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2013年 08月 19日

ビルケナウ強制収容所 その1

さーて。のどかなお盆ウィークも終わり、人々は仕事に戻る。
イ課長もダークなアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所の訪問記執筆に戻ることにするぞ。
またしばらくの間、このブログは暗くなる(笑)。

ビルケナウを含めた、広義のアウシュビッツ強制収容所のイメージとして、イ課長の中に最も強く
記憶されているのは、以前に載せた「働けば自由になる」のあのアーチと、トンガリ屋根の下のトンネルから
まっすぐ伸びている収容者輸送用の列車の線路。この二つの情景だ。
アウシュビッツていうと、必ず使われる写真で、大学生の時に読んだ名著「夜と霧」にもこの写真が載ってて、
非常に印象的だったんだよね(この古い写真は拾い物)。
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「働けば自由になる」のアーチはアウシュビッツの入口にあるけど、トンガリ屋根の下のトンネルと、そこから続く
長い線路のある場所は、実はアウシュビッツではなくビルケナウ強制収容所なのだ。トンネルのある建物は
俗に「死の門」と呼ばれた。これからいよいよそこにいくわけだ。うーむ、ううーむ・・・(←心の準備をする音)。

アウシュビッツからビルケナウまではバスで移動する。

見学ツアー参加者はツアーバスで行くわけだけど、アウシュビッツ〜ビルケナウ間を定期運行してるバスも
あるみたいで、下の写真がたぶんそう。バスはそう頻繁に出てるわけじゃなさそうだったから、ツアーじゃなく
自力見学を目指す方は(イ課長も最初はそうだった)、確認した方がいいと思う。
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バスはビルケナウ収容所の駐車場に着いた。着くと、目の前にはもう「死の門」だ。

そのままガイドさんに引率されて「死の門」のワキのあたりから収容所の中に入る。
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うわーーーー。

第一印象・・というか、ビルケナウにいる間じゅう、ずっと抱き続けることになる印象がこのとき強烈に形成された。
こんなにダダッ広くて、こんなに荒涼としたところだったんだビルケナウって。想像をはるかに超える。
まさに「うわーーーー」と言うしかない。
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おそらく、ここに来た人の大半は予想を超えるその広さと、その荒れ果てた感じに打たれるはずだ。
その印象を漢字二文字で表せと言われたら「荒涼」という言葉以外は浮かばない。
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線路を中心線として左右に広大な収容所敷地が広がり、見学者たちはその線路に沿って歩く。
何度も振り返って「死の門」を見る。ああ、イ課長が古い白黒写真資料で何度も観たあの光景だよ。
トンガリ屋根の「死の門」、トンネルから続く線路・・・まさに今自分は“悪しき記憶”が濃厚に染み付いた
場所を歩いているんだ。
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線路の左右には本当に「どこまでもどこまでも」って感じで居住棟が延々と並んでるんだけど、
特に、死の門を背にして右側の建物の荒れ果て方は尋常じゃない。崩れた建物が延々と続いている。
たぶんカマドと煙突だけが残って、周囲の建物はぜんぶ壊れてしまっているんだと思う。しかし、
自然崩壊とは思えないから、ドイツ軍が収容所を放棄するときに破壊していったんだろうか?
まるで墓標のようだ。
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途中に有蓋貨車が1台置かれている。収容者たちがスシ詰め状態でここに連れてこられた貨車だ。
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ここにも花が飾られてるけど、これもまた死者の慰めのためというより、ここに来た見学者が、この重苦しい
景色から少しでも逃れたいがために置いた花じゃないかと思える。
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アウシュビッツ強制収容所はいろんな展示物があって、博物館として整備されているのに対し、
このビルケナウ強制収容所はそういう感じじゃない。昔のまま、広大な敷地に荒れ果てて、残っている。
見学者の感じ方も何となく違ってくる。アウシュビッツが膨大な展示物を見て「考える収容所」だとすれば、
このビルケナウは荒涼たる場所に立って、「感じる収容所」という感じだ。
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「感じる収容所」ビルケナウ。
当然、話は次回に続くのである。読者の方々にもたっぷりと感じていただきたい。

  

by tohoiwanya | 2013-08-19 00:09 | 2012.06 東欧・北欧旅行 | Comments(4)
Commented by 加代子 at 2013-08-19 05:32 x
私がアウシュビッツと思っていたのは
実はビルケナウだったのですねェ・・・
写真や映画で見たそのまま。 
荒涼・・・良い得て妙・・・

収容所は ドイツで一箇所だけ行った事があります。
カナリス総督が処刑されたFlossenbürg収容所。
ここは絶滅収容所ではなく 労働の為だったそうで
規模も小さいし 周りも綺麗な所でした。
Commented by tohoiwanya at 2013-08-19 13:18
>アウシュビッツと思っていたのは実はビルケナウだったのですねェ・・・

加代子さん:
そうなんです。私も実際行ってみて「ああ、そうだったんだぁ」と知った。

私はむかし、トホ妻とドイツ旅行したとき、ミュンヘン近郊のダッハウ強制収容所を
見学したことがあるんです。もう17~8年前かなぁ?
ダッハウはわりと政治犯が多かったはずで(例のエリザベート(娘)のダンナさんも)
アウシュビッツとは多少性格が違うのかもしれないんですが、やたらダダッ広い敷地に
低い居住棟が並んでるあたりの雰囲気はよく似てましたね、今思えば。
Commented by はな at 2013-08-19 22:32 x
イ課長さんと、まーったく同じ、第一印象でした!
あまりの広さと、荒れた感じに言葉がでませんでした。
しかも、私が行ったときは、アウシュビッツは雲ひとつない快晴
だったのに、ビルケナウに着いたとたん、夕立ですごい雷雨になって。
そんな、稲妻光るあの線路と荒涼した光景は一生忘れられません。
Commented by tohoiwanya at 2013-08-20 11:58
>ビルケナウに着いたとたん、夕立ですごい雷雨になって

はなさん:
そ、それ、ちょっとスゴすぎる舞台設定。でも見てみたい(笑)。

死ぬまでの間にもう一度アウシュビッツに行くことがあるかどうかわからないけど、
もし、また行くとしたら、今度は真冬の、雪が積もったときにでも行きたいですねぇ。
地面の草も見えず、死ぬほど寒い状況であそこを見たらどんな感じなんだろう?

冬のポーランドってたぶんすごく寒いと思うんですよねぇ。
収容所の居住棟って、実は木造バラックみたいなのを想像してたんだけど、
実際にはレンガ造りのばっかり。いかに強制収容所とはいえ、さすがに
木造の家じゃポーランドの冬は越せないってことかなぁ?なんて思いました。


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