2013年 07月 05日
今日もベトナムネタを書かせてくれ。 ポーランド、もうちょっと待ってね、お前のことは決して忘れていないから(笑)。 いやね、とにかくベトナムが面白くてさ。 インドで欲求不満が激しくたまったから、その反動でよけい面白く感じたという部分もあるけど、それにしても 面白かった。たとえば、ベトナムでは道路を横断するということ一つとっても、重要なブログ記事になる。 ホーチミンやハノイといった大都市の道路は、大通りといわず、細い路地といわず、ものすごい数の バイクが走っていることで有名だ。その数の多さはまったく表現のしようもない。 イ課長がホーチミンで泊まったのは市の中心、ベンタイン市場のロータリーの前だったわけだけど、そこを 「バイク祭り」でも開催されているんじゃないかと思いたくなるような数のバイクが奔流となって走ってる。 だが、その一方で信号や横断歩道なんてものは圧倒的に少ない。だから、ベトナムを訪れた外国人旅行者は 「信号も横断歩道もないバイクの奔流を横断する」という超絶技巧を身につけねばならなくなる。 昔、ジャカルタに出張したとき、やはり車とバイクで満ちた道路を、“川上”、つまり車が来るガワの肩に 大きな荷物を載せて横断する人を見たことがある。彼は車もバイクも全く見ずに(というか、肩の荷物で見えない)、 決然と広い道路を横断しはじめたのだ。道には車やバイクがビュンビュン走ってるんだよ? 下の写真の右端に写ってる人が状況的に近い。ジャカルタで見たときは荷物はもっと大きく、しかもソレを 川上側の肩に載せていたわけだ。 その様子をタクシーから見ていたイ課長は心の中で「ギャーーーッ!」と悲鳴をあげた。 すさまじい交通量の道路を「見ずに渡る」なんて、日本的感覚じゃほとんど自殺行為で、 今にも彼が車やバイクにはねとばされると思った。ところが信じ難いことに、その人は生きたまま 道路を横断してたんだよ。あれは衝撃的な光景だった。 事態はベトナムも同じで、とにかくもう道路横断感覚が日本と全く違う。 車やバイクが停まってから渡るのではない。停まらないんだから(笑)。決然と歩き始め、 バイクや車の方に自分をよけてもらうしかない。しかもその交通量、特にバイクの数は半端ない。 ベトナム道路横断術については、そのコツがいろいろ公表されている。 いわく「立ち止まったり、引き返したりは一番危険。向こうは歩行者の速度を計算してよけようとするから、一定の速度で 歩くことが大事」、いわく「極端にいえば目をつぶって渡っても、一定速度で歩けばバイクの方でよけてくれる」等々・・・。 要するに、ジャカルタで見た光景と同じだよな。決然と横断するしかないのだ。 バイクの川が完全に途切れるのを待っていたら、アナタは永久に向こうに渡れない。さぁ決然と横断しよう。 ・・・と、口で言うのは簡単だけどね(笑)、これを実際にやろうとすると、最初はオッカナイよ~? 初めてあのバイクの洪水を目にしたガイジンは「こんな道、渡れっこねぇよ」と誰でも思いたくなるはずだ。 特にホーチミン中心部はハノイ旧市街に比べて道幅が広いから、道路横断は毎回、ちょっとした冒険だった。 (もっとも、バイクの速度はそう速くない。平均して30~40km/hくらいの流れじゃないかな?) 初心者の頃は「同じ道路を渡ろうとする誰か」と一緒に横断するのがいいと思う。イ課長も一度やった。 でも回を重ねるうちに、だんだんうまくなる。道路を横断しながらベトナム人ライダーたちとうまく「折り合い」を つけることができるようになってくるんだよ。この一瞬の、しかも無言のコミュニケーションが面白くて。 イ課長が最終的に体得した道路横断テクニックはこんな感じにまとめられる。 ①バイクの流れにも密な部分、疎な部分は必然的にあるから、疎な部分が近づいてきたら準備。 ②一定の速度で渡るべしというのは基本的には正しいが、時には「バイクを先に通らせる」こともあり得る。 そういう時は歩行速度を相手にわかるように緩めたり、時には立ち止まって“調節”する。 ③当然のことながら「目をつぶって渡る」なんてムリ。視線は川上側をしっかりと見ましょう。 ④車はバイクより幅が広いから、うまく車の前を横断できると、その分“横断距離”をかせぐことができる。 ⑤渋滞こそ、横断の好機である。 ⑥意外に有効だったのが、川上に向けて手の平を見せる「横断してるから、注意してね」的なジェスチャー。 日本でも横断歩道のないところで使うことあるけど、これは万国共通で通じるようだ。 ホーチミンやハノイで一日、二日と歩き回るうちに、こういう自分なりのコツを体得していく。 慣れてきて油断すると、うっかり①のプロセスをとばして、いきなり渡っちゃって、道路の真ん中で「いけね」と 思ったこともあったけど、それでも何とか「折り合い」をつけられるようになってくる。 欧米人観光客もこういうコツはみんな飲み込んでいたようで、ナンだカンだ言ってみんな横断してた。 ベトナムに行けば、どんな柔弱なガイジン旅行者も「決然と渡るしかない」という境地に到達するようだ。 そりゃそうだよな。バイクの川を横断することができなきゃ、ホテルから出られないんだから(笑)。 もっとも、これは普通の足腰の人だったら、という前提での話。 ホーチミンやハノイみたいな都市部で、ツエをついたよぼよぼ歩きのおバアさんが、バイクびゅんびゅんの道路を 横断するような光景はさすがに目にしなかったよ。コドモやお年寄りにはいくら何でも危険じゃないかなぁ? まぁそれでも、ベトナム滞在中に人身事故はもちろん、バイク同士や車同士のちょっとした接触事故でさえ、 全く遭遇しなかった。日本人からみればあり得ないような道路交通状況なんだけど、それでも一応それなりの 秩序があって、あとは「秩序がないように見える秩序」と、アナタとが、どう折り合いをつけるか、だ。 こんなことを考えながら、ベトナムの道路を渡るのは面白かったよ。 バンコクに移動したら、バイクの数は劇的に少なくなるし(その分、車の数は増えるが)、広い道には 日本とまったく同じような歩道橋があったりして、逆にちょっとつまんなかった(笑)。
by tohoiwanya
| 2013-07-05 12:32
| 2013.06 東南アジア旅行
|
Comments(10)
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はな
at 2013-07-05 21:39
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ポーランドネタ、楽しみにまっています^^
私もホーチミンだけですが行ったことがあります。 バイクの数は本当にすごいですよね。 まさにバイク祭り、信号待ち中のバイクなんて、 バイクレースのスタート前!みたいな感じですよね。
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hanatomo31 at 2013-07-05 21:58
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tohoiwanya at 2013-07-06 17:41
>バイクレースのスタート前!みたいな感じですよね
はなさん: あ、ホーチミン行かれたことあるんですか。まさに毎日が“バイク祭り”の街(笑)。 たまにある信号はホントにおっしゃるような感じで、赤から緑になる時はすでに 最前列のバイクはフライング気味に飛び出してますよね。 次回こそポーランドネタいきますから。 “常に1年前の話ばかり書いてるイ課長ブログ”の汚名を何とか挽回したいんだけど、 今のところ、ネタ在庫は減るよりも増えるペースの方が早くて・・(笑)。
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tohoiwanya at 2013-07-06 17:45
>決然と赤子を抱いて、もしくはベビーカーを押して
ハナトモさん: ダメ!あぶない!ハナトモママ、それはいけません! ベビーカーを押しての横断っていうのは全く見かけませんでしたねぇ。そもそも ベトナムでベビーカーが普及している様子もなかったけど。 その代わり、バイクに赤ん坊を乗せてるケースは極めてよく見かける。 ベトナムの若いママさんが、赤ん坊を(もちろんノーヘルメット)左手で抱えて、右手だけで バイクを片手運転してるのを見たときは恐怖のあまり失神しそうになった(笑)。
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みゅげ
at 2013-07-06 20:46
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http://rose.ruru.ne.jp/kmp/book/b02-vietnam.htm
上記、ベトナム旅行本ですが、この面白さは言葉にできません! 彼女たち(女性ふたりですが、きゃぴきゃぴの旅ではありません)の旅は、たぶんイ課長さんも面白がってくれそうです♪
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tohoiwanya at 2013-07-07 18:55
>上記、ベトナム旅行本ですが、この面白さは言葉にできません!
みゅげさん: この本のこと、ちょっと調べてみました。この本、手描き文字で書かれた部分が多いんですか? 「字が小さすぎて読めない」って書いてる人がいた(笑)。 私はベトナム行く前に、故・近藤紘一さんの「サイゴンのいちばん長い日」と 沢木耕太郎の「国道1号線を北上せよ」を読んだんですが、あと何かベトナム関連書籍を 買うとしたら、やっぱ名著とされながら読んでない「サイゴンから来た妻と娘」を 読んでみたいなぁ。
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夏
at 2013-07-07 23:06
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tohoiwanya at 2013-07-08 00:51
>母としては子供達を連れて渡りたくなーい!!
夏さん: それはごもっともで、自分一人で渡るのもオッカナいのに、子供連れて渡るのは 危なすぎる。イ課長だって、杖ついて歩く80過ぎのイ課長母なんかを連れて ベトナムの道路渡れって言われたら諦めるよ。 まぁ海外旅行なんて基本的にはみんなそうだけど、ベトナムは特に 「足腰の達者なうちに行っておくべき国」かもしれん(笑)。
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みゅげ
at 2013-07-08 17:51
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k、m、pの『ベトナムぐるぐる。』(マンガや手書きも入っているかなりディープな本ですが、ほんと面白い)にも、バイクのことは何度も出てきます。
あと一歩で渡れると思ったら、そこにめがけて来たバイクがポリスマンだった・・・なんてことも書いてありました。 ホイアンは、“歩いてるうち、おばあちゃんちに遊びに行った子供の頃を思い出した”、と書いてます。 “またベトナムに来るとしたら、そのほとんどの時間を、この町、ホイアンで過ごしたい”、というのを読んで、ベトナム、行ってみたい・・・と、ちょっと思いました♪(ちょっと・・・(笑)) 笑いがいっぱいの、とにかくディープな本です♪
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tohoiwanya at 2013-07-08 22:50
>ホイアンは、“歩いてるうち、おばあちゃんちに遊びに行った子供の頃を
みゅげさん: ああああああ〜〜(泣)〜〜ホイアンはねぇ、ホイアンはねぇ、ホントにいいところでしたよ。 「忘れられないベトナムの田舎」っていう感じで、一日ブラブラしてるだけでも 町にちょっとした顔見知りができて、翌日すれ違うときは笑って声かけあったり。 たった1泊2日でもそんな田舎っぽい触れ合いがあって、ホントにいいところでしたよ。 ベトナム、いかがですか?(笑) ホーチミンやハノイみたいな大都会観光の合間に ホイアンをはさむっていうのは大お勧めコースです。 |
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