2008年 11月 01日

天井桟敷のイ課長-その1-

金曜日、最後の仕事はミュンヘンで終わった。

出張最後の夜はオペラに行こうと思ってたから、今回は万難を排して
事前にネットでバイエルン国立歌劇場のチケットを予約していた。
残席はほとんどなくて、すごく高い席とすごく安い席しか残ってなかった。
イ課長は安い方を買ったんだけど、それがなんと12.5ユーロ=1800円くらい。

えええ〜?いくら安い席とは言え、常軌を逸した安さじゃないかい?
映画じゃねぇんだぜ、オペラだぜ?しかもバイエルン歌劇場だぜ?
でも、ネットの座席シート画面をみる限り「一番前」であるように見える。
最前列ってことか?最前列でこの値段?ホントかなぁ〜??

当日、少し早めに行って予約しといたチケットを引き換え。
「あ、アナタ、これはコレコレの理由で予約は無効ヨ」と言われやしないかと
内心ハラハラしてたんだけど、ちゃんとチケットもくれたから、もう大丈夫だ。
演目はヴェルディの「マクベス」。ポスターを見ると、どうも不気味なコドモが
出てくる演出らしい。あのオペラにコドモが出る場面なんてあったっけか…?
まぁいいや。斬新な新演出なんだろう。いやが上にも高まるイ課長の期待。
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いよいよ中に入る。
1列目って書いてあるからたぶん最前列。1階のドアから入ろうと思ったら、
そこの係員のネーチャンが「アナタ、これは上よ。5階よ」と言う。

えええッ?5階?チケットに5th Floorなんてドコにも書いてないやん。
ま、まぁいい。この安いチケットはテッペンの天井桟敷だったということだ。
ひたすら階段を登って5階、1列目の23番…、ああココか。
まぁ舞台はちょっと見づらいけど、安いチケットだし文句は言えん。
こういう、高いところから見るのもなかなかイイではないか。
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するとそこにオバサンが来る。
チケットを見せて、そこはアタシの席よと言うではないか。えええ?
だってほら、イ課長のチケットにも1列目の23番って…ええ?これはまた別の
「1列目23番」なの?天井桟敷には「1列目23番」がいくつもあるの???

…どうもそういうことらしい。
係員に指示された「アナタはこの辺」っていうところに行ってみて驚いた。
そこは天井桟敷の奥の奥、「舞台を見ることが不可能」な席なんだな。
イ課長の席は「舞台を見られない貧民エリア」の1列目23番だったってことらしい。
まぁ確かに、それならあの驚異の安さも合点がいくが、しかし…

このエリアの観客は完全に2派に分かれる。
「立ち見で舞台を見る貧民客」と「見るのはあきらめて椅子に座る貧民客」とだ。
後者にはお年寄りが多い。自分たちの前には立ち見客の背中がズラリと並ぶわけだが
「邪魔だからどけ」なんてことは言わない。どいたって、見られないんだし。

もはや誰が何番目の席か、なんてことはドウでもよくなってる。
バイエルン国立歌劇場の天井桟敷貧民エリアは無法地帯なのである(笑)。

仕方ない。イ課長も立ち見席(ヒジを置くための手すりだけはある」の一角に
入って立ち見で見ることにした。新演出らしい舞台を見ないんじゃつまんないし。

しかし休憩はさんで3時間半立ちっぱなし〜?
出張疲れの身体にそれはキツいよなぁ…どうしよう…?

千々に乱れるイ課長の心をヨソに、バイエルン国立歌劇場は客席照明が消え、
オーケストラピットだけが明るく浮き上がって指揮者が出てきたのであった…
(その2に続く)
 
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by tohoiwanya | 2008-11-01 09:21 | 2008.10 欧州出張 | Comments(0)


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