2014年 06月 19日
イ課長の勤め先では定期的に社員持ち回りで、フリーなテーマで社内プレゼンテーションをやるという ちょっと変わった風習がある。社内のみんなに向かって、当番の社員が何かプレゼンするわけだ。 これはまぁプレゼンテーション能力向上にむけた練習という意味もあるんだろうな。 テーマは基本的に何でもいいのだが、大体は当番プレゼンターが自分の仕事上の成果等について発表し、 みんながその知識を共有するというのがオーソドックスなパターン。だからわりとお堅い内容の話が多い。 しかし他人の仕事の話なんて聞いてもつまんないじゃん? だもんで、イ課長は発表当番がまわってくると、毎回柔らかめの話をしたがる。 前回はインド出張の時の写真を見せつつ、インドってこういうとこなんだっていう話をしたし、 その前は海外出張の際のホテルや鉄道切符のネット予約方法についてプレゼンした。 自分のブログ記事を適当にピックアップし、かいつまんで発表してるだけともいえるな(笑)。 さて、実は今日またもやイ課長のプレゼン当番が回ってきたので一席しゃべってきた。 ちょうど神田移転後初めてのプレゼンに順番がまわってきたのも何かの因縁だ、というわけで 「神田歴史散歩」的な話をした。弊社の業務とは1ミリグラムも関連性はない(笑)。 携帯で撮ったご近所の写真もいろいろあるし、多少は神田について調べたりもしたわけだから、 本日はその中から神田須田町1丁目関連ネタをブログでもご紹介しようと思うのである。 神田須田町には1丁目と2丁目があるんだけど、特に1丁目には戦災で焼けなかった街並みが残ってて、 そぞろ歩くだけでちょっとした「歴史散歩」という感じになる。 この辺、昔は連雀町っていう町名だったそうで、池波正太郎ファンならご存知の方も多いはず。 この旧連雀町、現神田須田町1丁目には食通で鳴らした池波正太郎が愛した老舗が軒を連ねる。 街並みはこんな感じなのである。 なんといってもこのY字路の分岐点にある六文そばが強烈なランドマークになってる。イ課長もさっそく ココの「いかげそ天そば」を食した。400円。 とにかくカウンターがびっくりするほど低い。立った状態のイ課長のズボンのベルトより低いといえば その低さがわかってもらえるだろうか。 そりゃ確かにイ課長は図体デカいけど、それにしたって低すぎる。だからカウンターに丼を置いた状態で 蕎麦をすする客は誰もいない。丼を手で持って食うのだ。蕎麦の撮影どころではなかったのだ(笑)。 さて、六文そばで腹ごしらえしたところで、奥の方に入ってみよう。この辺からいよいよ戦前の香り漂う エリアになる。たとえばこの「ぼたん」。創業明治30年、都選定歴史的建造物。鳥すきやき屋なのである。 ガスを使わず、未だに炭火で食わせる店なんだとか。冬になったらぜひ食いにこよう。 ぼたんのちょっと向こうには「いせ源」。店のルーツは天保年間。都選定歴史的建造物。 こちらは「あんこう鍋」の専門店なんだと。いやーあんこう鍋とはオツでげすな。 むかし一度だけ友人宅でふるまってもらった記憶がある。コラーゲンが多そうな鍋だったよ。 ここも一度は食いに来たいけど、あんこう鍋は6人以上での予約がいるらしいんだよなー。 いせ源の対面にはこんな店がある。これにも驚いた。だって「おしるこ屋」なんだもん。 竹むらという知る人ぞ知る名店。もちろん池波正太郎は知っていた。とうぜん都選定歴史的建造物。 甘味系もかなり守備範囲に含めるイ課長、この店のぜんざいもいずれ食いたいものである。 連雀町、池波正太郎とくりゃ忘れちゃいけないのがまつや。創業明治17年。またまた都選定歴史的建造物。 非常に有名な蕎麦屋で、特にカレー南蛮が名物なんだとか。しかしネットで値段を見てたまげた。 かけそば650円、カレー南蛮1,000円、天ぷらそば2,000円っつうんだから高い。 イ課長には明らかに六文そばの方が分相応だと思われるのである。 フと目を転じればこんな歯医者さん。 右→左向きの看板っていうだけで畏れ多いくらいの歴史を感じさせてくれる。 うーむ須田町、さすがだ。実はイ課長は神田の会社近辺で歯医者を開拓する必要に迫られている。 ここにしてみたい気もするのだが、治療内容も戦前のままだったらどうしよう(笑)。 須田町1丁目グルメといえばもう一つ重要な店がある。松栄亭っていう洋食屋さんだ。 ここの「洋風かきあげ」というメニューの由来には夏目漱石が関係するっていうから驚く。 後に松栄亭を開くコックさんが、明治時代に東大のセンセイをやってたケーベルさんってドイツ人の屋敷で 専属コックをしてたらしい。その屋敷に、同じ東大教授仲間だった夏目漱石が幸田露伴の妹を連れて トツゼン遊びに来た。ケーベルさん「何でもいいから、急いで何か作ってくれ」と専属コックに頼んだ。 そこで困り果てたコックが肉とタマネギをいためて小麦粉でツナギをつくってかきあげ状にして出したら これを食った夏目漱石が「ウンマーーッ!!」と感激し、それがそのまま現在でも洋風かきあげとして この店の伝統メニューになっている、と、そういうことらしい。 確かに松栄亭の入口のところには夏目漱石由来の洋風かきあげがちょっと説明されてた。 しかしランチメニューには残念ながら洋風かきあげがないので、イ課長もこの店ではまだ食っていない。 なにせランチで1,000~1,500円といういいお値段の店。六文そば志向のイ課長にはちと敷居が高い。 ま、でもそのうち行ってみようではないか。神田勤務はこれからずっと続くんだし。 というわけで・・・神田須田町1丁目、歴史グルメ散歩でした。 と、まぁこんな、日頃の業務には全く役立たない話を今日してきたわけだ。 企画時期としてはタイムリーだし、みんなもまぁまぁ面白がって聞いてた(と思う)けど、 ここまで業務と無縁なヨタ話のプレゼンってのもいかがなものかと思ったよ、自分でも(笑)。
by tohoiwanya
| 2014-06-19 00:03
| 日本でのオシゴト
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Comments(16)
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シトリン
at 2014-06-19 11:41
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知り合いのおじさんから
東京行ったら「ぼたん」で鳥すき食べておいでと言われてるんですよね まつやもごまそば食べたい こういう風情の街好きです^^
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カプメイ
at 2014-06-20 00:17
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神田はですね、まつやはもちろん美味しいんですが、やぶそばが素敵だったんです。焼けちまいまして。。。(T_T)
歌うような花番さんの声をまた聞きたい。 まつやは冬の鴨南蛮がいいです。あったまります。 竹むら、あんみつ、揚げ饅頭、粟ぜんざいもいけます。 小川町には笹巻けぬき寿司ってのもあります。 ぼたん、いせ源は未踏。誘ってくださればホイホイ行きます。。。なんちて。(笑)
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tohoiwanya at 2014-06-20 15:05
>東京行ったら「ぼたん」で鳥すき食べておいでと
シトリンさん: うっそー。ぼたんって「東京に行ったらアレを・・」と言われるくらい 全国的に有名な店だったんだ。うーむ、そうだったのか。それじゃやっぱり 地元勤務の地の利を生かして、冬のボーナス後にトホ妻と鳥すきやきかな。 業務成績悪くてボーナスが出なかったらトホ妻と六文そばになります(笑)。
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tohoiwanya at 2014-06-20 15:12
>やぶそばが素敵だったんです。焼けちまいまして
カプメイさん: そうみたいですねー。神田薮蕎麦も都指定の歴史的建造物だったのに 勿体ないことをした・・・。 一応店舗再建・そば屋再開という計画はあるようですが、もう工事始まってるのかな? この界隈での個人的なターゲットとしては鳥すきやきと、竹むらのあんみつかな。 栗の入ってないぜんざいがあれば断然ソレなんだけど・・・。 ウチの会社のけしからぬ女子社員たちはまつやで一番高いメニューである 天ぷらそば(2000円)を食ったらしい。2本ある海老の天ぷらは最高に美味だけど そばの量は足りないとヌカしてました。
夫と一緒に拝見しました。もう、こういう風景、残して欲しいですね〜 この周りのビル全部、木造2階建てに作り替えたら、どれだけ美しいでしょう。観光客もわんさと来ると思いますけど、どうでしょう。
Bきゅう、竹むらとか、梅むら(←子供のとき、よってどっちなのか知らない)のお持ち帰り用あんみつが好きだったですう(除:あんのところ)。でも、なぜイ課長さまは、『栗の入ってない』???を好まれる。蕎麦は、Bきゅうの場合は更科系。やっぱ、昔は白いおそばというのが高級であったと思うのでございますよお。
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tohoiwanya at 2014-06-21 14:50
>もう、こういう風景、残して欲しいですね〜
マダムKenwanさん: 残して欲しいですねー。 まぁ普通に考えれば神田みたいに地価の高いところで木造の建物で 商売続けようと思えば固定資産税だナンだでタイヘンなはずで、持ち主としても ビルにしたくてするわけじゃないんでしょうが、でもやっぱりもったいない。 この辺は戦災で焼け残ってるわけですから、おそらく私がコドモの頃に来ていれば 戦前の匂いがほぼそっくりそのまま残ってたんじゃないかって気がする。 あーコドモの頃に見ておきたかった・・ま、コドモが見ても面白くはないでしょうが(笑)。
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tohoiwanya at 2014-06-21 14:55
>なぜイ課長さまは、『栗の入ってない』???を好まれる
Bきゅうさん: おお、これは拙者の痛いところを突かれ申した。 実はみども、幼少の頃よりなぜか栗が嫌いなのでござる。 ぜんざいだろうがアンパンだろうが、栗が入っているとなればアウト。 モンブランなどという忌まわしい西洋菓子は生涯口にいたさぬのでござる。 しかしBきゅうどのも「更級系じゃなきゃ」などと申されるとは食通でござるな。 拙者、そばといえば立ち食いそば。蕎麦の色など気にしたことすらない不調法者。 いやまったくお恥ずかしい。
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Bきゅう
at 2014-06-22 03:55
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拙者、浅葱裏と言われるような身ゆえ、江戸弁にはなじめず、拙者にもわかりやすく御説明いただき イ課長殿のご配慮、かたじけなく候。
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tohoiwanya at 2014-06-22 13:13
>拙者、浅葱裏と言われるような身ゆえ
Bきゅうさん: ご、ご貴殿、「浅葱裏」などという専門用語をヒョイと使われるとは恐れ入った。 拙者など意味がわからず、Googleで検索して調べたでござる(笑)。 浅葱色の裏地の着物を着ることが多かったヤボッたい武士を指すのでござるなぁ。 いやさすがは鬼平や剣客商売を愛読されたご貴殿でござる、感服つかまつった。
「ぼたん」「いせ源」、行った事はありませんが「恨ミシュラン」で読んだのを覚えてます。
どっちかがすごく仲居さんの態度が悪かった、とか・・・(^^; ところで社内プレゼンテーション、面白いシステムですね。 なんだかこちらの小学校で子供達がやらされる「Show and Tell」を思い出しました。 順番に生徒が何かひとつ自分の物を学校へ持って行って、 皆の前でそれについて話す、というものです。 多分将来のスピーチやプレゼンテーションの練習なんだろうなーと思いましたが アメリカだと幼稚園からそれをやってるのがすごいです。 日本人がかなわないわけだー。
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tohoiwanya at 2014-06-24 00:57
>生徒が何かひとつ自分の物を学校へ持って行って、皆の前でそれについて話す
Mimiさん: おお、まさにそんな感じですよ。話の内容より、いかに「聞かせる話」をするかが問題。 で、ひとしきり発表者の話が済むと、そのあと聴衆たちとの質疑応答がある。 マジメな話をするとマジメな質問がきて発表者が答えられないなんてこともあるけど 神田歴史散歩だと質問や意見っていう問題じゃないですからねぇ(笑)。 しかし仲居さんの態度が悪いのはどっちだろう?いせ源はランチもやってるので(高い) こんど一度行ってみようかな、一応ボーナスも出たし・・・
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piki
at 2014-06-24 08:35
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tohoiwanya at 2014-06-24 13:14
>お店まわってるだけで、観光です!
ぴきさん: いやぁもう、昼メシを食いに出て、何食おうかなぁと考えながら会社周辺を ブラついてるだけで、それなりに東京歴史観光できちゃうところが素晴らしい。 正面ファサードを銅で(!)作った古色蒼然たる「ボタン屋」なんかあるんですから。 あれは例のミルクホールと同じく、関東大震災後の復興住宅なんだろうなぁ。 そのうち、須田町2丁目特集やるかもしれません(笑)。
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あくの
at 2014-06-30 19:36
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竹むらも一度行きましたな。
粟ぜんざいとかは栗、入ってなかった気がします。 藪が無くなったのが残念で。あそこの汁が美味しくて。あと1枚600円という単位で 蕎麦を出してくれるのがいいな、と。 まつやと松栄亭は本で読んだだけなのでそのうち東京に遊びに行った際に行こうと思ってます。 池波さんの「散歩の時何か食べたくなって」の中に神田須田町の話がしっかり書いてありました。 「花よりも花のごとく」という能の漫画でも須田町出て来てましたよ。
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tohoiwanya at 2014-07-01 12:10
>粟ぜんざいとかは栗、入ってなかった気がします
あくのさん: 栗入ってないの?それならぜんざい食いたいけど・・・。 こないだ通ったら「氷」の垂れ幕(っていうのかな?あれ)がかかってたから 猛暑期になったらあそこで氷あずき食おうかと計画中(笑)。 しかし神田須田町、ホント有名ですねー。池波正太郎とこれほど縁があるっていうのも 引っ越すまで知らなかったけど、そのうえ能の漫画でもとりあげられてたとは。 銀座や大手町ほどのステイタスはないけど、町歩きの面白さはたっぷりあって楽しいス。 |
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