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2019年 05月 03日

上座部仏教における「触女人戒」について

おー、何だか論文の標題のようではないか。

タイ・ミャンマー・ラオスあたりの上座部仏教(小乗仏教)諸国には出家者が多い。
早朝にはお坊さんが托鉢してる光景を見かける。ルアンパバーンじゃこれがすでに
立派な観光資源になってるくらいで、これら仏教信仰の篤い国においてお坊さんが
敬われる存在であることは疑問の余地がない。

ミャンマーの空港では「僧侶優先搭乗」があったし、バンコクの空港では
入国審査の行列で「僧侶優先手続き」があった。そういう一連の僧侶優先措置も
基本的には「出家者に対する敬意」の表れなんだろう。
 
バンコクの地下鉄なんかにある「僧侶優先席」も、それと同じ文脈でイ課長は
捉えていた。敬うべき出家者を優先的に座らせましょうってことだ、とね。
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その理解は間違いではないと思う。僧侶優先席にはそういう意味合いもあるはずだ。
だが、そこにはもっと重要な、恐ろしい問題が隠されていたんですねー。

上座部仏教の出家者にはいろんなイマシメがある。基本は13戒あるらしいんだけど、
その一つに「触女人戒」というのがある。出家者が女性に触れるのはモッテの外なのだ。
女性に触れた僧侶はたちまち破戒僧の烙印を押され、それまでの修行はパア。

この「触」が姦淫という意味なのか、ちょっと指が触れた程度でもダメなのか、
その辺は今イチよくわからない。もし後者だとすれば、日常生活で相当な注意が必要だが、
どうもタイでは後者の意味みたいなんだよ。偶発的な、軽い接触でもダメっぽいの。

そこで電車の中が問題になる。混んだ地下鉄なんかに僧侶が乗り込んだらどうなる?
カーブで電車が揺れて、となりの女性とちょっと肩が軽く触れたら、破戒。
駅の乗り降りで、ドアのワキに立ってた女性に腕が触れたら、破戒。
電車みたいな場所だと、どうしたってそういう事故が起きやすい。

僧侶優先席には、そういう事故から僧侶を“保護”する意味合いもあるらしいんだよね。
タイの女性もそういう事情をよくご存じだから、電車ン中とかでお坊さんの近くには
なるべく立たないようにするらしい。いろいろ大変なのだ。

タイ航空の女性CAは僧侶の乗客に機内食を渡す時は、必ずとなりの男性乗客を
経由させるって話も読んだ(だから、お坊さんは窓際の席になることが多いそうで、
隣は必ず男性客)。トレーの受け渡しの時、指と指が触れるのを避けるために
そうしてるらしい。「触女人戒」、タイでは相当シビアみたいなのだ。

さて・・・。
カンペーンペッからスコータイに帰る例の拷問絶叫ソンテウで面白い経験をした。
このソンテウ、往路じゃニワトリ箱積んでたが、帰りは中身不明のものすごい大荷物を
積んでる。旅客と貨物と両方載せりゃ効率よく稼げるだろうけど、大変なのは乗客で、
残った狭いスペースにくっつきあって座るしかない。
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一番奥に高齢のお坊さんがいて、その隣は軍人さんみたいな男性が座ってた。あとは
女性の乗客が多くて、例によってただ一人のガイジン・イ課長は出口ギワの席。
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途中で軍人さんが下車。奥の方にいた彼が降りるためには、出口近くのイ課長はじめ
多くの乗客がいったん降りなければならない。で、さて再び乗り込もうとなった時だ。

こういう時、イ課長は「元の順序で座る」のがフツーだろうと考える。
だが、女性たちは一斉にイ課長に向かって「アナタ先に乗りな、ほらほら」と催促する。
え?何で・・ガイジンさんを先に乗せてあげようってこと?

再びソンテウに揺られながら「ああ、そういうことだったのか・・」と思った。
「元の順序」で乗り込んだら、お坊さんの隣が女性になっちゃうからだったんだ。

一人降りても、相変わらず車内はビッチリ混んでる。
衣服ごしとはいえ、イ課長の左の尻は隣のお坊さんの右の尻とほぼ接してるが、男だから
問題ナッシング。ガイジンでも何でも、とにかく生物学的な男を「防壁」として出家者の隣に
座らせる必要があったわけだ。これで周囲の女性乗客たちはひと安心。隣のお坊さんも
安心したのか、イ課長のとなりで居眠りしてた(笑)。
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面白い経験だったよ。まさに異文化の中を旅してるからこその経験だなぁと思った。
ガイジンの場合、乗り物には「女性を先に乗せよう」と思う人も多い。もしこの時
イ課長がトホ妻と一緒だったら、何も考えず「先に乗んなよ」と言っただろう。

だが、もしそこにお坊さんが座っていたら、それは大タブー。大禁忌。
そういう時だけは「オレが先に乗る」と男がサッサと乗り込み、お坊さんの隣にドカッと
座るべきなのだ。その行為が出家者と、周囲のタイ人たちに平安をもたらす。

お坊さんの多いタイでは、かくのごとく日常生活で「触女人戒」に接することになる。
女性も男性も、タイに行ったらご留意いただきたいと思うのである。

2013年に超久しぶりにバンコク行った時、初めて地下鉄に乗って僧侶優先席を見た。
「タイじゃお坊さんに席をゆずるモンなんだ」と思い、そのことをブログ記事にも書いた。
あれから5年。東南アジア訪問回数が増えて、僧侶優先席に関する考察もあの頃よりは
多少深くなったでしょ?(笑)

 


by tohoiwanya | 2019-05-03 00:01 | 2018.08 タイ旅行 | Comments(2)
Commented by Bきゅう at 2019-05-05 21:51 x
覚えておきますう。カラチでもBきゅう、男性とは握手しなかったよ。宗教上女性に触らないって人いるので。
Commented by tohoiwanya at 2019-05-06 12:19
>男性とは握手しなかったよ。宗教上女性に触らないって人いるので

Bきゅうさん:
ははぁ〜パキスタンでもそういうのがあるんだ。
そう考えると、国によっては宗教上の理由で女性のガワに「触男人戒」みたいな
イマシメがある国もあるんじゃないかって、気になってくる。
インド出張の時は面談相手が女性ってことも何度かあって、男性の時と同じように
握手したけど、問題なかったのかな?


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