2015年 12月 21日

プノン・バケンで夕日より感動するもの

イ課長が参加したアンコール遺跡群一日ツアーのメニューを再確認しておこう。

①最初にタ・プロム遺跡見学        
②次にアンコール・トム遺跡見学
③昼食
④お待ちかねアンコール・ワット遺跡見学
⑤プノン・バケン遺跡で夕日鑑賞

④については書いた。相変わらず順序を無視して次は⑤だ。
当然写真は1枚もない(笑)。ビジュアル資料がないヤツを先に書き終えちまおうってわけだ。
この記事の写真はWikipedia等から拝借したものでごんす。

プノン・バケンは小高い山の上の遺跡で、観光客の目当てはテッペンにある遺跡そのものではなく、
そこから眺める夕日。それほど標高の高い山じゃないけど、あたりが平らだから見晴しはすごくいい。

実のところ、イ課長は当初「夕日鑑賞なんていらねぇよ〜」と思っていた。
それでもツアーのメニューにある以上しゃあねぇからつきあうか、て感じだったわけ。
しかしここから眺めた眺望はカンボジア旅行の中でも忘れがたい、感動的なものだった。ただし、
感動したのは夕日に、ではない。

駐車場で車を降り、上り坂をしばらく歩き、最後に長い階段をのぼるとプノン・バケンにたどり着く。
こんな感じで、夕日目当ての観光客で遺跡の西側はぎっしりだ。ただ、この日は快晴ってわけじゃなかったし、
イ課長はそもそも夕日鑑賞にはさほど興味がなかった。
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ここは周辺で一番高い小山だから、西の夕日だけじゃなく、東西南北の景色がぜんぶ見わたせる。
真南を見るとシェムリアップ市街、そして雨季で水位が増した(つまり湖の面積がガバッと増えた)
トンレサップ湖も見えた。眺望はホントにいい場所なんだよ。
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でも、基本的にはこんな感じで、周囲は何かすごいものが見えるっていうより、ひたすら緑の森が続く。
このあたりからだんだんイ課長は夕日よりも、どこまでも続くカンボジアの密林の方に惹かれ始めた。
プノン・バケンで見るべきものは夕日より、この圧倒的な密林の海の方ではないのか?
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そう考えながら見ると、プノン・バケンから見る亜熱帯の森の密度と広大さはまったく驚嘆に値する。
とにかく、ドコ見ても圧倒的に緑の樹海だからね(上の三つの写真はすべてWikipediaから)。

緑の海に打ちのめされたイ課長はたちまちスコット・フィッツジェラルドがエンパイア・ステートビルの上から
ニューヨークの街を眺めた時の文章を思い出した。
(ちなみにイ課長はフィッツジェラルドを読んだことはない。他で引用されてたから知ってるに過ぎない)

この街は、私が思っていたような、果てしなく続くビルの渓谷ではなかった。そこには限りがあったのだ。
地上最高の建物の頂上から、私は初めてこの街の四隅がしだいに疎らになって、ついには周囲をとりまく田園に
呑みこまれていることを発見したのである。果てしなく広がっているのはこの街ではなく、それを呑みこんでいる
緑や青の荒漠たる大地の方だった・・・
「フィッツジェラルド『わが失われた街』」

イ課長が最も感動したのはプノン・バケンから、(たぶん)北の方角を見た時だ。
はる~か遠く、地平線の彼方にうっすら山が見える。繰り返すけど「はるか遠くの地平線に山」があるんだよ?
自分が今いるプノン・バケンからその地平線までの間に何があると思う?ひたすら樹海しかないのだ。
一切の人工物が見えない。家もビルも煙突もない。地平線まで続く樹海。そして聞こえるのは風の音だけ・・

実際にはあの地平線まで続く樹海のなかには多少は道路とか、田んぼとか、家とかがあるんだろう。
しかしこの高さから見ると密林の海というか、緑のジュウタン以外の何物でもないんだよ。ひたすら緑、緑なのだ。
これまでの人生でイ課長はこんなに広大な樹海を見たことがない。何せ地平線まで続いてるわけだから。
プノン・バケンで見るべきは夕日なんかじゃない。これだ。このカンボジアの密林だよ。卒然と悟った。

ああ・・その感動的な眺望の写真がないのは本当に申し訳ないと思う。
画像検索すると、イ課長が見たのと似たような角度と思われる写真もあるんだけど、個人のブログだから
Wikipediaみたいに気軽に拝借というわけにもいかない。

まぁこういうものは多分に個人の好みの問題であることは認める。
プノン・バケンでは夕日に感動する人の方が多いだろうし、トンレサップ湖の眺めにうっとりする人もいるだろう。
しかしイ課長がプノン・バケンで感動したのはまぎれもなく「地平線まで続くカンボジアの樹海」だったのだ。

プノン・バケンからはアンコール・ワットも見える。
あの巨大なアンコール・ワットすら、広大な樹海にあっては「大洋に浮かぶ軍艦」くらいにしか思えない。
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プノン・バケンに来た旅行者は知ることになる。
偉大な王が命じた偉大な建造物もカンボジアの自然に対してはあまりにも小さいことを。そしてこの国の
真の支配者はこの広大な密林に他ならないことを知るんだよ。
(上の写真だけangkor templesというサイトから拝借)
 
カンボジアに行って、アンコール遺跡群見学ツアーに参加する人は多いと思う。
そういうツアーの多くは最後に「プノン・バケンで夕日鑑賞」が組み込まれているはずだ。
もしアナタがプノン・バケンで夕日鑑賞する機会があったら、西に沈む夕日だけじゃなく、ぜひ東西南北全ての
方角を眺めて、広大すぎるカンボジアの樹海をその目に記憶させてほしいのである。
そして出来ることならデジカメにも記憶させてあげてね・・ああチクショウ!

 

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by tohoiwanya | 2015-12-21 00:07 | 2014.09 ベト・カン・タイ旅行 | Comments(2)
Commented by はなこ at 2015-12-25 21:36 x
イ課長さん、お久しぶりです!
プノンバケンでは、私が行ったときは曇りで全く夕日が
見れませんでした。
けれど、樹海のすごさはよく覚えています!
ちなみに、バルーンのオプショナルツアーにも参加したんですが、
(ふわふわ動くのではなく、地上と綱で繋がっていて、
ただ上にあがるだけのバルーンです)当たり前ですが、
そこから見たカンボジアの密林はもっとすごかったですよ!
Commented by tohoiwanya at 2015-12-26 13:28
>バルーンのオプショナルツアーにも参加したんですが

はなこさん:
気球みたいなものに乗るツアー、私も現地で写真で見た。
「あんなツアーもあるんだ」と思ったけど、私が行った日は浮いてなかったなぁ。
あれに乗ったんですか!それは羨ましい(けどちょっとオッカナい・・)。

気球ならプノン・バケンよりさらにずっと高いわけだから
あの果てしなく続く密林のミドリの海の眺めも素晴らしいだろうなー。
プノン・バケンからだと手前に木の茂みとかがあって、意外に
視界が狭い場所がけっこうあるんですよね(笑)。


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