2012年 08月 09日
スタンダールっていうフランスの作家がいる。 「赤と黒」とか書いた大作家だけど、イ課長は一冊も読んだことはない。 そのスタンダールが、ゴシック建築がワサッと集まるルーアンの街を評して 「ルーアンはゴシック建築のアテネである」と言ったらしい。 すでに見た大聖堂や裁判所以外にもルーアンにはホントにゴシック建築が多いのだ。 たとえば大聖堂を出てちょっと東の方を見ると、もう一つ別の高い尖塔が見えた。 あれも大きそうな教会だよな。どれ、行ってみっか。 行ってみると、確かに立派な教会らしい。らしいが何も見えません。 建物から尖塔の根元まで、何から何まで修復工事の幕に覆われて、大聖堂っていうよりも 「工事中の大きな何か」にしか見えねぇぞ、おい。はるばる日本から来た人間にその態度か? フ ・ ラ ・ ン ・ ス ・ 人~~~そんなにイ課長を怒らせたいかッ?! これ、たぶんサン・マクルー教会っていう教会なんだと思う。 やはりフランボワイヤン・ゴシックを代表する華麗な大聖堂らしいけど、ここまでロコツに 工事中じゃどうしようもない。入口も探すことなくサッサと見学はあきらめた。 実はルーアンにはもう一つあるんだよ。ゴシックの大きな聖堂が。 本日書きたかったのはむしろソッチの方なのだ。 名前はサン・トゥアン教会という。 遠くからでもよく見える、巨大ゴシック建築で、例のポトフ食った後に行ってみた。 (実はその前に一度入ろうとしたら、14時までは閉まってるってコトだったんだよね) 教会の中に入ったイ課長は二つのことにビックリした。 一つめは内部が予想以上に壮大だってことだ。こりゃすごい。見事なゴシック大聖堂だ。 身廊と側廊を隔てるアーチがルーアン大聖堂だと二段の尖塔アーチになってたんだけど ここは一段。その分、ひとつのアーチがものすごくデカくて立派で、壮大な印象が強まる。 見てよ下の写真。人間と比べてこんなにデカいアーチだもんね。すっげーー。 だが驚いたことがもう一つある。それは中に人がいないってこと。ガラーン。 人影自体がマバラで、観光客なんて全然いないよ。こんな立派な大聖堂なのに? このあたりからイ課長は妙な違和感を覚えはじめた。確かにこの教会、大きくて立派だ。 だがこの床ときたら・・・普通、立派な大聖堂の床ってタイル装飾がきれいに施されて いるもんだけど、ココはまるでコンクリート打ちっぱなしみたいな、こんな床なの? ルーアン大聖堂は信者が座るイスが床たくさんあったし、小さな祭壇とか、壁の彫刻とか、 ロウソクの寄付台とか、とにかくいろいろあった。人が集まる教会ならそれが普通だろう。 しかしここは教会側面が「使わねぇんだからふさいどけ」と言わんばかりに、ベタッと 白い板でふさがれてて、何もない。見てるうちにだんだん薄気味悪くなってきた。 この大聖堂・・・全然使われてないよな、どう見ても。 日常的に信者が集まったり、ミサが行われてるみたいな「人の温もり感」ゼロ。 壊れてるとか汚れてるっていうんじゃないけど、使用されないまま放置プレイって感じ。 見てよ下の写真。これ、内陣にあった祭壇の一つなんだけどさ。 普通だったらステンドグラスをバックにきれいに飾られた祭壇があるはずなのに、 ここは祭壇手前に箱みたいなものがガタンと倒れ、倒れっぱなしのままになってる。 建物管理されてるのか?これじゃまるで「打ち棄てられた大聖堂」ではないか。 何でこんなことになったの? 管理費コスト負担に耐えられず、放置プレイすることにしたとか?それとも他に 何か特別の理由があるんだろうか? 人がほとんどいないんだから内部はもちろん静かだ。でも宗教的静寂ってのとは全然違う。 ただ巨大っていうだけのガランとした聖堂空間。ハッキリいって居心地はよくない。 バラ窓なんかも立派なんだけどなぁ… 上にも書いたように、ルーアンはゴシックのアテネと称されたこともある街だ。 そのルーアンで、大聖堂と並んで巨大&立派なゴシック建築であるサン・トゥアン教会。 その立派な教会が、実は(おそらく)使われていない大聖堂であったとは… いやぁ、びっくりしたよ。 びっくりさ加減では、ある意味ルーアン大聖堂よりこっちの方が大きかったともいえる。 これだけリッパな建物でありながら、訪れる人もほとんどない、打ち棄てられた大聖堂。 ルーアン大聖堂やサン・マクルー教会はあんなに手厚く修復してもらってるっていうのに…。 可哀想・・というか、痛ましい気持ちになっちゃったよ。これが同情せずにいられるか。 おい、サン・トゥアン教会もほかの教会みたく、きちんと修復して内部もキレイにしてやれよ! 不公平だぞ!えこひいきすんな!フランス人!!
by tohoiwanya
| 2012-08-09 00:16
| 2011.11欧州出張
|
Comments(6)
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ちわわん
at 2012-08-09 05:59
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ふふふふはははは いわーにゃくん、君は禁じられた大聖堂に足を踏み入れてしまったのだ!
ふふゎはははははは 大聖堂に住むすっちょー大入道を恐れ、人々はこの大聖堂をうちすてた… だが、君はここに足を踏みいれてしまったのだ~ すっちょー大入道は君からもう離れないのだ!
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tohoiwanya at 2012-08-09 14:29
>すっちょー大入道は君からもう離れないのだ!
ちわわんさん: う、う、う、うるへぇ!あんな暑い国への出張、誰が行くかい! いま書いてる企画書が受かればいいのだ…受かりさえすれば…はぁはぁはぁ。 しかしね、このサン・トゥアン教会はほんとに「禁じられた大聖堂」って感じで 「中に入っちゃまずかったのかな?」と思ったくらい。 これだけ立派なゴシック建築なんだから、ちゃんと中を教会らしくすれば、 ルーアン大聖堂と並んで観光コースになると思うんだけどなぁ~。 可哀想な教会だよなぁ。
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マダムKenwan
at 2012-08-10 07:04
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みゅげ
at 2012-08-10 08:32
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気になって調べたのですが、もしかして内部の修復が始まるのではないでしょうか?(修復中という記事もありました)
ブダペストのマーチャーシュ教会で、前日までそんな素振りも見せなかった教会で、翌日、我々が観光で入ったら、わらわらと人がはいってきて、バキバキとあちこち壊し始めて修復が始まりました。 イワーニャさんがお帰りになった翌日から、修復開始だったりして(笑)
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tohoiwanya at 2012-08-10 13:17
>きれいで立派な教会なのにどういうことでしょうねぇ。
マダムKenwanさん: 外観だけでも「大きなゴシック教会だなぁ」と思ってたんですが、 中に入ったらホントに立派なんで感心しました。 場所もルーアンの中心部にあって、人も集まりやすいはず。それなのになぜ… ただ、ルーアンくらいの規模の町にモネが描いた大聖堂があり、 サン・マクルー教会があり、さらにこのサン・トゥアン教会も…っていうのは いくら「ゴシックのアテネ」でも多すぎではないか?という気はちょっとしましたけどね。 教会間競争に負けたのかな?(笑)
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tohoiwanya at 2012-08-10 14:03
>もしかして内部の修復が始まるのではないでしょうか?
みゅげさん: ははぁ~~これから修復。うーーん…その可能性は確かにあるかも。 もうすぐ修復作業だから内部の備品を全部とっぱらっちゃって、ガランとしてた…と。 教会内部の壁をああやって板で覆ってるあたりがものすごく異様に思えたけど 修復作業に備えた覆いと考えれば…まぁ…あり得る話かな? それでも、工事が始まるギリギリまで一応内部を一般公開してて、 私のようなモノズキが見に行った…と。 まぁあの超不自然な状況を合理的に説明するには 「修復前だからガランとしてた」くらいしかないような気もしますねぇ、確かに。 |
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