タグ:建築 ( 61 ) タグの人気記事


2013年 03月 14日

エッフェル塔、お前ってやつは

パリを代表する観光物件をエッフェル塔と凱旋門とすれば、イ課長は明らかに前者だけを偏愛している。
2009年のパリ旅行の時、イ課長は実物のエッフェル塔の美しさに感服し、昼間見たり、夜見たり、散々見た。
2011年11月出張でも決定的夕景写真を撮ったりした以外に、何度も見に行ったのである。

ラップ街29番地のアパートを見た後は、そのままシャン・ド・マルス公園に歩いて昼間のエッフェル塔を眺めた。
うーーんむ・・・美しい。いま自分は本当にパリにいるんだと実感するヒトトキだ。
f0189467_22114030.jpg

ちなみに、こういう日曜日のエッフェル塔前はガイジン観光客目当ての、寄付を装ったタカリが多い。
イ課長にもブスな女のタカリが一人寄ってきて、フランス語で何かいいながら掌をだして金を催促する。
無視して歩いていこうとしたら、こっちの袖をつかんで引き止めやがる。失礼なブスだな。
過去の経験からいっても、フランスの「寄付のフリしたタカリ」はこういうところ、非常にしつこい。

イ課長もムッとしたから袖を振り払って言い返した。
「私から何か経済的援助を得たいのなら、きちんと日本語で主旨を説明しなさい日本語で!
・・・と、日本語で、しかもわざと大きめの声に出して言った。
この女タカリ、もちろんこちらの日本語がわかろうはずもないけど、イ課長の全身の雰囲気で(笑)
強い拒否を感じ取ったようで、「けっ」てな顔して離れていった。ふん、あっちいけ、クソブス。

こういう時、相手が女でも、あまり攻撃的に対応すると、おそらく仲間の男性タカリを呼ぶだろうから
強硬にやればいいというわけでもないけど、このくらいは言ってやりたいよ。
パリのタカリの間に「日本人はドケチだ」という評判をひろげるべく、皆さんもエッフェル塔前のような
観光スポットではビタ一文払わず、頑張ってタカリを拒絶しましょう。

もうちょっと歩くと、何かの平和モニュメント?みたいなものの前に豪華な制服を着た騎馬警官がいた。
何のイベントだ?さっぱりわからないけど、写真を撮らせていただいた。
f0189467_22143747.jpg

それにしてもこの平和モニュメント(なのかなぁ?)、各国語で「平和」という文字が書かれているのはいいとして、
この日本語の「平和」の下手さ加減はどうだ。イ課長が書いたってもうちょっとバランスのいい字を書くぞ?(笑)
たぶん日本人が書いたんじゃないんだろうが、ちょっとなぁ・・・。
f0189467_2215523.jpg
 

同じ日曜日の夜、飽きもせずにイ課長はもう一度、夜のエッフェル塔を見に行った。
ライトアップに輝くエッフェル塔って、もう本当にパリならではの、誘惑的光景だとつくづく思うんだよ。
ちょっと時間があったから、オーステルリッツ駅からRER(近郊鉄道、メトロとは別)に乗って見に行ったのだ。

駅を降りて地上に出て、フと後ろを仰ぎ見るともうこんな風に光り輝くエッフェル塔が見える。ああキレイ。
やっぱコレだぜ。ライトアップに輝くエッフェル塔。パリといやぁこれ。これに尽きる。
f0189467_22155818.jpg

どんどんエッフェル塔のマタの下に向かって歩く。
ライトアップされたエッフェル塔を遠くから見たことは何度もあるけど、真下から見たことはなかった。
この機会にぜひ見てみようではないか。
f0189467_22161962.jpg

だいぶマタの下に近づいてきた。もう少しで真下だ。
なんだか女性のスカートを下から覗こうとしている痴漢のような気分になってきた(笑)。
f0189467_22163614.jpg

おおお、ついに来ました夜のエッフェル塔の真下。
いや~、同じ光景を昼間見たことはあるけど、塔全体が光り輝く夜はまた一段と不思議な光景だ。
東京タワーでもスカイツリーでも絶対に得られない、エッフェル塔ならではのアングルだよね。
f0189467_22173162.jpg

そして、夜7時(6時だったかな?)、一時間ごとに見られる5分間だけの、おなじみキラキラタイム。
この時は準備万端、一番よく見えるアングルでカメラを構えて待機していた。
まさに塔全体が輝く5分間。ああキレイ。ミーハーになりきって楽しみましょう。
f0189467_22175130.jpg

行きはRERで来たけど、帰りはメトロで帰ることにした。
ビラケム橋を渡り、以前にご紹介した、夜のエッフェル塔ベストショット地点を通ってメトロの駅に向かう。
エッフェル塔を振り返ると、写真を撮らずにはいられない。前回見た時と同じなのに(笑)。
f0189467_22181422.jpg

あーーーちくしょう。やっぱ見とれちまうぜ、このやろう。

エッフェル塔、まったくキミは大したヤツだよ。
イ課長は2度のパリ訪問で昼夜合わせてキミのことはもうタップリ見た。
でも、もし将来またパリに来ることがあったら、やっぱりキミに会いに行っちゃうんだろう。
たとえ、そこにタカリが多いとわかっていても・・・。

 

[PR]

by tohoiwanya | 2013-03-14 00:06 | 2011.11 欧州出張 | Comments(4)
2012年 12月 12日

ラップ街29番地のアパート その2

さて、前回クイズの正解を発表します。


・・・っていっても、もうみなさま重々よくご承知のようですが(笑)。
この入口がヒワイでワイセツでエロであるわけを一応確認しておこう。
f0189467_041276.jpg


中央の扉をよく見てほしい。

扉の上の方、左右に一つずつ楕円形の装飾があるのがわかるよね?
この二つの楕円が要するにその・・・まぁ早い話、キンの玉ってわけですよ。

これがキンの玉とわかれば、あとは早い。その下に・・・続いてますね、ティム○が。

で、その先端、ドアの一番下の部分が・・・はいそうです。そういうことなんです。
もう一度、少し寄った写真で確認してみましょう。
f0189467_1210513.jpg

そう言われると、もうソレにしか見えないよね(笑)。
しかしイ課長も言われる(というか読む)まではマッタク気づかなかった。
これを一目で見抜いたとすれば、やっぱダリはすごい。

しかし、ラヴィロット氏もまた別の意味ですごいヒトだと思うよ。
よくまぁこんな入口を作ったもんだ。このアパートの住人は毎日このワイセツな
扉をあけて出入りしてるわけだよなー…。

ちなみに、この入口が女性の秘所をあらわしてるとも言われるけど、それは
全体的な・・・その・・・感じというか、左右にモワンと広がったカーブが
ソレを「思わせる」ってだけで、ドアのティ○ポほど露骨には表現されてないよね?

それとも、イ課長が気づいてないだけ?
f0189467_12212513.jpg

上品・高潔なことで有名なイ課長ブログだが(ほんとかよ)、
まぁ時にはこういうネタを扱うこともあるのだ。みんなラヴィロット氏が悪いのだ。

さて、建物の裏に行ってみよう。
このラップ街29番地のアパート、裏にもう一つラヴィロットの作品があるんだよ。

入口はいかにもさっきのワイセツ扉と同じ人のデザインって感じだ。
しかし、こっちは(おそらく)抽象模様で、ワイセツ性はない(んだと思う)。
f0189467_1212124.jpg

裏の建物の見どころはむしろ、この壁に作られた線画の「だまし絵」かも。
一体なんの意図があってココにこんなものを作ったのか?
単にラヴィロット氏の気まぐれな遊び心の産物?ミョ~だよなぁ。
f0189467_12124423.jpg

f0189467_12131019.jpg

このラップ街29番地のアパートは「パリ・日曜マニアックツアー」の中でも
ぜひ見たかったものだから、しばしアパートの前に佇んで何枚も写真を撮ってた。

そのうち、うしろのラップ通りがにぎやかになってきた。
何かと思ったら、うーーわーーーおウマさんの大行進だ。何の催しなんだろう?
f0189467_1216949.jpg

すごく長大な馬列で、通過に要する時間も長い。
その間、イ課長はずっとおウマさんと、ラヴィロットの作品を交互に眺めてた。
しかしまぁパリってとこも、いろいろ見るべきものの多い街だぜ、まったく(笑)。

面白かったのは、このおウマパレードの関係者の中に、パレードを抜け出して
このワイセツ入口の写真を撮って、またパレードに走って帰る人たちがいたことだ。
警備のお巡りさんにも写真撮ってる人がいたくらいで、このラップ街29番地のアパート、
実はパリっ子の間でもけっこう有名な建築物みたいだ。
f0189467_12164718.jpg

当然のことながら、パレードの間中、ずーっとウマのヒズメの音が冬のパリの大通りに
パカポコとこだまして楽しかったね。
今でも、このアパートの写真を見るたびに、響きわたっていた馬のひづめの音が
条件反射的に幻聴で聞こえてくるよ(笑)。
f0189467_12181962.jpg

ラップ街の、このあたりからはエッフェル塔がすごく近くに、キレイに見える。
どれ、見たかった「隠れエロ建築」もたっぷり見たことだし、エッフェル塔でも散歩すっか・・・

出張の合間、街もイ課長ものどかなムードの、パリの日曜日なのでありました。

 
 
[PR]

by tohoiwanya | 2012-12-12 12:22 | 2011.11 欧州出張 | Comments(2)
2012年 12月 10日

ラップ街29番地のアパート その1

大丈夫。「その1」とは書いたけど、これは必ず「その2」で終わらせるから(笑)。

ムンバイから浅草、そして話はパリへと移る。
例によって世界を飛翔するイ課長ブログなのである。

2011年11月欧州出張、パリで迎えた日曜日。
ポストイット・アートを見に行ったり、インドパサージュでカレーを食ったり、
健全な観光客は行かない、いささかマニアックな場所ばかり見に行った、あの日曜日の話。
見に行った「モノ好きスポット」はもちろん上の二つだけじゃない。
他にもヘンなとこに行った。その一つがラップ街29番地のアパートなのである。

「ラップ街29番地のアパート」と聞いただけで、もしもアナタがピンと来たら、
アナタは西洋建築、それもかなりヘンチクリンな方向の西洋建築がお好きな方と
推測される。イ課長自身、ややその傾向があることは認めざるを得ない(笑)。

ラップ街29番地のアパートって、ジュール・ラヴィロットっていう建築家が作った
アパートなんだよ。

このラヴィロット氏、フランスのアール・ヌーボー建築ではあのギマールと並んで
巨匠といわれたらしいんだけど、今となってはやや「忘れられた存在」に近い。
ギマールのデザインが今でもパリのメトロの入口に残ってるのに比べると、
現代における評価の差はかなりあるんだろう。

だがイ課長は数年前、このラヴィロット氏が作ったラップ街29番地アパートの写真を
本で見てタマゲたんだよ。うああ、なんだこりゃぁ?!と思って、強烈に印象に残った。
とにかくかなりのシロモノで、パリに行ったらぜひ見たいと思っていた。

というわけで、朝イチでポストイット・アートを見た後、メトロに乗って
次に向かったのはラップ街29番地というわけだ。

地図を見ると、ラップ街(またはラップ通り)はセーヌ川にかかるアルマ橋から
南に伸びてるから、アルマ橋に一番近いメトロの駅で降りて歩くことにした。

ほぉ。地上に出るとエッフェル塔がよく見えるじゃん。
こうやって、晩秋の枯れた木々の向こうに見えるエッフェル塔もまたいいねぇ…。
f0189467_023811.jpg

通りを南に向かって、左側の歩道を歩く。
事前にGoogle Mapで入念に調査し、例のアパートはコッチ側にあることは確認しておいたのだ。
だんだん近づいてるはずで、少しドキドキしてきたぞ…。
おお、もうあの辺じゃないか?もうそろそろのはずだぞ?
f0189467_032158.jpg

うぉっと、ついに来ましたラップ街29番地アパート。
まずはその入口の全貌をご覧いただこう。
なんといっても、このアパートは入口のスゴさで有名なのだ。
f0189467_045978.jpg

アールヌーボー的(と言うんだろう、たぶん)意匠をメッタヤタラに押し込んだような
この正面入口。耽美的っつうか、退廃的っつうか…もちろん「悪趣味」という評価もある。
しかし、バロック教会的キンキラキンの装飾過剰にはヘキエキするイ課長も
この建物には非常に興味をひかれる。
f0189467_041276.jpg

入口の扉はアールヌーボーっぽく抽象的な曲線でデザインされてるけど、その周囲には
トカゲだの、カメだの、ウシだの、やたら写実的な造形がちりばめられてる。
いやーーー、実に異様だ。視覚的インパクトだけはあるってヤツだな(笑)。
f0189467_054594.jpg

f0189467_062655.jpg

f0189467_065166.jpg


珍しく、ここでイ課長ブログ読者にクイズを出そう。

この正面入口のデザイン。実はすごくヒワイなのです。エロなのです。ワイセツなのです。
大画家サルヴァトーレ・ダリはこの入口を見て、すぐにそのヒワイ性に気付き、
「欲望が具現化したようだ」と評したといわれている。
f0189467_072076.jpg

ラップ街29番地アパート建物正面。どうしてヒワイでエロでワイセツなのでしょうか?
アナタの考える仮説どしどしコメント欄にお寄せください。



わ か る か な ~?


 
[PR]

by tohoiwanya | 2012-12-10 00:08 | 2011.11 欧州出張 | Comments(8)
2012年 06月 29日

建物を支える方々

木曜締め切りの提出物を出し終わって、少し気が抜けている金曜日。
ブログでも書こう。今日はちょっと変わった話題で、女人柱の話をしたい。

ヨーロッパの古い建物に、よく女の人がくっついているでしょ?

純粋に飾りとして屋根の上に載ってるような場合もあるけど、多くの場合は
「頭で建物重量を支える」という異様に過酷な労働を、異様に優雅な姿でこなしてる。

こういうの、イ課長は「女人柱:にょにんちゅう」って呼んでたんだけど、Wikipediaによると
「女像柱(にょぞうちゅう、って読むんだろうか?)」とか「女人像柱」とかいうらしくて、
ギリシャ語起源の「カリアティード」っていう専門用語?まであるらしい。

もともとはギリシャ建築で生まれたこの女人柱。なぜかその後もヨーロッパの建築で
使われ続けたみたいだけど、特にバロック建築では目立つ(…んじゃないかと思う)。
「建物のあちこちに美女がくっついてる」という見た目が、バロック建築の過剰装飾路線と
マッチしたのかも。しかしイ課長には「建物の重量を支える可哀想な女奴隷」にしか見えん(笑)。

ウィーンの街を歩くと、この過酷な労働に耐えるご婦人たちをたくさん見かけるんだよ。
基本は大体こんな感じだよね。「女を柱にする」という建築装飾である以上、
1人(1本)だけっていうことはあまりなくて、チーム体制で対応することが多くなる。
f0189467_13522070.jpg

例のハリー・ライムのアパートの入口も左右二人ずつ、デッカい女人柱がいた。
さぞかし重いだろうに…そんな遠い目をしてる場合じゃないだろうに…(笑)
f0189467_0195773.jpg

こっちにも、涼しげな表情で入口のヒサシを支える哀れなご婦人が二人。
建物と頭の間にザブトンみたいなものをカマしているというところに、彼女たちの
苦痛を和らげようというわずかな配慮が感じられる…ともいえるけど、考えてみりゃ
頭は丸いんだから、何かカマさないと建物を載せられないよな。
f0189467_13554795.jpg

あーあー…こっちにもズラリと…。
f0189467_13561398.jpg

こっちにもズラリ。
ただでさえ、建物重量を頭で支えるという過酷な労働に耐えてるのに、その上こうやって
上半身ヌードにさせられて、性的な奉仕?まで強要される哀れな婦人たち。
まさに奴隷並みの境遇ではないか。
f0189467_13563844.jpg

…てな具合に、ウィーンで女人柱を見かけるとよく写真を撮った。
何度も言うように、彼女たちが担当している業務内容は大変な肉体労働なんだけど、
姿や表情からはそれがマッタク伝わってこない。優雅に立ってるだけに見える。

しょせんは飾りなんだから、リアルに重そうな顔させたってしょうがないじゃん…
…と、たぶんそういう理由だろう。重くて苦しそうな顔のご婦人たちがあちこちに立ってたら
いくら建築装飾だって、見る方の気も滅入るってもんだ。

ところがだよ…。
さよう。ここで話は終わらないのだ。

数は多くないけど、建物によっては「男人柱」を採用してるものもあった。
何に驚くって、「男人柱」になるとトタンに、めっちゃ重そうなツラになるんだよコレが。
建物重量を支えるという過酷な担当業務のツラさがリアルに伝わってくる。

たとえばこれ。
頭なんて使わない。リアルに肩で建物をかついでるわけだ。重そうだよねー。
しかしこちらの男性はまだマシな方。
f0189467_13583591.jpg

その反対側にいるヒゲの男性は一段と苦しそうだ。
「ううーーーーーー…」っていうウメキ声が聞こえてきそうな表情で建物を背中に載せてる。
これはキツい。少しは彼の負担を軽減してやれよ。
f0189467_13594126.jpg

同じ「ニンゲン柱」であっても女だと「重量感ゼロ」なのに対して、男になったとたんに、
ものすごくリアルに、重そうな表現になる。この差はなんとしたことか。

こういうのも、一種の「男女差別」というのだろうか?(笑)。
そういや、いつも地球儀を支えてるアトラス氏も、重そうだったなぁ。

ウィーンで建物を支えるご婦人のみなさま、お疲れ様です。しかしそれ以上に、
建物を支える数少ない紳士たちのご苦労をねぎらいたいと思うイ課長なのである。




[PR]

by tohoiwanya | 2012-06-29 14:01 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(6)
2012年 06月 18日

カイザーバード水門監視所

さて、久しぶりに去年のウィーン旅行ネタに戻るぞ。

あの旅行ではカールスプラッツ駅舎だの、マジョリカハウスだの、郵便貯金局だの、
ウィーン世紀末建築をいくつか見学したわけだけど、最後にもう1箇所行ったところがある。
それはカイザーバード水門監視所という建物なのだ。

ウィーンの街はドナウ川に沿ったところに位置してるんだけど、太いドナウ川から
少し細い運河が市内にひきこまれてる。水門監視所っていうからには、この運河に
昔あった水門に付属した建物ということになる(現在は水門はない)。

郵便貯金局マジョリカハウスほどメジャーじゃないけど、これも世紀末ウィーンを
代表する大建築家オットー・ワーグナーの作品。ちょっと見てみたかったんだよ。
「水門監視所」なんて、建築デザイン性における“自由度”が高いシロモノとは思えない。
住居やオフィスビルと違って、デザインやら芸術性やらを注ぎこむ余地なんてあんまり
なさそうじゃん?そんな建物をオットー・ワーグナーがどう作ったのか、興味があった。

水門監視所は市電のショッテンリンクという駅からほど近い場所にある。
道路をわたって運河に降りると建物はすぐに見つかった。おおおー、あれか。
f0189467_23565290.jpg

実質的に地下鉄への入口機能しかないカールス・プラッツ駅舎よりは大きいけど、
建物としては小ぶりなものと言っていいだろう。ハデな装飾があるわけでもないし、
こうして少しワイドで見ても、気にしてなければ見逃しちゃいそうな建物だ。
f0189467_23571467.jpg

もう少し近くから見よう。ふーむ…まぁ確かに味もソッケもない建物といえなくもない。
「芸術は必要にのみ従う」というポリシーを持つオットー・ワーグナーさんの考え方からすりゃ
水門監視所という建物の性格からして女人柱だのタイル模様だののデコラティヴな装飾は
「必要ない」ということになるはずだよね。
f0189467_2358535.jpg

なんたって「監視所」だ。最も必要な機能は「見る」ことだ。
だからなのか、監視用の窓(なのかな?)がこうして張り出してるところなんかは
機能を強調してるともいえるよね。イ課長はこの部分を見て、「船のブリッジみたいだなぁ…」と
思ったりしたよ。
f0189467_23583186.jpg

しかし、だよ。
水門監視所という、装飾の必要のない建物といえどもだよ。
やはりオットー・ワーグナーさんとしては、ナニもない真っ白な建物にするのは
「さすがにちょっと…」っていう気があったんじゃないかって気がするんだよ。
それじゃいくら何でも味気なさすぎる。

そこで、うんと控えめながらも彼がこの建物に込めたちょっとしたデザイン性みたいなものが
この波模様じゃないかって気がするんだよな。
水門監視所にこんな波模様が必要なわけでは全然ない。全然ないが、しかしナニもない
ノッペラボウにするのもナンだから、こんな模様でも…というわけだ。
f0189467_235987.jpg

この波模様は水門監視所という、水にまつわる建物だっていうことを表してるんだろうけど、
そこにまぁ何と言うか、設計者の「遊びゴコロ」というか、「装飾欲」の発露みたいなものが
あるんじゃないか…なーんて、建築素人のイ課長は勝手に考えるわけヨ。

しっかし、ドナウ運河のこの辺りのラクガキのスゴさにもたまげたね。
これもまたある意味「装飾欲の発露」と言えなくもないだろうが。まぁスゴい。
f0189467_2359297.jpg

f0189467_00070.jpg

観光客の多いエリアはどこもキレイに磨きあげてるウィーンだけど、ガイジン観光客どころか
地元の人だってあまり来ないような(人通りはホントに少なかった)、ドナウ運河までは
ウィーン市当局の掃除の手もまわりきらないようなのでありました(笑)。



[PR]

by tohoiwanya | 2012-06-18 00:03 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(8)
2012年 05月 20日

レヒネルさんの話

ブダペストでちょっと見たかったものの一つに工芸美術館がある。

展示物が見たかったわけではない。
そもそも、工芸美術館ってどんなものが展示されてるのかもよく知らない(笑)。
見たかったのは建物の外観なのだ。

ここは大抵のガイドブックに「建物そのものに見る価値がある」と紹介されていて、
ニュアンス的には限りなく「(展示物より)建物の方に見る価値がある」という
紹介の仕方に近い…ような気がするんだよな、イ課長には。

ガイドブックの写真を見ると確かにタイル装飾が非常に美しそうな建物なのだ。
外観だけでも見てぇな、と思ったからちょいと足を伸ばしてみた。
地下鉄の…えー…ナントカって駅で降りて(ヲイヲイ)、歩いてすぐ見つかった。

おお~…これは確かに華麗な建物だね。
マーチャーシュ大聖堂の内部や中央市場の外装と同様、タイルによるモザイク装飾が中心だけど
特にグリーンと金色の組み合わさったドームの装飾が美しい。
f0189467_04623.jpg

この工芸美術館。レヒネルって建築家の作品なのだ。
Wikipediaを含めてレヒネル・エデンって書いてあることが多いけど、これはおそらく
ハンガリー風の読み方のはずで(そう、ハンガリーは日本語と同じく姓→名の順に言うのだ)
一般的な西洋風の読み方をすればエデン・レヒネルさんになるんじゃないかな?
(だからフランツ・リストはハンガリー風に読めばリスト・フェレンツになる)

このレヒネルさん。ちょっと乱暴にたとえるなら「ブダペストのオットー・ワーグナー」とでもいうか…。
ハンガリーのアール・ヌーボー建築を代表する、まぎれもない第一人者だった人らしい。
もちろん、ブダペストに行った時は彼のことなんて全然知らなかったんだけど、
日本に帰ってきて、彼のことを調べてみるとなかなか面白い人だったようだ。
f0189467_045037.jpg

仕事ぶりはとにかく凝り性だったようで、こういうドームみたいに目立つところだけじゃなく、
地上からは見えないような屋根の上の細かい装飾にも凝りに凝る人だったらしい。
当然のことながら建築コストはふくらむ一方。毎回予算オーバー。

そんなレヒネルさんの凝り性っぷりをよく表すエピソードを帰国後に知った。
ある建物を作ってる時、関係者が無駄な建築コストを削ろうとして、レヒネルさんに
「屋根の上の装飾にカネかけたって、誰からも見えないでしょう?」と言ったらしいんだな。
するとレヒネルさんはこう答えたといわれる。



だって鳥が見るじゃないか


建築家が残した言葉が有名になって今でも残ってるなんていう例はあんまりない。
あったとしても「すべての芸術は必要に従うのだ(オットー・ワーグナー)」みたいに
小難しい言葉が多い。その中にあって「鳥が見るじゃないか」という言葉はシンプルでありながら
完璧主義者の凝りすぎる性分を表してて、レヒネルさんのことがちょっと好きになった。

イ課長の想像では、レヒネルさんはこれを冗談として言ったんじゃなく、マジメな顔で
答えたんじゃないかって気がする。こんな具合に、あまりに凝り性だったんで後年は
あまり建築の注文も来なくなって、不遇をかこったとも言われている。

ブダペストにはこんな感じでタイルのモザイクで装飾された建物がよく目につき、
それぞれに美しい。こういう建物がレヒネルさんの影響をうけているのか、あるいは逆に
こういうハンガリー的装飾をレヒネルさんがアール・ヌーボーに取り入れたのか?
f0189467_022756.jpg

「鳥が見るじゃないか」のエピソードで有名なのはブダペストの旧郵便貯金局っていう建物だ。
戻ってきてから知ったんだけど、この工芸美術館からそんなに離れてない場所にあるらしい。
事前に知ってれば「鳥しか見えない」ような屋根の装飾を地上から眺めに行けたのに…。
ちょっと残念なことをしたぜ。



[PR]

by tohoiwanya | 2012-05-20 00:08 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
2012年 04月 23日

バロック過剰摂取

ウィーンを象徴する建築様式といえばバロック様式だ。

最近はもう一つの有力な候補としてユーゲント・シュティール=世紀末建築に対する関心が
高まってはいるけど、そうは言ったってウィーンに来た観光客がまず見るのは
ホーフブルクとかシェーンブルンとか、絢爛豪華バロック建築の数々。

これは教会とて例外ではない。
ウィーンに教会はいっぱいあるけど、おおむねどれもバロック教会。
ザンクト・シュテファンは一応ゴシック様式ではあるけど、意味不明の極彩色照明で
内部が照らされているのを見たイ課長としては、あのザンクト・シュテファンを
ゴシック教会の仲間に加えるのにはいささか抵抗感がある(笑)。

…と、ここまでの書きっぷりでもわかるように、極めてマイルドな教会建築オタクである
イ課長は、バロック教会というのが正直言ってあまり好きではない。
これはある意味当然の成り行きで、バロック教会の最大のウリ?は内部の豪華絢爛すぎる
装飾にある(と思う)わけで、建築という側面ではコレと言って見るべきものはないんだよ。
(まぁ内部装飾だって建築のうち、と言われればそうなんだけどさ…)

世界で最も美しい図書館Part1、およびPart2、さらにメルク修道院の礼拝堂なんかを見て
すでに満腹すぎるくらいバロックを詰め込んだイ課長なんだけど、そうは言っても
ウィーンの街をブラついてれば、そこかしこに立派そうな教会があるわけだし、そういう教会に
入れば当然のごとく、さらなるバロック装飾攻撃にさらされるわけだ。

本日はそんなコテコテのバロック教会を二つご紹介しよう。
「すげぇ過剰装飾の渦だった」ってこと以外ほとんど覚えてないのだが…(笑)

まずはペーター教会からいってみよう。
ここは旧市街の中心部、ザンクト・シュテファンにも近くて、以前に
外見だけは写真でご紹介したことがある。で、中はどうかというと…

うっひゃ〜・・・ゴテゴテキンキラキンで早くも目がくらみそうざます。
f0189467_0354395.jpg

しかしこの教会、それでも巨大ドーム構造はなかなか見事で、上を見上げると
はるか天上に天井画が描かれてる。真ん中にハト?みたいな鳥がいるのがわかる?
f0189467_0362932.jpg

f0189467_0364610.jpg

しかし祭壇はと見れば・・・うう・・5秒以上みたらゲップがでそうな過剰装飾。
f0189467_0371836.jpg

ほの暗いゴシック教会の中で祈りを捧げる人影がロウソクに照らされる…なんて姿は
信仰のないイ課長が見てもそれなりに襟を正したくなる光景といえるけど、
こういうのはちょっとねぇ…まぁそれでも欧州で教会に入った時のお約束。
帰路の無事を祈って1ユーロ払ってロウソクだけは立てておこう(左下がイ課長ロウソク)。
f0189467_0373324.jpg


次はフランツィスカーナ教会だ。
ここはクライネス・カフェっていう有名なカフェ(何で有名なのかは不明)の近くの
教会で、外見はドウってことない普通の建物みたいなんだけど、中に入ると…

うーん…ここもかなりイッちゃってる。
さっきのペーター教会よりマシと思うかもしれないけど、細部をみるとむしろ逆。
f0189467_0381375.jpg

ほら見てよこの柱。「普通のまっすぐな柱じゃつまんない」ってんでこうしたのかも
しれないけど、ヘビが巻き付いたようなこんな柱の何が有難いのだ?
これを見た時にはもうはっきりと「うわ悪趣味…」と思っちまったよイ課長は。
f0189467_0383182.jpg

この祭壇の(たぶん)マリア様だって、ナンと言ったらいいのか…。
これを見たときは反射的に、日本橋の三越本店にあるアレを思い出しちまったぜ。
f0189467_038494.jpg

ご参考までに、三越本店のアレってコレね。天女像とかいうらしい。
f0189467_0391072.jpg

いやもうホント、この過剰装飾にはホトホト食傷した。もういいざます。
「1回の旅行での適性バロック摂取量」を大幅に超過したのは間違いない。

こういうのは好みの問題だから、バロック教会が好きな人も当然いるだろう。
しかしイ課長の中では、バロック教会は「結婚式場としては最適だが祈りの場ではない」
という思いが強くなったのは確かだ。申し訳ないけど。

過剰バロック摂取に胃もたれしながらウィーンの路地を歩くとこんなものがある。
左は以前に書いた馬車よけだと思うけど、右の金属製のヤツもそうかな?
こんな凝ったデザインの金属製の馬車よけもあるの?興味深いねぇ…
f0189467_0325148.jpg

…てな調子でさ、少なくともバロック教会の中よりはウィーンの路地の方が
はるかにイ課長の興味をひくものが存在しているわけですよ、ええ。



[PR]

by tohoiwanya | 2012-04-23 00:39 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(8)
2012年 03月 29日

ウィーン郵便貯金局

突然ウィーン旅行ネタ。
ウィーン旅行記の王道(…でもないかな)を行くような話を書いてやろうじゃねぇか。
もう9ヶ月も前のことだっていうのに、書きたいコトはまだいっぱい残ってる。
この年度末激務の中、イ課長は敢然と書くのだ(ナニいばってんだヲマエ)。

本日はウィーン郵便貯金局の話。写真も多いよ。

カールス・プラッツ駅舎マジョリカ・ハウスを手がけた建築家オットー・ワーグナー。
彼の作品の中でも、郵便貯金局ビルは近代建築史に画期的な足跡を残す建物とされている。
もちろん建物はウィーン市内にある。実物を見たかったんだよ。

ただ、中を見学できるのかどうかがわからなかった。
この建物、写真で見ると外見も立派だが中がスゴいんだよ。外側しか見られないんじゃ
ちょっとつまんない。

仮に入れたとしても、一応オフィスなんだから、あんまりバチバチ写真とっちゃ
マズいんじゃないか?イ課長はむかし、スペインの郵便局の中を写真に撮ろうとして
係員に静止された経験があるからね。

まぁとにかく行ってみよう。オペラ座前から市電に乗ってリンク大通りを北東へ。
郵便貯金局はリンク大通りからちょいと内側に入ったところにある。

おお~~~・・・・ついに見る実物の郵便貯金局ビル。
このビルの大きな特徴は外壁パネルをネジで1枚ずつくっつけてるってところにある(らしい)。
石を積み上げるのが当たり前だった西欧建築においては画期的な建築法だったとされる。
f0189467_2323168.jpg

テッペンにあるこういう女神像も凝ってるねー。
近代建築の扉を開く建物と言われてても、ある意味「むかし風」の装飾が
残ってるあたり、時代の過渡期だったことを感じさせるなぁ。
f0189467_23224153.jpg

しかしとにかく中だ、中。ウィーン郵便貯金局の真髄は外見ではなく、中なんだよ。
入れるのかなぁ?と思いながら中の階段をのぼっていったら、チャンと入れた。
ここは今で現役の郵便貯金局(あるいは郵便局?)として使用されているみたいで、
外国人旅行者がフラフラ入っていってもイイんだな。これは嬉しかった。
f0189467_23233019.jpg

うっひょーーー。写真では何度も見たけど、やっぱスゴいねー。
この設計が建築技術的にどういう意義があるのか、イ課長にはよくわかんないけど
まだ19世紀の残り香ただよう1906年という時点で、この内装設計がいかに斬新だったかは
カンカク的にわかる。つうか、21世紀のコンニチ見ても「こりゃスゴい」と思う。
ちょっとキューブリックの映画のセットを連想しちゃうよ。素晴らしい。
f0189467_23245214.jpg

イ課長が特にスゴいと思うのは床をガラス素材にしたという点だよ。
天井の曲面ガラスから光が入ってくるのに加え、床面も透明感があるから、
開放感…というより“浮遊感”に近い感覚がある。ガラスを使った透明感のある床って
すごい発想だと思うなー。

細かい意匠がまたスゴいんだよねーーーー。
椅子やデスクなんかも、当時デザインされたままなんだろう。しかもこれは展示物じゃない。
今でもウィーン市民がここで郵便貯金の手続き書類とか書くんだからね、ほら。
f0189467_23262119.jpg

オットー・ワーグナーはこの郵便貯金局で、アルミニウムという素材を初めて
内装に大胆に取り入れたとされている。
これはおそらく空調の吹き出し口で、これと同じものが室内にいっぱいあるんだけど
それがまたすごく凝ったデザインで驚く。ほんとにSF映画のセットみたいだ。
f0189467_23271359.jpg

室内には一眼レフを持った若者の姿も散見される。たぶん建築を学ぶ学生なんだろうな。
「中で写真撮って大丈夫かな?」なんて心配はマッタク不要だったみたいだ。

このウィーン郵便貯金局。いまやウィーンでも指折りの観光名所になっちゃって、
こうして(我々を含めて)見学する人が後を絶たないから、商売っ気を出した?ウィーン当局は
奥の方にちょっとした「郵便貯金局ミュージアム」みたいなものを作ったようだ。
ここは数ユーロの入場料をとる(笑)。まぁしょうがない。払って入ってみましたよ。

ここは写真とか設計図なんかの資料も展示されてるんだけど、最大の見ものは
オットー・ワーグナーが設計した最初の室内空間を再現してるってところだろうな。
当時そのままに、受付カウンターが並んでる。
f0189467_23294918.jpg

f0189467_23301517.jpg

カウンター窓口の枠が光沢あるアルミ素材っていうのは、当時としては最先端素材を
大胆に導入したデザインだったんだろうけど、今見ても美しいよね~。
f0189467_2330574.jpg

ミュージアムを出て、もう一度ホールに戻る。
フと上を見上げると、レトロな木製ブースの上に、これまたレトロデザインのボード式
カレンダーがかかって、その下に例の空調吹き出し口がある。郵便貯金局のデザイン的魅力を
凝縮したような一角だ。
f0189467_23313822.jpg

建築史に燦然と輝くウィーン郵便貯金局訪問記念に、この一角で記念写真を撮った
イ課長なのである。え?顔がよく見えない?だから載せたんだよ(笑)。



[PR]

by tohoiwanya | 2012-03-29 23:31 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
2012年 01月 22日

聖母お助け通りのマクドナルド

マリアヒルファー通りって、ウィーンの中では大通りに属するといっていいんだろうけど、
コレといった観光物件はない。だから観光客でここに行こうって人はあまりいないだろう。

しかし、ここはイ課長にとって懐かしい通りなんだよ。
新婚旅行のときに泊まったホテルが実はこの通りの近くで、よく歩いたっけ。
当時はこの通りを西駅の方まで市電が通ってたはずだけど、今や市電はなくなって
通りの下を地下鉄が走るようになっちゃったんだねぇ。

新婚旅行の時、独文科出身のトホ妻がイ課長にこう教えた。
「マリアヒルファー・シュトラーセって、要するに“聖母お助け通り”って意味よ」。
ほほ〜。

それ以来、イ課長の中でこの道は「聖母お助け通り」として記憶されている。
観光客向けのケルントナー通りと違って、地元の人たちが利用するショッピング街的な
感じが強くて、イ課長好みの場所だったんだよ、聖母お助け通り。

前回書いたように、20年ぶりに聖母お助け通りに来たときは激しい夕立だった。
でも、ここで行きたい場所があったのだ。その店で雨宿りすることにして、
ええい、そこまでは濡れてもしょうがないから、走っていこう。
f0189467_22182025.jpg

イ課長が行きたかった聖母お助け通りにある店、それは実はマクドナルドだったのだ。
わざわざウィーンに来て、何でまたマクドナルドに?とお思いになるのは当然だ。

実はそのマクドナルドには20年前もトホ妻と入った。
入って、店内を見渡しているうちに、ゆっくりと驚きが湧き上がってきた。
なぜかというと、そのマクドナルド店内が実に“バロック風”だったからだ。
久しぶりに行ってみたかったんだよ、聖母お助け通りのバロック・マック。

店はすぐ見つかった。美術史美術館方向に向かって左側にある。
しかし何せ外はスゴい雨だ。雨宿りに代わりにマックに飛び込んだっていう客が
ワンサといて(自分もそうじゃん)、残念ながらバロック風の1階は満席。2階の、
ちっともバロック風じゃないテーブルでコーヒーとケーキを食うハメになった。ちぇっ。
f0189467_2221423.jpg

しかし帰りぎわに店内の写真はいくつか撮った。
あのバロックぶりを十分伝えているとは言い難いが、店内の様子をご紹介しよう。

照明がこんな感じ。なんだかシャレてるよなー。
天井の細部も精巧な装飾が施されている。
ハンバーガーやチキンナゲットを食う店の装飾という感じではない(笑)。
f0189467_2222979.jpg

f0189467_22223299.jpg

大体だよ?店内の柱が円柱なのはいいとしてだ、その柱頭にこんなイオニア式の
柱頭装飾をつけるかフツー。マックだろ?ここは。
(イオニア式というのは両側に渦巻きが飛び出しているタイプの柱頭を言う)
f0189467_22225261.jpg

マクドナルドって世界のいろんな国に出店してるから、中にはその国独特の建物に
店舗を持っているケースもある。聖母お助け通りのマックもそのタグイなんだろう。
ウィーン風のマックとなれば、当然バロック風ということになるわけだ。

おそらく、マックがこの聖母お助け通りに店を出そうとした時、条件に合った空き物件が
こういうバロック風の店だったんだろうな。ウィーンならそれは十分あり得ることだ。
天井の、円形のフチの中には天井画があっても全然不思議じゃないけど、さすがに
天井画はちょっと…っていうんでマックがなくしたんじゃないかなぁ〜?

そういえば、2007年の欧州出張でプラハに行ったとき、まるで古代彫刻みたいな
石彫レリーフのある建物にマックがあるのを見て感心したけど(中には入らなかった)
このウィーンのバロック・マックもそれと同じような「元の建物の意匠を生かした店」という
考え方で作っているんだと思われる(下は2007年撮影の、プラハのマック)。
f0189467_22233891.jpg

聖母お助け通りのマック、雨が小降りになってもまだ混んでたから、あまり
たくさん写真を撮れなかったのが残念だけど、ヨーロッパではこんな具合に
「ローカル化したインターナショナル・チェーン店」を観察してみるっていうのも
なかなか面白いね。

さて…何だカンだで1時間くらい雨宿りしてたけど、雨もそろそろあがりつつある。
20年ぶりのバロック・マックも見たことだし、また移動を開始するとしよう。
f0189467_22241352.jpg

雨足が弱くなった聖母お助け通り。
相変わらず傘のないイ課長は、それでも小走りになって、地下鉄駅に急いだのでありました。




[PR]

by tohoiwanya | 2012-01-22 22:24 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(6)
2011年 12月 13日

マジョリカ・ハウス

まだ生温かい今回の出張ネタは当然いっぱいある。
しかし、今日もまた6月のウィーン旅行ネタを消化を優先しようではないか。
何しろいーーっぱい残ってるんだから(笑)。

本日はウィーン世紀末建築ネタ。
今回の旅行では特にオットー・ワーグナーの作品を見てまわったんだけど、
その中からご紹介しよう。

その名もマジョリカ・ハウス。
オットー・ワーグナーが設計した集合住宅で、世紀末時代のマンションといったところか。
調べてみたら、これが作られたのは1898年つうから、今から110年以上前。しかし現在でも
ちゃんと現役の集合住宅として使われてて、まぁウィーンに限らずヨーロッパの石造建築なら
100年くらい前のものを使い続けることなんて、さして珍しくもないのだ。

ここは正確にはオーットー・ワーグナー設計の集合住宅が2軒並んでて、
一つは「マジョリカ・ハウス」、一つは「メダイヨン・ハウス」と呼ばれてる。
どちらもそのファサードのデザインからとったあだ名で、
特に色鮮やかなマジョリカ陶板(っていうのがあるらしい)を一面に敷き詰めた
マジョリカ・ハウスが有名だから、2軒まとめてこう呼ばれることもある。

これがマジョリカ・ハウスの正面。ここもホテルから近かったんだよねー。
例の「さようならミシクス」を買ったスーパーの、もうちょっと先にある。
f0189467_22252463.jpg

これはねー、写真で知ってはいたけど実物を見るとやっぱりすごい。
遠景もすごいけど、近くから見ると建物の隅々まで凝った意匠がギュッと詰まってて
その凝りっぷりに驚くね。
f0189467_22245577.jpg

こういう模様見てると、「まるでミュシャの絵の背景みたいだなー」と思っちゃう。
ウィーン世紀末美術はパリのアール・ヌーボーの影響をハゲしくうけてるから
当然ちゃ当然なんだが、改めてこの二つの美術潮流の共通性に感心する。

曇り空だったからわかりづらいかもしれないけど、建物のヒサシの裏までビッシリ
鮮やかな色のタイルで飾られている。テラスの手すりの凝った装飾もすごいよね。
f0189467_2226420.jpg

その隣にあるのがメダイヨン・ハウス。
一見するとマジョリカ・ハウスにくらべて装飾が少ないかな?と思えるけど、
こちらもまた細部をよく見ると尋常ではない凝り方だ。
f0189467_22271392.jpg

この葉っぱとかすごい。この建物だけのために特注で作ったのは明らかで、
すごいお金がかかってそうだ。施主はよくオッケーしたなぁ。
f0189467_22263095.jpg

これだけリッチな建物をポンと有名建築家に注文建築で発注しちゃうくらい、
当時のウィーンは経済的に豊かだったということなのかもしれない。

オットー・ワーグナー設計のカールスプラッツ駅舎を眺め、
オルブリッヒ設計の分離派館を眺め、
そこからぶらぶらとナッシュマルクトの美味しそうなレストランや食材店を眺めながら
歩いてると、やがて右手にこのマジョリカ・ハウスがドンと現れる。

マジョリカ・ハウスを写真に撮って、くるりと振り返るとそこには
ケッテンブリュッケンガッセの地下鉄駅。この駅舎もまたオットーワーグナーの作品だ。
さっきのカールス・プラッツ駅からちょうど地下鉄一駅分だけ歩いたことになる。
ウィーン世紀末建築散策であれば、これはお勧めしたいコースだ(←エラそうに)。
f0189467_2228051.jpg

パリの建築のそこかしこにアール・ヌーボーが残っているように、
ウィーンを歩けばあちこちで世紀末建築にぶつかる。

この魅力ある二つの街に今年両方行くことが出来たのは、こうして振り返ると、
けっこう嬉しい出来事だったといえるかもしれない。
片方はクソ寒い時期の、しかも仕事で行った出張だったとはいえ。



[PR]

by tohoiwanya | 2011-12-13 22:29 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(4)