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2011年 10月 16日

カールスプラッツ駅舎

フンデルトヴァッサーの清掃工場の話をして、久しぶりにウィーンの建築に話題を転じたら
何と、まだカールス・プラッツ駅舎の紹介をしていなかったことに気がついた。
というわけで、本日はウィーン建築ネタを続けることにする。

カールスプラッツ駅舎というのはウィーン世紀末美術を代表する建築物であり、
ユーゲント・シュティール(端的に言えばウィーンにおけるアール・ヌーボー)の
建物といえば分離派館なんかと共に、たいてい真っ先に例に挙げられる。

分離派館とカールスプラッツ駅って実はすごく近い。
直線距離にすれば200mくらいしか離れてないんじゃないかな。
イ課長たちの宿泊ホテルから分離派館は徒歩約2分、従ってカールスプラッツ駅も
5分くらいの距離だったわけで、とにかく近くて、旅行中何度も目にしたよ。
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これがカールスプラッツ駅舎。建築家オットー・ワーグナーの代表作。
全く同じデザインの駅舎が向かい合って二つ建てられてて、これはその片方というわけだ。
現在は駅舎としては使われてなくて、片方はオットー・ワーグナーに関連した展示室、
片方はカフェとして使われてるみたいだ。

細部を見てみよう。
ここはとにかく「こんなとこまで…」と感心するくらい、建物の細部まで
キッチリと凝った装飾がなされている。ヒサシの裏までこんな感じなんだからねぇ。
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現代の感覚だと、鉄道駅の入口用建物にここまで凝った装飾は必要ないんじゃ?と思うけど、
こういうのが19世紀末から20世紀初め、アール・ヌーボー全盛期の流行だったんじゃないか?
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ギマールがデザインしたパリのメトロの出入り口が今でもアール・ヌーボーの傑作と言われるけど、
この時代の鉄道駅舎のデザインとしてウィーンとパリが図抜けて芸術的だ。
下はパリに旅行した時に撮ったメトロの入口。このアール・ヌーボー的ロゴは有名だよね。
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何かで読んだ話だと、オーットー・ワーグナーが設計したウィーン地下鉄駅舎シリーズの中で
このカールスプラッツ駅は言わば「豪華スペシャルバージョン」で、ここだけにしかない。
で、上にも書いたように今では駅としては使われてないわけだ。

しかしこのスペシャルバージョン以外に、言うなれば「汎用タイプ」というか、
あるいは「量産型」とでもいうべきタイプの駅舎も彼は設計してて、量産型の方は
今でもウィーン市内のあちこちでチャンと駅として使われてる。

旅行中に量産型の駅を何度か見たけど、たとえばこれ。泊まったホテルからもほど近くて、
ここは駅舎を見るだけじゃなく、実際にここを通って地下鉄に乗る機会があった。
しかしこうして改めてみると、入口の濃緑の柱の装飾とか、凝ってるよねぇ〜。
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中もこんな感じで、カールスプラッツ駅みたいに金を使った派手な装飾はないけど
それでも壁面の立体装飾は非常に凝ってる。ちょっと色がハゲてるが(笑)。
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ホームに降りる階段もほのかにユーゲント・シュティールの香りがただよう。
目立たないけど、白一色の壁に作り込まれた立体装飾が上品で美しい。
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「芸術は必要性にのみ従う」っていうのがオットー・ワーグナーの考え方だったそうで、
今でも使われてるこういう地下鉄駅を見ると、彼が建物の実用性というものを優先した上で、
そこに「美」をいかに盛り込むかに腐心したことが伺える。

今回の旅行ではオットー・ワーグナーの重要な作品をいくつか見ることが出来た。
これからもおいおい、ご紹介していきます。

しかし、月曜からは2泊3日で北陸出張。ホテルでブログ書けるかなぁ…??




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by tohoiwanya | 2011-10-16 00:32 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
2011年 10月 13日

フンデルトヴァッサー

さて、ドナウ川観光は完結したわけだけど、
それに付随して、今度はウィーン建築ネタを一つご紹介したい。

ゼセッションの記事のところで、今回の旅行では世紀末様式の建築を見るのが
大きな楽しみの一つだったって書いた。
ウィーンのガイドブックなら、今やシェーンブルン宮殿みたいなバロック建築と並べて
オットー・ワーグナーやオルブリヒの世紀末建築を扱わないものはない。
しかし、それ以外にもウィーンには建築物で見るべきものが少なくないのだ。

ドナウ川観光を終え、クレムスから乗った電車の終点はウィーンのフランツ・ヨーゼフ駅。
しかし、我々は終点の一つ手前のスピッテラウっていう駅で降りた。
そこの方が地下鉄の乗り換えには便利だからそうしたわけだが、この駅には
確かアレが近くにあったはずだ…アレが…。電車の窓に顔をくっつけて「アレ」を探す。

見えた!!アレだ!あれがそうだ。間違いない。
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オーストリアの現代画家+建築家にフンデルトヴァッサーっていう人がいる。
ウィーンの建築物の見どころといえば、この人のデザインした建物も有名で、
上の写真の金色の煙突も彼の有名な作品なんだよね。

イ課長は、フンデルトヴァッサーっていうと非常にビビッドな色使いの絵を描く人…
くらいの認識しかなかったんだけど、ウィーンにはこの人がデザインした建築物が
いっぱいあって、建築家としての業績も大変なものなんだよ。
彼がデザインした建物はバロックとも世紀末とも全く違う、ウィーン建築の魅力の
重要な部分を占めている。

さっき電車の窓から見た変チクリンな金の球。これ、何だと思う?
以前にハイリゲンシュタット観光のところで正解を書いちゃってるんだけど、
これ、実は清掃工場の煙突なのだ。

降りた駅のホームからだとますますよく煙突が見える。うーーむ…異様だ。
異様だけど、ウムを言わせぬ強烈な視覚的インパクトに見とれずにはいられない。
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このスピッテラウ駅、Sバーン(要するに国鉄)のホームからから地下鉄に乗り換えるのに
階段を登って地上に出る必要があった(他に近い乗り換え口があったのかもしれないが)。
地上に出るとフンデルトヴァッサー設計の清掃工場の全容が目に飛び込んで来る。
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うっひょーーーー。すごい建物だねぇ。
この清掃工場の異様な形と異様な模様。「これはナントカを表現したものである」みたいな
理由づけみたいなものも当然あるんだろう。あるんだろうけど、イ課長の目には
「まるで子供の工作のように、キレイで珍しい色とパターンと形状を詰め込むのが
 面白くてしょうがなかった」というシンプルな動機で作られたように思えるなぁ。
そういう子供みたいな建築動機の前では難しい解説なんて意味がない。
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これが清掃工場なんだからねぇ…。

ちなみに、このフンデルトヴァッサーという人。日本びいきとしても知られてて、
大阪の清掃工場のデザインも手がけてる。下がWikipediaから引用した写真だけど、
これなんかもスピッテラウの清掃工場と同じで「二つとないような面白い色と形の
清掃工場を作っちゃうもんね!」という思いが感じられる一方で、「確かに同じ人が
デザインしているな」っていう、共通性があるのも面白い。
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日本びいきのフンデルトヴァッサー氏。
彼の名前を英語になおせば「ハンドレット・ウォーター」、つまり
フンデルトヴァッサーさんっていう苗字は「百の水さん」という意味になるわけだ。

彼はそこで「百水」っていう漢字読みの雅号?のハンコを作り、サイン代わりにそれを
自分の絵に押したことでも知られている(笑)。


2000年に亡くなってるんだけど、きっと晩年まで面白いジイさんだったんだろうなぁ。



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by tohoiwanya | 2011-10-13 00:02 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(0)
2011年 09月 12日

世界で最も美しい図書館 -その2-

世界で最も美しい図書館番付の上位力士(力士って…)プルンク・ザールを見たのが日曜。
そして、やはり同番付で常連のメルク修道院図書館を月曜に見ているイ課長&トホ妻。
単なる偶然とはいえ、二日続けてとなるとこちらもつい「超美麗図書館」の比較をしたくなる。
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まぁ図書館としてのスケールなら断然プルンク・ザールの方に軍配があがる。
建物規模的にもかなり差があるし、当然のことながら蔵書の数もアッチの方が多いだろう。
特にメルク修道院の図書館は天井が(あくまでも相対的には、だけど)ずっと低いから
その分、「こじんまり感」も強くなる。

しかしまぁ、プルンク・ザールが豪華すぎて現実離れしてるのに対し、こっちは
こじんまりしてる上に四角い部屋だから、何となく学校の「図書室」っぽくてホッとできる。

…とは言ったって、それはあくまでも比較の上でのハナシ。
メルク修道院の図書館だってそれだけ捉えれば異常なほど豪華絢爛だよ。
修道院なんだからさ。ここまでする必要があったのか?と言いたい(笑)。

細部を見てみよう。
真っ先に気がつくのは収蔵された本の背表紙が全て同じ装丁であるということで、
これはプルンク・ザールと全く同じ方式だ。昔の図書館ってみんなコウなんだろうか?
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何度もいうけど、読みたい本を探しづらくないかねぇ?
仮にそれが見つかったとしても、本を借り出した後の持ち運びが重そうだ。
(この辺、学校の図書室から本を借りる感覚になってる)

お、地球儀がある。
プルンク・ザールにも同じような巨大地球儀があったな、そういえば。
知識の殿堂に置かれるインテリアとして、巨大地球儀というのははずせないらしい。
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メルク修道院の図書館で目につくのは本棚のオジサンたちだ。
本棚の上の方に装飾としてくっついてるんだけど、本棚の上部を背中にオンブして
重みに耐えているようなポーズになってる。これはつらい職務だ(笑)。
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図書館の天井画はこんな感じ。
位置的にいって、向こうの建物にあった大広間と、この図書館っていうのが
まさにUの字みたいに湾曲テラスをはさんで左右対称同じ位置に作られてるみたいだし、
天井画も、部屋の広さも同じような感じだ。
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何かの理由でアッチの部屋は広間に、コッチの部屋は図書館になったということだな。
将来、もっと蔵書が増えればアッチの部屋も図書館にするつもりだった…
…というのがありそうな話に思えるが。

図書館を出ると、らせん階段で下に降りる。ココがまたちょっとギョッとするんだ。
ひょいと覗き込むと、らせん階段が地下のドコまでも続いているように見えるからね。
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これ、実はらせん階段中心の底に鏡が置いてあるんだよ。
だから、らせん階段の上階に向かうブブンが映っているにすぎない。
しかしパッと見るとあたかも「底なし階段」に見えて、なかなか面白い視覚効果だ。

てな感じで、らせん階段の写真を撮ってたら、少し先を歩いていたトホ妻が
興奮した顔でイ課長の服をひっぱって呼ぶ。

「ねぇ、ちょっとコッチ来てごらん、早くはやく!」

ちょっ、ちょっと待て、いまらせん階段の写真撮ってんだからさ。
図書館はもうたっぷり見たんだから、少しゆっくりさせてくれよ。

カメラをしまって、トホ妻に引っ張られて次の部屋に入ってみる。
すると…


うっぎゃーーーーーー!?またまた豪華絢爛なナニカが現れたぞ。何だこりゃ?!
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ロクに下調べもせず「図書館が豪華でスゴいらしいよ」って程度の予備知識しか持たずに
メルク修道院を見学すると、最後にこんな風にブッたまげるハメになるのである。

というわけで、続きはまた次回。
前回がメルク修道院旅行記のその2で、今回は「世界で最も美しい図書館」のその2。
しかし、ハナシ自体は前回の「その2」と今回の「その2」がつながっていると。
こういう長編ネタ、読む方も大変だろうが書く方だって大変なのだ(笑)。



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by tohoiwanya | 2011-09-12 00:13 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(0)
2011年 09月 09日

メルク修道院を観にいこう その2

さて、それではメルクの駅から世界遺産・メルク修道院に登ってみましょうかね。
丘の上にある修道院に行くには上り坂を登らないと行けないのである。
まぁ建物自体は見えてるから道に迷うことはあり得ないけど、登り坂は細い道で
地図がないとちょっと見つけづらい。

中世のたたずまいを残す石畳の細道。
向こうから僧衣に身を包んだ修道僧が歩いてきそうな感じだが、赤い看板が邪魔だ(笑)。
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細い坂道やら石段やらを登ること6~7分ってとこかな。
やったーーー。メルク修道院の入口に到達しました。
ウィーン西駅から電車も駅も道も間違えず、無事たどり着いたのである。
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しかしだよ…それにしてもだよ…
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やけに建物(特に外壁塗装)が新しくないかい?いわゆる「“時代”がついてない」というか…。
11世紀に建てられ、18世紀に大規模改築された修道院っつうんだけどさ、どちらかというと
完成直後のテーマパークに見える(笑)。最近塗りなおされたばっかなんだろうな。

さっき「道に迷うことはあり得ない」って書いたけど、実は我々はここから少し迷った。
なぜって、入口がドコなんだかよくわからないんだよ(笑)。
門のワキに近代的ガラス建築の階段があるから、そこなのかと思って入ってみたけど
どうも違うようだ。うーむ、よくわからぬ。

周囲の観光客はゾロゾロと庭園の奥にある建物に向かう。
ああ?あそこが入口なの?とりあえず彼らにくっついてその建物に向かってみる。
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ふーむ…ここはなんというか…ちょっとした「離れ」というか「あずまや」というか…
とりあえず入口じゃないよココは。キレイな建物だけど、特にドウってことはない。

あちこちさまよって、ようやく入口を発見。
少しずつ入場させてるから、入口(メインの建物に向かって左側にある)階段なんかは
西洋老人団体観光客たちが渋滞しておったわさ。

メルク修道院に関しては「スゲエ図書館がある」ってこと以外、ほとんど知らなかった。
しかし、中に入場して目に入るのは昔の遺物を展示した博物館っぽい展示室ばっかり。
たとえばこんな感じ(下の写真はメルク修道院HPのもの)。
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展示室はどれもモダンで照明が凝ってて、これまたやけにテーマパーク風だ。
まぁ確かにキレイだよ?キレイだけどさ、はるばるメルク修道院に来てだぜ?まるで
銀座のデパートの催事場で開催されてる「オーストリア古美術展」かのごとき展示を
見せられてもなぁ、ちょっとなぁ~(笑)。

というわけで、モダンな展示室はザッと早足で見ただけで、お目当ての図書館を探す。
こういう時、イ課長は見る価値を感じないものにはやけに冷淡、見たいモノに対しては
やけにセッカチな男なのである(笑)

奥の方の部屋に入ったら、そこは小さな展示室じゃなく豪華な天井画が目に飛び込んで来た。
おおお!ここがクダンの図書館か?!
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…いや違う。ここじゃないよ。ココは単なる大広間だろ。そもそも本がないし(笑)。
でもこの先に部屋はないみたいだよ?ここがドン詰まりなんじゃないの?
ってことは、さっき早足で展示室をぱーーーっと見てる時、気がつかずに図書館を
通り過ぎてきちゃったのかい?あれれー??

長い廊下を探しながらまた戻ったけど図書館なんてない。とうとう入口まで来ちゃったじゃん。
どうなってんだ?図書館はドコなんだよ??(←さっきも言ったようにセッカチ)
仕方ない。こういう時は係員に聞くに限る。もちろん英語で聞くしかないわけだが。

Where is the library?(図書館はドコですか?)」

はははは。中学生の英語の授業で必ず一度は習うフレーズが役に立ったぞ(笑)。
すると、係員はたったいまイ課長が行ったり来たりしてた廊下を指差して何か言う。
やっぱさっきのルートで良かったわけ?

どうやら、さっき「ドン詰まりの大広間」と思った部屋に実はまだ先があったようで、
あそこから一度屋外に出て、ぐーっと湾曲したテラスを通って反対側の建物に行くらしい。
そういうコトだったのかよ。

真上から見て大きな「U」の字型の建物があるとして、イ課長たちはその右上から入場し、
だんだん下におりて右下のところまで来たわけだ。そこに大広間があったと。
そこがドン詰まりと思ったけど、実はそこから「U」の字の下のカーブをわたって
左側のタテ棒(建物)に入るルートがあると教えられた、イメージ的にはそういう感じ。

館内案内図がないから(入口で配ってたようには見えなかったぞ)わかりづらいなー。
まぁしょうがない。今度は途中の展示室なんて一顧だにせず、長い廊下をビュンッと戻り、
さっきドン詰まりと思った大広間までビュンッと歩く。まったくもう…。

ははぁ、確かに言われてみると、さっき天井画を見た大広間のいちばん奥に扉があるワ。
あれをギイッと開けて外のテラスに出ればいいんだな。
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テラスからはこんな風にドナウ川の支流が見える。水の色は泥色だが(笑)。
あとで、この支流から遊覧船に乗るわけだけど、とりあえず今は図書館だよ図書館!
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テラスをわたって反対側の建物に入る。すると…

おおおお!いきなり出ました!こんどこそ間違いない。
やったー。ついにたどり着きましたメルク修道院図書館。長い道のりでした。
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…というわけで、次回の記事は超豪華図書館を詳細にご紹介しましょう。
ブツブツ切れて申し訳ないのう。




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by tohoiwanya | 2011-09-09 09:59 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
2011年 08月 31日

ウィーンのドゥルヒガング

さぁ、今年の海外出張の暗いハナシは一時忘れて、ウィーンの話に戻そう。

さてだ…(←調子がでるまで少し時間がかかってる(笑))。

これまでイ課長ブログにパサージュの話を二度、記事に書いた。
パリのパサージュはすごく雰囲気あってよかったっていうハナシと、
ブリュッセルにも立派なパサージュがあったっていうハナシだ。

いわば通り抜けアーケード型商店街とでもいうべきパサージュ。
フランスやベルギーでは見たけどドイツなんかにはないんじゃないかな?
地下街は別として、地上の古い建物の中に通り抜け通路が組み込まれてて
なおかつそこが商店街になってるのって、見た記憶ないんだよなぁ…。

ところがだ。
ウィーンにはある。それに近いものが。
もちろんパサージュなんて言わん。ドイツ語だとドゥルヒガングっていうらしい。
パサァ~~ジュ  に  ドゥルヒガング  二つの言語の特徴がよく現れてるのう(笑)。

ウィーンのドゥルヒガングは言葉だけじゃなく、構造的にもパサージュとちょっと違う。
パリのパサージュが最初から「その建物にパサージュを通す」つもりで設計されているのに対し、
ウィーンのソレは「図らずもそういう形になっちゃった」的なところが見受けられる。

まぁ口で説明するより見てもらった方が早い。
ウィーンのドゥルヒガングで代表的なの(かなぁ?)はこれだ。
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確かにこの通路の奥に店がありますよってタタズマイにはなっているが、感じはだいぶ違う。
ブリュッセルはもちろん、パリのパサージュと比べても道幅は狭くて、ホントに通路っぽい。
入口上に置かれた看板も一見すると「このパサージュの看板」かと思うけど実は違うのだ。

とにかくパサージュ好き?のイ課長としては、当然中に入ってみるのである。
中は…おおお、けっこう暗いぞ。それもそのはず、ガラス屋根じゃなく、トンネルだもん。
トンナルの両側はショーウィンドウだ。パリみたいにズラリと店が並んでるわけじゃない。
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通路をなおも進んでいくと、突然“露天”になる。ほほ~。
ガラス屋根になってない分、ここがいわば「採光」を兼ねた場所になってるわけだ。
露天部分に立って、今歩いてきたトンネルを見るとこんな感じ。
トンネル通路を通り、露天部分があり、その奥がまたトンネルという形なのだ。
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出口はこんな感じ。
通りの向こうがまたドゥルヒガングになってるのがわかる。どれ、せっかくだから
向こうのドゥルヒガングにも入ってみようではないか。
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これが、その「向こう側にあるドゥルヒガング」の中。
トンネルの両側はショーウィンドウ、途中にごく小さな露天の広場があり、その向こうが
またトンネルという構造だ。さっきのと同じだ。なーるほど。
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おそらく、ウィーンのドゥルヒガングっていうのはロの字型になった建物に付随して
あるんだろうな。アッチとコッチがトンネルになってて、真ん中は露天。
パリやブリュッセルのパサージュは必ず両側に店舗が整備されて商業空間としての性格が
強いのに対し、ウィーンのドゥルヒガングは「通り抜け通路」としての役割が大きいって感じだ。

最初に見た看板つきドゥルヒガング。
実はあの看板、フィグルミュラーっていう有名なレストランの看板なんだよね。
建物の中庭部分みたいなところにレストランがあるから、そこに行く通路としての
ドゥルヒガングがある。でもただのトンネルじゃつまんないから、両側にショーウィンドウを
つけて少し商業的機能も加えた…と、そんな感じじゃないのかなぁ?

ちなみに、このフィグルミュラーっていうレストランはウィーンのガイドブックには
必ず載ってる有名店で、呼び物は「皿からはみ出すほどの巨大ウィーナー・シュニッツェル」。
看板もこうなっているのだ。でっけぇ。
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ここは人気店で混んでるらしいし、今や年老いたイ課長・トホ妻、こんな巨大シュニッツェルを
完食する自信はまったくない。だからこの店には行かなかったのである。

胃袋に自信のある方はぜひ、行ってみてください。
その時は、アナタもウィーンのドゥルヒガングを通ることになるんだヨ。




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by tohoiwanya | 2011-08-31 12:26 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
2011年 08月 03日

ザンクト・シュテファンというところ

「第三の男」ロケ地めぐりも重要目的だったけど、
ウィーンの建築物めぐりもまた今回のウィーン旅行の重要目的の一つだった。
いろいろ重要ミッションの多い旅だったのだ(笑)。

ウィーン建築物めぐりといえば2大お目当ては「バロック建築」か「世紀末建築」となるのが
普通で、今回イ課長たちは「世紀末」の方にやや軸足を置いて見学したわけだが…。

本日はそのどちらでもないゴシック建築。
バロックの都ともいえるウィーンだけど、ゴシック建築物だってもちろんある、。
ウィーンのド真ん中、ウィーンの象徴、ごぞんじザンクト・シュテファン大聖堂もその一つ。

…とは言ってもねぇ…。

いや確かに建築様式としてはゴシックなんだと思うよ。
ただ、フランスで見たパリ・ノートルダム大聖堂だのアミアンシャルトルの大聖堂だの、
ゴシック教会の発祥であり精髄ともいうべきイル・ド・フランスの教会と比べると
「ザンクト・シュテファンってゴシック…なのか?」と思っちゃうブブンもあるんだよ。

新婚旅行で来たときは外から眺めただけで、中に入ったことがなかった。
今回初めてザンクト・シュテファンの中に足を踏み入れてみたわけだが…。

ウワ何だコレ??オラぁまたミラーボールきらめくディスコかと思っちまっただに(笑)。
ゴシック教会ってもっと内部は暗くて神秘的なものなんじゃ…いやまぁいいけどさ。
しかしそれにしてもこのハデハデしい幻灯ちうかナンちうか、こりゃ何だべ?
(なぜ急にイナカ言葉になるのだ?)
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太陽光線がステンドグラスごしに差し込んだとは考えづらい。
確かに大きなステンドグラスはたくさんあるけど、窓の向こうから日が射し込みつつ
反対側からの窓の光も柱に投影されてるなんてこと、あり得んだろう~?
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よく見ると、ところどころにプロジェクターらしき機械が設置されてるっぽいじゃん。
やっぱそうだろ?自然光というには不自然すぎるもんなぁ。ステンドグラス透過光らしき光を
機械で投影してるみたいなんだよ。しかし何のためにそんなコトを…?
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観光客で混んでる上に、とにかくこのキラキラしい幻灯?にさすがにヘキエキする。
これじゃゴシック大聖堂の神秘性もヘチマもない。例によって「無事帰国祈念ロウソク」を
寄付し、早々に外に出た(笑)。

こんどは建物外部を見てみるか。
ゴシック教会をゴシック教会らしく見せるものといえばフライング・バットレス(飛び梁)だが
見てみると、ザンクト・シュテファンにはフライング・バットレスもないみたいなんだよね。

で、どうしてるかっていうと、フライング・バットレスの代わりにこうして
控え壁を外壁部分にタテにいくつも作って壁を補強している。ほぉ~。
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ふーむ…ここでおなじみ、イ課長の仮説がひらめいた。
フライング・バットレス構造を採用するには建物周囲にさらに敷地が必要だ。
おそらく、市街地ド真ん中にあるザンクト・シュテファンには敷地上の制約があって、
とてもフライング・バットレスなんて採用できなかったのでは?

ま、真偽のほどはわからない(ご存知の方がお読みであれば、ぜひご教示ください)。
ザンクト・シュテファンの外部には他にも見るべきものがある。少なくとも内部よりはある(笑)。
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裏の方にはこんな外側に小さな出っ張りがあるけど、実はこれも祭壇というか、一種の
ミニ聖堂になってて、聖堂入口のワキにはこんな聖水入れも設置してある。
この聖水入れ、非常にブキミな意匠だが…。
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死者を送るための祭壇。
それも、聖堂内で大々的に葬儀を開催するんじゃなく、聖堂の外の屋外ミニ聖堂で
チョコッと葬式しちゃいましょうっていうニーズに合わせて作られたものっぽい。

そして、この建物の外にある聖堂でチョコッと弔いをされた人の一人がモーツァルトらしい。
そういや「アマデウス」って映画でも、彼の葬式は参列者も少ないものとして描かれていた。
ふーむ…モーツァルトはここで、ほとんど通りがかりと言ってもいいくらいの葬儀をし、
そのまま遺体は馬車で共同墓地の共同墓のどっかに埋葬されちまったというわけか。
(モーツァルトの遺体は今も不明で、おそらく永久に不明なのである)

ザンクト・シュテファンは中より外の方が見るべきものが多いような気がする。
屋根の、セーターの模様みたいなモザイクなんかもザンクト・シュテファンならではだよね。
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…とは言え、だ。

ザンクト・シュテファンがウィーンのゴシック建築を代表する存在であるのは確かだけど、
観光優先順位という点ではシェーンブルン宮殿や国立図書館みたいなバロック建築の数々、
あるいは分離派館みたいな世紀末建築の数々に比べれば、まぁ…何というか、
「だいぶ後回しでもいいんじゃない?」というのがイ課長の率直な感想なのだ。
…特に内部に関しては(笑)。




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by tohoiwanya | 2011-08-03 01:04 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(4)
2011年 07月 28日

世界で最も美しい図書館

「世界で最も美しい図書館」…

…という、このキャッチフレーズはけっこう人を魅惑するらしい。
実際、ヤタラ美しい世界の図書館の写真を集めたサイトなんかもある(海外サイトに多い)。
「英知の殿堂」っぽいイメージ、図書館としての機能美、その上に建物や内装の美しさが加わると
「世界で最も美しい図書館番付」に顔を出すようだ。

イ課長がプラハ出張の時に見られなかったストラホフ修道院の図書館なんかは
世界的に有名で「最も美しい図書館番付」の小結か関脇くらいの存在らしい。
ま、見られなかったわけだけどさ…(笑)。

今回のウィーン旅行で、イ課長とトホ妻は「世界で最も美しい図書館番付」で
これまた間違いなく三役クラスの(こういうタトエもどうかと思うが)2つの図書館を
この目で見ることが出来た。本日はその1つめをご紹介しよう。

世界に美しい図書館は数あれど、なぜか日本では「世界で最も美しい図書館」っていうと
必ずウィーンの国立図書館、別名プルンクザール(輝きの広間とでも言うか)が挙がる。

ここは今回、特にトホ妻が行きたがった場所なのだ。
イ課長はほとんど予備知識がなかったんだけど、まぁハプスブルグ家王宮の中にある
図書館なんだから、さぞかし豪華絢爛なんだろうと想像はしていた。

入口はちょっとわかりづらい。
ホフブルク王宮見学用のメインエントランスとはちょっと離れたところに入口があって、
こんな階段を上っていく。少なくとも階段まではどうってことはない。
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この階段を上りつめると図書館の入口があるのだ。
ちなみに、内部は「ストロボ焚かなきゃ写真撮影OK」だから、イ課長も張り切って
内部に入っていった。すると…

ひーーーーーーーーー。
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いやはや…豪華絢爛だろうとは思っていたがここまで豪華絢爛だったとは!
あまりにデカすぎて、カメラを広角にしても図書館の全容を全く捉えられん(笑)。
天井画にしたって、一体どうやって撮ればいいんだか…。
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…とまぁ、最初のうちはとにかくひーーひーー言いながら見てたんだけど、
ほどなくイ課長も冷静になって細部を観察し始めた。
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この図書館が見物人をして「すげーー」と思わしめる要素はいろいろあるんだけど、
とにかく天井が高く、本棚もやたら高く、上の方まで本がミッチリ詰まってるから、
その威容、重量感にまず圧倒される。
高いところの本はこうやって専用の階段を使うわけなんだな、なーるほど。
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よく見ると本も不思議だ。背表紙を見ると明らかに似たような装丁の本ばっかなんだよね。
つまり最初にあったオリジナルの本そのものの姿じゃなく、この図書館に収蔵する際に
「国立図書館専用仕様」の、この茶色の装丁をハメ直したとしか思えない。
保存性という点ではその方がいいんだろう。しかしこれじゃ背表紙を見てもドレが何の本か
わかんないよねぇ?
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当然のことながら本を探すときに背表紙を見て探すとは考えられない。
何番目の本棚の上から何段目の左から何番目にコレコレの本が所蔵されてるっていう超精密な
所蔵目録がみたいなのが別にあるんだろうな。棚にもこうやってローマ数字の番号がついてるし。
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観光客は見学して写真を撮るだけで、本そのものに触れることはできない(んだと思う)。
しかしまぁここは確かに見るだけでも十分価値がある場所と言っていいだろう。
ウィーン旅行の機会があれば、一度ご覧になってみてはいかが?

最初の方に、今回の旅行で「世界で最も美しい図書館番付」上位の二つを見た、と書いた。
今日ご紹介したオーストリア国立図書館、このプルンクザールがそのうちの一つ。
もう一つはいずれご紹介するけど、実際の旅行スケジュール上では二つめを見るのは
プルンクザール見学の、ほぼ24時間後だったのである(笑)。



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by tohoiwanya | 2011-07-28 00:14 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
2011年 07月 18日

ウィーンで別れる夫婦

ヘンな表題で申し訳ないが、ウソではないのだ(笑)。

夫婦であれ、彼氏&彼女であれ、カップルで海外旅行すれば、普通だったら現地で
ずっと連れ立って行動するはずだ。イ課長&トホ妻だって基本的にはそうするし、
これまで書いたハイリゲンシュタット観光でも実際、ずーーーっと一緒だった。

しかしだ。
時には夫婦間の観光的興味・関心が全くズレるという局面もあるわけだよ。
たとえばトホ妻はウィーンの有名な食料品店ユリウス・マインルで日本への土産物を
買うことに燃えていた。ヤツは好きなんだよ、そういう買い物が。

しかし女房の買い物につきあう亭主というのは洋の東西を問わず、おおむね忍耐を強いられる(笑)。
ジャムやママレードの買い物につきあわされるより、ウィーンの素敵な路地裏を散歩して
写真でも撮ってる方がずっといい、と亭主が考えたくなるのは無理からぬ話でしょ?

一方イ課長はといえば、例のごとく、現地の床屋に行って髪を切りたいと騒いでいた。
しかし、亭主のそんな変態趣味につきあわされる女房はたまったもんじゃない(笑)。
床屋なんて亭主一人で行かせ、その間自分はもっと有意義な観光活動しようと思うわけだ。
であれば、イ課長は散髪に、トホ妻は買い物に、と別れて行動した方が合理的じゃん?

「海外旅行先で別行動」というのは、ウチではさほど珍しいことではなく(他はどうなの?)
最初に二人で行った海外旅行、すなわち新婚旅行のときから別れて行動することがママあった。
結婚した当初からすれ違い夫婦だったのである(笑)。

そんな夫婦だから、今回の旅行でも半日ほど別れて単独行動というケースが二度あった。
ウィーン市内なら二人とも多少は土地カンもあるし、生き別れになる心配なんてないし、
それぞれやりたいコト、行きたいトコがあるんだから、ドンドン別れて行動しましょー。
ウィーンは治安がいいから女性一人歩きでも全然心配ないしね。

というわけで(例によって長い前置きですまんのう)、ウィーンでトホ妻と別れ、
単独行動をとった最初の日のことを書こう。別れたのは6月8日の昼だった。

一人になったイ課長は真っ先に床屋を捜し(これについての詳細は後日)、散髪が済むと
賑やかなグラーベンを抜け、地図を見ながらナーグラー小路という路地を探した。
ちょっと行きたい場所があったんだよ。

ナーグラー小路の目印はこのクリーム色の女人柱。異様にけだる~い表情の流し目のお嬢さん二人が
イ課長をけだる~く迎えてくれた(笑)。
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ウィーン旧市街(つまりザンクト・シュテファンを中心とした一帯)の路地裏って
どこもかしこもやたらに情緒があって素敵なんだけど、ここも実に素敵な一角だった。
思わず写真を撮らずにいられないような、風情あるたたずまいに満ちている。
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しかし、イ課長の最大のお目当てはここではない。ナーグラー小路からボーグナー小路に出て、
さっきとは逆の方向に歩き始めるとソレはすぐに見つかった。

その名もエンゲル薬局。
何でも創業は16世紀からっていうウィーン最古の薬屋さんらしいんだけど、今世紀初頭に
大幅に改装し、改装に際してはウィーン世紀末様式を大幅に取り入れた。つまり、ここも
ウィーンに数ある「ユーゲント・シュティール建築」の重要な一例というわけなのだ。
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何といっても入口の両脇にいる天使と蛇という組み合わせのタイル絵が目をひく。
保存状態もすごくいいし、胸のところにハメられた石は周囲のタイルとは違って
ひときわ光を反射する(ガラスかな?)素材になってるから、宝石をハメたみたい。
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ここも今やすっかりウィーン観光名所になっちゃったから、自分の店の前で観光客が
写真を撮るなんていうコトにはすっかり慣れちゃったんだろう。しかし実際にココで
薬屋としての商売が成り立つのかねぇ?ちょっと心配になったりして(笑)。

二人で歩いてると、たとえばイ課長が写真1枚撮るときでも「ちょっと待って」って言って
いちいちトホ妻を待たせないといけないし、トホ妻が何かのショウーウィンドウに吸い寄せられれば
今度はイ課長が待たされる。これがたび重なると、時にはケンカの火種にもなる(笑)。

単独行動はその点、街をさまようにしても一ヶ所にジッと腰を据えるにしても
気ままにできるから、実に気楽。くだらない写真もいっぱい撮ることができる。

カップルで海外に行って現地で一時的に別行動とる人ってあまり多くないみたいだけど
(こないだこの話をしたら、周囲の人たちにかなり驚かれた)、一度試してみてはいかが?
どこかのカフェにでも集合して、それぞれ自分が一人でドコに行ったか報告しあうのも
なかなか楽しいもんっすよ?



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by tohoiwanya | 2011-07-18 00:31 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(0)
2011年 06月 22日

分離派館(ゼセッション) :その2

さて、それでは分離派館の続きということで、近寄って細部を見てみよう。

まず真っ先に目につくのは正面入口上部にある3人の……ナニかと思うよねぇ、コレ。
一応、3人のメデューサということらしい。髪の毛がヘビで、その姿をジカに見た者は
石になっちまうっていう、ギリシャ神話に出てくるあのメデューサね。
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ちょっと調べたら、もともとメデューサってゴルゴン三姉妹の一番下の妹の名前なんだと。
女神アテナの怒りにふれたメデユーサは髪の毛がヘビでできた醜い姿に変えられ、トバッチリで
二人の姉も含めて3人姉妹全員「ヘビ髪女」に変えられちまったということらしい。

三姉妹は上からそれぞれステンノー、エウリュアレ、メデューサっていう名前だったっていうから
入口のこの3人を「3人のメデューサ」と書くのは正確じゃないんだな。あくまでも
「ゴルゴン三姉妹」と書くべきで、メデューサはこの3人のうちの1人にすぎないことになる。
うーむ、勉強になるのう。しかしこの3人のドレがメデューサかときかれると…(笑)

ゴルゴン三姉妹の下には茶色い扉がある。扉自体にも凝った装飾がなされているけど、
扉の両側にくっついてる、さかさまになったトカゲが生々しくてやけに目立つ。
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さらに入口の左右に置かれた巨大な植木鉢(…なのかな?)。
この植木鉢も4匹のカメが支えてる。重くて大変だろうなぁ。
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建物の側面をみると…ほほー、こっちでは三匹のフクロウさんたちがヒソヒソ話。
正面のゴルゴン三姉妹や逆さトカゲ、カメなんかがリアルな造形だったのに対し、
このフクロウはかなり様式化・デザイン化された意匠になってるね。
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フクロウだけじゃなく、建物側面は非常に多様な装飾がなされている。
曲線のなぐり書きみたいのから、幾何学模様風、植物模様風など、いろいろ混じってて、
この辺を見てると、意図的にいろんなタイプの装飾を混在させてるように思える。
植物模様も何の花だかわからないようなデザインで、アップで見ると花っていうより
「5人の宇宙人」みたいに見える(笑)。
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といった具合に、分離派館ってよく見ると非常に多種多様な装飾がそこかしこにある。
ただ、イ課長が一番感心するのは、これだけいろんな装飾がくっついていながら、
分離派館の全体的イメージは例の「金のキャベツ」以外は「白い、シンプルな建物」という
印象を(錯覚を、と言っていいのかもしれんが)与えるところなんだよね。

分離派館って、遠目からみるとほぼ真っ白の、単純な方形の組み合わせで構成された建物だ。
建物自体は色も形もごくシンプルにして、てっぺんの「金のキャベツ」を目立たせている
…と、いう風に見えるわけ。建物は「金のキャベツを置く台」といわんばかり。

ところがこの“キャベツ台”を近くから見ると凝った装飾がなされて、むしろ金のキャベツより
建物の方が面白いくらいだ。しかも近くに立てば位置的に金のキャベツは視界には入りづらいから
見る人は白い壁面に施されたいろんな装飾をじっくりと眺めることになる。
見る距離によって見えるものが違い、印象も違う。設計者オルブリッヒの計算だろうか。
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ウィーン分離派館。周囲のビルに比べるとグッと小さい建物だ。
しかしその存在感は抜群で、今や完全にウィーン名所のひとつ。
地下鉄のカールスプラッツ駅からもこんな風に「ゼセッション方面出口」がある。
毎日何度もこの階段を昇ったり降りたりしたことが、今となっては懐かしいね。



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by tohoiwanya | 2011-06-22 23:43 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
2011年 06月 20日

分離派館(ゼセッション)

ひと昔前だったら、ウィーン必見の観光名所といえば、

「バロック」「ハプスブルグ家」

…といったあたりのキーワードで括ることが出来ただろう。
王宮、シェーンブルン宮殿等々で豪華絢爛バロック建築、豪華絢爛バロック内部装飾、
豪華絢爛バロック家具調度をたっぷり見て、美術史美術館でも豪華絢爛バロック絵画をたっぷり…と、
まぁそういう感じがウィーン観光の王道なわけで、それは今も基本的には変わってないだろうと思う。
要するに建物ならこんな感じというわけだ(笑)。これは王宮ね。
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しかし最近10~15年くらいかなぁ。ウィーンの、特に建築に関しての関心の集まり方には
ちょっと変化がみられるような気がする。豪華絢爛なバロック建築っていうだけじゃなく

「世紀末」
「ユーゲント・シュティール」
「ウィーン分離派」

といったあたりのキーワードに関係するモノの人気が急速に高まってるように思える。

19世紀末から20世紀初頭にかけて、アール・ヌーボーの流れを汲んだ新しい美術潮流が
ドイツやウィーンでは「ユーゲント・シュティール(青春様式)」として花開き、
そういう志向を持った芸術家たちは、従来の古典主義美術とは違うという意味をこめて
自分たちを「分離派」と呼んだり、呼ばれたりした。

有名なところだと画家・クリムトがウィーン分離派の重要メンバーだ。しかし最近は
ウィーン世紀末芸術っていうと絵画より建築に注目が集まってる(んじゃないかなぁ?)。

20年前のガイドブックでウィーンの分離派の建築に触れたものなんて少なかったんじゃない?
(トホ妻が30年前に初めてヨーロッパに来た頃のガイドブックには分離派のブの字もなかったんだと)
しかし、今じゃウィーンのガイドブックでオットー・ワーグナーのカールス・プラッツ駅舎とか
マジョリカ・ハウスに言及してないものなんて、まずないだろう。

20年前、新婚旅行で初めてウィーンを訪れた当時のイ課長はまだ愚かな若僧で(笑)、
ユーゲント・シュティールや分離派なんて全然知らなかった(トホ妻は当時から知ってたが)。

しかし20年の歳月の間にイ課長も少しは成長し、人々の好みも(たぶん)変わった。
ウィーン分離派の建築物を紹介した書籍なんかも近年はずいぶん増えたと思うよ。
ウィーン世紀末芸術や分離派といった芸術潮流についての、イ課長の知識も20年前よりは増えた。
前回はロクに見なかった、ユーゲント・シュティールの建築物。こんどウィーンに行く機会があれば
じっくり見たいなぁ、と思う程度にはなっていたわけだ。

実際、ユーゲント・シュティールの建物を見るためにウィーンに行くって人は今や珍しくないはずだ。
分離派の建築家として代表的なオットー・ワーグナーやなんかが設計した建物の数々は
今やウィーンの重要な観光スポットといっていいし、そういうところで熱心に写真を撮ってる人も
よく見かけた。建築科の学生っぽい、若い人が多かったね。
まぁイ課長の場合、若くないし建築の知識もゼロだが、ミーハー的にではあっても
ウィーン分離派のいろんな建物は見たい。

というわけで(なんて長い前置きだ!)、今回の旅行ではウィーン分離派にゆかりの
建築物をイ課長はいくつか実際に見てくることが出来た。順々にご紹介していこう。

とりあえずナニからいこうか。
その名もずばりゼセッション(分離、という意味)という名称をもった建物、分離派館から
いってみるか。この有名な建物は泊まったホテルから徒歩2分くらいの近さで、ウィーン滞在中、
毎日何度もこの建物の前を通ってカールス・プラッツの駅まで通ったもんだった。
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大御所オットー・ワーグナーの弟子、オルブリッヒっていう人が設計した建物で、
規模は小さいけど、その特異な外観や装飾が与えるインパクトは今も色あせていない。
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何といっても特徴的なのは建物上にある黄金の半球で、これ、実は月桂樹の葉っぱを模した
ものなんだって。ウィーン市民たちからは「金のキャベツ」という愛称を与えられており、
イ課長の目には金の脳、もしくはモンブラン(ケーキのね)に見えるが。
夜はこんな感じでライトアップされる。光り輝く巨大モンブラン。食べたい?(笑)
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しかし、この分離派館。単に金の脳が乗っかってるっつうだけじゃなく、
細部の意匠がまた凝りに凝ってて非常に見ものなのだ… が…。

…長くなったから、分離派館、次回に続きます。すんません。




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by tohoiwanya | 2011-06-20 22:29 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(0)