2015年 11月 09日

ベトナム社会主義アート展

ベトナムの小ネタを続けよう。

ご存知のようにベトナムという国は社会主義国である。

でもサイゴンの街を歩いてて、そういうことを意識する機会ってそんなに多くない。
そこらじゅう赤旗がハタメいてるわけでもないし、市民がそろいの人民服着てるわけでもない。
モノは豊富で商業活動はさかんでボッタクリもさかん(笑)。普通の資本主義国と何も変わらない。

しかし、ああこういうトコはいかにも社会主義的だなぁと思わせるモノもある。
イ課長が強くそれを感じたのはサイゴンの街で目にする一種の広告看板だ。これがいかにも
「社会主義アート」って感じで、いろいろ見て比較するとけっこう面白いんだコレが。

何をもって社会主義アート的だと感じるか?これは人によって違うだろうけどイ課長に言わせりゃ
まず描かれたモデルだよね。社会主義アートにおいては常に絶対的に主役は労働者なのである。
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それと、当然のことながら看板のテーマが商品宣伝等ではなく、ある種の国民的スローガンとか
「ナントカ○○周年」みたいな国をあげての祝賀モノとか、要するに「国の宣伝」だよね、必ず。

そういう社会主義アート感覚にあふれた看板はサイゴンの街でけっこう見かけた。
下の看板に書かれてるけど、ベトナムの独立って、日本が戦争に負けたすぐ後、
1945年の9月2日だったらしい。だから今年は独立70周年ってことで、イ課長が行った
去年9月は独立69周年記念日のちょっと後だったということになる。

下の写真がまさに独立69周年祝賀看板。男性が先頭でタイコ?をたたいて、その後に
楽しそうな女性たちが続く。バックは発展する産業と科学技術。ベトナムよいとこ一度はおいで。
産業さかんで姉ちゃんはキレイなのだよ、同士諸君。
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下の看板では労働者とか兵士とかに加えて医者が描かれているのが興味深い。
要するにインテリの代表ってことだよね。農民、労働者、兵士、そしてインテリも一緒になって
ベトナムを発展させましょうってことだろうな。インテリを殺しまくったポル・ポト体制とベトナムは
同じ社会(共産)主義でもこういうところがコンポン的に異なるのだよ同士諸君。
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どの絵も人物の色の塗り方は(たぶん印刷しやすいように)単色を平面的にベタッと塗ってるけど、
顔のハイライト(光の当たってる面)を部分的に白くして、うまく立体感を出してるあたり、
いかにも「安定した手慣れた画法」って感じだ。

これは・・・なんだろう?たぶん何かのスローガンだよね。
建国の父・ホーチミンを背景に、手前に労働者とか兵士とかが並んでるのは「いかにも」だけど
その中に一人、僧侶らしき人物が交じってるのがこれまた興味深い。社会主義国ではあっても
宗教関係者(ま、主に仏教だろうな)もまた同士の一人なのだってことなんだろう。
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こっちは66周年・・・独立じゃないな。なんのアニバーサリーだろう?
とにかく去年の11月6日で「ナニカの66周年」だったのだ。喜ばしいではないか同士諸君。
この絵の右側にいる三人の人物をよーく見ておいていただきたい。
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おお何と。あの三人は左右反転して別の看板にも登場しておる(笑)。
これ、同じ元絵を使っているのは明らかだ。メガネくんのシャツの色変えたり、手前の女性に
花を描き加えたりしてゴマカしてる・・などと細かいこと言うな!ブルジョア主義のイヌめ。
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下の写真も「○周年記念」のたぐいじゃなく、何かのスローガンを訴えてると思われる。
もちろんそこには偉大なるホーチミンの横顔があるわけだけど、イ課長の興味はやはり
右に描かれたモデルたちの方に向く。
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さっきと同様「インテリ代表」としての医者に加え、おジイさんとかノンラー+アオザイ姿の女性とか、
モデルの幅が広い。そのくせ「稲穂を持った農民」みたいな典型的農民の姿はない。その代わり
ネクタイ姿のホワイトカラー労働者が描かれてるあたり、ベトナムの「労働者イメージ」も徐々に
変わりつつあるんだろうな。ベトナム社会主義アートの新しい潮流といえる(かなぁ?)。

最初は何となく写真撮ってたんだけど、そのうち「あ、この看板だけでブログ記事になるな」と
思い直し、あちこちで社会主義アートの写真を撮ってきた。その写真を使って一年後の今こうして
予定通りブログ記事一つ書いたんだから、イ課長はとても計画性が高いと思わんか?同士諸君(笑)。

  
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by tohoiwanya | 2015-11-09 00:11 | 2014.09 ベト・カン・タイ旅行 | Comments(4)
Commented by ふじっこ at 2015-11-09 20:19 x
こんばんはー

イ課長!!スゴイです!
サイゴン、毎年のように行ってますが、こんなにあちこちにプロパガンダアートがあったとは!!

私はもっぱら、食べ物屋と仕立て屋とマッサージ屋しか目に入ってなかったので、こんな看板があちこちにあるなんて全く気付いて無かったです。。。見たいものしか見えてないんですね。。。
( 。゚Д゚。)

来月また渡越するので、もちょっとよく観察するようにしてみます!
Commented by Bきゅう at 2015-11-09 21:43 x
有名なプロパガンダアーティスト、Luong Anh Dungさんが元で、現在は、そのお弟子さんらが描いているらしいですね。はい、勉強になりました。
Commented by tohoiwanya at 2015-11-10 17:26
>こんな看板があちこちにあるなんて全く気付いて無かったです

ふじっこさん:
私の視界には仕立て屋は全く入ってこないんだけど、商品広告じゃない看板とか
ポスターってなぜか気になるようで、インド行った時、あまり人相が良くない人たちの
ポスターがあちこちにあったんで通訳さんに聞いたら一種の選挙ポスターというか、
地元有力者や議員なんかが顔を売るために貼ってるらしい。
もう本当に人相の悪い人たちばっかりなんで驚いた(笑)。

いいなー。12月にまたサイゴンですか?いいなーーいいなーーー。
Commented by tohoiwanya at 2015-11-10 17:31
>有名なプロパガンダアーティスト、Luong Anh Dungさんが元で

Bきゅうさん:
ちょっ、ちょっと待ってドコからそんなこと調べてきたの?
この写真みただけで描いた人の名前までわかっちゃうの?!どどどどうやって。
ううむ、Bきゅう探偵社すごい。こんど何か仕事を依頼しよう(笑)。

個人的には一番上に載せた、ベトナム国旗をバックに右手をあげている
電機設備工事?労働者のヤツがシンプルな構図だけど力強くて好みです。


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