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2015年 06月 22日

ワット・サイの「時そば」で腹がブチ壊れる

今日はいきなり落語の話から始める。
古典落語の中でも最も有名な噺の一つに「時そば」というのがある。

ご存知のように、あの噺の前半では口の上手いヤツがそば屋をやたらほめたりおだてたりする。
看板をほめ、丼をほめ、箸をほめ、ダシ、そば、具のチクワ・・と散々そば屋をホメまくり、
ホメまくったあげく最後に勘定を一文ごまかす。で、噺の後半でバカがそれをマネしようとして
コトゴトく失敗するわけだ。

その後半の部分で箸をホメようとして失敗するところはこんな感じで語られる。

おめぇンとこじゃ割り箸を使ってるねぇ、感心だねぇ。ほらよくあるじゃねぇか、割り箸じゃなくて
もう割ってある箸を使うそば屋がよゥ。あんな誰が使ったかわかんねぇような箸、気持ち悪くていけねぇ。
それがここはちゃーんと割りバシを使ってる。やっぱ食い物はキレイごとでなきゃいけねぇや。

割ってある箸なん・・おいもう割れてるね・・しかも先が濡れてるね・・うう・・ま、まぁいいや、
この方が割る手間がはぶけるってもんだぜ・・・。


この噺を聞く限りでは、江戸時代の日本では「割り箸の使い回し」というのが少なからずあったのでは
ないかと推定されるけど、実際のところはどうだったんだろうか?

さてだ。
「タイで最もショボい水上マーケット」ワット・サイに言った時の話。せっかくだから一艘だけある
船上ヌードル屋でラーメンを一杯食っていこうと思った。もう話の展開は読めましたね?(笑)
ワット・サイの「時そば」で腹がブチ壊れる_f0189467_17202336.jpg
 
商品名がわかんないから他の人が食ってるものを指さして「ボクにもひとつ」と注文する。
値段は25バーツ、当時なら80円くらいか。激安。船の上のオヤジはチャッチャッとヌードルを作り、
舟の上からイ課長に渡してくれた。おそらくタイで最も一般的なラーメン、クイッティオだと思われる。
だがしかし、その器の上に添えられた箸を見てイ課長は凍った。

・・・割ってある箸だよ。
これまで何人もが使い回し、そのたびに水(それもたぶん溜め水)でゆすいだ程度と推測される箸だ。
クイッティオなら一応「火を通した食い物」といえるはずだ。しかし箸がコレじゃあ・・・。
激ショボ水上マーケットで食う80円ラーメンにふさわしい箸といえばいえるが・・。
ワット・サイの「時そば」で腹がブチ壊れる_f0189467_17201833.jpg
 
まさかタイに来て「リアル時そば」のピンチに陥るとは想像もしてなかったぜ。
安メシ好き、屋台好きのイ課長もこの箸はさすがに躊躇する。というかハッキリ言って使いたくない。
しかしまさか手で直接食うわけにもいかん。箸の反対側、つまり太い方を使おうかとも思ったけど、
この箸でソレをやったったところで大して衛生度が増すとも思えぬ。しかしこの箸のために
せっかく注文したラーメンを食わないのはもったいないし、作ってくれた店の主人にも失礼だ。

「新しい箸、ちょうだい」と頼もうかとも考えた。
しかし下の写真に写ってる箸入れを見るとわかるように、この店ではそもそも新品の箸ってものを
用意してないっぽいんだよ。これは「タイだから」っていうより「舟だから」って理由が大きいだろうな。
小さな舟の上に鍋だのナンだといろいろ積んでるわけだから、箸を使い回しにするだけでも
ずいぶん荷物が少なくできるだろうし、ゴミも出さずに済むってもんだ。
ワット・サイの「時そば」で腹がブチ壊れる_f0189467_20553217.jpg
  
そういう点じゃ、ヌードルが入ってる器だって流水でキチンと洗ったとは到底思えない。
でも「溜め水で洗った器で食う麺」っていうのはベトナムでも経験したが、大丈夫だった。
しかし箸は・・直接口に持ってくモンだからなぁ・・気分的になぁ・・。
 
えーいもうしょうがねぇ!コトここに至ってイ課長は覚悟を決めた。腹をくくった。
ここはタイだ。郷に入りては郷に従え。この箸で食ってくれようぢゃねぇか!くぬやろう!!
江戸ッ子でいッ!割ってある箸で食べるのイヤですぅなんて、そんなヤワなお兄いさんとはなぁ、
ちょいとばかりお兄いさんのデキが違うんでいッ!!

食いましたよ、この箸で。なんという暴挙。
基本方針としては一度にすくう麺の量をなるべく多めに、一口で食う量も極力多めに。つまり箸を
使う回数自体を減らそうとした。とは言ったって、具をつまんだりするたびに結局何度も箸は使う。
まぁいい。腹ククッた以上は開き直って最後まで食ってやろうじゃねぇか。ズルズル・・・

このヌードル屋、けっこう繁盛してて、主人が舟の上で次々とラーメン作ってるのを見るのは面白い。
有名な話だけど、タイではラーメンのテイクアウトっていう注文も時々あって、そういう客には
丼ではなくビニール袋に直接スープとゆで麺と具を入れて、口をクルクルと輪ゴムで縛って渡す。
さすがプロで、その辺の手際の良さは見てて飽きない。
ワット・サイの「時そば」で腹がブチ壊れる_f0189467_17201837.jpg
 
このラーメンを食ったのがたぶん午後の1時とか2時とか、そんなもんだったと思う。
その後バンコクに戻り、夜はホテルでいつものように缶ビール飲んで寝たわけだ・・・が・・・

ワット・サイ 時そばの呪い」は深夜にやってきた。
ヤケクソ暴挙を犯した愚か者に、神はすべからく罰を与え給う。

ホテルでなかなか寝つかれず悶々としてたら、だんだんキモチ悪くなってきた。
そのキモチ悪さが「これはおかしい」というレベルに強まり、イ課長は素直にトイレに行った。
この後のことはあまり詳しく書きたくない。俗に言う「上と下から」状態で、ひどかった。

ワット・サイで「時そば」を食ったのが昼過ぎ。それから半日もたってから大ゲーリー大会というのは
潜伏期間としてはやや長過ぎる気もする。過去の例だと数時間・・早い時は1時間くらいで“来た”もんなぁ。
当然半日の間にはほかのモノもいろいろ飲み食いしてる。だから結局のところ犯人はわからないんだけど、
個人的にはやっぱワット・サイのあのヌードル(つうか、あの箸)がイ課長の腹をブチ壊した
最有力容疑者だと考えざるを得ないのである。

上述のように、江戸時代の頃は日本でも割り箸の使い回しってケースはあったのかもしれん。
当時の日本人の腹はおそらくタイ人並みにタフだったんだろう。しかし今やすっかり柔弱な腹に
なってしまった日本人。やはり東南アジアでの暴挙は慎んだ方がよろしいようで・・。

 

by tohoiwanya | 2015-06-22 00:08 | 2013.12 バンコク旅行 | Comments(8)
Commented by カプメイ at 2015-06-22 00:42 x
あああ~、やっちゃったんですね。(T_T)
旅先で上下は厳しいですよね。
ここはやっぱりマイ箸持参が安全でしょうか?
ところで、上下って出きると楽になるのでしょうか?
私は逆に気持ちが悪いのにどちらも出ないで、出たのは汗だけという苦しみを経験してまして、出たら楽なのに。。。と思ったのでした。
冒険はいけませんですなぁ。orz
Commented by tohoiwanya at 2015-06-22 14:58
>ところで、上下って出きると楽になるのでしょうか?

カプメイさん:
私、過去に「上と下から」って何度か経験あるんですが(海外ではこの時だけ)
大体出るべきものが出ちゃうとあとはわりと順調に回復しますね。
出してる最中の情けなさときたらたとえようもありませんが(笑)
長引くということはあまりない。このタイの時も結果的にはそうでした。

どちらも出ないで汗だけっていうのは苦しそうだぁ・・ううう。
Commented by eriricom at 2015-06-22 18:31
なるほど…東南アジアへの旅行時はマイ箸を持参と…。
勉強になります。100均で割り箸を買っておきます。

そういえば私も香港で上下体験をした事がありました。
現地係員が「すごくよく効く薬をあげる」と言って差し出したのは正露丸でした。
翌日まで具合が悪かった記憶があります_| ̄|○
Commented by Bきゅう at 2015-06-22 20:05 x
すいへい、りーげ、ぼくのふね。
菌の種類などで、すぐにりーさんしないやつもあるのでは?Bきゅうも、某市でかかったやつは、胃腸がストップしてから数時間でスタートしましたあ。でも、お箸もやばいけど、こういうところの魚や生野菜も、やばいと思いますう。すぐに症状が出なくても、きせいちゃうとかもいるかもしれないし。Bきゅう、昔は現地食とか楽しんだけど、今は、安全第一ですう。
Commented by tohoiwanya at 2015-06-22 23:55
>そういえば私も香港で上下体験をした事がありました

eriricomさん:
げ、香港。香港って行ったことないんですけど、シンガポールなんかと同様
すっかり都市化されてるってイメージあるけど、やられましたか・・。それは災難でした。
インドに出張行ったときは現地の通訳さんが「お腹こわした時は
あれ飲めばすぐ治る」と推奨してくれたのがビオフェルミン(笑)。
日本製の薬ってアジアで人気あるんですかねぇ?
Commented by tohoiwanya at 2015-06-23 00:10
>昔は現地食とか楽しんだけど、今は、安全第一ですう

Bきゅうさん:
私の場合、出張だと(インドの時だけだけど)気を使うけど、
旅行だと明らかに油断というか、ワキの甘さが顕著に出る。
まぁこの時の割り箸は自分でもさすがに暴挙だと思いますが(笑)。
しかし大ゲーリー大会で旅を続けられなくなったら元も子もないわけで
「ワット・サイの時そば」は基調な教訓として長く語り継ぐ必要がある。
Commented by ふじっこ at 2015-06-23 23:08 x
こんばんは~^_^

上下ですか。。。つらいですね。。。
って言ってもワタクシ旅先で当たった事ないんです。
溜め水洗いの割れてる箸も何度も使ってるんですが。。。^^;
同じもの食べていても良く当たるのはうちの夫です。。。
その時の体調とかもあるんですかねー。
自分だけが菌に強い野生児だとは思いたくないなー。
Commented by tohoiwanya at 2015-06-24 00:17
>溜め水洗いの割れてる箸も何度も使ってるんですが

ふじっこさん:
ええええええーーーッ?!!割れてる箸何度も使って平気なのーー?!
ふじっこさん、あなたご自身がどんなに「菌に強い野生児」は望まないとしても
実績がそれを証明してます。自覚するべきです(笑)。
私なんかはまだ日本が清潔とは言えなかった昭和30年代生まれで、ガキ時代に
相当“菌慣れ”はしてるはずだけど、それでもこの箸にはやられましたけどねー・・。


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