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2015年 08月 15日

トゥクトゥク野郎・ルイ その4

さて翌日。早めにホテルをチェックアウトし、玄関ワキのテラスみたいなところで一服しながら
ルイが来るのを待ってたら、ヤツはまた時間よりちょっと早めに来た。
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「グッモーニン」
朝の挨拶を交わし、朝の握手。いっぱしのダチ公気分である。
まだ時間はあるからルイに椅子を勧め、よもやま話をした。

「お前は日本のドコに住んでるんだい?」
「東京」
「トーキョーかぁ・・ビッグシティだよなぁ、お前のファミリーは?」
「妻がひとり、子供はいません。あなたのファミリーは?」
「カミさんと息子が二人さ。見るかい?」そう言ってスマホで家族の写真を見せてくれる。
「おおかわいい息子たち。あなたは何才ですか?」
「オレ?35歳さ」

げげげ。こりゃ驚いた。(去年だと)逆算すると1979年生まれってことかい?
1979年っつうたらベトナム軍がカンボジアに侵攻してポル・ポトを敗走させた年じゃん。
その後もポル・ポトはタイ国境にこもってさらに内戦は続くわけだが・・その年に生まれたのかよ。

彼のご両親は結婚・出産適齢期の頃にちょうどポル・ポト恐怖支配の下で暮らしてたんだ。
プノンペンを追い出され、農村で強制労働を強いられたなんて経験をしているかもしれない。
ルイにしたって子供の頃はずーっと内戦が続いてたわけで、彼が中学生くらいの時にようやく
カンボジア内戦が終了したことになる。うーーむ・・。

まぁあんまり暗い話をほじくるのはやめとこう。そろそろ時間だ。空港行こうぜ。
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空港まではけっこう広い通りがずーーっと続いてて、交通量も多い。
その中を真っ赤なフェラーリ号がノロノロと進む(笑)。車はもちろんだけど、普通のバイクにも
どんどん追い抜かれる。重い客車+イ課長+イ課長の荷物を引っ張ってるんだからしょうがないのだ。
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トゥクトゥクだから当然冷房はないし、道路のホコリや排気ガスを避ける方法もない。
まぁイ課長はなんとかガマンできるよ。どうせ空港行くまでなんだから。しかし一日中
この状態が続く運転手にとっちゃ、キツい仕事だよなー。
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道路はけっこう渋滞してて、30分くらい走ったかなぁ?やっと空港に着いた。
それなりに立派な国際空港だし、トゥクトゥクなんかが乗り入れられるんだろうかと思ったけど、
ちゃんとトゥクトゥク専用入口みたいなのがあって、ターミナルビルの前までつけてくれた。
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今やすっかり友達気分になったルイとイ課長。最後に空港で肩を組んでツーショット記念写真(笑)。
「私はシェムリアップからあなたに写真を送るでしょう」と言って握手して別れた。
あーあ、イ課長のバカ面付き写真ですまんのう。
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おっとっと。一つ忘れてた。ここまでの記事を読めばおわかりのように、カンボジアじゃ米ドルが
一般的に普及してて、現地通貨レアルを使う機会って少ない。この後行く観光地シェムリアップじゃ、
さらにドルが普及してるはずで、レアルなんて持ってても使うかどうか・・。

そこでベトナムからの入国時に両替したレアルをルイにあげちゃうことにした。
1ドル弱くらいあるはずだ。昨日は8ドルだ9ドルだって値切ったけど、ここで現地通貨を足して
ヤツの要求額通り10ドルに近づけてあげるなんて、イ課長やさしいじゃないか。

シェムリアップからメールで上のツーショット写真をルイに送った。
すぐに返事が来て、そこにはこう書かれていた。

お前のことを日本の兄弟と呼んでもいいか?

だははは!調子のいいヤロウだな~(笑)。年齢的にはイ課長がアニキで、ルイが弟分って感じか。
まぁいいよ。こっちもルイのことを「プノンペンの弟分」と呼ばせてもらうから。

というわけで、今やイ課長はプノンペンに弟分を持つ身なのである。
またプノンペンに行くことがあるかどうかわからないけど、もし行くときは事前に知らせれば張り切って
空港に迎えに来てくれるに違いない。

ルイとはFacebookでもつながってて、東京とプノンペンでお互いに「きょうでぇ」の元気な様子を確認できる。
ブログ更新のお知らせも毎回書いてるから、ルイは自分のことが「日本の兄貴」のブログに書かれてることも、
そこに自分の写真が載ってることも知ってる。つい先日も
「ヘイ、ブラザー、一体なに書いてんのさ?」
「私は今あなたのことを私のブログに書いています」
「オレ日本語読めないよ」
「でも私はクメール語が書けません」なんてアホなメッセージのやりとりをしたばかり。

ちなみに、ルイはその後バイクを買い替えたようで、赤いおんぼろフェラーリ号は今や過去のもの。
送ってきた写真によると、今やこんなかっちょええバイクでプノンペンを走り回っているようだ。
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プノンペンにはたった一泊しかしなかった。
しかしそんな異国の街に友人ができるというのは、何度経験しても楽しいものなのである。
というわけで、ルイとイ課長の「プノンペン・義兄弟の契り」の一席はこれにて(笑)。
お長くなりました。
 
 

by tohoiwanya | 2015-08-15 00:23 | 2014.09 東南アジア旅行 | Comments(2)
Commented by みゅげ at 2015-08-16 00:02 x
イ課長さんが、ちょっぴり現地の人のように見えて、なおイイ話だなぁと・・・🎶
Commented by tohoiwanya at 2015-08-16 12:49
>ちょっぴり現地の人のように見えて

みゅげさん:
いえ、わたし、げんちじん ないよ にほんじんね。

とは言ったものの、私の場合、東南アジアでは「日本人に見えない」と言われることが
多いのも事実。でも現地人っつうよりイタリア人かと思った、なんて言われる。
まぁどの国行っても国籍不明ということで・・(笑)。


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