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2012年 05月 05日

続・世界で最も有名な観覧車

観覧車の話を「続きもの」にしてしまった自戒の意味をこめて
粛々と2日連続更新するイ課長です。

さて、とにかくいよいよ乗ろうではないか観覧車に。

映画ではオーソン・ウェルズとジョセフ・コットンの二人だけがゴンドラに乗るわけだけど、
ゴンドラが一周する間にオーソン・ウェルズが得意げに語って聞かせる「悪の信条」は
映画史上に残る名セリフとして名高い。
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映画ではハリー・ライムは質の悪い闇ペニシリン取引で大儲けした悪者という設定。
その闇ペニシリンを使ったために多くの人が死んだ(ということになっている)。
主人公ホリーが「犠牲者のことを考えないのか?」とハリー・ライムを問い詰めると
ハリーは観覧車の扉をガラリと開き、地面を見ながら不敵に言う。
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見ろよ、地面の上の小さな点々を。あの点々の一つが永久に動かなくなったからって悲しいか?
点一つにつき2万ポンドと聞けば誰もが点々の勘定を始めるさ。しかもこれは無税だからな。


要するに「他人の命なんかよりオレ様が儲けるコトの方が重要だもんね」ってことで、
大して深いことを言ってるわけでもないんだけど、こういうシャレた言い方をすれば、
たちまち映画史に残る名セリフとして語り継がれてしまうのである。

オーソン・ウェルズになった気分で点々を見下ろしてみる。
うーん…第二次大戦直後のロケと比べると、周囲も賑やかになったって感じるけど
基本的には「ほとんど何も変わってない」と言っていい。
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ちなみに、この時はイ課長の高所恐怖はまったく発症しなかったから(笑)、
元気にウィーンのパノラマを楽しんだ。こっちが旧市街で、ザンクト・シュテファンがよく見える。
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あれはイ課長たちがウィーンに着いた翌日に行ったカーレンベルグじゃないか?
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とにかくこの観覧車、ゴンドラ1台がすごくデカくて、10人くらいは軽く乗れる。
いろんな方向の写真を撮るにはゴンドラの中を歩き回らないといけないのだ。
こんな風に、ディナーを楽しめるタイプのゴンドラもあるみたいだ。すげー。
一周する時間じゃメシを食いきれないだろうから、たぶん何周もできるんだろうな。
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ゴンドラで自信満々に「悪の哲学」を語ってみせたハリー・ライム。観覧車を降りる時、
親友ホリー・マーチンスに「信用できる仲間が欲しい。オレと一緒にやらんか?」と誘う。
ホリーが乗り気じゃないのを見てとったハリーがさらに悪の世界に誘おうとして吐く
セリフこそ「映画史上名セリフ・ベスト10」に必ず入るであろう有名なものだ。

こんな話があるぜ。イタリアはボルジア家30年にわたる恐怖と流血による圧制の下で、
ミケランジェロやダヴィンチを生み、ルネサンスが花開いた。かたやスイスはどうだ?
500年の友愛と民主主義と平和の末に産み出したものは何だい?・・・鳩時計だけさ。じゃあな、ホリー。


「The cuckoo clock…So long, Holly!」と言いながらクルリと背を向けて足早に去っていく
オーソン・ウェルズの千両役者ぶりも大したもんだが、この「鳩時計」のセリフは実は
元々脚本にはなく、彼自身が考案したとも言われている。いずれにしても大したヤツだぜ。
興味のある人のために、You Tubeにある観覧車の場面を。

観覧車を降りてプラター公園内の遊園地をブラブラ散歩しているとこんな看板が…
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おお「第三の男通り」ときたか。
あの映画、敗戦後のウィーンの暗い占領時代を描いてるから、実はオーストリアでは不人気で、
逆に米国や日本では異様に高く評価されているって聞いたことがあるけど、それでも
こんな看板があるんやのう…。あの映画がウィーンの観光価値をどれだけ高めたかと考えれば
まぁ当然っちゃ当然だが。

はい。最初にお約束した通り、映画ヲタクの旅「第三の男」シリーズはこれで最後です。
実はウィーンでは第三の男のクライマックスのロケをした地下下水道見学ツアーなんてのも
あるそうで、ホントはそれにもちょっと食指が動いたんだけど、今回はあきらめた。

次回、もう一度ウィーンに行く機会があれば、下水道ツアーもちょっと検討したいところだ。
しかし、またウィーンに行ったとしたら、下水道より何より、イ課長がまたもや嬉々として
この観覧車に乗りたがることだけは間違いないのではないかと思われます、はい。
 



by tohoiwanya | 2012-05-05 23:48 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(4)
2012年 05月 04日

世界で最も有名な観覧車

名画「第三の男」のロケ地を訪ねるウィーン・映画ヲタクの旅シリーズ。
これで最後です。ごめんなさい、もうしません。少なくともウィーンに関しては(笑)。

「第三の男」にはウィーンの有名・無名な場所がいっぱい出てくるわけだけど、
その中で「第三の男に出て来るウィーンの名所っつうたらアレだろそりゃー」と
誰もが真っ先に挙げる有名スポットがプラター公園の観覧車だ。

あの映画を観た人なら、あの観覧車は絶対に忘れられない。
そして、あの観覧車に乗る一連のシーンでオーソン・ウェルズが口にする台詞の数々も
また映画史上に残る名セリフとして有名なのである。映画ヲタクがウィーンに行けば
この観覧車に乗らずにいられるわけがない。

イ課長も20年前の新婚旅行の時、ウィーンに着いて真っ先にこの観覧車に乗った。
だから今回は乗らなくてもいいじゃん?…という気持ちに…なれないんだよ、コレが。
ウィーン滞在中、「もう一度あの観覧車に乗れたらいいなぁ…」と思っていて、
ある日フと気がついたらトホ妻を連れてプラター公園に向かう自分自身がいた(笑)。

地下鉄のプラターシュテルン駅を降りる。
駅構内にはちゃんと「プラター公園はアッチ」っていうサインがあるから迷わない。
もちろんプラター公園のサインに使われるモチーフは…はい、観覧車です。当然ですね。
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この日はホントに天気が良くて、観覧車に向かう途中の公園に芝生の上では
ウィーン市民がのんびりと昼寝だ。ちくしょう…うらやましいぞクソ。
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この公園、元々はハプスブルグ家の狩猟場として使われてたそうで、ものすごく広い。
我々が思い浮かべる「観覧車のあるプラター公園」っていうのは実は広大な公園の
一角を占めるに過ぎない遊園地のことなんだよね。

うふ…うふうふ…見えてきた見えてきた。懐かしいなぁ。
1897年に出来たっつうんだから、相当に古い。建設当時ならともかく、今となっては
観覧車自体のスケールは特に大きいってわけでもないだろう。しかし、疑いもなくこれこそ
世界で最も有名な観覧車だ。
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第二次大戦終了直後、「第三の男」撮影当時の観覧車はこんな感じ。
これには驚く。周囲にはロクに樹木もなく、まるっきり「廃墟の中に残った観覧車」そのもの。
激しい爆撃なんかもあったんだろうけど、よくまぁ生き残ったねぇ…。
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何しろ世界で最も有名な観覧車、ウィーンの立派な観光資源の一つってわけで、
今回行ったら観覧車の下にちょっとした「観覧車ミュージアム」みたいなものが出来てたよ。

へぇ~…20年前に来た時はこんなミュージアム、なかったよなぁ。
中の展示はそれほど大したもんじゃないけど、観覧車の昔の写真や模型を展示して
「観覧車の歴史とウィーンの歴史」を概観できるようにしてある。
展示ケース自体も観覧車のゴンドラをリサイクル利用してるんだね。
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こんな豪華な付属ミュージアムまで出来ちゃったけど、観覧車自体は映画当時の姿と
ほとんど変わってないっていうのが素晴らしい。
鋼鉄ワイヤーが張り巡らされたこの観覧車、下から見上げると今でも美しいけど
ジョセフ・コットンを下から撮って、背後に観覧車が広がるこのショットも美しいよねぇ。
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有名ショットといえばこれもだ。単に観覧車の真ん中から空を見上げただけなんだけど
「第三の男」をビデオで見るたびに、この数秒間の場面の美しさにハッとする。
亡くなった映画評論家・双葉十三郎さんもこのアングルの素晴らしさを指摘してた。
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イ課長も似たようなアングルで写真を撮ろうと頑張ってみたけど、当然のことながら
遠く及ばないのである。
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さて…ではいよいよ観覧車に乗ってみようか…ということになるわけだけど、
ちょいと長くなったから続きは次回。…あああ!観覧車ネタなんかを連続モノにしたりして、
一体どうする気だイ課長!ばかもの!




by tohoiwanya | 2012-05-04 23:42 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(0)
2012年 02月 20日

ハリー・ライムが立っていたあのドア

映画ヲタクが行く、ウィーン「第三の男」ロケ地めぐり。久々の登場。
今回は大変だよ。映画ヲタクとしてはこのネタを書くと思うだけで心は高ぶる(笑)。

映画「第三の男」で有名なシーンは数え上げたらキリがないんだけど、その中でも
最も有名な、ソコだけでもあの映画を不滅たらしめるような決定的に有名なシーン。
それこそが「ハリー・ライム登場シーン」に他ならない。

ホロ酔い加減のジョセフ・コットンがアリダ・ヴァリのアパートを出てウィーンの暗い坂道を
歩いてると、ネコの鳴き声に気付く。暗いドアのカゲに男が立ってて、その足元に
1匹のネコがまとわりついてる。足元しか見えないけど、誰かがいるのは間違いない。
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警察が自分を尾行していると思い込んだジョセフ・コットンが酔いに任せてわめく。
「お前、そんなんで尾行してるつもりか?ほら出てきやがれってんだーー!!」

寝静まった夜のウィーンに響く酔っ払いの高声。
近くのアパートのおばさんがジョセフ・コットンに文句を言って部屋の灯りをつける。
ドアの陰にいた男の顔がその明かりで照らされる。男の顔を見て驚愕するジョセフ・コットン。
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ああ…もうね、映画史においてこのハリー・ライム登場シーンがどれだけの価値を持ってるか
イ課長の乏しい筆力ではとても説明できない。まさに名画中の名画「第三の男」における
名シーン中の名シーン。親友に見つかるのを予想していたかのようにオーソン・ウェルズが
不敵にニヤリと笑う、このワンショットだけでもオーソン・ウェルズの名は映画史に永久に残る。
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世界中の映画ヲタクに「映画史で最も鮮烈な人物登場シーン」というアンケートをとれば、
21世紀のコンニチでもこのシーンを挙げる人が多いだろう。イ課長もその一人だ。
観た者に強烈な印象を残す、この登場シーンについては、演じたオーソン・ウェルズ自身も
「あれこそまさに千両役者の登場場面だろ?」みたいなこと言って、鼻高々だったらしい(笑)。

一応、興味のある方のために、You Tubeで見られるそのシーンを。

いやぁ~…アップになったオーソン・ウェルズに重なって流れるあの音楽。たまらんね。
これぞ映画。映画とはこれ。皆さん、今これを語っているのがイ課長であることに
感謝しましょう。これがもし淀川長治さんだったらあと1時間は話が止まらないよ?(笑)

あのハリー・ライム登場シーンの場所に自分が行く。
ハリー・ライムと同じドアに自分が立つ…うううう…(←キテる)。
映画ヲタクにとっては嬉しい体験だ。ぜひ行ってみたかった。

その体験が可能になったのは、以前にご紹介したこのサイトのおかげだ。本当にありがとう。
このサイトを知らなければ、あのロケ場所がどこだったか知るスベはなかっただろう。

有名すぎるこのシーンが撮影されたのは、ウィーンのメルカー・バスタイというところ。
このメルカー・バスタイの「バスタイ」って、日本語では「稜堡」と訳されるみたい。
だから、この坂道はおそらく人工的に作られたものなんだろうな。
要するに軍事用に作った高台というか、土手というか…ここに砲台とか置いたらしい。

リンク大通りをフォルクス・ガルテンから北に向かって歩くと、右にブルク劇場があり、
それを通り過ぎるとランツマンっていう有名(らしい)カフェがある。
問題のロケ場所はそのカフェ・ランツマンを右に入った路地の奥の坂道らしいなのだ。
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ほら、道の奥に坂道みたいなのが見えるでしょ?どうもあの辺ぽい。
ちょっとドキドキしてくる…。
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これだ。この坂道。
うわあああ素晴らしい。道がフタマタになってるところの建物、その奥の建物…キレイには
なってるけど、こうやって比較しても映画と全然変わっとらんやん。
奥にウィーン大学の屋根がちょっと見えるところも、何もかも変わってないよーー!

そしてこのドアだ。ハリー・ライムが立っていたこのドア。それはここだ。
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いやもう感激だよ。ここだ。間違いなくここ。
映画史上最高のシーンのひとつが撮られた、あのドアにイ課長は今いるのだ。
え?ドアの前に立たなかったのかって?もちろん立って記念写真も撮ったよ。
しかしそれは恥ずかしいから掲載禁止(笑)。

「オーソン・ウェルズはここにいた」「ジョセフ・コットンはこの辺に立ってた」とか何とか、
イ課長とトホ妻がこのドアの前でやけに熱心に記念写真を何枚も撮ってるから
道ゆく外国人観光客が「ここって有名な建物なのか?」と思っちゃったみたいで、
何人かは、明らかによくわからないまま、イ課長たちにつられてドアの写真を撮っていた。

たぶん彼らは自分の国に戻って、ウィーン旅行中の写真を見て
「なんでこんなつまんねぇドアの写真、撮ったのかなーー?」と思ってるはずだ。
このドアはねぇ、映画史的には大変なイワクインネンのあるドアなんだよキミたち!!
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メルカー・バスタイに来る観光客のほとんどは、近くのベートーヴェンの博物館(があるらしい)が
お目当てのはずで、映画「第三の男」でハリー・ライムが立ってたドアが見たいなんて
不健全?な目的でここに来て騒いでる観光客はイ課長とトホ妻だけのようだったよ(笑)。




by tohoiwanya | 2012-02-20 00:15 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(4)
2011年 10月 31日

バルーンじいさんの噴水 【第三の男】

土日もノートパソコンを自宅に持参して、出張準備のために
出張同行者や旅行代理店や現地通訳さん等々とのメール連絡に忙殺されるイ課長です。

週が始まる前から仕事でぐったりって何なのだ。
しかも今週水曜日にはまた日帰りで岐阜出張が待ってる。イ課長、死ぬかも(笑)。

ということで、本日は「第三の男」の“あの場所”シリーズの小ネタで行こう。
他に大ネタもあるにはあるが、じっくり書いてる余裕がない。まったくもう…。

さて、「第三の男」の小ネタ。
あの映画をご覧になった方には「バルーンじいさん」というだけで、
「ああ、あそこの場面?」とお思いになるかもしれないが。

映画終盤のクライマックス。
ホリー・マーチンスを“エサ”にして、ハリー・ライムをおびき出して逮捕するために、
待ち合わせ予定のカフェの周りには厳重な警戒網がしかれている。
トレバー・ハワード演じるキャロウェイ少佐もこうしてハリーを逮捕するために
物陰にひそんでる。
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そこへ、男の影が近づいてくる。
すわ、ハリー・ライムいよいよ現れたか! …と、逮捕しようと待ち構えてる軍隊も、
オトリになったホリー・マーチンスも、そして観客もイッキに緊張感が高まる。
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ところが、それはハリーではなく風船売りのおじいさんであった。
思わず大きく息を吐いて緊張を解く、というわけなんだけど、このシーンは
極めて印象的で、この映画を見た人なら覚えてるはずだ。
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さて、このバルーンじいさんが現れた時のショット。
右の方に長いヒゲを生やした人物や大きく口を開けて上を見上げてる彫刻が写ってる。
これは一体ドコなんだろうか?今でもこの彫刻はあるんだろうか?

ハリー・ライムのアパートの記事を書いたときにも触れたけど、
ココのサイトに行くと、この場面がどこなのかもちゃんとわかるのだ。何てすごいんだ。

この彫刻、実はミヒャエル・プラッツに面した噴水にあるんだよ。
ハリー・ライムのアパートのロケ現場から歩いて1分で、本当にすぐそばだ。

ほら、これが現在の姿。
撮る角度が映画と少しズレてるし、街は映画当時より圧倒的にキレイになってるけど、
彫刻はもとより、後ろの3階建ての建物や大きな屋根なんて全く当時と変わってない。
左側の角の建物もHALDERってう店の名前まで変わってない!これには驚いた。
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60年以上前に作られた映画にもかかわらずここまで変わってないなんて。
日本の木造建築だったら「60年前のまま」なんて、まず無理なハナシで、
石造建築の欧州ならでは、ということなんだろうなぁ。

ミヒャエル・プラッツっていうのはこんな感じ。
この写真の奥の方、建物をクリ抜いたところにあるのがこの噴水で、
そのちょっと左に見えるトンネルをくぐると、ハリー・ライムのアパートがある。
この一角は「第三の男」の重要な撮影ポイントだったわけだ。
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というわけで、本日は「第三の男」を訪ねる旅の小ネタでした。
他にも超有名シーンの撮影地点に行ってるんだけど、それはイ課長がもうちょっと
落ち着いてからじっくり書くことにするよ。


しかし、出張出発まで落ち着ける日なんてくるんだろうか?(深いタメイキ)




by tohoiwanya | 2011-10-31 00:05 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(0)
2011年 09月 14日

メルク修道院を観にいこう -その3-

さて、メルク修道院見学の最後に現れた驚異の豪華絢爛デコラティヴ空間。
これ、ナニかっていうと、この修道院の礼拝堂らしい。要するに教会だ。
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確かに、奥には祭壇らしきものがあるし、真ん中の通路をはさんで左右には長椅子が並んどる。
おっしゃる通り、教会なんだろうココは。
しかしこの教会、あまりといえばあまりに装飾がド派手でキンキラすぎないかい?
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思い出されるのは、やはりトホ妻と16~7年くらい前に行った南ドイツのヴィース教会だ。
ヴィース教会って、外から見ると田舎の原っぱの中に建ってる質素な教会なんだけど、
中に入るとこれでもかっていうくらい美麗なロココ装飾があふれ返ってる。
(下の写真はWikipediaから拝借したヴィース教会の内部の写真)
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人里離れた不便な田舎の教会、疲れてヒイヒイいいながらやっとたどり着いた巡礼者。
だが、一歩教会内に足を踏み入れると、そこに広がる「まるで天国そのもの」のような絢爛たる
輝きの世界に巡礼者は宗教的恍惚を味わうと…
ヴィース教会はそういう効果を狙って設計されてる、みたいな話を読んだことがある。

メルク修道院の礼拝堂はロココじゃなく、バロック装飾なんだろうけど、同じように
「天国錯覚効果」はあるんじゃないか?つうか、こうなるとロココとバロックの間には
過剰装飾という共通点がある以外に、何か違いがあるのかい?といいたいよ(笑)。
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礼拝堂内、どこを見てもその豪華絢爛すぎる装飾に圧倒され…つうか、あきれ果て、
「ひぃーーー」と小声で悲鳴をあげながら、眺めるしかない。

しかしさ、やはりイ課長としては思うわけだよ。
ココは修道院の礼拝堂だろ?ってことは修道僧たちがここで祈るわけだろ?
修道僧っていやぁ、我々のイメージに浮かぶのは、薄汚れた茶色い毛布みたいな僧衣を着て、
薄汚れた茶色い毛布みたいなフードを頭からかぶった、それこそ映画「薔薇の名前」に出てきた
ショーン・コネリーみたいな感じの、世俗とは隔絶したオジサンたちなわけじゃん、やっぱ。
このメルク修道院は「薔薇の名前」のモデルになったとされるトコでもあるわけだし。
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こういう、薄汚れた毛布を着たオッサン軍団がこの豪華絢爛礼拝堂で祈ってたわけかい?
質素な服を着た修道僧なら、薄暗い石造りの質素な礼拝堂こそマッチするってもんだろー。
施設内部の豪華さと、想定ユーザー層の質素さのバランスの悪さに目がクラクラするぜ。
それとも、この超豪華礼拝堂は修道僧たちが使う空間じゃなかったのかね?

しかしまぁ、この礼拝堂で祈ったのが誰であったにせよ、だ。
率直に言おう。断言しよう。イ課長はバロック教会よりゴシック教会の方がいいワ。
フランスでいくつも見てきた巨大ゴシック教会の、あのステンドグラスに照らされた
薄暗い空間には宗教的神秘があった。たとえばこんな風にさ。

しかしこの洪水のごとき過剰装飾の礼拝堂に神秘が感じられるかい??
悪いけど、イ課長には感じられないんだよなー。
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つい数分前に豪華絢爛なメルク修道院図書館を見たばかり。
つい昨日は豪華絢爛なプルンク・ザールを見たばかり。
こう連続して「超高カロリー・バロック定食」ばっか食ってるとさすがに腹がもたれる。

それでも、これがシェーンブルン宮殿みたいな、王侯貴族の住まいならまだいい。
修道院の教会でこれはなぁ…まぁ好みの問題ではあるのだが。
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そういう意味ではメルク修道院礼拝堂でイ課長は自分の好みを再認識したよ。
西洋教会建築についていえば、こういう装飾トゥーマッチなバロックやロココより
神秘的なゴシック、ぐっと質素なロマネスク教会の方が明らかに好みなんだな。
時代的にいえば「お古い方」が好き、ということになる。

観光2日目にして、すでにゲップがでそうな気分になり始めたバロック「これでもか装飾」。
ウィーン滞在中、さらに見ることになるわけだが…(笑)。



by tohoiwanya | 2011-09-14 00:01 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(0)
2011年 09月 07日

メルク修道院を観にいこう

今回のウィーン旅行ではちょっと遠出する日帰り観光プランを事前に検討していた。
中でも「ブダペスト日帰り観光」っていうのは実に魅力的で、イ課長がぜひ行きたかったところ。

もう一つ、メルク修道院+ヴァッハウ渓谷+デュルンシュタインめぐりというプランもあった。
こっちの方は予備知識もなくて、イ課長としては「ぜひ」というほどでもなかったんだけど、
トホ妻が非常に行きたがったんだよ。こういう時、行きたがってるガワはよく知らない配偶者を
「行く気」にさせるため、説得ないし営業活動をすることになる。
トホ妻がイ課長に対して行った営業の主なポイントは以下のようなものだ。

①メルク修道院は世界遺産にもなってて、とにかく素晴らしい。
②しかも、あの「薔薇の名前」のモデルになった修道院でもある。
③ヴァッハウ渓谷は絶景で有名。せっかくだからドナウ川下りしようではないか。


ふーむ…そう言われると確かに少しソソられる。で、基本的にはトホ妻案に賛同した。
ちょっと調べてみると、メルク修道院入場料+ドナウ川観光船船賃+ウィーンからの
鉄道往復料金を含んだセット券なんて便利なものもあるみたいじゃん。これは便利。

だがちょっと待て。ネットやガイドブックで調べると、このセット券っつうのは
ドナウ川観光を降りるのはクレムスってトコで、そこからウィーンに戻ることになってるぞ。
ってことは観光船はデュルンシュタインじゃなく、クレムスで降りなきゃいけないんじゃない?
(下の写真はセット券の、列車用切符のジツブツ。KREMSって書いてある)
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するとトホ妻はやけに自信をもってこう断言した。
④クレムスなんてたぶんつまらない。一方デュルンシュタインは美しいはずである。
⑤デュルンシュタインからクレムスまで小さなローカル線みたいなのがあるはずだから、
 それに乗ってクレムスまで行き、オーストリア国鉄に乗ればいいのである。


この④に関してはイ課長は判断しようがない。どっちの町も知らないし、本で見ると
どっちも同じように「中世の香りを残すドナウ河畔の町」に見える。
まぁトホ妻がデュルンシュタインにしたいっていうんだから、それでいいか。
⑤もネットでは調べがつかなかった。クレムスまでのローカル線なんてあるのかね?
(このコトで、後で大変苦しむことになる)。

というわけで、例によって前置きが長くなったが、かくのごとき経緯をたどって
メルク修道院→ドナウ川半日ツアーを到着翌々日の6月6日月曜日に敢行したのである。

出発地はウィーン西駅。
ここは20年前の新婚旅行の時も来たっけ。懐かしいなぁ。
西駅といえば、映画「第三の男」で主人公ホリー・マーチンスが到着する駅でもあるのだ。
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終戦直後は屋根もない駅にSLが到着する、なんて光景が描かれてるけど、
今はもちろん屋根もついて、モダンでキレイな駅だ。
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まず例のセット券「ヴァッハウ・コンビチケット」を購入。
いくらだか忘れたけど(ヲイヲイ)、乗車券や入場料を全部バラバラに買うよりは
若干お得になってるはずだ。切符売り場でちょっと並んだけど、さほど問題なく買えた。

次の問題は何番線からナニ行きの電車に乗ればいいのか、だ。
出発案内板を見ても「Melk」っていう文字のついた電車がどう探しても見当たらない。
おかしいなと思って駅員に聞いてみたら、まず急行でザンクト・ペルテンって駅まで行き、
そこで各駅停車に乗り換えてるらしい。なーるほど。

出発前に構内のカフェでホットサンドイッチとコーヒー慌ただしく駅で腹ごしらえ。
何せホテルの朝食も食わずに6時半頃に出てきたからね。
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乗った急行電車はやけに混んでた。西駅からザンクト・ペルテンまで約40分。
ザンクト・ペルテンから乗った鈍行列車の方はやけに空いてた。ここからメルクまでは
15分くらいといったところか。下の写真はもちろん、すいてた鈍行の方ね。
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さて、着きましたメルク。
小さな駅で、駅前ロータリーは人気も少ない。まだ時間も早いしね。
でも丘の上にはメルク修道院がオイデオイデしているのが見える(してねぇって)。
さぁ行くぞ、世界遺産にして「薔薇の名前」のモデルにもなったというスゴいメルク修道院。
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…というわけだが、長くなったので例によって続きは次回に。すまぬ。




by tohoiwanya | 2011-09-07 00:17 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(4)
2011年 08月 01日

ハリー・ライムのアパート 【第三の男】

ハリー・ライムと聞いただけで、エビスビールのCMソングを連想したアナタ。
アナタはイ課長と同程度か、もしかすると、もうちょっとご年配の映画ファンでは?

いきなり何の話かって?
順を追って説明しよう。このネタになるとイ課長の筆はやけに走る。
イ課長ブログ名物(かどうか知らんが)、映画ヲタクがロケ地を訪ねる旅。
「またかよ~」と興味のない読者から呆れられようがドウしようが、イ課長の
映画ヲタクスピリットはウィーンでもまた花開いたのである(笑)。

「第三の男」という映画をご存知の方はいるだろうか?
おそらく大多数の人は「昔の名作映画として題名は知ってるけど、観たことは…」
という感じなんじゃないかと思う。1949年公開の映画だからかなり古い映画。

「第三の男」は映画史上に燦然と輝く永久不滅の超名作なのである。
映画史上のベスト10とか20とかっていう企画があれば必ず上位に顔を出す。
(キネマ旬報が2009年に発表した外国映画オールタイム・ベストでは第4位)

映画史上最高のラストシーンベスト10なんていう企画でも絶対に顔を出す。
映画史上最高の映画音楽という企画でもまずこの映画は欠かせない。
映画史上に残る名セリフがまたたくさんあるんだ、この映画には。
要するに、何からナニまで映画史上に残る、想像を絶した名作なのである。

そして、この映画こそウィーンを抜きにして語ることはできない映画なんだよ。
ウィーンと言えば第三の男、第三の男と言えばウィーン。
これほどまでに、ひとつの映画とひとつの都市が深く結びついている例っていうのも
これまた映画史上ほかにちょっと思い浮かばない。

イ課長はこの映画をコドモの頃にテレビで何度か見て(さすがに公開当時は生まれてない(笑))、
その後ビデオに録画し、いったい何回この映画を見たかわからない。
ある動画サイトにこの映画が全編まるごとアップされてたから、まるごとダウンロードし
今やパソコンでまるごと見ることも出来るのである。観るたびにその名作ぶりに感嘆する。

…と、まぁそれくらいの名作であり、イ課長がガキの頃から何度も観た映画だ。
新婚旅行で20年前にウィーンを訪問した時も嬉々として「第三の男をめぐる旅」をした。
有名な大観覧車とか、ラストシーンに出てくるウィーン中央墓地とかね。

あれから20年。ネット全盛のコンニチ、第三の男のロケ地に関する情報はネットを通じて
あの当時は考えられなかったくらい簡単に、しかも詳細に入手することができる。
今回の旅行でイ課長が全面的にお世話になったのはこのサイトだ。

ココはホントにすごい。
ほとんどあらゆる場面のロケ地が特定されていて、現在どうなってるか紹介されてる。
まさに「第三の男」の超マニアによって作られた超マニアックなサイトとしかいいようがない。

イ課長はウィーンに行く前、このサイトで紹介されてたロケ場所をGoogleマップで検索し、
どの場面がウィーンのどこで撮影されたのかを地図で確認する作業に没頭した(笑)。
ここまで詳しく撮影場所が紹介されてると、行きたくなる場所がいろいろあるんだよ。

映画「第三の男」。
旧友から「いい仕事がある」とウィーンに招かれたアメリカ人作家ホリー・マーチンスが
ウィーン西駅に到着するところから映画は始まる。彼がルンルンいいながら旧友ハリー・ライムの
アパートに行くと、何とハリーはつい先日車にひかれて死に、今日がまさにその葬式で
あることを知る。あ、第三の男って一応サスペンス映画です。
ハリー・ライムのアパートは映画の最初のとことで出てきて、その後も何度も登場する。

実際にはハリー・ライムのアパートはパラヴィチーニ宮っていう建物で撮影してて、前回書いた
やたら美しい図書館の出口を出るとヨーゼフ2世騎馬像の向こう正面に入口が見える。
ウィーン観光の中心・王宮の一角にあるから、わざわざコレを探しに出かける必要がないし、
位置的にいっても非常に見つけやすいし、何と言っても入口左右に二人ずつ立ってる
巨大な女人柱が目印になる。
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キレイにはなってるけど、建物自体は映画とぜんっぜん変わっておらん。さすがウィーン。
建物を見上げてるトコを写真に撮ってやるとトホ妻に言われて撮ってもらった。
気分はジョセフ・コットン(主人公を演じた俳優)なのである(笑)。
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残念なことに建物の入口が修復中で足場やら何やらあって見づらい。
巨大女人柱も映画では黒ずんで見えるけど(ま、終戦直後だからしょうがないけど)
今はチョークみたいに真っ白ピカピカ。クリーニングされた直後なんだろうな。
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上で「ヨーゼフ2世騎馬像ごしに入口が見える」って書いたから、建物入口側からも当然
騎馬像はよく見える。この騎馬像も映画にチラッと出て来るんだよね。
主人公ホリーがクルツ男爵から、旧友が車にひかれて死んだ時の状況を聞くシーンだ。

「私たちは道路に倒れた彼をあちら側に運びました」とか言って説明する。
騎馬像の台座が画面右に大きく見えてる。
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「そして彼をここに横たえたのです。ちょうどここです」というのがまさに台座の前。
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アパート側から見たヨーゼフ騎馬像はこんな感じ。まさに真ん前と言っていい。
クルツ男爵がシリを乗せた石柱?もそのまま残ってるよ。
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映画ではハリー・ライムのアパートはココとは違う住所にあることになってるけど、
アパート正面にヨーゼフの銅像があることはセリフにも出て来て、現実そのまま。
入口を出て車にひかれた人間を、とりあえず運ぶ場所として位置関係的にもリアルだ。

「第三の男」をめぐる、ちょいとマニアックな旅。ハリー・ライムのアパート以外にも
もう数カ所行った。「あの場面が撮影された、あの場所をウィーンで見る」っていうのは
イ課長にとって今回のウィーン旅行の、かなり重要な目的の一つだった。
読み手のニーズがあろうがなかろうが(笑)、この後もおいおいご紹介させていただきます。





by tohoiwanya | 2011-08-01 00:22 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(4)
2011年 06月 30日

カフェ・モーツァルト

さて、今日はカフェ・モーツァルトの話。
もちろん台湾からまたウィーンの話に戻ったんです。ついてきて下さい。前にも書いたけど、
こういうの、読む方は大変かもしれないけど、書く方だって大変なのだ(笑)。

ウィーンはパリと並んで「カフェ文化」がものすごく発達した街といえる。
カフェはそこかしこにあり、「この店はかつて有名な誰ソレが常連だった」なんていう
歴史と由緒ある名店もいっぱいある。

その中でまずはカフェ・モーツァルト。
非常に有名なカフェだから、名前は聞いたことがあるっていう人も多いかもしれない。
バブル期に日本の三越が買収したことがあったはずだ。

この店の場合「あの誰ソレが常連で…」という意味で有名ってのとはちょっと違う。
何といってもここは映画史に残る名作「第三の男」に名前が使われたことで知られる。

実際にこの店で「第三の男」のロケが行われたわけではなく、別の場所にテラス形式の
カフェのセットを作り、カフェ・モーツァルトの場面はそこで撮影された。
だから純粋な意味での「ロケ地探訪」とは言えないんだけど、映画ヲタク・イ課長としては
とりあえず行ってみたじゃんよー、あのカフェ・モーツァルトに。

映画「第三の男」では主人公の三文小説家ホリー・マーチンスが戦後まもないウィーンに行き、
そこで「明日の○時、カフェ・モーツァルトでお会いしましょう。私は目印にあなたの本を持ってます…」と
ナゾの伝言をうけとり、翌日、そこでナゾの男・クルツ男爵と会う。

監督のキャロル・リードがこの場面をカフェ・モーツァルトにしたことに、おそらく
それほど深い意味はなかったんだと思う。とにかく店の名前としてこれ以上「ウィーンらしさ」を
感じさせるカフェはないもんね。モーツァルト。

実際には、この映画撮影当時(たぶん1948年か1949年頃)のカフェ・モーツァルトは
第二次大戦で破壊された状態だったっていうから、ロケどころじゃなかったんだろうな。
映画撮影用のカフェのセットは旧市街の、ノイアー・マルクトのあたりに作ったらしい。
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実際のカフェ・モーツァルトは国立歌劇場の裏、ホテル・ザッハーの横ッチョにある。
到着翌日の朝からウィーン旧市街を貪欲に歩き回って、ちょいと歩き疲れたイ課長&トホ妻、
せっかくだからこの店で一休みすることにしたのである。ちなみに、これまた有名な
ホテル・ザッハーのカフェはこんな感じで現在工事中(でも営業はしてるらしい)。
カフェ・モーツァルトはこのすぐ裏。
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この日は天気がよくて、客のほとんどは外のテラス席に座っていた。
でもイ課長とトホ妻は内装を見たかったから、あえて誰もいない室内席に座った。
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うーむ…華麗なシャンデリアに落ち着いた調度。実に居心地がよろしい。
イ課長はパリのカフェでは外のテラス席ばっかり、ウィーンでは室内席ばっかり利用したから
正確な比較は難しいけど、ウィーンのカフェの内装ってココに限らず、大体どこも
「洒落た感じ」というよりは「落ち着いて、重厚な高級感」みたいなものを追求してるように思う。
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この店でトホ妻はアイスクリームを、イ課長はビールを頼んだ。
ウィーンはすっかり初夏で、日差しは強いが湿度は低いからノドが乾く。
ビール(大)くらいはすぐ飲み干せてしまうのである。
明るい日差しと雑踏から逃れて、しばしの静けさとともにグラスを傾ける。
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ウィーンのカフェ・モーツァルト。
さっきも言ったように、実際に映画の撮影に使われた店舗そのものではない。
ウィーンの有名カフェ訪問という意味では重要な経験だけど、
「第三の男」に出てきたアソコに行ったんだよ!いう観点から見ると、だいぶ弱い。

もっとも、「第三の男」をめぐる旅としては、これは言うなれば序の口(笑)。
おいおい、もう少し本格的?なネタもご紹介していきます。




by tohoiwanya | 2011-06-30 00:17 | 2011.06 ウィーン旅行 | Comments(0)
2011年 04月 13日

ハンプトン・コートに行く-その4-

もう1回、ハンプトン・コートについて書かせてくれ。これで終わりにするから(笑)。

前にも書いたけど、ハンプトン・コートはヘンリー8世によって斬首刑に処せられた
人格高潔な大法官トマス・モアを描いた映画「わが命つきるとも」の中にたくさん出てくる。
フレッド・ジンネマンが監督した映画なんだけど、とにかく冒頭タイトルバックが
非常に印象的なんだよね。石で作った怪物たちの顔がアップでいくつも出てくるんだよ。
それがハンプトン・コートにあるモノなのかどうか、映画ではわからなかったんだが…
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実際に行って「ああ、これだコレ。ココにあったんだ!」とすぐわかった。
正面入口の通路の両脇にある…これは何て言えばいいのか…欄干の上に置かれた装飾と
いえばいいのかな。ガーゴイルみたく怪物ヅラばかりで、マトモなツラのヤツはいない(笑)。
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うーん…自分がフレッド・ジンネマン監督になった気になって
じっくりと撮らせていただきました。ヘンなツラのヤロウどもを。

あの映画ではトマス・モアがチェルシーにある自宅とハンプトン・コートの往復に
必ず船を使っていたことが描かれている。船が通るのはテムズ川だ。
ハンプトン・コートのすぐ裏にはテムズ川(の支流か?)が流れてる。
(奥に写ってる橋が、駅から降りてすぐに渡ってきた橋ね)
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ロンドン中心部を流れるテムズ川は川幅も広くて、ご立派な川っていう感じだけど、
この辺になるとホントにのどかな田舎の川っていう風景が広がってて驚いちまった。
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ちょいとばかり、コンスタブルの風景画を思わせるじゃないか。
ロンドンから30分電車に乗っただけでこんな田園風景が見られるんだねぇ…。

ロンドン郊外ハンプトン・コート、初冬の土曜の静かな午前中。
たまに「ハンプトン・コート1周」のジョギングやサイクリングする人たちと
すれ違うくらいで、川沿いの道はホントに静かなところだった。
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さてと、ハンプトン・コートもたっぷり観たことだし、
そろそろロンドン市街に戻るとしましょうかね。

というわけで、ハンプトン・コートの連載?はとりあえずこれで終了。
実はこの後、ハンプトン・コート駅近くの小さな商店街にあった床屋に入って
髪を刈るんだけど、その話はまた後日に。




by tohoiwanya | 2011-04-13 00:18 | 2010.11 欧州出張 | Comments(2)
2010年 12月 11日

ウォータールー橋のナゾ

休日出勤の誰もいないオフィスからブログを更新するイ課長ですこんにちは。

国内出張ネタ→台湾旅行ネタと続いたから、今日はヨーロッパのネタでいくか。
イッカン性のないブログで読む方は大変だろうけど、書く方だって大変なのだ(笑)。

本日は久しぶりに映画ヲタク系の話でまいりましょう。
フランス旅行記では映画ヲタクぶりを炸裂させたイ課長だったけど、さすがに
好きで行くわけでもない出張先では映画ヲタクの血が騒ぐような機会は少ない。
出張先で「あの映画のアソコが今目の前にッ!」的な興奮を味わったような経験は
2008年ワシントンDC出張で見たエクソシストの階段くらいじゃないかなぁ?

ただ、今回の欧州出張は最期の訪問地にロンドンがあった。
パリほどじゃないけど、ロンドンを舞台にした映画というのはけっこうある。

お若い映画ファンはトンとご存知ないであろうオールド名画に「哀愁」という映画がある。
1940年製作の白黒映画。イ課長ですらずっと後年にテレビで観たことしかない。

この映画、邦題こそ「哀愁」なんてメロメロドラマな題名になってるけど、
原題はズバリ、Waterloo Bridge。橋の名称がそのまま題名になってる。
ロンドンの「あの映画ゆかりの場所」、オールド映画ヲタクにはまずココが思い浮かぶのだ。
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ロバート・テーラーとビビアン・リーという、当代随一、極めつきの美男美女が
悲しき恋の運命に翻弄されるってな感じの映画で、まぁ映画史に不朽の名を残すほどの
ご立派な映画じゃないが(笑)、古き良きメロドラマの王道をいく名作なのである。

この映画ではウォータールー橋は二人の最初の出会いの場所、ヒロインが死ぬ場所、
そして中年となった主人公が回想にふける場所として何度も出てくる。
建築的価値はともかくとして、映画ファンにとってはロンドンで一番有名な橋だろうな。

ウォータールー橋には仕事が終わった後、土曜の半日観光の時に行く機会があった。
ハンプトン・コート見学から列車で昼過ぎにウォータールー駅に戻ってきたのだ。
ここまで来たら、足を伸ばしてウォータールー橋を見ることなく日本に帰れようか。
ウォータールー駅から橋は歩いて5~6分程度の近さなんだから。
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あれ?映画に出てきたのはこんなガランとした橋だったっけ?確か鉄橋じゃなかったかなぁ?
検索して確認してみたら、ほら、やっぱし。こりゃどう見ても鉄橋だろ。
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映画は第一次大戦の頃を舞台にしているから、製作者サイドは当然「第一次大戦当時の
ウォータールー橋」を模して撮影セットを作ったはずだ。
(橋の場面はロケではなく、明らかにセット撮影だと思われる)。
そうか、今はそうじゃないけど、第一次大戦当時のウォータールー橋は
実は鉄橋だったんだと考えればツジツマは…

…合わないんだよ、これが。
確かにこの橋は1942年に一度架け替えられてるらしい。最初は9径間石造りアーチ橋として
建設され、架け替え後は5径間コンクリート橋になったと…ふーむ。
モネがこの橋を描いてるんだけど、彼が描いた頃は「9径間石造りアーチ橋」だったのは明らかで、
イ課長が渡ったのが「5径間コンクリート橋」ってことになる。
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つまり、かつてこの橋が鉄橋であったことなんて、一度もないみたいなんだよな。
じゃ、何で映画の中では鉄橋ということになってるんだろうか?
映画製作者たちが手間を惜しんでロクに時代考証せずに、適当にセット作ったのか?

まぁいい。とりあえず橋を渡ろうではないか。
ウォータールー駅ガワからこの橋を渡ると、右側の遠~くにセントポール聖堂の
巨大ドームが見える。あの辺が金融街・シティってわけだな。
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左側を見ると国会議事堂やビッグ・ベンなんかが遠望できる。おおー。
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なかなか眺めのいい橋ではあるけど、「哀愁」に出てきたクラシックな鉄橋を
期待していた身としてはいささかガッカリだ。

だが、ここまで書いてイ課長の仮説がひらめいた。もしかして…ひょっとするとだよ?

橋の架け替え工事ってそう簡単なものじゃない。少なくとも数年は要するはずだ。
「哀愁」の製作年が1940年、ウォータールー橋が現在の姿に変わったのが1942年。
映画が作られた1940年頃って、橋の架け替え工事真っ最中だった可能性が高い。

つまり、ウォータール橋がどんな橋かを映画製作者たちが確認しようとした時、
昔の橋はもうすでに消滅しちゃって確認しようがなかった…とも考えられる。
もちろんロケなんてできっこない。そこで、しょうがなくテキトウにそれらしい
橋のセットを作って撮影しちゃったと…そういうことじゃないかなぁ?
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まぁいい。あまり追求するのはやめよう。
現在のウォータールー橋はロバート・テーラーが回想にふける場所としては
いささかロマンティシズムに欠けるけど、とりあえず眺めがいい橋であることは
イ課長がうけあうよ(笑)。
  



by tohoiwanya | 2010-12-11 15:56 | 2010.11 欧州出張 | Comments(0)