2014年 05月 19日

ホイアンの豆の話

旅をしてると、現地でのごく些細なことがいつまでも心に引っ掛かることがある。

これもホイアンの街を歩いてる時の話。
暑くて汗ダクになったから、川沿いのカフェ(というほどのものでもないが)で一休みしてビールを飲んだ。
(コ汚い足の写った写真でスマヌ)
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すると、お盆の上に豆の袋を積んだ豆売りのおばちゃんが寄ってきた。 
「おいしいんだよ、ビールのつまみにもちょうどいいんだから。ねぇ買っとくれよガイジンさん!」

ベトナム語はヒトコトもわからないけど、彼女の言ってることは表情でわかる。
試食もさせてくれた。ポリポリして、塩味が効いて、確かにビールのつまみ用の豆には良さそうだ。
どうせこの後ハノイでもバンコクでもホテルでは缶ビールを飲む旅が続くわけだし、ここでつまみ用の豆を
買っておいてもいいな、と思った(下の写真がその豆。ただしこのおばちゃんから買ったものではない)。
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しかしだよ。問題はその豆の包装なのだ。
ヤワなビニール袋にぎっしり詰まって、輪ゴムで口を閉じただけっていうもの。何かのカドにでも当たれば
たちまち袋が破れちゃいそうなんだよ。スーツケースの中が豆まみれってのはさすがに困る。
密閉容器でもありゃいいんだが、旅先でそんなものあるはずない。おばちゃん、ごめん、ノーサンキュー。

おばちゃんはなおも「買っとくれよー」と頼み込んでくる。裕福なおばちゃんではないのは明らかで
こうやって路上で豆を売り歩くということは、きっと自分の店を持つだけの資力もないんだろう。
いや買ってあげたいんだけどさー、この豆を入れとくイレモノがないんだってば。ごめん。

あきらめて豆売りのおばちゃんは去っていき、ビールを飲み終わったイ課長はやがてホテルに戻った。
部屋でスーツケースを開けて荷物をいじっていたら、イ課長はガクゼンとした。

しまった!!豆入れとく袋、あったんだ!
日本を出発前に、ビニールチャック付きの袋に入った食いかけのバタピーを荷物に放り込んだんだっけ。
この袋ならさっきの豆を入れとくのに、おあつらえ向きじゃん。ホイアンで買った豆を荷物に入れておいて、
ハノイやバンコクで道々ビールのつまみとして食えたんだよ。あーバッカでー、イ課長。
(バタピーの袋に豆を入れた状態。しかし繰り返すが、この豆はあのおばちゃんから買ったものではない)
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この袋があると知ってれば、あの豆、買ったのになぁ・・・。
豆売りのおばちゃんに悪いことをした。あのとき買ってもいいなと思っただけに、後悔が残る。
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なんとなく心残りだったから、翌朝また同じあたりを歩いてみた。
昨日の豆売りのおばちゃんがいれば、こんどは迷わず買おうと思ったんだけど、そういう時に限っていない。
あー・・・ホイアンで豆を買いそこなったことがやけに残念なことに思えてきたぞ。

そのまま市場の中に入って乾物コーナーをふらふら歩いてたら、お?同じ豆を売ってる店がある。
ベトナムじゃごくありふれた豆なんだな。しょうがない、あのおばちゃんには申し訳ないが、この後に続く
旅程でのビールつまみ用に、ここで豆を仕入れておくか・・・。

しかしこれがやけに大袋なんだよ。ヘタしたら1kgくらいありそうな大袋で、さすがに処置に困る。
「これは多すぎる・・」と言ったら、店のおばさんが小さめの新しい袋にザーッと豆を分けてくれた。

しまった!!(その2)
先に値段を聞くべきだった。新しい小袋に豆を入れ換えさせてしまった以上、もう「高いからいらない」とは
言えないじゃん。こういうときは先に値段を確認しておかなきゃ。バッカでー、イ課長。

あーあ・・・買うしかない。ぼったくられるだろうなぁ。
「いくら?」首切り役人に自分の首を差し出すような気分で値段を聞いた。
嬉しそうに彼女は言う「5万ドン」。あ~あ、完全にやられたぜ。こんな豆せいぜい2万ドンだろ~?
昨日の豆売りおばちゃんから買っとけば絶対もっと安かったはずなんだよ、ちくしょう。

結局5万ドンで豆を買わざるを得なかった。
仕方ない、今回はやや高い撮影料だが(それでも適正価格2万ドンとしたら、ボられたのは150円ほど)
乾物屋のおばちゃんの写真を撮らせてもらった。当然ながら彼女の方は極めて上機嫌である(笑)。
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豆をカバンに入れて歩いていくと、昨日カオラウを食った店の前を通った。当然、例のオバちゃんがいる。
前にも書いたように、このおばちゃんとはもう仲良しだ。「ハロー!」と大きな声で挨拶してくれるから
イ課長も「ハロー!」と挨拶を返す。

もしイ課長がベトナム語に堪能だったら、このカオラウ屋のおばちゃんに今買ったばかりの豆の袋を見せて
「高い豆買わされちゃったよー・・」ってこぼしたと思うよ。おばちゃんは絶対こう言うよね。
「アンタそんな豆に5万ドンも出したの?!バッカねーー!完全にカモられたよアンタ!あはははは!」

この頃にはもう完全にイ課長はベトナムでの買い物や食事を一種の運試し、ないし一種のゲームと
考えるようになっていた。イイのに当たることもあれば、悪いのに当たることもある。今回の豆みたいに
自分の戦術的ミスが元で相手に見事にしてやられることもあるというわけだ。

そう考えだすと、「次に行く店はどうかな?」って感じで、この運試しがだんだん面白くなってくる。
仮にぼったくられても、いわばおみくじで凶をひいたように「あちゃ、悪いの引いちゃった」と思うだけで、
怒ったり、相手を恨んだりっていう気持があんまり湧いてこない。
例のお姉ちゃんみたいに、ぼったくられたイ課長の方が満ち足りた気分になっちゃうことすらあるわけだからね。
不思議なくらいベトナムのぼったくり商法をストレスとして感じなくなってきたんだよ、イ課長は。


だが冒頭書いたように、イ課長の心に引っ掛かり続けるものがある。それは最初に書いた豆売りおばちゃんだ。

保存用の袋があるのを忘れて買ってあげなかった上に、ヨソでこんな高い豆買っちまったなんてさー・・・。
あの豆売りおばちゃんには顔向けできないんだよホント。ごめんよ、おばちゃん。


 
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by tohoiwanya | 2014-05-19 00:14 | 2013.06 ベトナム・タイ旅行 | Comments(2)
Commented by hanatomo31 at 2014-05-20 15:26
あぁ。これまでのイ課長さんのブログを読んでいると、
ここでの無念さが私にもよーーーく分かります。
ぼられたのがどうとかじゃなくて、あのおばちゃんから買ってあげたかったんですものね。
もう一度で得なくて残念。
Commented by tohoiwanya at 2014-05-21 01:02
>あのおばちゃんから買ってあげたかったんですものね

ハナトモさん:
そうなんですよ。買ってもいいんだけど・・と思いながら「いらない、いらない」って
断っちゃったのが、なんだかすごく可哀想なことしちゃった気になる。
ぼったくりとフッカケの多い国で、こういう気持になるのはなぜなんだろう?
やっぱり相手が貧しい中で一生懸命働くおばちゃんだからかなぁ?
これがヒゲモジャでニヤついたアラブ商人のオッサンなんかだったら
もっと冷淡になるんじゃないかって気がする(笑)。


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