人気ブログランキング |

タグ:建築 ( 67 ) タグの人気記事


2012年 06月 18日

カイザーバード水門監視所

さて、久しぶりに去年のウィーン旅行ネタに戻るぞ。

あの旅行ではカールスプラッツ駅舎だの、マジョリカハウスだの、郵便貯金局だの、
ウィーン世紀末建築をいくつか見学したわけだけど、最後にもう1箇所行ったところがある。
それはカイザーバード水門監視所という建物なのだ。

ウィーンの街はドナウ川に沿ったところに位置してるんだけど、太いドナウ川から
少し細い運河が市内にひきこまれてる。水門監視所っていうからには、この運河に
昔あった水門に付属した建物ということになる(現在は水門はない)。

郵便貯金局マジョリカハウスほどメジャーじゃないけど、これも世紀末ウィーンを
代表する大建築家オットー・ワーグナーの作品。ちょっと見てみたかったんだよ。
「水門監視所」なんて、建築デザイン性における“自由度”が高いシロモノとは思えない。
住居やオフィスビルと違って、デザインやら芸術性やらを注ぎこむ余地なんてあんまり
なさそうじゃん?そんな建物をオットー・ワーグナーがどう作ったのか、興味があった。

水門監視所は市電のショッテンリンクという駅からほど近い場所にある。
道路をわたって運河に降りると建物はすぐに見つかった。おおおー、あれか。
f0189467_23565290.jpg

実質的に地下鉄への入口機能しかないカールス・プラッツ駅舎よりは大きいけど、
建物としては小ぶりなものと言っていいだろう。ハデな装飾があるわけでもないし、
こうして少しワイドで見ても、気にしてなければ見逃しちゃいそうな建物だ。
f0189467_23571467.jpg

もう少し近くから見よう。ふーむ…まぁ確かに味もソッケもない建物といえなくもない。
「芸術は必要にのみ従う」というポリシーを持つオットー・ワーグナーさんの考え方からすりゃ
水門監視所という建物の性格からして女人柱だのタイル模様だののデコラティヴな装飾は
「必要ない」ということになるはずだよね。
f0189467_2358535.jpg

なんたって「監視所」だ。最も必要な機能は「見る」ことだ。
だからなのか、監視用の窓(なのかな?)がこうして張り出してるところなんかは
機能を強調してるともいえるよね。イ課長はこの部分を見て、「船のブリッジみたいだなぁ…」と
思ったりしたよ。
f0189467_23583186.jpg

しかし、だよ。
水門監視所という、装飾の必要のない建物といえどもだよ。
やはりオットー・ワーグナーさんとしては、ナニもない真っ白な建物にするのは
「さすがにちょっと…」っていう気があったんじゃないかって気がするんだよ。
それじゃいくら何でも味気なさすぎる。

そこで、うんと控えめながらも彼がこの建物に込めたちょっとしたデザイン性みたいなものが
この波模様じゃないかって気がするんだよな。
水門監視所にこんな波模様が必要なわけでは全然ない。全然ないが、しかしナニもない
ノッペラボウにするのもナンだから、こんな模様でも…というわけだ。
f0189467_235987.jpg

この波模様は水門監視所という、水にまつわる建物だっていうことを表してるんだろうけど、
そこにまぁ何と言うか、設計者の「遊びゴコロ」というか、「装飾欲」の発露みたいなものが
あるんじゃないか…なーんて、建築素人のイ課長は勝手に考えるわけヨ。

しっかし、ドナウ運河のこの辺りのラクガキのスゴさにもたまげたね。
これもまたある意味「装飾欲の発露」と言えなくもないだろうが。まぁスゴい。
f0189467_2359297.jpg

f0189467_00070.jpg

観光客の多いエリアはどこもキレイに磨きあげてるウィーンだけど、ガイジン観光客どころか
地元の人だってあまり来ないような(人通りはホントに少なかった)、ドナウ運河までは
ウィーン市当局の掃除の手もまわりきらないようなのでありました(笑)。




by tohoiwanya | 2012-06-18 00:03 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(8)
2012年 05月 20日

レヒネルさんの話

ブダペストでちょっと見たかったものの一つに工芸美術館がある。

展示物が見たかったわけではない。
そもそも、工芸美術館ってどんなものが展示されてるのかもよく知らない(笑)。
見たかったのは建物の外観なのだ。

ここは大抵のガイドブックに「建物そのものに見る価値がある」と紹介されていて、
ニュアンス的には限りなく「(展示物より)建物の方に見る価値がある」という
紹介の仕方に近い…ような気がするんだよな、イ課長には。

ガイドブックの写真を見ると確かにタイル装飾が非常に美しそうな建物なのだ。
外観だけでも見てぇな、と思ったからちょいと足を伸ばしてみた。
地下鉄の…えー…ナントカって駅で降りて(ヲイヲイ)、歩いてすぐ見つかった。

おお~…これは確かに華麗な建物だね。
マーチャーシュ大聖堂の内部や中央市場の外装と同様、タイルによるモザイク装飾が中心だけど
特にグリーンと金色の組み合わさったドームの装飾が美しい。
f0189467_04623.jpg

この工芸美術館。レヒネルって建築家の作品なのだ。
Wikipediaを含めてレヒネル・エデンって書いてあることが多いけど、これはおそらく
ハンガリー風の読み方のはずで(そう、ハンガリーは日本語と同じく姓→名の順に言うのだ)
一般的な西洋風の読み方をすればエデン・レヒネルさんになるんじゃないかな?
(だからフランツ・リストはハンガリー風に読めばリスト・フェレンツになる)

このレヒネルさん。ちょっと乱暴にたとえるなら「ブダペストのオットー・ワーグナー」とでもいうか…。
ハンガリーのアール・ヌーボー建築を代表する、まぎれもない第一人者だった人らしい。
もちろん、ブダペストに行った時は彼のことなんて全然知らなかったんだけど、
日本に帰ってきて、彼のことを調べてみるとなかなか面白い人だったようだ。
f0189467_045037.jpg

仕事ぶりはとにかく凝り性だったようで、こういうドームみたいに目立つところだけじゃなく、
地上からは見えないような屋根の上の細かい装飾にも凝りに凝る人だったらしい。
当然のことながら建築コストはふくらむ一方。毎回予算オーバー。

そんなレヒネルさんの凝り性っぷりをよく表すエピソードを帰国後に知った。
ある建物を作ってる時、関係者が無駄な建築コストを削ろうとして、レヒネルさんに
「屋根の上の装飾にカネかけたって、誰からも見えないでしょう?」と言ったらしいんだな。
するとレヒネルさんはこう答えたといわれる。



だって鳥が見るじゃないか


建築家が残した言葉が有名になって今でも残ってるなんていう例はあんまりない。
あったとしても「すべての芸術は必要に従うのだ(オットー・ワーグナー)」みたいに
小難しい言葉が多い。その中にあって「鳥が見るじゃないか」という言葉はシンプルでありながら
完璧主義者の凝りすぎる性分を表してて、レヒネルさんのことがちょっと好きになった。

イ課長の想像では、レヒネルさんはこれを冗談として言ったんじゃなく、マジメな顔で
答えたんじゃないかって気がする。こんな具合に、あまりに凝り性だったんで後年は
あまり建築の注文も来なくなって、不遇をかこったとも言われている。

ブダペストにはこんな感じでタイルのモザイクで装飾された建物がよく目につき、
それぞれに美しい。こういう建物がレヒネルさんの影響をうけているのか、あるいは逆に
こういうハンガリー的装飾をレヒネルさんがアール・ヌーボーに取り入れたのか?
f0189467_022756.jpg

「鳥が見るじゃないか」のエピソードで有名なのはブダペストの旧郵便貯金局っていう建物だ。
戻ってきてから知ったんだけど、この工芸美術館からそんなに離れてない場所にあるらしい。
事前に知ってれば「鳥しか見えない」ような屋根の装飾を地上から眺めに行けたのに…。
ちょっと残念なことをしたぜ。




by tohoiwanya | 2012-05-20 00:08 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
2012年 04月 23日

バロック過剰摂取

ウィーンを象徴する建築様式といえばバロック様式だ。

最近はもう一つの有力な候補としてユーゲント・シュティール=世紀末建築に対する関心が
高まってはいるけど、そうは言ったってウィーンに来た観光客がまず見るのは
ホーフブルクとかシェーンブルンとか、絢爛豪華バロック建築の数々。

これは教会とて例外ではない。
ウィーンに教会はいっぱいあるけど、おおむねどれもバロック教会。
ザンクト・シュテファンは一応ゴシック様式ではあるけど、意味不明の極彩色照明で
内部が照らされているのを見たイ課長としては、あのザンクト・シュテファンを
ゴシック教会の仲間に加えるのにはいささか抵抗感がある(笑)。

…と、ここまでの書きっぷりでもわかるように、極めてマイルドな教会建築オタクである
イ課長は、バロック教会というのが正直言ってあまり好きではない。
これはある意味当然の成り行きで、バロック教会の最大のウリ?は内部の豪華絢爛すぎる
装飾にある(と思う)わけで、建築という側面ではコレと言って見るべきものはないんだよ。
(まぁ内部装飾だって建築のうち、と言われればそうなんだけどさ…)

世界で最も美しい図書館Part1、およびPart2、さらにメルク修道院の礼拝堂なんかを見て
すでに満腹すぎるくらいバロックを詰め込んだイ課長なんだけど、そうは言っても
ウィーンの街をブラついてれば、そこかしこに立派そうな教会があるわけだし、そういう教会に
入れば当然のごとく、さらなるバロック装飾攻撃にさらされるわけだ。

本日はそんなコテコテのバロック教会を二つご紹介しよう。
「すげぇ過剰装飾の渦だった」ってこと以外ほとんど覚えてないのだが…(笑)

まずはペーター教会からいってみよう。
ここは旧市街の中心部、ザンクト・シュテファンにも近くて、以前に
外見だけは写真でご紹介したことがある。で、中はどうかというと…

うっひゃ〜・・・ゴテゴテキンキラキンで早くも目がくらみそうざます。
f0189467_0354395.jpg

しかしこの教会、それでも巨大ドーム構造はなかなか見事で、上を見上げると
はるか天上に天井画が描かれてる。真ん中にハト?みたいな鳥がいるのがわかる?
f0189467_0362932.jpg

f0189467_0364610.jpg

しかし祭壇はと見れば・・・うう・・5秒以上みたらゲップがでそうな過剰装飾。
f0189467_0371836.jpg

ほの暗いゴシック教会の中で祈りを捧げる人影がロウソクに照らされる…なんて姿は
信仰のないイ課長が見てもそれなりに襟を正したくなる光景といえるけど、
こういうのはちょっとねぇ…まぁそれでも欧州で教会に入った時のお約束。
帰路の無事を祈って1ユーロ払ってロウソクだけは立てておこう(左下がイ課長ロウソク)。
f0189467_0373324.jpg


次はフランツィスカーナ教会だ。
ここはクライネス・カフェっていう有名なカフェ(何で有名なのかは不明)の近くの
教会で、外見はドウってことない普通の建物みたいなんだけど、中に入ると…

うーん…ここもかなりイッちゃってる。
さっきのペーター教会よりマシと思うかもしれないけど、細部をみるとむしろ逆。
f0189467_0381375.jpg

ほら見てよこの柱。「普通のまっすぐな柱じゃつまんない」ってんでこうしたのかも
しれないけど、ヘビが巻き付いたようなこんな柱の何が有難いのだ?
これを見た時にはもうはっきりと「うわ悪趣味…」と思っちまったよイ課長は。
f0189467_0383182.jpg

この祭壇の(たぶん)マリア様だって、ナンと言ったらいいのか…。
これを見たときは反射的に、日本橋の三越本店にあるアレを思い出しちまったぜ。
f0189467_038494.jpg

ご参考までに、三越本店のアレってコレね。天女像とかいうらしい。
f0189467_0391072.jpg

いやもうホント、この過剰装飾にはホトホト食傷した。もういいざます。
「1回の旅行での適性バロック摂取量」を大幅に超過したのは間違いない。

こういうのは好みの問題だから、バロック教会が好きな人も当然いるだろう。
しかしイ課長の中では、バロック教会は「結婚式場としては最適だが祈りの場ではない」
という思いが強くなったのは確かだ。申し訳ないけど。

過剰バロック摂取に胃もたれしながらウィーンの路地を歩くとこんなものがある。
左は以前に書いた馬車よけだと思うけど、右の金属製のヤツもそうかな?
こんな凝ったデザインの金属製の馬車よけもあるの?興味深いねぇ…
f0189467_0325148.jpg

…てな調子でさ、少なくともバロック教会の中よりはウィーンの路地の方が
はるかにイ課長の興味をひくものが存在しているわけですよ、ええ。




by tohoiwanya | 2012-04-23 00:39 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(8)
2012年 03月 29日

ウィーン郵便貯金局

突然ウィーン旅行ネタ。
ウィーン旅行記の王道(…でもないかな)を行くような話を書いてやろうじゃねぇか。
もう9ヶ月も前のことだっていうのに、書きたいコトはまだいっぱい残ってる。
この年度末激務の中、イ課長は敢然と書くのだ(ナニいばってんだヲマエ)。

本日はウィーン郵便貯金局の話。写真も多いよ。

カールス・プラッツ駅舎マジョリカ・ハウスを手がけた建築家オットー・ワーグナー。
彼の作品の中でも、郵便貯金局ビルは近代建築史に画期的な足跡を残す建物とされている。
もちろん建物はウィーン市内にある。実物を見たかったんだよ。

ただ、中を見学できるのかどうかがわからなかった。
この建物、写真で見ると外見も立派だが中がスゴいんだよ。外側しか見られないんじゃ
ちょっとつまんない。

仮に入れたとしても、一応オフィスなんだから、あんまりバチバチ写真とっちゃ
マズいんじゃないか?イ課長はむかし、スペインの郵便局の中を写真に撮ろうとして
係員に静止された経験があるからね。

まぁとにかく行ってみよう。オペラ座前から市電に乗ってリンク大通りを北東へ。
郵便貯金局はリンク大通りからちょいと内側に入ったところにある。

おお~~~・・・・ついに見る実物の郵便貯金局ビル。
このビルの大きな特徴は外壁パネルをネジで1枚ずつくっつけてるってところにある(らしい)。
石を積み上げるのが当たり前だった西欧建築においては画期的な建築法だったとされる。
f0189467_2323168.jpg

テッペンにあるこういう女神像も凝ってるねー。
近代建築の扉を開く建物と言われてても、ある意味「むかし風」の装飾が
残ってるあたり、時代の過渡期だったことを感じさせるなぁ。
f0189467_23224153.jpg

しかしとにかく中だ、中。ウィーン郵便貯金局の真髄は外見ではなく、中なんだよ。
入れるのかなぁ?と思いながら中の階段をのぼっていったら、チャンと入れた。
ここは今で現役の郵便貯金局(あるいは郵便局?)として使用されているみたいで、
外国人旅行者がフラフラ入っていってもイイんだな。これは嬉しかった。
f0189467_23233019.jpg

うっひょーーー。写真では何度も見たけど、やっぱスゴいねー。
この設計が建築技術的にどういう意義があるのか、イ課長にはよくわかんないけど
まだ19世紀の残り香ただよう1906年という時点で、この内装設計がいかに斬新だったかは
カンカク的にわかる。つうか、21世紀のコンニチ見ても「こりゃスゴい」と思う。
ちょっとキューブリックの映画のセットを連想しちゃうよ。素晴らしい。
f0189467_23245214.jpg

イ課長が特にスゴいと思うのは床をガラス素材にしたという点だよ。
天井の曲面ガラスから光が入ってくるのに加え、床面も透明感があるから、
開放感…というより“浮遊感”に近い感覚がある。ガラスを使った透明感のある床って
すごい発想だと思うなー。

細かい意匠がまたスゴいんだよねーーーー。
椅子やデスクなんかも、当時デザインされたままなんだろう。しかもこれは展示物じゃない。
今でもウィーン市民がここで郵便貯金の手続き書類とか書くんだからね、ほら。
f0189467_23262119.jpg

オットー・ワーグナーはこの郵便貯金局で、アルミニウムという素材を初めて
内装に大胆に取り入れたとされている。
これはおそらく空調の吹き出し口で、これと同じものが室内にいっぱいあるんだけど
それがまたすごく凝ったデザインで驚く。ほんとにSF映画のセットみたいだ。
f0189467_23271359.jpg

室内には一眼レフを持った若者の姿も散見される。たぶん建築を学ぶ学生なんだろうな。
「中で写真撮って大丈夫かな?」なんて心配はマッタク不要だったみたいだ。

このウィーン郵便貯金局。いまやウィーンでも指折りの観光名所になっちゃって、
こうして(我々を含めて)見学する人が後を絶たないから、商売っ気を出した?ウィーン当局は
奥の方にちょっとした「郵便貯金局ミュージアム」みたいなものを作ったようだ。
ここは数ユーロの入場料をとる(笑)。まぁしょうがない。払って入ってみましたよ。

ここは写真とか設計図なんかの資料も展示されてるんだけど、最大の見ものは
オットー・ワーグナーが設計した最初の室内空間を再現してるってところだろうな。
当時そのままに、受付カウンターが並んでる。
f0189467_23294918.jpg

f0189467_23301517.jpg

カウンター窓口の枠が光沢あるアルミ素材っていうのは、当時としては最先端素材を
大胆に導入したデザインだったんだろうけど、今見ても美しいよね~。
f0189467_2330574.jpg

ミュージアムを出て、もう一度ホールに戻る。
フと上を見上げると、レトロな木製ブースの上に、これまたレトロデザインのボード式
カレンダーがかかって、その下に例の空調吹き出し口がある。郵便貯金局のデザイン的魅力を
凝縮したような一角だ。
f0189467_23313822.jpg

建築史に燦然と輝くウィーン郵便貯金局訪問記念に、この一角で記念写真を撮った
イ課長なのである。え?顔がよく見えない?だから載せたんだよ(笑)。




by tohoiwanya | 2012-03-29 23:31 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
2012年 01月 22日

聖母お助け通りのマクドナルド

マリアヒルファー通りって、ウィーンの中では大通りに属するといっていいんだろうけど、
コレといった観光物件はない。だから観光客でここに行こうって人はあまりいないだろう。

しかし、ここはイ課長にとって懐かしい通りなんだよ。
新婚旅行のときに泊まったホテルが実はこの通りの近くで、よく歩いたっけ。
当時はこの通りを西駅の方まで市電が通ってたはずだけど、今や市電はなくなって
通りの下を地下鉄が走るようになっちゃったんだねぇ。

新婚旅行の時、独文科出身のトホ妻がイ課長にこう教えた。
「マリアヒルファー・シュトラーセって、要するに“聖母お助け通り”って意味よ」。
ほほ〜。

それ以来、イ課長の中でこの道は「聖母お助け通り」として記憶されている。
観光客向けのケルントナー通りと違って、地元の人たちが利用するショッピング街的な
感じが強くて、イ課長好みの場所だったんだよ、聖母お助け通り。

前回書いたように、20年ぶりに聖母お助け通りに来たときは激しい夕立だった。
でも、ここで行きたい場所があったのだ。その店で雨宿りすることにして、
ええい、そこまでは濡れてもしょうがないから、走っていこう。
f0189467_22182025.jpg

イ課長が行きたかった聖母お助け通りにある店、それは実はマクドナルドだったのだ。
わざわざウィーンに来て、何でまたマクドナルドに?とお思いになるのは当然だ。

実はそのマクドナルドには20年前もトホ妻と入った。
入って、店内を見渡しているうちに、ゆっくりと驚きが湧き上がってきた。
なぜかというと、そのマクドナルド店内が実に“バロック風”だったからだ。
久しぶりに行ってみたかったんだよ、聖母お助け通りのバロック・マック。

店はすぐ見つかった。美術史美術館方向に向かって左側にある。
しかし何せ外はスゴい雨だ。雨宿りに代わりにマックに飛び込んだっていう客が
ワンサといて(自分もそうじゃん)、残念ながらバロック風の1階は満席。2階の、
ちっともバロック風じゃないテーブルでコーヒーとケーキを食うハメになった。ちぇっ。
f0189467_2221423.jpg

しかし帰りぎわに店内の写真はいくつか撮った。
あのバロックぶりを十分伝えているとは言い難いが、店内の様子をご紹介しよう。

照明がこんな感じ。なんだかシャレてるよなー。
天井の細部も精巧な装飾が施されている。
ハンバーガーやチキンナゲットを食う店の装飾という感じではない(笑)。
f0189467_2222979.jpg

f0189467_22223299.jpg

大体だよ?店内の柱が円柱なのはいいとしてだ、その柱頭にこんなイオニア式の
柱頭装飾をつけるかフツー。マックだろ?ここは。
(イオニア式というのは両側に渦巻きが飛び出しているタイプの柱頭を言う)
f0189467_22225261.jpg

マクドナルドって世界のいろんな国に出店してるから、中にはその国独特の建物に
店舗を持っているケースもある。聖母お助け通りのマックもそのタグイなんだろう。
ウィーン風のマックとなれば、当然バロック風ということになるわけだ。

おそらく、マックがこの聖母お助け通りに店を出そうとした時、条件に合った空き物件が
こういうバロック風の店だったんだろうな。ウィーンならそれは十分あり得ることだ。
天井の、円形のフチの中には天井画があっても全然不思議じゃないけど、さすがに
天井画はちょっと…っていうんでマックがなくしたんじゃないかなぁ〜?

そういえば、2007年の欧州出張でプラハに行ったとき、まるで古代彫刻みたいな
石彫レリーフのある建物にマックがあるのを見て感心したけど(中には入らなかった)
このウィーンのバロック・マックもそれと同じような「元の建物の意匠を生かした店」という
考え方で作っているんだと思われる(下は2007年撮影の、プラハのマック)。
f0189467_22233891.jpg

聖母お助け通りのマック、雨が小降りになってもまだ混んでたから、あまり
たくさん写真を撮れなかったのが残念だけど、ヨーロッパではこんな具合に
「ローカル化したインターナショナル・チェーン店」を観察してみるっていうのも
なかなか面白いね。

さて…何だカンだで1時間くらい雨宿りしてたけど、雨もそろそろあがりつつある。
20年ぶりのバロック・マックも見たことだし、また移動を開始するとしよう。
f0189467_22241352.jpg

雨足が弱くなった聖母お助け通り。
相変わらず傘のないイ課長は、それでも小走りになって、地下鉄駅に急いだのでありました。





by tohoiwanya | 2012-01-22 22:24 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(6)
2011年 12月 13日

マジョリカ・ハウス

まだ生温かい今回の出張ネタは当然いっぱいある。
しかし、今日もまた6月のウィーン旅行ネタを消化を優先しようではないか。
何しろいーーっぱい残ってるんだから(笑)。

本日はウィーン世紀末建築ネタ。
今回の旅行では特にオットー・ワーグナーの作品を見てまわったんだけど、
その中からご紹介しよう。

その名もマジョリカ・ハウス。
オットー・ワーグナーが設計した集合住宅で、世紀末時代のマンションといったところか。
調べてみたら、これが作られたのは1898年つうから、今から110年以上前。しかし現在でも
ちゃんと現役の集合住宅として使われてて、まぁウィーンに限らずヨーロッパの石造建築なら
100年くらい前のものを使い続けることなんて、さして珍しくもないのだ。

ここは正確にはオーットー・ワーグナー設計の集合住宅が2軒並んでて、
一つは「マジョリカ・ハウス」、一つは「メダイヨン・ハウス」と呼ばれてる。
どちらもそのファサードのデザインからとったあだ名で、
特に色鮮やかなマジョリカ陶板(っていうのがあるらしい)を一面に敷き詰めた
マジョリカ・ハウスが有名だから、2軒まとめてこう呼ばれることもある。

これがマジョリカ・ハウスの正面。ここもホテルから近かったんだよねー。
例の「さようならミシクス」を買ったスーパーの、もうちょっと先にある。
f0189467_22252463.jpg

これはねー、写真で知ってはいたけど実物を見るとやっぱりすごい。
遠景もすごいけど、近くから見ると建物の隅々まで凝った意匠がギュッと詰まってて
その凝りっぷりに驚くね。
f0189467_22245577.jpg

こういう模様見てると、「まるでミュシャの絵の背景みたいだなー」と思っちゃう。
ウィーン世紀末美術はパリのアール・ヌーボーの影響をハゲしくうけてるから
当然ちゃ当然なんだが、改めてこの二つの美術潮流の共通性に感心する。

曇り空だったからわかりづらいかもしれないけど、建物のヒサシの裏までビッシリ
鮮やかな色のタイルで飾られている。テラスの手すりの凝った装飾もすごいよね。
f0189467_2226420.jpg

その隣にあるのがメダイヨン・ハウス。
一見するとマジョリカ・ハウスにくらべて装飾が少ないかな?と思えるけど、
こちらもまた細部をよく見ると尋常ではない凝り方だ。
f0189467_22271392.jpg

この葉っぱとかすごい。この建物だけのために特注で作ったのは明らかで、
すごいお金がかかってそうだ。施主はよくオッケーしたなぁ。
f0189467_22263095.jpg

これだけリッチな建物をポンと有名建築家に注文建築で発注しちゃうくらい、
当時のウィーンは経済的に豊かだったということなのかもしれない。

オットー・ワーグナー設計のカールスプラッツ駅舎を眺め、
オルブリッヒ設計の分離派館を眺め、
そこからぶらぶらとナッシュマルクトの美味しそうなレストランや食材店を眺めながら
歩いてると、やがて右手にこのマジョリカ・ハウスがドンと現れる。

マジョリカ・ハウスを写真に撮って、くるりと振り返るとそこには
ケッテンブリュッケンガッセの地下鉄駅。この駅舎もまたオットーワーグナーの作品だ。
さっきのカールス・プラッツ駅からちょうど地下鉄一駅分だけ歩いたことになる。
ウィーン世紀末建築散策であれば、これはお勧めしたいコースだ(←エラそうに)。
f0189467_2228051.jpg

パリの建築のそこかしこにアール・ヌーボーが残っているように、
ウィーンを歩けばあちこちで世紀末建築にぶつかる。

この魅力ある二つの街に今年両方行くことが出来たのは、こうして振り返ると、
けっこう嬉しい出来事だったといえるかもしれない。
片方はクソ寒い時期の、しかも仕事で行った出張だったとはいえ。




by tohoiwanya | 2011-12-13 22:29 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(4)
2011年 10月 16日

カールスプラッツ駅舎

フンデルトヴァッサーの清掃工場の話をして、久しぶりにウィーンの建築に話題を転じたら
何と、まだカールス・プラッツ駅舎の紹介をしていなかったことに気がついた。
というわけで、本日はウィーン建築ネタを続けることにする。

カールスプラッツ駅舎というのはウィーン世紀末美術を代表する建築物であり、
ユーゲント・シュティール(端的に言えばウィーンにおけるアール・ヌーボー)の
建物といえば分離派館なんかと共に、たいてい真っ先に例に挙げられる。

分離派館とカールスプラッツ駅って実はすごく近い。
直線距離にすれば200mくらいしか離れてないんじゃないかな。
イ課長たちの宿泊ホテルから分離派館は徒歩約2分、従ってカールスプラッツ駅も
5分くらいの距離だったわけで、とにかく近くて、旅行中何度も目にしたよ。
f0189467_0254226.jpg

これがカールスプラッツ駅舎。建築家オットー・ワーグナーの代表作。
全く同じデザインの駅舎が向かい合って二つ建てられてて、これはその片方というわけだ。
現在は駅舎としては使われてなくて、片方はオットー・ワーグナーに関連した展示室、
片方はカフェとして使われてるみたいだ。

細部を見てみよう。
ここはとにかく「こんなとこまで…」と感心するくらい、建物の細部まで
キッチリと凝った装飾がなされている。ヒサシの裏までこんな感じなんだからねぇ。
f0189467_0264870.jpg

f0189467_0271585.jpg

現代の感覚だと、鉄道駅の入口用建物にここまで凝った装飾は必要ないんじゃ?と思うけど、
こういうのが19世紀末から20世紀初め、アール・ヌーボー全盛期の流行だったんじゃないか?
f0189467_029133.jpg

ギマールがデザインしたパリのメトロの出入り口が今でもアール・ヌーボーの傑作と言われるけど、
この時代の鉄道駅舎のデザインとしてウィーンとパリが図抜けて芸術的だ。
下はパリに旅行した時に撮ったメトロの入口。このアール・ヌーボー的ロゴは有名だよね。
f0189467_2164453.jpg

何かで読んだ話だと、オーットー・ワーグナーが設計したウィーン地下鉄駅舎シリーズの中で
このカールスプラッツ駅は言わば「豪華スペシャルバージョン」で、ここだけにしかない。
で、上にも書いたように今では駅としては使われてないわけだ。

しかしこのスペシャルバージョン以外に、言うなれば「汎用タイプ」というか、
あるいは「量産型」とでもいうべきタイプの駅舎も彼は設計してて、量産型の方は
今でもウィーン市内のあちこちでチャンと駅として使われてる。

旅行中に量産型の駅を何度か見たけど、たとえばこれ。泊まったホテルからもほど近くて、
ここは駅舎を見るだけじゃなく、実際にここを通って地下鉄に乗る機会があった。
しかしこうして改めてみると、入口の濃緑の柱の装飾とか、凝ってるよねぇ〜。
f0189467_0314672.jpg

中もこんな感じで、カールスプラッツ駅みたいに金を使った派手な装飾はないけど
それでも壁面の立体装飾は非常に凝ってる。ちょっと色がハゲてるが(笑)。
f0189467_0322251.jpg

ホームに降りる階段もほのかにユーゲント・シュティールの香りがただよう。
目立たないけど、白一色の壁に作り込まれた立体装飾が上品で美しい。
f0189467_0323443.jpg

「芸術は必要性にのみ従う」っていうのがオットー・ワーグナーの考え方だったそうで、
今でも使われてるこういう地下鉄駅を見ると、彼が建物の実用性というものを優先した上で、
そこに「美」をいかに盛り込むかに腐心したことが伺える。

今回の旅行ではオットー・ワーグナーの重要な作品をいくつか見ることが出来た。
これからもおいおい、ご紹介していきます。

しかし、月曜からは2泊3日で北陸出張。ホテルでブログ書けるかなぁ…??





by tohoiwanya | 2011-10-16 00:32 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
2011年 10月 13日

フンデルトヴァッサー

さて、ドナウ川観光は完結したわけだけど、
それに付随して、今度はウィーン建築ネタを一つご紹介したい。

ゼセッションの記事のところで、今回の旅行では世紀末様式の建築を見るのが
大きな楽しみの一つだったって書いた。
ウィーンのガイドブックなら、今やシェーンブルン宮殿みたいなバロック建築と並べて
オットー・ワーグナーやオルブリヒの世紀末建築を扱わないものはない。
しかし、それ以外にもウィーンには建築物で見るべきものが少なくないのだ。

ドナウ川観光を終え、クレムスから乗った電車の終点はウィーンのフランツ・ヨーゼフ駅。
しかし、我々は終点の一つ手前のスピッテラウっていう駅で降りた。
そこの方が地下鉄の乗り換えには便利だからそうしたわけだが、この駅には
確かアレが近くにあったはずだ…アレが…。電車の窓に顔をくっつけて「アレ」を探す。

見えた!!アレだ!あれがそうだ。間違いない。
f0189467_2391791.jpg

オーストリアの現代画家+建築家にフンデルトヴァッサーっていう人がいる。
ウィーンの建築物の見どころといえば、この人のデザインした建物も有名で、
上の写真の金色の煙突も彼の有名な作品なんだよね。

イ課長は、フンデルトヴァッサーっていうと非常にビビッドな色使いの絵を描く人…
くらいの認識しかなかったんだけど、ウィーンにはこの人がデザインした建築物が
いっぱいあって、建築家としての業績も大変なものなんだよ。
彼がデザインした建物はバロックとも世紀末とも全く違う、ウィーン建築の魅力の
重要な部分を占めている。

さっき電車の窓から見た変チクリンな金の球。これ、何だと思う?
以前にハイリゲンシュタット観光のところで正解を書いちゃってるんだけど、
これ、実は清掃工場の煙突なのだ。

降りた駅のホームからだとますますよく煙突が見える。うーーむ…異様だ。
異様だけど、ウムを言わせぬ強烈な視覚的インパクトに見とれずにはいられない。
f0189467_2312294.jpg

このスピッテラウ駅、Sバーン(要するに国鉄)のホームからから地下鉄に乗り換えるのに
階段を登って地上に出る必要があった(他に近い乗り換え口があったのかもしれないが)。
地上に出るとフンデルトヴァッサー設計の清掃工場の全容が目に飛び込んで来る。
f0189467_23124463.jpg

うっひょーーーー。すごい建物だねぇ。
この清掃工場の異様な形と異様な模様。「これはナントカを表現したものである」みたいな
理由づけみたいなものも当然あるんだろう。あるんだろうけど、イ課長の目には
「まるで子供の工作のように、キレイで珍しい色とパターンと形状を詰め込むのが
 面白くてしょうがなかった」というシンプルな動機で作られたように思えるなぁ。
そういう子供みたいな建築動機の前では難しい解説なんて意味がない。
f0189467_2313723.jpg

これが清掃工場なんだからねぇ…。

ちなみに、このフンデルトヴァッサーという人。日本びいきとしても知られてて、
大阪の清掃工場のデザインも手がけてる。下がWikipediaから引用した写真だけど、
これなんかもスピッテラウの清掃工場と同じで「二つとないような面白い色と形の
清掃工場を作っちゃうもんね!」という思いが感じられる一方で、「確かに同じ人が
デザインしているな」っていう、共通性があるのも面白い。
f0189467_2314070.jpg

日本びいきのフンデルトヴァッサー氏。
彼の名前を英語になおせば「ハンドレット・ウォーター」、つまり
フンデルトヴァッサーさんっていう苗字は「百の水さん」という意味になるわけだ。

彼はそこで「百水」っていう漢字読みの雅号?のハンコを作り、サイン代わりにそれを
自分の絵に押したことでも知られている(笑)。


2000年に亡くなってるんだけど、きっと晩年まで面白いジイさんだったんだろうなぁ。




by tohoiwanya | 2011-10-13 00:02 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)
2011年 09月 12日

世界で最も美しい図書館 -その2-

世界で最も美しい図書館番付の上位力士(力士って…)プルンク・ザールを見たのが日曜。
そして、やはり同番付で常連のメルク修道院図書館を月曜に見ているイ課長&トホ妻。
単なる偶然とはいえ、二日続けてとなるとこちらもつい「超美麗図書館」の比較をしたくなる。
f0189467_092975.jpg

まぁ図書館としてのスケールなら断然プルンク・ザールの方に軍配があがる。
建物規模的にもかなり差があるし、当然のことながら蔵書の数もアッチの方が多いだろう。
特にメルク修道院の図書館は天井が(あくまでも相対的には、だけど)ずっと低いから
その分、「こじんまり感」も強くなる。

しかしまぁ、プルンク・ザールが豪華すぎて現実離れしてるのに対し、こっちは
こじんまりしてる上に四角い部屋だから、何となく学校の「図書室」っぽくてホッとできる。

…とは言ったって、それはあくまでも比較の上でのハナシ。
メルク修道院の図書館だってそれだけ捉えれば異常なほど豪華絢爛だよ。
修道院なんだからさ。ここまでする必要があったのか?と言いたい(笑)。

細部を見てみよう。
真っ先に気がつくのは収蔵された本の背表紙が全て同じ装丁であるということで、
これはプルンク・ザールと全く同じ方式だ。昔の図書館ってみんなコウなんだろうか?
f0189467_011896.jpg

何度もいうけど、読みたい本を探しづらくないかねぇ?
仮にそれが見つかったとしても、本を借り出した後の持ち運びが重そうだ。
(この辺、学校の図書室から本を借りる感覚になってる)

お、地球儀がある。
プルンク・ザールにも同じような巨大地球儀があったな、そういえば。
知識の殿堂に置かれるインテリアとして、巨大地球儀というのははずせないらしい。
f0189467_0104319.jpg

メルク修道院の図書館で目につくのは本棚のオジサンたちだ。
本棚の上の方に装飾としてくっついてるんだけど、本棚の上部を背中にオンブして
重みに耐えているようなポーズになってる。これはつらい職務だ(笑)。
f0189467_011274.jpg

図書館の天井画はこんな感じ。
位置的にいって、向こうの建物にあった大広間と、この図書館っていうのが
まさにUの字みたいに湾曲テラスをはさんで左右対称同じ位置に作られてるみたいだし、
天井画も、部屋の広さも同じような感じだ。
f0189467_1102219.jpg

何かの理由でアッチの部屋は広間に、コッチの部屋は図書館になったということだな。
将来、もっと蔵書が増えればアッチの部屋も図書館にするつもりだった…
…というのがありそうな話に思えるが。

図書館を出ると、らせん階段で下に降りる。ココがまたちょっとギョッとするんだ。
ひょいと覗き込むと、らせん階段が地下のドコまでも続いているように見えるからね。
f0189467_013434.jpg

これ、実はらせん階段中心の底に鏡が置いてあるんだよ。
だから、らせん階段の上階に向かうブブンが映っているにすぎない。
しかしパッと見るとあたかも「底なし階段」に見えて、なかなか面白い視覚効果だ。

てな感じで、らせん階段の写真を撮ってたら、少し先を歩いていたトホ妻が
興奮した顔でイ課長の服をひっぱって呼ぶ。

「ねぇ、ちょっとコッチ来てごらん、早くはやく!」

ちょっ、ちょっと待て、いまらせん階段の写真撮ってんだからさ。
図書館はもうたっぷり見たんだから、少しゆっくりさせてくれよ。

カメラをしまって、トホ妻に引っ張られて次の部屋に入ってみる。
すると…


うっぎゃーーーーーー!?またまた豪華絢爛なナニカが現れたぞ。何だこりゃ?!
f0189467_0133518.jpg

ロクに下調べもせず「図書館が豪華でスゴいらしいよ」って程度の予備知識しか持たずに
メルク修道院を見学すると、最後にこんな風にブッたまげるハメになるのである。

というわけで、続きはまた次回。
前回がメルク修道院旅行記のその2で、今回は「世界で最も美しい図書館」のその2。
しかし、ハナシ自体は前回の「その2」と今回の「その2」がつながっていると。
こういう長編ネタ、読む方も大変だろうが書く方だって大変なのだ(笑)。




by tohoiwanya | 2011-09-12 00:13 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(0)
2011年 09月 09日

メルク修道院を観にいこう その2

さて、それではメルクの駅から世界遺産・メルク修道院に登ってみましょうかね。
丘の上にある修道院に行くには上り坂を登らないと行けないのである。
まぁ建物自体は見えてるから道に迷うことはあり得ないけど、登り坂は細い道で
地図がないとちょっと見つけづらい。

中世のたたずまいを残す石畳の細道。
向こうから僧衣に身を包んだ修道僧が歩いてきそうな感じだが、赤い看板が邪魔だ(笑)。
f0189467_9485899.jpg

細い坂道やら石段やらを登ること6~7分ってとこかな。
やったーーー。メルク修道院の入口に到達しました。
ウィーン西駅から電車も駅も道も間違えず、無事たどり着いたのである。
f0189467_9493144.jpg

しかしだよ…それにしてもだよ…
f0189467_950850.jpg

やけに建物(特に外壁塗装)が新しくないかい?いわゆる「“時代”がついてない」というか…。
11世紀に建てられ、18世紀に大規模改築された修道院っつうんだけどさ、どちらかというと
完成直後のテーマパークに見える(笑)。最近塗りなおされたばっかなんだろうな。

さっき「道に迷うことはあり得ない」って書いたけど、実は我々はここから少し迷った。
なぜって、入口がドコなんだかよくわからないんだよ(笑)。
門のワキに近代的ガラス建築の階段があるから、そこなのかと思って入ってみたけど
どうも違うようだ。うーむ、よくわからぬ。

周囲の観光客はゾロゾロと庭園の奥にある建物に向かう。
ああ?あそこが入口なの?とりあえず彼らにくっついてその建物に向かってみる。
f0189467_9504195.jpg

ふーむ…ここはなんというか…ちょっとした「離れ」というか「あずまや」というか…
とりあえず入口じゃないよココは。キレイな建物だけど、特にドウってことはない。

あちこちさまよって、ようやく入口を発見。
少しずつ入場させてるから、入口(メインの建物に向かって左側にある)階段なんかは
西洋老人団体観光客たちが渋滞しておったわさ。

メルク修道院に関しては「スゲエ図書館がある」ってこと以外、ほとんど知らなかった。
しかし、中に入場して目に入るのは昔の遺物を展示した博物館っぽい展示室ばっかり。
たとえばこんな感じ(下の写真はメルク修道院HPのもの)。
f0189467_9454425.jpg

展示室はどれもモダンで照明が凝ってて、これまたやけにテーマパーク風だ。
まぁ確かにキレイだよ?キレイだけどさ、はるばるメルク修道院に来てだぜ?まるで
銀座のデパートの催事場で開催されてる「オーストリア古美術展」かのごとき展示を
見せられてもなぁ、ちょっとなぁ~(笑)。

というわけで、モダンな展示室はザッと早足で見ただけで、お目当ての図書館を探す。
こういう時、イ課長は見る価値を感じないものにはやけに冷淡、見たいモノに対しては
やけにセッカチな男なのである(笑)

奥の方の部屋に入ったら、そこは小さな展示室じゃなく豪華な天井画が目に飛び込んで来た。
おおお!ここがクダンの図書館か?!
f0189467_9512179.jpg

…いや違う。ここじゃないよ。ココは単なる大広間だろ。そもそも本がないし(笑)。
でもこの先に部屋はないみたいだよ?ここがドン詰まりなんじゃないの?
ってことは、さっき早足で展示室をぱーーーっと見てる時、気がつかずに図書館を
通り過ぎてきちゃったのかい?あれれー??

長い廊下を探しながらまた戻ったけど図書館なんてない。とうとう入口まで来ちゃったじゃん。
どうなってんだ?図書館はドコなんだよ??(←さっきも言ったようにセッカチ)
仕方ない。こういう時は係員に聞くに限る。もちろん英語で聞くしかないわけだが。

Where is the library?(図書館はドコですか?)」

はははは。中学生の英語の授業で必ず一度は習うフレーズが役に立ったぞ(笑)。
すると、係員はたったいまイ課長が行ったり来たりしてた廊下を指差して何か言う。
やっぱさっきのルートで良かったわけ?

どうやら、さっき「ドン詰まりの大広間」と思った部屋に実はまだ先があったようで、
あそこから一度屋外に出て、ぐーっと湾曲したテラスを通って反対側の建物に行くらしい。
そういうコトだったのかよ。

真上から見て大きな「U」の字型の建物があるとして、イ課長たちはその右上から入場し、
だんだん下におりて右下のところまで来たわけだ。そこに大広間があったと。
そこがドン詰まりと思ったけど、実はそこから「U」の字の下のカーブをわたって
左側のタテ棒(建物)に入るルートがあると教えられた、イメージ的にはそういう感じ。

館内案内図がないから(入口で配ってたようには見えなかったぞ)わかりづらいなー。
まぁしょうがない。今度は途中の展示室なんて一顧だにせず、長い廊下をビュンッと戻り、
さっきドン詰まりと思った大広間までビュンッと歩く。まったくもう…。

ははぁ、確かに言われてみると、さっき天井画を見た大広間のいちばん奥に扉があるワ。
あれをギイッと開けて外のテラスに出ればいいんだな。
f0189467_9523780.jpg

テラスからはこんな風にドナウ川の支流が見える。水の色は泥色だが(笑)。
あとで、この支流から遊覧船に乗るわけだけど、とりあえず今は図書館だよ図書館!
f0189467_9534626.jpg

テラスをわたって反対側の建物に入る。すると…

おおおお!いきなり出ました!こんどこそ間違いない。
やったー。ついにたどり着きましたメルク修道院図書館。長い道のりでした。
f0189467_953032.jpg

…というわけで、次回の記事は超豪華図書館を詳細にご紹介しましょう。
ブツブツ切れて申し訳ないのう。





by tohoiwanya | 2011-09-09 09:59 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(2)