですよね。 女性の場合には無重力なのに。 このルールは結構、どこの国でも暗黙の了解風に一致しているのが興味深いです。
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tohoiwanya at 2012-06-30 01:45
>このルールは結構、どこの国でも暗黙の了解風に一致している
hanatomoさん: ですよね? ウィーンで女人柱や男人柱をシゲシゲと観察するまでは あまり考えたことなかったけど、「重くて苦しそうな女性像」なんてものは どの街でも見た記憶がないし、「軽々と頭に載せてる男性像」なんてものも これまた、あまり見た記憶がない。男性だと、大体は重そうにしてたはず。 やっぱ「男は力あるんだから、ちゃんと支えろ」 「女性はかわいそうだから、せめて姿だけでも軽そうに…」っていうこと なんですかねぇ?確かに興味深いポイントだ、これは。
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Bきゅう
at 2012-07-01 02:15
x
なるほろ〜、面白いお写真をとられましたね。
似たもので、日本のヒトが頑張っているのもあるようです(歴史はないけど)。米国内線の飛行機のラックにこのスカイモールって通販誌がよくあって、つねにこの商品の宣伝があります。 http://www.skymall.com/shopping/detail.htm?pid=102174152
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tohoiwanya at 2012-07-01 11:24
>日本のヒトが頑張っているのもあるようです
Bきゅうさん: ナンすか、これは(笑)。アメリカ人、こんなの買うのぉ?! まぁアメリカ人から見れば SUMOって、ああいう感じの、やや漫画的な スポーツに見えるんでしょうなぁ。 日本の通販だと「女性ひざ枕型の枕」なんて商品もありますが おひとついかがです?(笑)
日本で何かを支えてるというと、建物ではなく仏像関係になりますけど
天邪鬼がやってるイメージがあります。 あれは罰として下敷きになってるので、苦しそうな顔とか踏ん張ってる感じの像ですが。 そうか、女性像だと軽々と・・・・なるほどねえ。面白い視点です。
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tohoiwanya at 2012-07-03 12:14
>天邪鬼がやってるイメージがあります
Mimiさん: あーーー、そういえば台座なんかに時々いるいる。 あれは一種の宗教教育を兼ねた建築装飾といえるでしょうな。 「ホトケの教えをきかないと、こうなるんだよ」的な…。 しかし、女人柱はそういうのとも違うし、そもそも建物を支えるという重そうな役目を 何でまた女性に負わせようという気になったのか、その発想がよくわからない。 まぁ古代ギリシャなんて、考えてみれば「奴隷の上に成り立つ社会」だったわけだから そういう発想の延長と考えれば、そんなに異常でもないのかな? |
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