2015年 05月 26日

「良いことをする」ということ

来日外国人観光客がやたらに増えてるという話は以前に書いた
彼らが日本にどういう印象を持ったか、何に感激したかっていう話もネットニュースでよく紹介されてる。
主に中国や韓国のブログ記事が中心で、話としては「日本の街並みはキレイで、トイレは清潔で、
ぼったくりはゼロで、人は親切で、店員は礼儀正しくて・・」みたいに大体イイことが書かれてる。
その中でも「日本人の親切さ」を指摘する話をよく読むんだよね。

「東京で見知らぬ日本人に道を聞いたら、笑顔で教えてくれたばかりか、わざわざ一緒に歩いて近くまで
 連れてってくれた!なんて親切なんだ!」てな類の、日本人の親切さにカンゲキしてる話だ。
確かに相手が外国人で、口で説明してもアブナいなーと思えば(方向が同じであれば)連れてってあげるという
ことはあるだろう。しかしそういう親切って他の国じゃそんなに珍しいかい?

これに関して昨年タイで経験した二つのエピソードを思い出した。一つめはチャチュンサオに行った時のこと。
市場からソンテウに乗ってバスターミナルまで行き、そこからバンコク行きバスに乗って帰ろうと思った。
しかしいざソンテウに乗ろうとすると例によってタイ語表示のみだからバスターミナル行きかどうか全然わからん。
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ソンテウが1台来た。大学生くらいの男女のグループがそれに乗ろうとしてる。
とっさに、そのグループに「このソンテウはバスターミナルに行きますか?」と英語で声をかけた。彼らは一瞬
驚いたようだったけど、「アー、バスターミナル・・・イエス、イエス」と全員がうなづいて教えてくれた。

ソンテウの乗客はその男女グループとイ課長だけ。
ひょっとすると彼らもバンコクからチャチュンサオに買い物にでも来たのかな?バンコクまでバスで帰るのかな?
だとすれば、彼らと同じところで降りればそこがバスターミナルのはずだが、さてどうだろうか?
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やがてある場所でソンテウが停まり、彼らが降りる様子を見せた。
どうやらバスターミナルっぽい場所だ。よしイ課長もここで降りよう。しかしソンテウ代っていくらだ?

そこで、その中の一人の女子に聞いた。乗る時にも行き先を質問してるわけだから、彼女にすれば
タイに不案内なガイジン旅行者がまた質問してきたわ、と思ったはずだ。

「ディスソンテウ・・ハウマッチ?(このソンテウ、いくら?)」
「エイトバーツ!(8バーツよ)」 元気よく、ニコやかに教えてくれた。

面白かったのはその後にこの女子がみせた表情だ。
「あたし、このガイジンさんにちゃんと教えてあげたもんネ!」っていう、得意げというか鼻高々というか
「いいことをした」という自己満足感が顔中にあふれた表情だった。そのドヤ顔がすごくかわいい(笑)。

彼らへの感謝をこめて盗撮写真をもう一枚載せておこう。
ストローでコーラ飲んでるのがイ課長に教えてくれた女子なのである。あの時はありがとうね。
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同じ旅行でこういうケースもあった。
モーチットのバスターミナルで、ある理由で警官のいる場所に行かないといけなかった(この詳細はいずれ書く)。
しかし広いターミナルのどこにポリスボックスがあるのかさっぱりわからん。そこで、その辺にいたオッサンに
ポリスはどこ?って聞いた。
 
彼はオレについて来いと手招きして歩き始めた。おや、一緒に歩いて連れてってくれの?これはご親切に。
と思ったら、これがやたら遠いんだ。複雑な通路をいくつも通り抜けて、時にはこんな商店街?も通る。
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かと思うとこんな暗い食堂みたいなところも通る。どうなってんの?
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やっとポリスボックスのある場所まで来た。口で説明されても絶対にたどりつけなかったわな。
イ課長が礼を言うと、彼は「ここまで歩いて教えたんだからチップくれよ」みたいなことを言い出した。
このおっさんにはかなり歩かせたからしょうがあるまい。50バーツ(150円)くらいあげたと思う。
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この二つの経験から導き出される仮説はこうなる。

①タイ人も基本的には外国人にとても親切である。これはホントにそう思う。
②最初の例みたいに、口で教えてあげられることなら純粋に親切心で教えてくれるし、そのことに対して
 「自分はいいことをした」という満足感もある。この辺は日本人のメンタリティと差はなさそう。
③ただし二つ目の例のように「一緒に歩いて連れて行く」となると、「いいことをした」という自己満足だけじゃ
 “満足”できないこともあるようで、時には対価の要求もあり得る。

どこの国でも②に関しちゃ違いはないはずで、問題は③だ。③の親切でお金を求める日本人はまずいない。
そういう意味じゃ確かに日本人は親切の度合いが高いのかもしれないけど、でも、むかしイタリアじゃ
一緒に歩いていくどころか、わざわざ自分の車を運転して目指す場所に連れてってもらったこともある。
もちろん、その時はチップなんて要求されなかった。

結局、衣食足りた豊かな先進国か、中進国か、貧しい国かという単純なモンダイなのかもしれない。
確かにタイよりぐっと貧しいカンボジアだと、ガツガツした人もタイより多かったという印象はある。

でもイ課長には何となく「人に親切にする、良いことをする」ということの“無償の価値”に対する考え方の
違いみたいなものが国によって差があるって気もするのだ。日本はそういう“親切の無償の価値”を
やたら美化し、金銭に結びつけることを「がめつい」とする考え方が世界平均よりかなり強いんじゃないか?
「わざわざ一緒に歩いて連れてきたんだからチップくれよ」っていう考え方は国際標準で考えれば
たぶんそれほど異常なことじゃないのかも、って気もするんだよね。同じような状況をたくさんの国で
経験したわけでもないので、あくまでも推測なのだが。

ポリス関連の用事は紆余曲折を経ながら(詳細はいずれ必ず書く)2時間くらいを要したと思う。
用事が終わり、さてバス乗って帰ろうっていうんで、さっきオッサンに連れてこられた逆ルートを通って戻った。
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お?あそこにいるのはさっきのオッサンだ。彼はイ課長を見つけるとすぐに手を挙げて挨拶してきた。
「よう、さっきのガイジンさんじゃねぇか。ポリスとの用事は無事済んだ?」って感じの顔してる。
こっちも手を挙げて「おっちゃーん、さっきはあんがとね」というニュアンスをこめて挨拶を返した。
これはコレでなかなか悪くない「現地の人との触れ合い」だったと思うし、あのオッサンに対して
がめついヤツだ、みたいな悪感情は全然ない。

余談になるけど、つい先日イ課長は秋葉原で(おそらく)中国人家族連れに道を聞かれた。
電気街に行きたいけどどうやって行くのか地図の前で悩んでたようだ。ヘボ英語が通じる相手だったので、
ヘボ英語で教えてあげた。鉄道高架橋のこともレイルウェイ・ブリッジなんて適当な英語で説明したけど
地図を指さしながら説明したから、何とかなったんじゃないかなぁ?

メシ食い終わって会社に戻る途中だったから、電気街まで連れてってあげることはできなかったけど、
書きかけのこの記事のことが頭にあったから(笑)、道順の説明を終えると最後はにっこり笑って
Enjoy Japan(日本を楽しんでね)」と声をかけて別れた。

果たして彼らはイ課長を「とても親切な日本人」と思ってくれたかなー?

 
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by tohoiwanya | 2015-05-26 00:05 | 2014.09 ベト・カン・タイ旅行 | Comments(2)
Commented by みゅげ at 2015-05-27 14:06 x
フランス、ベルギー、ドイツ、どこでも「ついて来て!」という方たちに会いました。

ハンガリー(あ?チェコかな?)では、日本人に付いていた現地ガイドさんまで「近くまで行くからご一緒に」と言って下さって、ホントに親切な人が多かったわ(^^♪

>衣食足りた豊かな先進国
こういう国だったからでしょうか・・・。
Commented by tohoiwanya at 2015-05-27 23:20
>どこでも「ついて来て!」という方たちに会いました

みゅげさん:
うーん・・やっぱりナンだカンだ言って、豊かな先進国を旅してると
無償の親切に遭遇する局面は多いですよね。まぁ欧州先進国には逆に
タカリだの物乞いだの、問題のある方々もけっこう多いですが(笑)。
私の少ない経験だと、そういう問題のある方々がほとんどいなくて、
なおかつ普通の人たちが親切だったという印象が強いのはやっぱり
ポーランドかなぁ?


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